【完結】REAPPEARANCE   作:土地_0000

30 / 48
第三十話【時を越えた仲人】

第三十話【時を越えた仲人】

 

 

 メダロポリスの空で次元の狭間へ消えたメッシュ。

 その先では、まだ六本腕の男との戦いが続いていた。

 

メッシュ:「ファッファッファッファ! なかなかやるな!」

 

???:「ヒャホーゥ!!! お前こそなかなか強いぞ!」

 

 メッシュが斬鉄剣を振り下ろす。

 六本腕の男は、六本の腕を交差させて刀身を受け止めた。

 

 ――ギチギチギチッ!!

 

 しばらく力比べが続く。

 やがて六本腕の男が突然手を離し、距離を取った。

 

???:「あ! そうだメッシュ、これを見ろ」

 

メッシュ:「あん?」

 

 六本腕の男は、大きな袋をガサゴソと漁り始めた。

 そして、中から金色の右腕パーツを取り出す。

 

???:「これぞ! 開発時威力調整前、非売品版! 伝説の右腕〝リボルバー〟だ!!」

 

メッシュ:「何ぃーーーーーーー!!?」

 

 元トレジャーハンターであるメッシュが、勢いよく食いつく。

 

???:「今なら……何と八万円で譲っちゃうぞ」

 

メッシュ:「何ぃーーーーーーー!!?」

 

 メッシュがさらに身を乗り出した。

 だが。

 

カリパー&キドゥ&ゲンジ:「……つかそれ、リボル『パ』ーじゃね?」

 

メッシュ:「……………………」

 

???:「……………………」

 

 沈黙。

 よく見れば、刻印されている文字が微妙に書き換えられていた。

 

メッシュ:「何ぃーーーーーーー!!?」

 

???:「バレたぁーーーーーー!!」

 

 六本腕の男が悔しそうに地団駄を踏む。

 

メッシュ:「貴様!! よくも騙してくれたな!!」

 

???:「うるせー! 俺ッ様だって、このパーツに関してはあの女に騙されたんじゃーー!!」

 

 再び二機が身構える。

 

メッシュ:「喰らえ!! 次元剣技……」

 

???:「阿修羅六式道技……」

 

 一瞬の静寂。

 

 

メッシュ:「〝 璽 威 動 闘 (じいどうとう)〟!!」

 

???:「〝炎 柱〟!!」

 

 

 メッシュは斬鉄剣からカリパーへ持ち替えた。

 そして、盾へ変形したゲンジを蹴り、六本腕の男へ一気に迫る。

 対する六本腕の男は、足元から巨大な炎の柱を噴き上げた。

 

 ――ズドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 激突。

 二機が大きく吹き飛ばされる。

 

 その時。

 

 ――シュゴゴゴゴゴゴ……。

 

 偶然にも、メッシュの真後ろへ次元の出口が開いた。

 

メッシュ:「あーれー!!」

 

 そのまま出口へ吸い込まれていく。

 次元の狭間には、六本の腕を広げた男だけが取り残された。

 

 

―

 

 

「はぁ……」

 

 一人の少女が、公園のベンチに座っていた。

 周囲に人影はない。

 少女は俯きながら、重いため息を吐く。

 その時。

 

 ――シュゴゴゴゴゴ……。

 

「……ん?」

 

 奇妙な音が聞こえた。

 少女が周囲を見渡す。

 だが、何もない。

 

 そして。

 ふと、頭上を見上げた。

 

メッシュ:「うわあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ――ゴッチーーンッ!!

 

「痛っつつつつつ……!」

 

 上から落ちてきたメッシュと、少女の頭がぶつかった。

 少女が頭を押さえる。

 メッシュも同じように頭をさすりながら立ち上がった。

 

メッシュ:「ファファファ……悪かったなお嬢さん。次元の狭間ってヤツは、出口がいつどこに出るか分からんもんでな」

 

「……次元の狭間ぁ?」

 

 少女が首を傾げる。

 

カリパー:「いや……もっと詳しく説明したほうがいいと思うよ」

 

「お、剣が喋った」

 

 少女がカリパーをじっと見る。

 カリパー、キドゥ、ゲンジはメダチェンジを解除した。

 どうやら、この世界ではメッシュたちを見ても宇宙人扱いはされないらしい。

 

 メッシュたちは、自分たちが別の世界から来たことを簡単に説明した。

 少女もまた、この世界について話してくれた。

 人間とメダロットが共に暮らしている世界。

 だが最近では、メダロットをただの道具のように扱う人間もいるらしい。

 

メッシュ:「ふむふむ……ところでお嬢さん。こんな所で何してたんだ?」

 

 少女は少し気まずそうに視線を落とした。

 

「パートナーと……ケンカしちゃって……」

 

メッシュ:「……ケンカ?」

 

 少女が話し始める。

 近々、大きなロボトル大会が開催される。

 少女は一機のパートナーと出場するつもりだったが、戦力不足を心配したパートナーから、新しい仲間を加えることを勧められた。

 それが原因で口論になり、家を飛び出してきたらしい。

 

「向こうの言うことが正しいのは分かってるんだけどね……」

 

メッシュ:「で……何でアンタ、新しい仲間を加えたくないんだ?」

 

 少女の表情が曇る。

 

「あたしの両親、メダロットに殺されたの」

 

メッシュ:「!?」

 

「交通事故だけどね。運転してたメダロットが整備不良だったんだって。……昔はね、メダロットなら何でも好きだった。勉強して、自分でもメダロットのレプリカパーツを作ったりしてさ……。でも今はね、パートナー以外のメダロットは昔ほど好きじゃない。信用……できないかも……」

 

 少女が俯く。

 メッシュが固まった。

 

メッシュ:(やばい! 多分俺、何気に聞いちゃいけないこと聞いちまった!!)

 

カリパー:(メッシュ! なんか笑わせなきゃ!)

 

キドゥ:(明るい話題! 明るい話題!)

 

メッシュ:(よ、よし! 任せろ……!)

 

 メッシュが少女の前へ立つ。

 

メッシュ:「メッシュの爆笑ショートコントォ!!」

 

「……?」

 

メッシュ:「タイトル……〝交通事故〟」

 

キドゥ:「 い や 、 そ の タ イ ト ル 駄 目 だ ろ ! ! 」

 

メッシュ:「あ、そうか。じゃあ……タイトル〝お葬式〟」

 

カリパー:「 だ か ら 、 全 然 笑 え ね ー よ ! ! 」

 

 一同が慌てて少女を見る。

 だが。

 

「アハハハハハハハ! ヒ、ヒィ……お……おなか痛い……死ぬ……笑いすぎて死んじゃう。ハハハハハ……!」

 

カリパー:「爆笑じゃん……」

 

キドゥ:「このお姉さん、結構変な人かもしんない……」

 

 少女はしばらく笑い続けた。

 やがて落ち着くと、穏やかな表情でメッシュたちを見る。

 

ゲンジ:「お嬢さん、我輩たちもメダロットなのだが……どうしてそんな大事な話をしてくれた?」

 

「何でだろ……? あたしにもわかんないや。ハハハ……」

 

メッシュ:「ファッファッファッファ……。それは、オレたちがトランプメダだからだ!」

 

「え?」

 

メッシュ:「何故なら、トランプメダは皆良いヤツなのだー!」

 

 根拠など何もない。

 それでも、その言葉を聞いた少女は少しだけ笑った。

 その時。

 

 ――シュゴゴゴゴ……!!

 

 再び次元の狭間が開いた。

 

キドゥ:「早ッ!」

 

ゲンジ:「まだこの世界に来て三十分くらいしか経ってないぞ!」

 

 メッシュたちの身体が次元の狭間へ引き寄せられていく。

 

メッシュ:「しまった……! オレとしたことが、まだ名乗ってなかったな! オレの名前はメッシュ! こっちはカリパー、キドゥ、ゲンジだ! ……アンタの名前は?」

 

 少女が立ち上がり、大きな声で答えた。

 

「ルク! 宝条ルク!!」

 

 メッシュが大きく頷く。

 宝条ルク。

 その名前を、メッシュは記憶に刻んだ。

 

メッシュ:「ルク! パートナーと仲直りしろよ! あと、新しい仲間探しも頑張れよ! ……それでは皆さん、ご一緒に!!」

 

メッシュ&カリパー&キドゥ&ゲンジ:「あーーーれーーー!!」

 

 四機はそのまま次元の狭間へ吸い込まれていった。

 再び静かになった公園で、ルクはしばらく空を見つめていた。

 

ワンダ:「おーい、ルクちゃーん!」

 

 少し離れた場所から、声が聞こえる。

 青い天使型メダロット――ワンダエンジェル。名前をワンダという。

 

ルク:「ワンダ!」

 

ワンダ:「ごめん……。さっきは、私が言い過ぎたわ。だから……」

 

 ワンダが申し訳なさそうにルクを見る。

 

ルク:「ワンダ! 新しい仲間は、トランプメダにしよう!!」

 

ワンダ:「……え? あ、うん」

 

 突然の心変わりに、ワンダが戸惑う。

 

ワンダ:「でも、なんでトランプメダなの?」

 

 ルクは笑いながら、先ほどのメッシュを真似した。

 

ルク:「何故なら、トランプメダは皆良いヤツなのだー! ファッファッファ!」

 

ワンダ:「……?」

 

 ワンダには意味が分からない。

 だが、ルクが自分の提案を受け入れてくれたことは分かった。

 そして、ふと思い出したように口を開く。

 

 

ワンダ:「あ、そういえば……。隣町に〝不幸のメダロット〟って呼ばれてる、トランプのジョーカー型メダロットがいるって聞いたけど――」

 

 

 ――もしかすると、運命の歯車はこの時、回り始めたのかもしれない。

 

 

第三十話【時を越えた仲人】終わり

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。