第三十一話【カヲスと対峙し終末が近づく】
――メダロポリス。
三頭神像との戦いを終えた五機の元・十二使徒たちは、広場から空を見上げていた。
遥か上空では、空中要塞『フユーン』が夕焼けを背に浮かんでいる。
竜:「……あそこまで行くには、少し遠すぎますね……」
今から地上を移動したのでは間に合わない。
その時。
タイン:「お、おい! さり気にアレを見ろよ!!」
タインが空を指差した。
雲の向こうから、巨大な戦艦が姿を現す。
竜:「あれは……」
レッド:「………………」
ナギサ:「大戦艦ノアの箱舟……。迷える子羊たちを戦場へと誘う、巨大なる翼」
リーブ:「いや~、エライ懐かしいですな~」
ノアの箱舟がメダロポリス上空へ到着した。
救援部隊が各地へ向かい、そのうち一機が広場へ降りる。
降りてきたのは、副王ブラックメイルとエデンの兵士たちだった。
『こちら4号機。エリア4にて三頭神像の残骸を発見』
『こちら22号機。シェルター内の生存者を確認。負傷者の手当を開始します』
『こちら15号機。シャイン一味はフユーンにて北西へ離脱した模様』
ブラックメイルは次々と入る報告を聞きながら、周囲を見渡した。
停止した『心ない天使』。
壊れた建物。
そして、崩れたジョーカード像。
ブラックメイル:「おいおい。随分と派手にやってくれたじゃねぇかぁ~……よッ」
ブラックメイルはジョーカード像の破片を拾い上げる。
そして、遠ざかるフユーンを睨んだ。
今すぐ追いたい。
だが、副王である自分が、被害を受けた街を放って行くわけにはいかない。
ブラックメイル:「チッ……。どうすりゃいいん~……だッ?」
竜:「お困りのようですね……」
ブラックメイルが振り返る。
そこには竜たち五機が立っていた。
竜:「もしよろしければ、我々もノアの箱舟に乗せて頂けませんか……? フユーンへ向かいたいのですが……」
ブラックメイル:「おう! 使え使え! そんでもって、シャインのヤツをどうにかしてくぅ~……れッ!」
タイン:「よっしゃー! じゃあさり気に行って来る!」
レッド:「………………」
ナギサ:「フフフ……まさか再びあれに乗ることになるとはね。運命……デスティニーを感じるよ」
リーブ:「せやけど、言うときますよ? 僕らはF・G・シャインを倒しに行くんちゃいます……コスモスさんを助けに行くんです」
五機はブラックメイルたちが乗ってきた機体へ乗り込み、ノアの箱舟へ向かった。
それを見送ったブラックメイルは通信機を取る。
ブラックメイル:「よし! テメーら、まずは救助だぁ~……ぞッ!」
号令が街中へ響く。
ブラックメイル:「A班からG班は負傷者の手当てと医療班の手配! 他のヤツらは瓦礫の撤去と道路の確保だぁ~……ぞッ! ――いいか、足りない物があったらロケットランチに言え! アイツなら、な~んでも揃えてくれるぅ~……ぞッ!!」
ブラックメイル自身も瓦礫を持ち上げ、救援作業へ加わった。
ラヴドとエデンの兵士たちによる救助が始まる。
―
――フユーンの真下。
ワンダ、ローラ、ディストの三機は、ようやく空中要塞の真下へ辿り着いた。
だが。
ワンダ:「で……どうするのよ」
フユーンは、すでに遥か上空へ浮かんでいる。
ワンダが見上げる。
その横で、ディストとローラが顔を見合わせた。
ディスト:「あのさ。僕が車両型で、ローラが二脚型……。そして、ワンダが飛行型っていう条件を考えるとさ。……もう、答えは一つしかないと思うんだけど」
ワンダ:「え……」
ワンダが二機を見る。
そして、自分の腕を見る。
ローラ:「うむ……。メダロット二機分は重いかもしれぬ。だが、頼んだぞ、ワンダ」
しばしの沈黙。
ワンダ:「……マジすか?」
―
――空中要塞フユーン・天蓋。
F・G・シャインは、フユーンの天蓋でいつものように胡坐をかき、静かに宙へ浮かんでいた。
夕空には薄っすらと見える月が上りつつある。
シャイン:「クククク……。今夜は満月なんだ。満月……欠けたところの無い、完全なる円。僕の神、N・G・ライト様が再び地上へ降り立つに相応しい日だ」
シャインは空を見上げる。
そして、背後へ振り返った。
シャイン:「そうは思わないかい?」
その問いに、静かな声が返る。
カヲス:「…………さあな」
白い龍。
三本の黒い角を持つカヲスが、シャインの前へ降り立った。
シャイン:「クククク……。自己紹介が遅れたね。僕の名前はF・G・シャイン……。いずれ神の忠実なる
カヲス:「……我が名はカヲス。……コスモスを……返して……もらおうか」
カヲスの声は静かだった。
シャインが笑う。
シャイン:「クククク……。嫌だと言ったら?」
黒いガラスの奥で。
赤い光が灯る。
カヲス:「地獄の痛みの中で…………殺してやる」
カヲスとシャインが対峙する。
物語の終末が近づく。
第三十一話【カヲスと対峙し終末が近づく】終わり