第三十二話【BLAZE OF GLORY】
――空中要塞フユーン・天蓋。
夕空の下、カヲスとF・G・シャインが対峙していた。
シャイン:「クククク……」
シャインが左腕の『クサナギソード』を構える。
カヲス:「ゴースト・ソード……」
カヲスの右腕から紫色のゴーストが溢れ出し、一振りの剣へと形を変えた。
刹那。
――ゴォォォォンッ!!
二つの刃が激突する。
カヲスとシャインは互いに一歩も譲らず、そのまま力をぶつけ合った。
シャイン:「クククク……。カヲスといえば、二年前、英雄の手で死んだと言われているあのカヲスだね。……その名前、神であるN・G・ライト様に名付けて頂いたというのは本当かい?」
カヲス:「あぁ……本当だ……」
カヲスがシャインを弾き飛ばす。
シャインは距離を取り、そのまま宙へ浮かび上がった。
シャイン:「クククク……。その名は『神が手を加える前の混沌とした宇宙』――すなわちカオスを由来とした名前さ。そんな名前を授けるということは、神様は君なんかとは接したくなかったんじゃないのかい?」
カヲス:「……違うな」
カヲスもまた浮上し、シャインを見据える。
カヲス:「……あいつが私にこの名をつけたのは……。アイツと私が『同格』だという……証だ……」
シャイン:「……!?」
シャインの動きが止まる。
そして。
シャイン:「クククク……君が、神様と同格だって? ハッハハハハ……ッ!! ――ふ ざ け る な あ ぁ ぁ ! ! ! !」
八本のオクトバーンから、紅蓮の炎が噴き出した。
炎は八頭の蛇竜のようにうねり、シャインの背後で大きく口を開く。
シャイン:「神はすべてを超越された究極の存在! 誰一人として神の足元にも及ばない、そんなお方だ! その神と……N・G・ライト様と同格の存在など、この世のどこにも存在するはずがないだろうがぁぁぁ!!!」
八頭の炎が一斉にカヲスへ襲いかかる。
カヲスは左腕を掲げた。
放たれたゴーストが同じく八頭の蛇へと姿を変える。
炎とゴースト。
計十六頭の蛇竜が空中で激突した。
――ズドォォォォォォンッ!!
巨大な爆炎が二機を包み込む。
シャイン:「君は神を侮辱した!!」
爆炎の中から、シャインが飛び出した。
クサナギソードがカヲスの首元へ迫る。
カヲスはゴーストを篭手へ変え、その一撃を受け止めた。
そして、空いた左腕をシャインへ向ける。
至近距離。
ゴースト弾が炸裂した。
シャイン:「グッ……!」
シャインが大きく弾き飛ばされる。
だが、すぐに体勢を立て直した。
シャイン:「神を侮辱した罪は、万死に値する……」
八本のオクトバーンから、再び炎が噴き出した。
その炎が渦を巻きながらシャイン自身を包み込んでいく。
やがて空に現れたのは、巨大な炎の球体だった。
まるで、小さな太陽。
カヲス:「勝手なヤツだ……。私はライトを……侮辱してなどいない……」
シャイン:「だまれぇ!!」
炎を纏ったシャインが、カヲスへ突進する。
カヲスは両腕からゴーストを広げ、前方へ巨大な盾を作り出した。
しかし。
カヲス:「……ッ!?」
シャインの炎が、ゴーストの盾を突き破った。
シャイン:「うおおおぁぁぁぁぁ!!!」
炎の塊が、そのままカヲスへ直撃する。
――ズガァァァァァンッ!!
カヲス:「チィッ……!」
カヲスが大きく吹き飛ばされた。
白い装甲は黒く焼け焦げ、左腕は肩口から失われている。
残された右腕や脚部にも、大きな損傷が走っていた。
シャイン:「クククク……。哀れな姿だ。君は神を侮辱し、あんなくだらない女の命を優先した……。その報いさ!!」
カヲスが動きを止める。
カヲス:「くだらない女……だ……と……?」
黒いガラスの奥で、赤い光が強くなる。
カヲス:「……おい貴様。コスモスを……悪く言うな」
残された右腕から、紫色のゴーストが溢れ出した。
それは剣にも盾にもならず、霧のように周囲へ広がっていく。
やがて、フユーンの天蓋一帯が濃い紫の霧に覆われた。
シャイン:「クククク……。目眩ましかい? だが、これでは君だって何も見えないんじゃないのかい?」
シャインが周囲を警戒する。
視界はほとんど利かない。
だが。
カヲスの頭部『フォー・ブレイン』は、霧の向こうにいるシャインの位置を捉えていた。
カヲス:「………………」
両脚をゴーストが包む。
カヲス:「ゴースト・ブースター」
――シュンッ!!
一瞬で距離を詰める。
そして、右腕から放たれたゴーストが巨大なメダルの形へと変わった。
カヲス:「ゴースト・インパクト」
シャイン:「ガ……ぁ……!?」
巨大なメダル型のゴーストが、シャインの身体を真正面から捉えた。
――ズドォォォォォンッ!!
強烈な衝撃。
シャインが大きく吹き飛ばされ、そのままフユーンの天蓋へ叩きつけられる。
紫色の霧が晴れていく。
倒れたシャインは動かない。
その時。
シャイン:「ク、クク……。クククク……」
不気味な笑い声が聞こえた。
シャインがゆっくりと宙へ浮かび上がる。
装甲は大きく損傷し、右腕の回復パーツも傷ついている。
それでも、笑っていた。
シャイン:「クククク……。月が天頂へ昇るまで……ま、待ちたかったけれど……。そんなことは……言ってられないね……」
シャインはカヲスを見据える。
そして、二つの物を取り出した。
一つは、純白の珠。白メダリア。
もう一つは、六角形のメダルだった。
カヲス:「コス……モス……?」
間違いない。
コスモスのメダルだ。
シャイン:「クククク……。神様、見ていてください。今、貴方のために、最高の舞台を整えますから……」
白メダリア。
そして、コスモスのメダル。
シャインが待ち望んだ、N・G・ライト再臨のための儀式が始まろうとしていた。
第三十二話【BLAZE OF GLORY】終わり