第三十四話【再臨:白翼の神 ~REAPPEARANCE:White Winged God~】
――大戦艦ノアの箱舟。
五機の元・十二使徒たちは、再びノアの箱舟へと戻っていた。
かつて自分たちが使っていた大戦艦。
船内には、二年前と変わらぬ光景が残されている。
タインとヴァレンが戦った甲板。
ベルゼルガたちが鍛錬を続けたトレーニングルーム。
そして、中央コロシアム。
そんな懐かしい場所を横目に、五機は操縦区画へ向かった。
竜:「タイン……。操縦の仕方、覚えていますか?」
タイン:「……さり気に忘れた」
タインが並んだ操作装置を見つめる。
竜:「……想定内です。最初から貴方のウジムシ以下の知能には
タイン:(クッ……。クソ〜、本当に忘れてただけに何も言い返せねぇぜ……)
竜はナギサを見る。
竜:「それではナギサさん、お願いします――」
ナギサ:「戦いの場へと誘う翼……ノアの箱舟。そして、襲い来る強大な荒波から逃れ、迷える子羊たちを救う神の手向けであり……」
竜:「…………リーブさんとレッドさん、お願いします」
リーブ:「はーい」
レッド:「…………」
リーブとレッドが操縦を引き継ぐ。
ノアの箱舟が、フユーンへ向けて動き始めた。
その時。
――ッ!!
外部モニターが、一斉に白く染まった。
夜空の彼方。
フユーンのある方角から、凄まじい光が広がっていく。
竜:「……ッ!?」
やがて光が収まり、再び夜の闇が戻る。
五機は言葉を失ったまま、その方角を見つめていた。
竜:「な、何か嫌な予感がします……。急いでください!!」
ノアの箱舟が、決戦の地へと加速する。
―
――空中要塞フユーン・天蓋。
白い光が、徐々に収まっていく。
カヲスは、その光景をじっと見つめていた。
そして。
光が完全に消えた時。
そこにいたのは、もはやF・G・シャインではなかった。
雪のように白い両腕。
刃物のように鋭い脚部。
威厳を湛えた、鋭い髭のようなパーツ。
頭上には、後光を思わせる輪。
そして、その背には。
大きな白い翼が広がっていた。
『……久しぶりだな。我が友カヲスよ……』
懐かしい声だった。
十一年前に失われたはずの、親友の声。
カヲス:「……その声……我が友……N・G・ライト……」
神は再臨した。
名前はN・G・ライト。
かつて人類を滅亡へ導き、メダロットだけの世界を創り出した男。
ライト:「久しぶりの再会だというのに、少々元気がないようだな? カヲス」
カヲスはライトを見つめた。
再会した親友。
だが、その復活に使われたのはコスモスのメダルだった。
喜ぶことなど、できるはずがない。
ライトは、そんなカヲスをしばらく見つめる。
ライト:「心配するな。貴様の愛しき者は必ず返すつもりだ」
カヲス:「本当か……?」
ライト:「フッ……本当だ。神である私としても、愛し合う二人の間を引き裂くような真似はしたくない。だが……」
カヲス:「だが?」
ライトは、あご元の鋭い髭のようなパーツへ手を添えた。
ライト:「この世界で、一つだけやっておきたい事があってな……。それが終わるまでは、待ってもらいたい」
カヲス:「…………………」
カヲスはしばらく黙る。
そして。
カヲス:「分かった……。信じよう。我が永遠の親友、Night・God・ライト……」
ライト:「礼を言う……。我が唯一の親友、カヲスよ」
十一年の時を越え、二機は再び向かい合った。
カヲス:「……ところで。この世界でやりたい事とは……一体……?」
ライト:「うむ……。本当はやりたい事は一つだけのつもりだったのだが……。どうやら、増えてしまうかもしれぬな」
カヲス:「どういう……ことだ?」
ライト:「〝血の気の多い若造〟と、拳を交える事になりそうだ」
ライトの視線が、カヲスの後方へ向けられる。
そこには、三機のメダロットがいた。
ワンダ。
ローラ。
ディスト。
ワンダに運ばれ、ようやくフユーンの天蓋へ辿り着いた三機だった。
ディスト:「カヲス!? なんでここに……いや、今はそんな事よりも……!」
ワンダ:「N・G・ライト……。復活してしまったのね……」
ローラ:「かまわん。復活してしまったならば、ただ倒すのみだ。……その覚悟で参上したはず」
カヲスが三機を見る。
そして、僅かに笑った。
そのまま静かに浮かび上がる。
カヲス:「…………」
カヲスは何も言わず、夜空の中へと姿を消した。
残されたのは、N・G・ライト。
そして、ワンダ、ローラ、ディストの三機。
満月の光が、白銀の翼を照らしていた。
ワンダたちが身構える。
ワンダ&ローラ&ディスト:「N・G・ライト! 覚悟!」
三機の声が、夜空へ響く。
ライトは、その言葉を静かに受け止めた。
ライト:「本来、神である私は、同胞たるメダロットを傷つけることを嫌う。……だが。それが、貴様らの望みだと言うのであれば、叶えてやろう」
白銀の翼が、僅かに動く。
――ドンッ!!
それだけで空気が弾け、強烈な衝撃が三機を襲った。
満月の下。
再臨した白翼の神と、新たな世代の戦士たち。
その戦いが、始まろうとしていた。
第三十四話【再臨:白翼の神 ~REAPPEARANCE:White Winged God~】終わり