【完結】REAPPEARANCE   作:土地_0000

35 / 48
第三十五話【血の気の多い若造】

第三十五話【血の気の多い若造】

 

 

ライト:「それにしても……素晴らしい世界だ」

 

 N・G・ライトは、自分を囲むワンダ、ローラ、ディストの三機から目を離し、フユーンの天蓋から世界を見渡した。

 

ライト:「神……すなわちメダロットたちがお互いに助け合い、愛し合う平和な世界! これぞ、かつて神である私が求めた楽園――エデンだ。……残念なのは、これを神である私自身の手で完成させられなかったことぐらいか」

 

ローラ:「悪いが、その素晴らしき世界はもう貴様を必要としていない」

 

 ローラが右腕のダブレストを構える。

 だが、ライトは穏やかに答えた。

 

ライト:「分かっておる。……いや、それどころか。神である私の存在そのものが、再び凄惨な戦争を巻き起こす火種になることも否定できん」

 

 ワンダとローラが、一瞬言葉を失う。

 その中で、ディストが一歩前へ出た。

 

ディスト:「だったら……貴方にはここで死んでもらわなきゃ、僕たちは困るんだ。……ごめん」

 

ライト:「フッ……」

 

 ライトが僅かに笑う。

 その刹那。

 

ワンダ&ローラ&ディスト:「うおぉぉぉ!!」

 

 三機が同時に動いた。

 

ライト:「来るがいい!!」

 

 決戦が始まった。

 先陣を切ったのはローラとディストだった。

 二機が左右からライトへ迫る。

 

 ライトは動かない。

 右手が液体金属のように形を崩し、瞬く間に巨大な掌へと変わった。

 

 ――ブォンッ!!

 

 巨大な平手打ちが二機を薙ぎ払う。

 ローラとディストは寸前で左右へ飛び退いた。

 その隙に。

 

ワンダ:「いっけー! 最大出力ぅ!!」

 

 上空から、ワンダのレーザーがライトへ放たれる。

 黄金の熱線が一直線に迫る。

 

ライト:「……フンッ」

 

 ライトが右腕を振り抜いた。

 

ライト:「デストロイッ!」

 

 ――ドンッ!!

 

 強烈な一撃が、真正面からレーザーを叩き潰した。

 

ワンダ:「な、なんてデタラメなパワーしてんのよ……!」

 

 だが、その一瞬をディストは逃さない。

 左腕のエアストを突き出し、一気にライトへ迫った。

 

 ――ガシッ!!

 

 ライトが片手でエアストを受け止める。

 

ライト:「うむ……。良いパワーだ」

 

ディスト:「ク、クソッ……! 攻撃が当たっても、ビクともしないよ……!」

 

 ディストが距離を取る。

 

ライト:「悪いが、あまり長引かせたくは無い……」

 

 ライトの左腕が、眩い白光を放ち始めた。

 その光がローラへ向けられる。

 

ライト:「サクリファイスッ!!」

 

 ――ドォォォォォォォォォン!!

 

 白い閃光がローラへ襲いかかった。

 

ローラ:「な……ッ!?」

 

 ローラがダブレストの青い障壁を展開する。

 だが。

 光は障壁を突き破り、そのままローラを吹き飛ばした。

 同時に、攻撃を放ったライトの左腕も崩れ落ちる。

 

ディスト:「ローラァーー!!」

 

 ローラはフユーンの天蓋を滑り、そのまま端から外へ投げ出された。

 

ローラ:「妾のことは気にするな! 今は目の前の敵に集中しろ!!」

 

ディスト:「嫌だ! たまには〝僕が〟ローラを守るんだ!!」

 

 ディストが走る。

 そして。

 迷わず天蓋から飛び出した。

 

ディスト:「うおぉぉ!!」

 

 空中でローラの身体を抱き留める。

 

ローラ:「何をしている! これではお前も一緒に落ちてしまうぞ!!」

 

ディスト:「僕がローラの下敷きになって落ちる! そうすればローラは無事だ!」

 

ローラ:「それではディストが……」

 

ディスト:「いいから!!」

 

 ローラが黙る。

 

ローラ:「…………馬鹿者が……」

 

 二機はそのまま、雲海の向こうへと落ちていった。

 

ワンダ:「ディストォォ!! ローラァァ!!」

 

 ワンダが叫ぶ。

 ライトは、二機が消えた方向を見ながら告げた。

 

ライト:「一応言っておくが、あれはあのディストスターしか間に合わなかっただろう。飛行型の自分が行けばよかったなどと、自分を責める必要はないぞ」

 

ワンダ:「……アンタがやったんでしょうが!!」

 

 ワンダがライトを睨みつける。

 その姿を見て、ライトが僅かに目を細めた。

 

ライト:「ん? ……思い出したぞ。たしか貴様は、宝条ルクのもとにいた……あの忌々しい道化の仲間か」

 

 

 

 

――メダロポリス。

 

ブラックメイル:「しっかし、困ったもんだぁ~……ぞッ」

 

 瓦礫の残る中央広場。

 ブラックメイルは、壊れた英雄ジョーカード像の破片を手にしていた。

 

ロケットランチ:「さっきの空の光のことっスか?」

 

 傍らにいたロケットランチが、フユーンの方角を見る。

 

ブラックメイル:「違う、違う。オレが言ってんのは、この像のことだぁ~……ぞッ」

 

ロケットランチ:「像?」

 

ブラックメイル:「この像にはな……二年前に死んだある男のメダルを、粉末にして材料に混ぜてあるんだぁ~……よッ」

 

ロケットランチ:「二年前、死んだ……? まさか、ある男って……」

 

ブラックメイル:「あぁ」

 

 この英雄ジョーカード像には、かつてヴァレンだったメダルの欠片が混ぜられていた。

 文字通り、彼の墓標でもあった。

 

ブラックメイル:「だから破片は、絶対に漏れなく回収しなきゃならねぇんだ……って、ぬあ!?」

 

 その時。

 ブラックメイルが持っていた『アレ』が、突然強い光を放った。

 

ロケットランチ:「ブラックメイルさん!! こ、これは一体……!?」

 

ブラックメイル:「くッ……黒メダリア! 何かの役に立つかも知れないっつって、エデンを出る前にビーストマスターに持ってけって言われたんだぁ~……ぞッ!」

 

 黒メダリアが宙へ浮かぶ。

 そして。

 広場に散らばっていたジョーカード像の破片が、次々と黒メダリアへ吸い寄せられていった。

 

ロケットランチ:「な、なんスかこれ!?」

 

 破片が渦を巻き、黒い塊となって一つに集まっていく。

 

 ――シィィィィィィィン……!!

 

 次の瞬間。

 黒い光は、フユーンのある方角へ向けて飛び去った。

 

ブラックメイル:「な、なんかヤバイィ~……ぞッ!!」

 

 黒い光は夜空を駆け抜け、決戦の地へと向かっていった。

 

 

 

 

――空中要塞フユーン・天蓋。

 

 残されたワンダは、それでもライトへ向かっていた。

 

ワンダ:「レーザー!!」

 

 黄金の熱線が放たれる。

 ライトは片腕を僅かに動かし、それを打ち消した。

 

ライト:「無駄だ」

 

ワンダ:「私は諦めない……! アンタにだって、弱点や隙は絶対にどこかにあるはずよ!!」

 

ライト:「残念だが。パワー、スピード、知略……。神である私に、欠けたるところなど何処にも無いのだよ」

 

 その時。

 夜空の彼方から、黒い光が飛来した。

 ライトがその光を見る。

 

ライト:「フッ……。来たか。〝血の気の多い若造〟が」

 

ワンダ:「え……?」

 

 黒い光が、そのままワンダへと飛び込んだ。

 

ワンダ:「な……に……よ、これ……ッ」

 

 激しい黒い光が、ワンダの全身を包み込む。

 先ほどシャインを包んだ白い光とは正反対の、漆黒の輝き。

 

 やがて。

 その中から、一つの声が響いた。

 

 

『欠けたるところなど何処にも無い……? 嘘をつくな。お前にだって、欠けたるところはあるぜ』

 

 

 ライトは驚かなかった。

 むしろ、待っていたかのように、その声へ返す。

 

ライト:「ほう。神である私に欠けたるところがあると? フン……それは何だ?」

 

 黒い光の中から。

 

 不敵な声が返ってきた。

 

 

『…………〝何気さ〟』

 

 

第三十五話【血の気の多い若造】終わり

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。