???話【影】
巨大都市メダロポリスが復興に沸く一方。
エデン国本部の深奥にある一室――通称「トゥルースのお部屋」では、セルヴォとビートが黙々と作業を続けていた。
エデン国女王直下諜報部『トゥルース』。
二機が扱っているのは、数刻前まで行われていたカヲスの処遇を巡る会議をはじめ、今回の事件に関する数々の機密記録だった。
カヲスの生存。
N・G・ライトとヴァレンの再臨。
そして、それらにまつわる多くの真実。
彼らは、それらの記録を消そうとはしなかった。
いつか。
何十年、何百年という時が流れ、これらが公開されても世界を揺るがさない日が来るかもしれない。
それまでは誰にも触れられぬ場所へ、真実を隠しておく。
それが、トゥルースの仕事だった。
セルヴォ:「だりぃ……」
セルヴォが椅子の背もたれへ身体を預ける。
ビート:「そう言うな。……記録を残しながら、世界を『正しく』騙し続ける。これも俺たちの仕事だ」
ビートは画面から視線を外さず、淡々と答えた。
セルヴォ:「さて、分かっちゃいるがよ。……やっぱ二年前みたいにさ。ラヴド本部をドカーンと爆破して脱出するような、あぁいう派手な現場任務が恋しいぜ。……机に向かって作業ってのは、肩が凝るんだわ」
ビートは「爆破なら今回もしただろ」と言いたくなったが、黙って作業を続けた。
ビート:「俺は、こういう静かな任務ばかりの方がいいがな。……余計な不確定要素を考えずに済む」
セルヴォ:「さて、……相変わらず変わり者だよな、お前」
ビート:「お前に言われる筋合いはない。……それに」
ビートの手が止まった。
セルヴォ:「……ん? どうしたよ」
ビート:「……五年前みたいな任務よりは、……この仕事の方が、ずっといい」
セルヴォの表情から、軽さが消えた。
セルヴォ:「………………」
五年前。
セルヴォとビートにとって、決して忘れることのできない任務があった。
それが何であったのか。
今、語る者はいない。
セルヴォ:「……さて、そりゃあ……そうだわな。俺だって、五年前みたいな仕事はもう御免だぜ」
二機はそれ以上、何も言わなかった。
再び、それぞれの作業へ戻る。
セルヴォ:「……俺たちに、……『主人公』なんて輝かしい役割は、向いてねえよ」
セルヴォが自嘲気味に笑う。
そして、指先が、「
表舞台で英雄たちが光を浴びる一方。
その裏側には、誰にも知られぬまま動き続ける者たちがいる。
歴史の教科書には一文字として記されない、
舞台は、五年前へと遡る。
静かな過去の片隅で。
まだ誰も知らない物語が、始まろうとしていた。
―――To be continued 『APPEARANCE of TRUTH』
???話【影】終わり