【完結】REAPPEARANCE   作:土地_0000

5 / 48
第五話【各々の思惑】

第五話【各々の思惑】

 

 シャインたちによるラヴド国本部への襲撃から、二日が経った。

 

 深い山々に囲まれた一軒の別荘。そこは、エデン国女王直下諜報部『トゥルース』が極秘に管理する拠点のひとつだった。

 トゥルースは全国各地にこうした隠れ家を持ち、任務の合間の休息や、有事の際の避難場所として利用している。白メダリアを持ってラヴド本部から離脱した三機も、ひとまずこの別荘へ身を寄せていた。

 

 到着して間もなく、デュオカイザーがセルヴォとビートへ向き直った。

 

デュオ:「セルヴォちゃん、ビートちゃん……ここからは別行動とぃきましょぅ」

 

 デュオは、白メダリアを自分の手で安全な場所へ隠すつもりだった。

 その隠し場所は、セルヴォとビートにも教えないという。二機には、ビーストマスターとの約束どおり、ラヴドへ連絡を取り、今後の指示を受けてもらうことにした。

 

セルヴォ:「さて、白メダリアの在りかを知るのはデュオさんだけ……か」

 

ビート:「しかし、もしシャイン達に目をつけられた時に、デュオさんだけで奴ら3人を相手できるのですか?」

 

 ビートの懸念はもっともだった。

 ラヴド本部で見せたシャインたち三機の実力を考えれば、デュオ一機で正面から戦うのは難しい。

 

デュオ:「ふっふっふ~ん♪ たしかに戦っては勝てなぃけど、トゥルースの持ち味は戦ぅ事じゃなぃゎょねぃ?」

 

 デュオは含みのある笑みを浮かべた。

 

 その様子を見て、セルヴォとビートは思わず身構えた。

 普段はおちゃらけた言動の多いデュオだが、ひとたび狙いを定めると、相手を徹底的に追い詰めることがある。力押しではなく、情報や策略を駆使して相手を追い込むのが、彼女の得意とするところだった。

 

 二機は、デュオに何か考えがあるのだろうと察した。

 

セルヴォ:「さて、デュオさんに何か考えがあるなら了解した」

 

ビート:「では、ひとまずここで別れましょう」

 

 セルヴォとビートは、それ以上の追及をせず、別荘を後にした。

 

 扉が閉まり、二機の姿が森の奥へ消えていく。

 残されたデュオカイザーは、手元の白メダリアを見つめながら、小さく鼻歌を歌い始めた。

 

 

 ―

 

 

 一方、ラヴド本部から逃走したシャインたちは、拠点を『フユーン』へ戻していた。

 

 かつて空中要塞として大きな事件を起こした場所である。

 百余年前、フユーンストーンと呼ばれる石の浮力によって空に浮かんでいた要塞は、現在では各所が崩れ、廃墟となっていた。人の寄りつかないその場所は、シャインたちにとって都合のよい潜伏先だった。

 

ジーヴァス:「おい!!シャイン!!次はどうするんだ!?」

 

 ジーヴァスは落ち着きなく右腕を動かし、足元の瓦礫を蹴り飛ばした。

 

マイル:「だからぁ、怪しい場所を虱潰しに探るって言ってるだろぉ?」

 

 マイルが呆れたように答える。

 ジーヴァスのせっかちな性格には、彼もすっかり慣れていた。

 

 シャインは要塞のテラスに腰掛け、背後の八本の火柱を揺らめかせながら、二機へ顔を向けた。

 

シャイン:「クククク…そうだなぁ。じゃあ、ジーヴァスは女王が訪れているのが何度か確認されている『聖・ヴァレン教会』。マイルは、エデンの重要な基地『ビッグブロック』。僕は……エデンと密接な関わりがあるといわれている『竜探偵事務所』でどうだろう?」

 

 三機で手分けして、白メダリアの手がかりを探すつもりだった。

 ジーヴァスとマイルは無言で頷く。

 

 これまでの行動も、シャインの判断を中心に進められていた。二機は今回も、その方針に従った。

 

シャイン:「クククク…じゃあまたこの場所で会おう」

 

 その言葉を聞くや否や、ジーヴァスは勢いよく駆け出した。

 あっという間に姿が見えなくなる。

 

 マイルは、やれやれと肩をすくめた。

 

マイル:「まったく、せっかちなヤツだなぁ」

 

 マイルも歩き出そうとした、そのときだった。

 

シャイン:「──そうだ、マイル。……頼まれていた『例のモノ』、仕上がっているよ」

 

 

 ―

 

 

 ――ラヴド国本部。

 

 先日の襲撃によって破壊された設備の復旧作業が、今も各所で続けられていた。

 軍の主力は、再建作業にあたる工兵と、損傷した機体の修復を待つ兵士たちに分かれている。すぐにまとまった部隊を動かせる状況ではなかった。

 

 王室の間に隣接した作戦会議室で、ブラックメイルがビーストマスターへ問いかけた。

 

ブラックメイル:「どうするビーストマスター?まだ軍を動かす準備は難しいが、シャイン達は放って置けないぃ~…ぞッ」

 

 ジーヴァスに取り付けた発信機の反応から、シャインたちの拠点がフユーンであることは既に特定していた。

 しかし、場所が分かっていても、今のラヴドにはそこへ十分な戦力を送り込む余裕がない。

 

ビーストマスター:「エデンも今のままでは、まともに軍を出せない……。ならば、一般市民の協力を要請するしかないです」

 

 一般市民の中には、かつての大戦を経験し、正規軍にも劣らない実力を持つメダロットたちがいる。

 リーブやレッドのように、軍を離れて賞金稼ぎとして活動している者たちも、その一例だった。

 彼らを『一般』市民と言っていいのかは分からないが、とにかく軍外の力は一般市民というしかない。

 

 ビーストマスターは、彼らの協力を得る方針を決めた。

 

ビーストマスター:「……という事で、その一般人との関わりが深く、高い実力を持った兵士を1人選んで任務につかせましょう。トゥルースの方々との連携も取りつつ、一般の協力を得て、フユーンに攻め込ませましょう」

 

 ――ピー、ピー、ピー……。

 

 そのとき、作戦会議室の通信機が鳴った。

 

 連絡を入れてきたのは、セルヴォとビートだった。

 二機はデュオと別行動になったことを報告し、今後の指示を仰いだ。

 

 ビーストマスターは、先ほど決めた方針を伝える。

 

ビーストマスター:「こちらから1人、優秀な兵士を送りますので彼と合流した後、一般人の協力を得てフユーンに攻め入ってください」

 

セルヴォ:「さて、ところで『優秀な兵士』って誰だ?」

 

 ビーストマスターは、二年前の大戦を思い返した。

 

 自らの弱さと向き合い、ラヴドの勝利に大きく貢献した一機の兵士。

 一般市民との関わりも深く、今回の任務を任せるには適任だった。

 

ビーストマスター:「失礼しました。その兵士は………ラヴド軍一級兵士『ディストスター』です」

 

 

第五話【各々の思惑】終わり

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。