次世代魔法少女養成所 作:匿名
試合開始の宣言がされた。
しかし、朝比奈は戦う気が無いのか、柔道の構えをしていない。どこか集中していないような――目線が上の空。目が泳いでいる。目の前にいる私のことを見ていないようだった。
そうだとしても、これは真剣勝負。
相手のやる気なんて関係ない。目の前の敵を倒すのが、私に課された訓練。今までは、悪い評価しか得られていなかったけど、ここがアピールチャンス。余裕で朝比奈に勝って、私の力を所長へ知らしめる。
「朝比奈、手加減無しだから」
私は素早く一歩を踏み出して、一瞬で間合いを詰める。
私も朝比奈も裸でいるので、どこにも掴むところが無い。仕方なく肩の辺りと二の腕の辺り――滑るような柔らかい素肌をがっしりと掴む。朝比奈も私と同じように掴んできた。しかし、朝比奈の手には、どこか力が入っていないようだ。
「どうした、本気で来ないと痛い目を見るぞ……?」
武士の情けというわけではないが、同期のよしみで忠告をしてやる。このまま何事もなく勝っても良いが、戦意喪失している相手に勝ったところで何のアピールにもならない。もう少し本気で来てもらいたい。
「……薊ちゃん」
弱々しい声で、朝比奈が言う。
表情を覗き込むと、今にも泣き出しそうであった。
「……私、ずっと我慢してるの」
「……何を?」
「……おしっこ」
その言葉に、一度捕まえた朝比奈を振りほどいた。
対峙して掴み合ってみてわかったが、普通の女子の力よりも圧倒的に弱い。その理由は、おそらく尿を我慢しているせいだろう。力を入れたくても入れられないのだ。尿意によって、昨日はろくに寝れてもいないのかもしれない……。
朝比奈の出方を見ていると、プルプルと震え出した。もう、漏れ出てくる寸前といったところだろうか……。顔色も急に悪くなり始めた。
もしも私が投げ飛ばしていたら、その衝撃で漏らしていたことは明らかだ。
それでも良かったのかもしれない。真剣勝負の世界。それを気にしていたら、怪人なんて戦えない。けど……、朝比奈は同期の仲間……。
私が攻撃に行くべきか迷っていると、所長から声がかかった。
「二人とも『指導』。攻めろ」
『指導』が入ってしまった。
柔道の試合で、攻める気が無いと見なされた時に取られる反則行為のようなもの。ずいぶんと早いタイミングでの指導だが、気の短い所長の判定らしい。このまま攻めなければ、両者負けもありうる。
「悪いけど、勝たせてもらうから」
私は再び朝比奈の懐へ入り、今度は片方の腕を両手で持つ。そして、私自身の身体をその間へと入れる。
――背負い投げ。
柔道着を着ていようが着ていまいが出来る技。相手の腕が掴めれば後は投げれる。朝比奈には悪いが、漏らしてもらおう。
そう思って力を入れるのだが、朝比奈の身体は持ち上がらなかった。柔らかい感触が私の背中に留まっているのみ。
「薊ちゃん、私も頑張るからっ!」
そういうと、背負い投げの姿勢から回り込まれて、一緒に倒される。背中はつくまいと耐えることができた。どちらも一本は取れていない状況で、二人は床に身体が付いた状態。ここから仕掛けるとしたら、寝技だろう。
寝技に持ち込まれると、危険だ……。
朝比奈の方がリーチも長いし、身長体重もあちらの方が上。どうにか躱さないと……。そう思うのだが、朝比奈は私の身体に絡みついてきて離れない。柔らかな感触が私にまとわりついてくる。
「薊ちゃん。こんな状態の私に対して、手加減無しって言ってくれるの嬉しかったよ?」
弱気だった朝比奈の声が、どこか裏に狂気を秘めたような暗い雰囲気を帯びだした。
「同期が困っていたら、助けてくれてもいいのにさ? 本当に我慢してるんだよ?」
「あ、あぁ……。それは、朝比奈の様子を見ていればわかった。私も一緒の状況だから……」
私の言葉に対して、朝比奈はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「えぇー、そうなんだー? 良いこと聞いちゃったなぁ? それじゃあ、ここを刺激されたら、キツイんじゃない?」
朝比奈は、絡みついた足を一度ほどき、私の下腹部を目掛けて踵で蹴りを入れて来た。
「うっ……!!?」
「そこが一番きついよねー? わかるよ、その気持ち。我慢してると膀胱壊れちゃうよ? 早く出しちゃいなよ?」
今度は、グリグリと踵を下腹部へ当てて圧迫してくる。
「くぅ……っ!!?」
「薊ちゃん、もう力入ってないじゃん? 弱点丸わかりだよー。敵に対して、自分の弱点さらけ出さない方がいいよ?」
形勢逆転された。
今や、朝比奈の方が有利。
私は朝比奈の術中にハマってしまっていたようだ。自分から排尿を我慢してるなんて言うヤツなんていない……。
この養成所へ来たからには、絶対に魔法少女になりたいって思っているはず。その意思が、誰よりも強いはずだ。そんなヤツが、タダでやられるなんてことするないのだ。
くそっ……、騙された……。
「十秒経過」
所長によりカウントされていく。
たしか寝技が決まると、二十秒で技あり、三十秒で一本取られるルールだっただろう。このままだと負けてしまう……。
どうにか逆転しないと……。
「もがいたとしても、どうにもならないと思うよ? 薊ちゃんって小さくて可愛いよね。そんな身体じゃ、私を剥がせないよね?」
「ちきしょう……」
柔らかい身体が私を縛っていく。相変わらず朝比奈の力は弱々しいのだが、それ以上に私にも力が入らない。下腹部を押し込まれ過ぎて、もう我慢の限界だ……。
「漏らして楽になればいいよ? 敗者らしく、無様に散りな? その方が同情も集められるかもよ? 『お漏らしの薊ちゃん』?」
「うぅ……限界……」
もう限界だ。
負ける前に漏れそう……。
同期も上級生もいる中で。
私に注目が集まる中で、漏れてしまう……。
そして無様に負ける……。
たとえ漏れてしまったとしても、負けたくない……。
……そうか。
…………漏らせばいいのか。
私は我慢していた下腹部の力を緩め、代わりに足の方へと力を入れる。
勢い良く音をたてて漏れ出す液体。
液体は綺麗に流れて、武道場の畳へ伝わっていく。一日以上溜まっていたからだろう。畳の色とは明らかに違う、黄金色に輝く液体が畳を染めていく。
「ちょっ!? 本当に漏らしたの!? バカじゃないの!?」
人の尿を腕で受け止めるなんてこと、大抵の女子はしたこと無いだろう。尿が腕に出されたことで、朝比奈の締め付ける力が一瞬緩んだ。その隙を見逃さなかった。
私は力の入るようになった下半身を軸にして、クルリと朝比奈の上へと身体を入れる。その間、私の尿は垂れ流され続けている。
「バカバカっ!? なんで私に尿かけてんのよっ!!?」
「この試合、ルール無用だったよね? 対戦相手に尿をかけちゃいけないなんてルールあったっけ?」
「そんなの、人の常識としてダメでしょ。バカなのっ!? 早く止めてっ!!」
「いや、そんなの止まるわけなくない? はぁー……、朱里の言う通り、ちょっと気持ちいかも。人におしっこかけるって?」
身体を密着させ、朝比奈が動けないように身体を固定する。絞め技とまではできないが、動けないように。密着しているので、私自身にも自分の尿がかかって広がっていくのがわかる。とても暖かい。
「こんなことして、タダで済むと思わないでよ……?」
「何を言っても、もう遅い。このまま、私が勝つ」
「私だって、やろうと思えば、出来るから……!」
朝比奈はそういうと、ゆっくりと力を抜いていく。自らも、下腹部から温かい液体を垂れ流し出した。
自分で言っておきながら、今にも泣き出しそうな顔をしている。人前で尿を出すのは、人間の尊厳に関わる部分を壊す行為に当たるかもしれない。周りの生徒に見つめられている勝負の中で、尿を垂れ流す。これがどれほど精神に来るものか……。
朝比奈は、アイドル顔負けの顔を涙で濡らしてぐちょぐちょになる。上からも下からも垂れ流しながら、嗚咽交じりに言う。
「わ、わたしだって……、魔法少女になりたいもん……!」
しかし、決断が遅かった。
二十秒を超えたあたりで出て来た尿は、私のそれと混ざり合うには勢いが足りなかった。尿が朝比奈の身体から出切らないのであれば、力を入れられない状況に変わりはなく、朝比奈は三十秒間私の尿とともに固められて、一本となった。
「勝者、桐生薊」
所長による勝者宣言に、片手を上げて答える。
「ふぅ、勝てて良かったよ。すっきりしたよ」
勝者として振舞うのだか、朝比奈の方は精神的にもすごいダメージが大きいらしい。泣きじゃくっている。
「……うぅ、うっ、おぇっ……。えほっ……えほ……」
朝比奈を落ち着かせようと、しばらく私は朝比奈と身体をくっつけ合う。
完全に脱力した柔らかな部分へ触れる。
「大丈夫、私の尿と混ざれば朝比奈が漏らしたってわからないだろうから。隠しておいてあげるから、私に抱きつきな?」
「うぅ……、うぐっ。う、うん……」
本来の実力を出し切れなくて不本意だったであろう仲間、せめて心が折れないように。
朝比奈の尿が出てくる付近を、私の同じ部位で塞ぐ。これで、どちらが出しているか分からなくなるだろう。
朝比奈の暖くて清らかな液体が私の大事な部分に当たるけれども、それも受け入れてやった。