次世代魔法少女養成所   作:匿名

5 / 10
第5話 決着

試合開始の宣言がされた。

 

しかし、朝比奈は戦う気が無いのか、柔道の構えをしていない。どこか集中していないような――目線が上の空。目が泳いでいる。目の前にいる私のことを見ていないようだった。

 

そうだとしても、これは真剣勝負。

相手のやる気なんて関係ない。目の前の敵を倒すのが、私に課された訓練。今までは、悪い評価しか得られていなかったけど、ここがアピールチャンス。余裕で朝比奈に勝って、私の力を所長へ知らしめる。

 

「朝比奈、手加減無しだから」

 

私は素早く一歩を踏み出して、一瞬で間合いを詰める。

私も朝比奈も裸でいるので、どこにも掴むところが無い。仕方なく肩の辺りと二の腕の辺り――滑るような柔らかい素肌をがっしりと掴む。朝比奈も私と同じように掴んできた。しかし、朝比奈の手には、どこか力が入っていないようだ。

 

「どうした、本気で来ないと痛い目を見るぞ……?」

 

武士の情けというわけではないが、同期のよしみで忠告をしてやる。このまま何事もなく勝っても良いが、戦意喪失している相手に勝ったところで何のアピールにもならない。もう少し本気で来てもらいたい。

 

「……薊ちゃん」

 

弱々しい声で、朝比奈が言う。

表情を覗き込むと、今にも泣き出しそうであった。

 

「……私、ずっと我慢してるの」

「……何を?」

 

「……おしっこ」

 

その言葉に、一度捕まえた朝比奈を振りほどいた。

対峙して掴み合ってみてわかったが、普通の女子の力よりも圧倒的に弱い。その理由は、おそらく尿を我慢しているせいだろう。力を入れたくても入れられないのだ。尿意によって、昨日はろくに寝れてもいないのかもしれない……。

朝比奈の出方を見ていると、プルプルと震え出した。もう、漏れ出てくる寸前といったところだろうか……。顔色も急に悪くなり始めた。

 

もしも私が投げ飛ばしていたら、その衝撃で漏らしていたことは明らかだ。

それでも良かったのかもしれない。真剣勝負の世界。それを気にしていたら、怪人なんて戦えない。けど……、朝比奈は同期の仲間……。

 

私が攻撃に行くべきか迷っていると、所長から声がかかった。

 

「二人とも『指導』。攻めろ」

 

『指導』が入ってしまった。

柔道の試合で、攻める気が無いと見なされた時に取られる反則行為のようなもの。ずいぶんと早いタイミングでの指導だが、気の短い所長の判定らしい。このまま攻めなければ、両者負けもありうる。

 

「悪いけど、勝たせてもらうから」

 

私は再び朝比奈の懐へ入り、今度は片方の腕を両手で持つ。そして、私自身の身体をその間へと入れる。

 

――背負い投げ。

 

柔道着を着ていようが着ていまいが出来る技。相手の腕が掴めれば後は投げれる。朝比奈には悪いが、漏らしてもらおう。

そう思って力を入れるのだが、朝比奈の身体は持ち上がらなかった。柔らかい感触が私の背中に留まっているのみ。

 

「薊ちゃん、私も頑張るからっ!」

 

そういうと、背負い投げの姿勢から回り込まれて、一緒に倒される。背中はつくまいと耐えることができた。どちらも一本は取れていない状況で、二人は床に身体が付いた状態。ここから仕掛けるとしたら、寝技だろう。

 

寝技に持ち込まれると、危険だ……。

朝比奈の方がリーチも長いし、身長体重もあちらの方が上。どうにか躱さないと……。そう思うのだが、朝比奈は私の身体に絡みついてきて離れない。柔らかな感触が私にまとわりついてくる。

 

「薊ちゃん。こんな状態の私に対して、手加減無しって言ってくれるの嬉しかったよ?」

 

弱気だった朝比奈の声が、どこか裏に狂気を秘めたような暗い雰囲気を帯びだした。

 

「同期が困っていたら、助けてくれてもいいのにさ? 本当に我慢してるんだよ?」

「あ、あぁ……。それは、朝比奈の様子を見ていればわかった。私も一緒の状況だから……」

 

私の言葉に対して、朝比奈はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。

 

「えぇー、そうなんだー? 良いこと聞いちゃったなぁ? それじゃあ、ここを刺激されたら、キツイんじゃない?」

 

朝比奈は、絡みついた足を一度ほどき、私の下腹部を目掛けて踵で蹴りを入れて来た。

 

「うっ……!!?」

「そこが一番きついよねー? わかるよ、その気持ち。我慢してると膀胱壊れちゃうよ? 早く出しちゃいなよ?」

 

今度は、グリグリと踵を下腹部へ当てて圧迫してくる。

 

「くぅ……っ!!?」

「薊ちゃん、もう力入ってないじゃん? 弱点丸わかりだよー。敵に対して、自分の弱点さらけ出さない方がいいよ?」

 

形勢逆転された。

今や、朝比奈の方が有利。

 

私は朝比奈の術中にハマってしまっていたようだ。自分から排尿を我慢してるなんて言うヤツなんていない……。

この養成所へ来たからには、絶対に魔法少女になりたいって思っているはず。その意思が、誰よりも強いはずだ。そんなヤツが、タダでやられるなんてことするないのだ。

 

くそっ……、騙された……。

 

「十秒経過」

 

所長によりカウントされていく。

たしか寝技が決まると、二十秒で技あり、三十秒で一本取られるルールだっただろう。このままだと負けてしまう……。

どうにか逆転しないと……。

 

「もがいたとしても、どうにもならないと思うよ? 薊ちゃんって小さくて可愛いよね。そんな身体じゃ、私を剥がせないよね?」

「ちきしょう……」

 

柔らかい身体が私を縛っていく。相変わらず朝比奈の力は弱々しいのだが、それ以上に私にも力が入らない。下腹部を押し込まれ過ぎて、もう我慢の限界だ……。

 

「漏らして楽になればいいよ? 敗者らしく、無様に散りな? その方が同情も集められるかもよ? 『お漏らしの薊ちゃん』?」

「うぅ……限界……」

 

もう限界だ。

負ける前に漏れそう……。

 

同期も上級生もいる中で。

私に注目が集まる中で、漏れてしまう……。

そして無様に負ける……。

 

たとえ漏れてしまったとしても、負けたくない……。

 

 

 

……そうか。

…………漏らせばいいのか。

 

 

私は我慢していた下腹部の力を緩め、代わりに足の方へと力を入れる。

勢い良く音をたてて漏れ出す液体。

 

液体は綺麗に流れて、武道場の畳へ伝わっていく。一日以上溜まっていたからだろう。畳の色とは明らかに違う、黄金色に輝く液体が畳を染めていく。

 

「ちょっ!? 本当に漏らしたの!? バカじゃないの!?」

 

人の尿を腕で受け止めるなんてこと、大抵の女子はしたこと無いだろう。尿が腕に出されたことで、朝比奈の締め付ける力が一瞬緩んだ。その隙を見逃さなかった。

私は力の入るようになった下半身を軸にして、クルリと朝比奈の上へと身体を入れる。その間、私の尿は垂れ流され続けている。

 

「バカバカっ!? なんで私に尿かけてんのよっ!!?」

「この試合、ルール無用だったよね? 対戦相手に尿をかけちゃいけないなんてルールあったっけ?」

 

「そんなの、人の常識としてダメでしょ。バカなのっ!? 早く止めてっ!!」

「いや、そんなの止まるわけなくない? はぁー……、朱里の言う通り、ちょっと気持ちいかも。人におしっこかけるって?」

 

身体を密着させ、朝比奈が動けないように身体を固定する。絞め技とまではできないが、動けないように。密着しているので、私自身にも自分の尿がかかって広がっていくのがわかる。とても暖かい。

 

「こんなことして、タダで済むと思わないでよ……?」

「何を言っても、もう遅い。このまま、私が勝つ」

 

「私だって、やろうと思えば、出来るから……!」

 

朝比奈はそういうと、ゆっくりと力を抜いていく。自らも、下腹部から温かい液体を垂れ流し出した。

自分で言っておきながら、今にも泣き出しそうな顔をしている。人前で尿を出すのは、人間の尊厳に関わる部分を壊す行為に当たるかもしれない。周りの生徒に見つめられている勝負の中で、尿を垂れ流す。これがどれほど精神に来るものか……。

朝比奈は、アイドル顔負けの顔を涙で濡らしてぐちょぐちょになる。上からも下からも垂れ流しながら、嗚咽交じりに言う。

 

「わ、わたしだって……、魔法少女になりたいもん……!」

 

しかし、決断が遅かった。

二十秒を超えたあたりで出て来た尿は、私のそれと混ざり合うには勢いが足りなかった。尿が朝比奈の身体から出切らないのであれば、力を入れられない状況に変わりはなく、朝比奈は三十秒間私の尿とともに固められて、一本となった。

 

「勝者、桐生薊」

 

所長による勝者宣言に、片手を上げて答える。

 

 

「ふぅ、勝てて良かったよ。すっきりしたよ」

 

勝者として振舞うのだか、朝比奈の方は精神的にもすごいダメージが大きいらしい。泣きじゃくっている。

 

「……うぅ、うっ、おぇっ……。えほっ……えほ……」

 

朝比奈を落ち着かせようと、しばらく私は朝比奈と身体をくっつけ合う。

完全に脱力した柔らかな部分へ触れる。

 

「大丈夫、私の尿と混ざれば朝比奈が漏らしたってわからないだろうから。隠しておいてあげるから、私に抱きつきな?」

「うぅ……、うぐっ。う、うん……」

 

本来の実力を出し切れなくて不本意だったであろう仲間、せめて心が折れないように。

朝比奈の尿が出てくる付近を、私の同じ部位で塞ぐ。これで、どちらが出しているか分からなくなるだろう。

 

朝比奈の暖くて清らかな液体が私の大事な部分に当たるけれども、それも受け入れてやった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。