次世代魔法少女養成所   作:匿名

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第6話 郊外学習

「朝比奈は、大丈夫そうか?」

 

柔道の実践訓練があった夜、私は比奈の部屋へとやってきた。

寮は二人部屋になっており、朝比奈と一緒の部屋にいる香坂日菜子が出迎えてくれたので、一礼をする。

 

「うす。薫子は平気そうだよ。呼んでこようか?」

「あぁ、お願いしたい」

 

そんな会話をしていると、奥から朝比奈が出てきた。

 

「お疲れ様、薊ちゃん。私は大丈夫だよ」

 

安らかな顔で答えてくる朝比奈。

傷心しているかと思いきや、意外と平気そうに笑みを浮かべた。

 

「そうか、それなら良かった……」

「あの後、私たちだけじゃなくて、みんなも漏らしてたから、気にならなくなったしね」

 

「確かに。そうかもしれないな」

 

柔道の試合は失禁してしまうという、精神的な辱めを受ける訓練であったのだが、私たちが試合をした後にも同じ対戦が行われた。

私たちの戦いを参考にしてなのか、度々、膀胱を攻める攻撃が行われていた。どうやっても勝ちたいという気持ちの表れだろう。その度に、武道場に特有の匂いが立ち込めていた。あの訓練を受けた者たちからすれば、もはや見慣れた光景となっただろう――それは、匂いも含めて。

 

最終的には、相手に弱点を晒さないという意思の表れで、試合開始と同時に放尿するものもあらわれた。むしろ、相手に向けて放つことで戦意喪失を測ろうとするものもいた。そうなれば、いかに相手に尿を掛けれるのかを目論むヤツも出てきたり、文字通り泥仕合と化している試合もあった。

 

 

「多分、武道場はしばらく封鎖だよな」

「そうだよね。あんなにみんなに汚されちゃったらね」

 

世間話をそこそこにし、私は本来の目的を伝えることにした。

 

「訓練とはいえ、その……、にょ、尿を浴びせてしまったこと、悪かった……」

 

試合が終わればノーサイド。敵味方関係なくお互いに労わるのが仲間というもの。私は朝比奈に対して謝るためにやってきたのだ。

この養成所を無事に卒業出来れば、同期として魔法少女で活躍するわけだ。信頼関係というものを持っておきたかった。

私が手を差し出して握手を求めると、朝比奈はその手を払って抱きついてきた。

 

「全然いいよ。むしろ、またして欲しいかも……?」

 

返された言葉に驚いて、朝比奈の身体を離す。

朝比奈は、上目遣いで頬を赤らめてこちらを向いてきた。

 

「癖になっちゃった、かもだよ……?」

 

朝比奈は私の身体を再び抱き寄せると、腕を絡ませて来る。柔らかな膨らみが、私のものと当たって形を変えながら沈み込む。

顔を私に寄せてきて、頬と頬が触れる。耳の近くで、小声で囁く。

 

「私、初めてだったから。ちょっと嬉しかったかも……?」

「そ……、そうだな……」

 

今度は急に突き放さず――抵抗感を示さないように、ゆっくりと身体を引き離す。

こういう同性を集めた全寮制の場所では、性別を超えた愛というものも生まれると聞く。魔法少女を目指すものは、特にそっちの気が多いとも聞くけれども、朝比奈はそれに目覚めてしまったのかもしれない。

武道場に立ち込めていた嫌な匂いのほかに、女性特有の匂いを漂わせているようだった。

 

「薫子、おっぱじめるんだったら言ってね。私も混ざるから」

 

香坂日菜子が少し怒り気味に言う。裸だけれども、眼鏡だけは掛けることを許可されている眼鏡っ子。朝比奈の後ろから睨むように私を見てくる。

 

「後から来たくせに、私の薫子取るんだから……。やるなら、私も混ぜてもらうからね? 今までで一番喘がしてやるから」

 

そっち系の話になると、香坂は私に敵意を向けてきた。私にそういう気は全くないというのに……。

どうやら、同じ部屋同士の絆というものも生まれているらしい。香坂は言葉を続ける。

 

「けど、お風呂入れなくなったから、あんまり濡らさないこと。混ざりあった匂いは酷いことになるから」

「そうだな……」

「はーい」

 

香坂が心配している通り、訓練で身体についた匂いはそのままである。

柔道訓練が行われたあと、所長によりルールが追加された。私たちは、身体を洗うことまで禁止されてしまったのだ。

これはやはり、長期ゲリラ戦で戦うことを想定した訓練だと思って間違いないだろう。

 

「とりあえず元気そうで安心した。私は自分の部屋に戻るよ」

「えー、せっかく来たんだから、少し見ていってよ。私、出せるようになったんだよ」

 

「……お、おう」

 

朝比奈はペットボトルを持ってくると、少し膝をついてしゃがみ、低い位置から私のことを見上げる姿勢となる。緊張しているのか、数回瞬きをする。

 

「……出すよ?」

 

朝比奈は出来るようになったと言っておきながらも、恥ずかしそうに眉を下げる。今にも泣き出しそうな顔をしながら、下腹部へ力を入れている。

出るか出ないかの境目を乗り越えると、安らかな恍惚を帯びた表情になった。

 

「……気持ちいいのコレ……。病みつきだよ……ああぁー…………。薊ちゃん……」

 

じょろじょろと音を立てて排出される尿。

私と同じ部屋の朱里と同じようなことしやがって……。労わってやろうかと思ったが、全然大丈夫だろう。もはや、ここにいる意味はないな……。

 

「薊ちゃんも出して……? 出してるとこ見たいな……?」

「私は絶対に出さないから!」

 

訓練の時に一度出したので、まだ我慢できる。

これ以上の長居は危険だと判断して、帰ろうとすると領内放送が流れた。

 

「今より、郊外訓練を始める。すぐに、裏門へ集まるように」

 

朝比奈は残念そうに私を見上げていた。

 

 

 

 

裏門へ着くと、ほとんどの生徒が集まっていた。所長も仁王立ちして、生徒たちを待っているようであった。

 

もう夜遅い時間だというのに、これから郊外訓練が始まるらしい。気合いの入った者の面構えが並ぶ。

 

郊外訓練は文字通り、養成所の外でやる訓練だ。その認識は持っているが、今までの禁則事項を守った姿――裸姿で、全員裏口へとやってきていた。

 

「郊外訓練は、今から言われるものを買ってくること出来なかったものは、新たなペナルティを考えておく」

 

所長は毎回、言葉が少ない。

今度の訓練に対する疑問が多く湧いてくる。それは、他の生徒たちもそうであった。

 

「えっと、裸で買い物をするってこと……?」

「こんな姿で街を彷徨いていたら、警察に捕まっちゃうんだけど……」

「そもそも裸だとしたら、お金を持っていけないじゃない……?」

 

所長には生徒たちの疑問の声は全く届いていないらしく、訓練を始める宣言をする。

 

「それでは、今より開始する」

 

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