次世代魔法少女養成所   作:匿名

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第7話 警察

見習い魔法少女たち全員、養成所を追い出されてしまった。

 

所長は郊外訓練と言っていたけど、自分は養成所の中へと戻ってしまう。裸の私たちだけが外でポツンと立たされている。何を目的とした訓練なのかもわからない。言われた通り、ただ買い物をして帰ってくればいいということなのだろうか?

その訓練の意図がやはりわからない。難易度としても、そんなに高くない気もするけれども……。

相変わらず裸というところが、ネックではあるが……。

 

 

「まぁ、そう難しく考えずに、ちゃちゃっとクリアしちゃお!」

 

明るく声をかけてくれたのは、朱里だ。

こういう時に前向きに振舞ってくれる仲間というのは心強いかもしれない。

 

裏口から出ると路地裏の道が続いている。ただでさえ人通りが少ない道であり、遅い時間帯とあれば誰も通らないだろう。とりあえず落ち着いて、次の行動を考えよう。

 

「まずは服でも着ないことには、お店には入れないよな……」

 

 

――ウゥーーー!

 

路地裏にサイレンが鳴り響いた。パトライトを赤く光らせたパトカーが、近くの大通りに止まったようだった。事故か何かでも起こったのだろうか……?

そう思っていると、パトカーから降りたであろう警察官の足音が近づいてくる。

 

数人の警察官が路地裏に入って来て、懐中電灯でこちらを照らしてくる。

 

「いたぞっ!!」

 

その掛け声がかかると、さらに多くの警察官が路地裏へと入ってきた。

 

「先ほど通報が入った。服を着ていない『怪人』の集団がいると……。通報者は、命からがら逃げだせたらしいが、危ないから対処して欲しいと……。それは、貴様らかっ!?」

 

そういう間にも、大勢の警官が押し寄せてきていた。

 

「ど、どういうことだ……?」

「通報が入ったっていっても、それは私たちのことじゃ……」

 

先頭の警察官がこちらに近寄りながら答える。

 

「通報があった住所はココ。それに、服を着ていない集団なんて、貴様らくらいしかいないだろ……?」

 

後ろにいた警察官もじりじりと、陣形を広げていく。私たちを一人残らず捉える気だろう。

ことの事態に慌てる香坂。

 

「わ、私たちが路地に出たのはついさっきだし、怪人なんかじゃないのに……、通報? なにかの間違いなんじゃ……?」

「まさかとは思うが……」

 

 

考えられるのは一つだけだ。私たちの行動を知っている私たち以外の者――つまり、所長が通報したに違いない。

目的はなんだ……。これが郊外訓練……?

 

警察官たちは陣形を整え終わっていた。

 

「抵抗するな、怪人。元は人間だったお前らにも、法に処される権利はある。抵抗さえしなければ、多少の温情もあるだろう。しかし、抵抗するのであれば、こちらも実力行使に出る」

 

警察官は腰に着いた警棒を取り、一振りすると長さ三十センチほどに伸びた。ゆっくりとこちらへ近づいてくる。

 

「裸な状態で、あんな棒で殴られたら……」

「相当痛いだろうね……」

 

集団に殴られてしまえば、痛さで逃げられないだろう。どうにか先に逃げる道を確保しておかないと。

そう考えていると、香坂が警察官に両手を上げて向かっていく。

 

 

「わ、私たちは怪人なんかじゃなくって、魔法少女見習いなんです……。これは訓練で…………」

「魔法少女……? 嘘を付くのも怪人の常套手段。魔法少女に擬態しようとしていたんだろう……」

 

じりじり寄ってきた警察官の一人が、こちらに飛びかかってきた。振り下ろされる警棒。間一髪で交わす。

 

「香坂、話しても通じない! とりあえず、逃げよう!」

 

私の掛け声とともに、その場にいた生徒は蜘蛛の子が散るように、一斉に走り出した。

 

 

 

 

数人追ってきた警察官をどうにか撒く。路地裏の小道を走り抜けると、大通りへと出る。

 

通行人からは奇異な目を向けられた。スマホで写真を撮る輩までいる。

この際、そんなことは気にしていられない。警察から逃げないと、怪人として捕まった場合、どんな言い逃れも出来ないと聞く。変身能力を有する怪人も見つかっている関係上、怪人と疑われる者は変身が解けるまで拷問を受ける。ただ、変身が解かれないのであれば、そのままの状態でも処分されてしまう。疑わしき脅威は排除されてしまうのだ。

だから、警察に捕まってしまえば、本当に終わってしまう……。

 

 

新宿の一等地にデカデカ戸建てられたビル、それが次世代魔法少女養成所。

大通りにはパトカーが何台も止まっていた。大勢の警察官も待機している。

裸でいたら、どうやったって目立つし、警察に見つかれば「先ほどの怪人だ」と特定されて捕まってしまう。周囲の人の目を避けるように、別の路地裏へと身を隠す。

いつもは明るい朱里も、不安そうな顔をしている。

 

「どうにかしないと……。いきなり追い詰められてるぞ……」

 

考えなければ……。

どうにか警察にバレないようにしないと……。

 

とりあえず服さえ着られれば、見つからないで済むだろう……。けど、服なんて……。

どうやっても犯罪に手を染めるしか服を手に入れる方法は無いかもしれない。窃盗、強盗……。けど、それをしてしまえば、ただでさえ怪人だと容疑を掛けられているのに、怪人確定として即処分されてしまうことだろう。

 

「どうやったって、服なんて手に入らねぇぞ……。ちきしょうっ!!」

 

頭を抱えていると、朱里が前からギュッと抱き付いてきた。柔らかな膨らみをぼよんと揺らす。

 

 

「薊ちゃん、私良いこと考えついちゃったよ!」

 

明るい声に戻る朱里。

 

 

「服を手に入れようっていう発想に固執し過ぎちゃってたかもだよ。服は着なくても、警察にバレなければ良いんだよ!」

「裸でいたらバレるだろ。この街に服を着てないヤツなんていないし!」

 

「いるんだよ、服を着てない人。そんな人たちが集まるところ。ここは新宿だよ?」

「……?」

 

 

「夜の街に行けば、きっとバレないよ。木を隠すなら森の中だよ。あそこは、日常茶飯事で裸の少女がうろついてるからさ」

「い、いや、どんな偏見だよ。そんなことがあったら、警察だって捕まえるだろ……」

 

「日常茶飯事だからね。警察は来ないんだよ? あそこだけは、特別区なの」

「そんなこと……。偏見まみれの憶測で動いても危険なだけ……」

 

「ううん、実際に見てたもん。私があそこで働いてたころは、日常茶飯事だったもん!」

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