呪力が“全く無い”代わりに超人的な肉体能力を持った天与呪縛のフィジカルギフテッド、禪院甚爾。
「禪院家にあらずんば呪術師にあらず、呪術師にあらずんば人にあらず」の家訓を掲げる禪院家に生まれ落ちたその天与呪縛の男は、言い表すも難しい仕打ちを日々受けさせられていた。
仕打ちに耐えられなくなった男は禪院家を荒らしに荒らし、出奔していった。
だが、その男に今悩みがあった。それは…
「金がねぇな…」
そう。金がなかった。禪院を出る際金も取ってきたのだがその金も尽きそうになっている。30000円程しかない。
「まだ未成年だし働けるかも怪しいしな、そもそも戸籍あるか俺?流石にあるか。」
「しょうがねえ、働くか…?いや、」
でも出来る限り働きたくない。そんな心が働いてしまった禪院甚爾が取った行動は。
「ギャンブルすっか。」
「ギャンブルで有名どころつったら競馬とかか?」
生憎禪院甚爾にそのような知識は持ち合わせていない。
大体の情報は新聞見りゃあるだろ。新聞を買った。
「お、あったあった」
見つけたのは昨日の競馬のレース結果だ。
競馬場は複数あるため場所が書いてある。
「ここの近くだと京都、園田、姫路か?」
京都がJRA開催、園田、姫路が地方開催らしい。
「中央が主催してるとルールも厳しそうだしな、見つかって補導とかされたら堪ったもんじゃねえ。地方行くか。」
選んだのは園田だった。
電車に乗り継ぎ目的地に向かっていく。
「ここか。」
出入りする際のゲートらしきものに通って敷地に入る。入っても特に何も言われなかった。本当にここの警備大丈夫か?
数少ない人足の波に乗って建物に入った。意外と広い。
来たはいいものの何をすればいいかなど全くわからない。
こう言う時は大体オッサンのやってる事真似りゃどうにかなるだろ。マークシートに鉛筆で印を付けるらしい。
「園田、第3レース、あ?式別ってなんだ?」
「ワイドとか知らねえぞ俺。三連複と三連単の違いってなんだ?」
とりあえず俺でもわかる単勝にした。1着当てればいいんだろ1着。どうやってそれを見極めるのかは知らね。適当に5番にした。
「あー、金額どのぐらいだ?300円でいいか。」
書き終わったため券売機に向かう。
マークシートを入れ書いた金額分を券売機に入れる。馬券が発券された。マジで買えたぞ。本当にこれでいいのか園田競馬?あの警備のオッサンこっち見たろ。
まあ話しかけられないことに損はない。ありがたく利用させていただく。
レース出走まで残り5分も無くなったのでレースを見るため外に出る。
「ここでいいか」
ゴール板近くの椅子に腰掛け、出走を待つ。
『園田競馬第3R、○○さん誕生日おめでとう記念、スタートしました!』
始まったらしい。詳しくもないので位置が良いのか悪いのかわからないので反応に困る。
「5番どこだよ」
『先頭3番マイレディ、その後ろ6番レッツドリーム、中団固まって_______』
『さあ直線!先頭現在2番オーマイゴット、2馬身離れて5番ライオット!ライオット伸びる!オーマイゴット厳しいか!外から6番レッツドリーム!内から5番ライオット!1馬身離れてゴール!!』
多分勝った。5番1着だしな。くっそもう少し賭けるべきだった。これ何円になるんだ?
レース結果が確定した。払い戻しに行く。
「結構高かったんだなあいつ」
人気が低かったのか単勝倍率が17倍程だった。300円が5200円ぐらいになった。競馬って結構稼げるのか?
「もう一回やるか。」−600円
「次ならいける。」−400円
「まだ大丈夫だろ。」+3400円
「当たれば結構稼げるな」−1200円
気がつけば最終レースまでやっていた。
当たっては負けての繰り返しすぎる。プラマイ0になりかけて焦った。最後に7万ぐらい勝てて助かった。これで2週間は持つだろ。
禪院甚爾の所持金:102,300円