強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
EP.00 It's a good day to die
……轟ッッ!!
赤茶けた荒野に咲いていた一輪の花が、そよ風を受けて揺れていた所を突如吹き飛ばされた。
『イーグルス、セカンドラインを突破。部隊損耗なし、ケースA、続行』
花を踏み躙った4つの「それ」…灰色の巨大な人型兵器達は、土煙を上げつつ轟音と共に荒野を駆け抜けていく。
『重砲撃型より攻撃、回避行動』
蒼い光をその双眸に灯した人型達へ向け砲撃が次々と飛来するが、彼等は微塵も臆する様子を見せず、回避行動を行いつつも進撃を継続する。
『ヘルハウンドよりイーグルス。作戦時間、残り30分』
低い男の声が彼等の耳に入ると同時に、漆黒の戦闘機2機が上空を通過。
そしてそれを導とするが如く、人型達は加速を続けるのだった。
人類が宇宙進出を果たして、数千年。
かつての科学者達が思い描いていた地球外生命体との邂逅は、破滅的な形で果たされる事となった。
-人類を排除する-
脳を侵蝕されたある兵士が全世界に言い放つと同時に、人類に襲い掛かってきたのは、〈
突如として始まった彼等の侵攻に人類は大混乱を起こし、各地で次々と敗戦を重ねていく。…だが、何時迄もやられている人類では無かった。
反撃の軸となったのは、Silent Legionとの戦争に於いて発生した技術爆発と、種の生存の為には全てを犠牲にすると決めた人類が生み出したモノ。
人権という観点から見たら最悪、戦術的に見たら最凶の兵器にして、極めて高い汎用性と拡張性、そして圧倒的な戦闘力を誇る鋼鉄の兵士。
〈アイアンソルジャー〉である。
量子化技術を始めとする最新の科学を用いて、一部器官を除いた全てを
無論荒野を疾駆している灰色の人型達も、アイアンソルジャーの一種。
TYPE-
単機で戦域制圧すら成し遂げる、暴力の化身だ。
◇
—————光条が飛来する。
爆発が彼等の眼前で起こり、1機のアイアンソルジャーが姿勢を崩して転倒。続け様に無数のミサイルが叩き込まれ、巨大な火柱が立ち昇った。
…しかし、数瞬の間を置いて火柱から人型が飛び出す。
『イーグル3、被弾。左腕損壊。作戦続行可能』
片腕を失った人型は、されど姿勢を崩すこと無く、僚機に追い付くため背部に備えた大型スラスターを起動。蒼白い炎を棚引かせながら急加速を行い、僅か十数秒で再び合流を果たす。
この間、他の人型は彼に一瞥もくれることは無かった。
『イーグルス、サードラインを突破。目標までの距離、1500』
言葉が響くと同時に、跳躍。
高さ数十mにもなる大ジャンプを繰り出した人型達は、展開されていた長大な防壁を見下ろしつつ、その先に広がる敵陣地へ肩に備えたビーム砲を撃ち放った。
放たれた4本の光条が陣地に蠢いていた蜘蛛や四脚の形をした鈍色のSilent Legion達を貫き、爆散させる。
射撃を続けながら陣地に降り立つと、戦闘の邪魔になる大型武装を量子還元して亜空間ハンガーへ送り込む。そしてエナジーブレードや高周波ブレード等、各々の近接武装を手に取り—————
『作戦第2段階。ケースB、開始』
蒼い軌跡が閃った。
1機は飛び掛かってきたSilent Legion、その機動襲撃型をバターの様に両断。1機は、機関砲を以て攻撃を仕掛けてきた先遣型にビームの雨を降らせる。
『現反応数328、増加中。作戦時間、残り25分』
斬撃、砲撃、穿撃…様々に繰り出される暴力が鈍色の魂を刈り取って行き、鋼の骸がうず高く積み上がっていく。
…しかし、どれだけ彼等が踏み砕こうと鈍色の波はまるで収まる気配を見せず、タイムリミットは刻一刻と迫っていた。
『ヘルハウンドよりイーグルス。目標ミサイル発射シークエンス準最終段階並びに、作戦時間、残り10分』
『作戦第3段階。ケースG。作戦遂行を最優先』
その言葉に弾かれたように、灰色の人型達はSilent Legionへの攻撃を停止。一直線に陣地の奥———ミサイルプラットフォームへと進撃を開始する。
全エネルギーを推進力に回す事による、一切の防御及び迎撃を行わない突貫…途端に、灰色の装甲に傷が走り始めた。
彼等の目指す先、地響きが次第に強まっていき、それに伴って作戦残り時間を示す数字も減っていく。
『目標ミサイル発射シークエンス最終段階。作戦時間、残り5分』
通信機から静かに響く男の声。されど、勝利の女神は未だ微笑まない。
「Gyuaaaaaaa!!!!」
咆哮と同時。宙から彼等の前に降り立ったのは、鈍色の巨大な龍。
『警告。Silent Legion統合作戦型出現。個体識別〈リントヴルム〉』
逆噴射により急停止を行った灰色の人型達は再び武装を顕現させ、攻撃を開始した。
だが、
故に、誰かが足止めをし、誰かがミサイル破壊を成し遂げる必要があった。
『作戦内容更新。イーグル1、ミサイル破壊。イーグル2以下、リントヴルム撃破』
途端に交戦状態から抜け出す1機の人型。
肩に〈Ⅰの文字を咥えた鷲〉のエンブレムを持つイーグル1は、ヘルハウンドの指示に従い数瞬前まで交戦していたリントヴルム、そしてイーグル2らを背中に駆け出した。
『警告。リントヴルム口腔部高エネルギー反応』
無論リントヴルムがイーグル1を見逃す筈も無く、巨大な口腔部を紅く輝かせイーグル1の背中へ向けた。だが、莫大なエネルギーが秘められたその行動は、群がる鷲により阻害され、放たれた紅い光条は空を切り裂くのみに終わる。
「Guuoaaaaaa!!!!」
怒りか、焦りか。リントヴルムは咆哮をあげ、尾部で2機の人型を薙ぎ払い、自身の顎を殴打した人型を踏み付ける。金属が軋む音と共にその圧力は上がって行き、やがて踏み付けられた人型は蒼い火花を散らして沈黙した。反撃のビーム砲が、リントヴルムの片眼を潰した事と引き換えに。
『イーグル2、戦闘不能』
脚元の敵が完全に動かなくなった事を確認したリントヴルムは、先程吹き飛ばした2機の人型へ視線を向ける。だが彼等は既に、
『イーグル3、4。外装パージ。身体性能〈
直後、リントヴルムの背中を巨大な二つの衝撃が襲った。
脚部駆動部は衝撃に耐えられず折れてしまい、鈍色の龍は地に伏せる。そしてそこへ繰り出される、無数の打撃。
人間大の人型から放たれているとは思えない程強力な打撃は、リントヴルムの装甲をひしゃげさせ、内部構造すらも破壊せしめた。
…この世界において殴り合いで彼等に勝てる存在は、
『リントヴルム。動力コア沈黙』
数分後、戦場には無残に破壊されたリントヴルムの骸と、囲うように積み上げられたSilent Legionの残骸。そして、大破した2体の人型が佇んでいた。
両腕を喪失したイーグル3。左上半身を喪失したイーグル4。
彼等はボロボロになりながらも、視線を元々の作戦目標へ向けた————爆発。
視線の先。旧時代に存在した核兵器を彷彿とさせるキノコ雲が立ち昇り、衝撃波と熱波が彼等を襲う。
『………………イーグル1、反応ロスト。ミッションコンプリート。RTB』
淡々とした男の声が告げると同時に、骸の下から
それをイーグル4が右脇に抱え、3体のアイアンソルジャーは戦場から離脱するのだった。
◇
爆発が起こる数分前。ミサイルプラットフォームへ突入したイーグル1は外装を量子還元し、狭いプラットフォーム内部を強大な膂力で破壊しながら突き進んでいた。
閉じられた隔壁を破り、彼が到達したのは広い空間。その中央では大型のミサイルが発射を待っていて———守る様に蠢くのは、幾本もの機械腕を持つSilent Legion。
-警告 Silent Legion統合作戦型出現 個体識別〈クラーケン〉-
ヘルハウンドからの通信が届かないプラットフォーム内部では、彼の意識内部に備えられた補助知能システムがその任を担う。
-勝率計算完了 現状況 現兵装における予想勝率 損傷無し3% レベルⅠ損傷24% レベルⅡ損傷37% レベルⅢ損傷32% 敗北4%-
-動力コア出力上昇 上限値70に設定 各駆動部活性化-
-
地面が、砕ける。
特殊構造材で構成された床を全力で踏み込み、イーグル1はクラーケンへと突貫。反応して襲い掛かってくる機械腕を躱しながら、握り締めたその拳を
…攻撃を食らったクラーケンが仰け反ると共に、紅く輝く鱗片が宙を舞う。
-着弾装甲表面 対ビーム防護膜剥離確認-
-左前腕部
-使用兵装 C.I.S ガルーダ-
途端、イーグル1の左前腕が展開され、蒼白い輝きと共にスパークを始める。これを明らかに危険な代物だと判断したクラーケンは、隠匿していた機械腕も繰り出し攻撃を開始する。
-C.I.S ガルーダ エネルギー充填率60%で発動 現充填率42%-
-敵攻撃行動確認 通常戦闘継続-
左腕が使用不能である影響で、クラーケンの攻撃を次々と被弾するイーグル1。だが持ち前の強靭さと戦闘力で互角の戦いを繰り広げる。
-作戦時間 残り1分-
イーグル1の膝蹴りが機械腕を蹴り千切る。だがその隙にクラーケンが紅いビームを他の機械腕先端から撃ち放ち、対するイーグル1は腕を交差させて防ぐも、視界外…
咄嗟に体を捻って攻撃を受け流そうとするイーグル1だが…金属音が鳴り響き、彼の右腕に著しい損傷が発生した。
-右腕損壊 戦闘能力低下 パージ後 量子修復開始-
機械音と共に肩口から右腕が離れ、同時に装甲の隙間から漏れ出始めた蒼白い粒子が破損した右腕の
集まった粒子は徐々にではあるが腕の形に纏まっていき、側から見ても腕の再生と同等の事を行っているのが見て取れた。
「Cyuaaaaaa!!!」
再生が終わる前に仕留めなければ自分が不利になると察したためか、甲高い咆哮をあげ、再び機械腕を繰り出すクラーケン。しかし…
-C.I.S ガルーダ エネルギー充填完了 インパクトコア 全力稼働 仮想バレル状態安定-
-C.I.S ガルーダ 射撃準備完了-
システムが告げた瞬間、即座にクラーケンの眼前へ移動するイーグル1。
クラーケンの認識を超えた速さで懐に潜り込むと、蒼白く放電する左腕を突き立て—————
-インパクト ナウ-
0距離で放たれた指向性を持つエネルギー波は、クラーケンの本体装甲を容易に貫徹し、内部にある動力炉を破壊。そのまま胴体を貫通すると、背面からジェット噴射の様にエネルギーの奔流として噴き出した。
-動力炉の停止を確認 クラーケン撃破-
力無く地面へ投げ出される機械腕を退け、視線をミサイルへ向けるイーグル1。
-作戦第4段階 ケースV 作戦時間 残り30秒-
既にエンジンに火は入っており、一刻の猶予も無い。
イーグル1がそう判断するのと、走り出すのは同時だった。
-警告 ミサイル破壊と同時に当機に甚大な損傷の恐れあり 遠距離からの射撃破壊を推奨-
システムが発する警告を無視し、イーグル1は跳躍する。振動するミサイルの側面に張り付くと、胸部に格納していた融合弾頭を露出。蒼く輝くそれは、内部に莫大なエネルギーを擁している事が容易に見て取れた。
-自爆プロトコルの申請を確認———却下 当機の戦略的価値を考慮し…-
尚もがなりたてるシステムを強制的にオフラインにするイーグル1。
同時に彼の意識内部に響く音声が切り替わり、より無機質な声が任を引き継いだ。
—…自爆プロトコル実行 カウント10、9、8、7…—
融合弾の輝きが急速に強まっていき、膨大なエネルギーが出口を求めて内部で暴れ狂う。
また発射間際のミサイルが身体を微細に揺らす中、イーグル1は静かに口を開いた。
—…3、2、 自…—
「
——————閃光。
自身のカラダが消え去って行く感覚を認識しながら、イーグル1は
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