強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

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EP.10 顕れた災厄

 

 

 

「S級魔獣…!?」

 

「…すまない、避難誘導を頼んだ」

 

「えっ、ちょ!?」

 

困惑の声を背に受けながら俺は展望台から飛び降り、そして強化外骨格を身に纏う。

 

-メインシステム 戦闘モードに移行 身体性能最適化- 

 

 

本当にS級魔獣なら、この近辺にいる魔法少女では力不足だ。

 

日本支部所属のS級魔法少女は全て新潟戦線、もしくは〈東京要塞〉に居て、少なく見積もっても到着まで数十分はかかる。またそもそも救援に来れるか怪しい事も併せて予測しなければならない。

 

-大型エネルギー反応探知 方位2-3-3 距離400-

 

やはり1人くらい首都に配置すべきだったとは思うが、タダでさえ数が少ない上、新潟戦線にてS級魔獣複数体の攻撃が現在進行形で行われており、余裕が無かったのだろう。

 

それにしても、S級魔法少女が()()()()()()()()タイミングで首都にS級魔獣が出現するとは…人為的な可能性も視野に入れるべきか。

 

-落下まで、20、10…-

 

轟音と共に地表に着地する。首都の景観を出来れば荒らしたくはなかったが、今はそんな場合では無い。

 

視線の先、矢場町方向から放たれる紫の光。向こうに魔獣が居るのは間違い無いだろう。

 

腰を落とし、脚部にエネルギーを充填する。

 

…その時ふと、俺を立っている場所に影が下りた。見上げた先には、空を舞う()()()()()()()

 

(ッ————!!)

 

-身体性能 殲滅(アナイアレイト)から航空戦闘(スカイフォース)へ-

 

スラスター全開。刹那の判断で俺は空へ打ち上がり、逃げ惑う市民へ落下軌道をとる残骸の破壊を試みる。

 

-構造分析完了-

 

下手に破壊すれば破片が撒き散らされ被害範囲の拡大を招く恐れがあるが、強靭な鉄骨部分に上方から適切なエネルギーを与えられれば、そのまま真下に叩き落とせるはずだ。

 

-目標距離50-

 

もはや一刻の猶予もない。幸い、落下予定ポイントに人影は確認出来ず、その下にある地下鉄も地盤強度は十分だ。余計な人死は避けられるだろう。

 

各部から展開した小型ウイングとスラスターで上から接近、急制動と共に体の向きを変え、再度のスラスター全開。

 

慣性制御に推進力を併せ、システムが指定した箇所に踵を落とした。

 

 

-インパクト-

 

 

瞬間、金属が軋む甲高い音が大音量で鳴り響き、遅れる事数秒…高架が地面に衝突したことによる轟音と衝撃が周囲を包み込んだ。久屋大通りは無残な姿と化したが、まぁ良い。

 

街や建物は幾らでも復旧出来るが、人間の命はそうはいかない。俺のような存在ならいざ知らず、彼らは普通の人間なのだから。

 

「先ずは…」

 

手近な建物の屋上に降り、高架が飛来した方向…矢場町方面を改めてセンサーで走査する。

 

あれだけの重量物を高度100m近く投擲出来るパワーだ。膂力で言えば俺と同等、或いは上回られる可能性がある。S級魔獣である可能性は、かなり高い。

 

-高エネルギー反応 移動中-

 

視界に映る矢場町方面からは黒煙が上がり、相変わらず紫の光が放出されている

 

そして濛々と立ち昇る煙の中、一瞬見えた9つに分かれた首。

 

「っ、あれは…」

 

-敵魔獣捕捉 各種データ参照-

 

 

『イナズマちゃん!聞こえる!?今どこに居るの!?』

 

む、八雲スズと通信が繋がったか。丁度良い、今の内に情報を伝えなければ。

 

「八雲スズ、他2人と協力して市民の護衛をしろ、敵は————」

 

 

閃光。

 

 

咄嗟に俺が回避すると同時、紫の光条が一瞬前まで立っていたビルを破壊した。凄まじいエネルギー量だ…直撃すれば俺の装甲も保たないだろう。

 

「Gyurkkkkkkkkk…」

 

黒煙の中から奇妙な声が響く。そしてゆったりとした、されど威圧的な動作で姿を表したのは、全身が黒い鱗に覆われた9つ首の巨大な蛇。全長は50mと言ったところだろうか。

 

また体内にはミノタウルスとは比べ物にならない程のエネルギーを秘めており、正直な所、システムの解析を待たずして俺にはその正体の見当がついていた。

 

-目標識別 最高脅威度魔獣 ヒュドラ-

 

(やはりか)

 

まさかこんな所、こんな時に遭遇するとは思ってもいなかった。立てていた遭遇予想では、新潟戦線、或いは魔獣支配領域に深部探査に行く際に遭遇する可能性がある程度だったんだが…

 

-警告 周囲半径500m 多数の敵影出現-

 

「何?」

 

突然、視界右上に存在する円形のマップ上に、敵を示す赤い光点が多数出力された。同時に聴覚センサーが魔獣の唸り声らしきものを捉え、新たな敵が現れた事が確定する。

 

(何が…いや、これはヒュドラから発せられる高濃度魔力によって出現した魔獣達か。前例のデータを見た覚えがある。となると…)

 

『ねぇ大丈夫!?アリスとハルカで救援に…』

 

「八雲スズ、落ち着いて聞け。現れたS級魔獣はヒュドラだ」

 

『…え?』

 

「また奴の放つ魔力を糧に他の低級魔獣が多数出現している。恐らく市民の生命反応に惹かれてそちらに向かうだろう。他の2名と協力して市民の護衛を頼んだ」

 

『わ、分かった。え、でもイナズマちゃんは…!?』

 

「俺はヒュドラに対応する」

 

通信を切り、改めてヒュドラの巨体を見やる。

 

通信の最後、何か言おうとしていたが…今は時間が惜しい。これ以上街を破壊させるのは俺の目的にも悪影響だ。

 

首都機能が喪失される前に、コイツを排除する。

 

-身体性能最適化 航空戦闘(スカイフォース)から殲滅(アナイアレイト)へ-

 

「Gyurkkkkkkkk」

 

「ふむ」

 

全ての首の視線がこちらを向いた。先の()()もそうであったように、コイツは俺を明らかな脅威として認識している。高架を撃墜したのを目撃されていたか、はたまた別の手段で俺の戦闘能力を把握したか…

 

「まぁどちらにしろ…俺は俺の義務を果たすだけだ」

 

足裏からクローを展開し、腰を落とす。ここで全力で踏み込んだら今立っているビルは反動で吹き飛ぶだろうが、後の戦闘で恐らく運命は変わらんだろう。

 

何せ、ヒュドラはあの巨体だ。普通に動くだけでもこの程度の建物は容易に倒壊する。ただ、その巨体が仇になるかもしれないがな。

 

「最高脅威度の力、見せてもらうぞ。…イナズマ、殲滅を開始する」

 

戦闘開始(エンゲージ)

 

全力でビルの屋上から跳び、一直線にヒュドラの中央の首へと向かう。背後で轟音が鳴り響いていたが、恐らく予想通りの事が起こったのだろう…っ!

 

-敵口腔部 高エネルギー反応-

 

9つの首全てが口を開き、俺に指向してきた。回避や防御でなく、迎撃を取るか。ある意味正解だな。

 

先ずあの巨体で回避は無理がある。続いて防御も、こちらの攻撃力が詳しく分かってない以上迂闊に選択は出来ないだろう。ならば、第3の選択肢、迎撃が最適解となる。

 

しかし、強力な攻撃の前にはほぼ例外無く充填が必要だ。事実、俺の眼には首を登って行く大量のエネルギーが視え…俺の()()の方が早い事も分かっていた。

 

-インパクト-

 

「Guukkkkkkk!?!?!?」

 

俺の拳が、ヒュドラの中央の首へと着弾する。

 

奴の頭部が衝撃に仰け反り、着弾箇所の鱗は破砕され黒色の破片として宙へ舞って、内部組織が露わとなった。

 

ただ、この結果は俺にとってもやや予想外。

 

(鱗下組織の損傷が予想より少ない…)

 

戦闘シミュレーションでは、鱗を破砕した際その下の組織にも大きな損傷が発生していた。だが、眼前に広がる傷跡にはそれほど深い損傷は確認出来ない。

 

するとシステムが、今の攻撃データを利用したヒュドラの解析結果を伝えてくる。

 

-目標防御力 推定 S・Legion重防御型に匹敵-

 

-ヒュドラの脅威度評価を上方修正-

 

「…なるほど、通りで容易に傷がつかん訳だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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