強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

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EP.11 超常なるモノ

 

 

 

『俺はヒュドラに対応する』

 

「な、待っ」

 

その言葉を最後にブツっと通信が切れ、思わず通信機を眺めて呆けてしまった。しかし、爆音が轟いた事で私の意識は急速に現実に戻ってくる。

 

周囲はシェルターに向かう人達で大混雑していて、人並みの向こうからは既に魔獣達が姿を現していた。ぼうっとしてる暇はない。

 

「アリス!シェルター前で皆んなを守って!私は魔獣達を止めてくる!」

 

「分かったわ!」

 

アリサの返事を聞き、私は人並みに逆らい掻き分けるように進み始める。やがて人並みを抜け視えてきたのは、街を跋扈する魔獣達。

 

どれもB級以下、これなら…

 

 

「天装解放、光の羽衣(ルミナス)

 

 

瞬間、視界が光に包まれる。その光の中で私が着ていた服は喪われ、足元から純白のブーツ、フリルがあしらわれたスカート、至る所に装飾がなされたブラウス———天装へと置き換わった。

 

最後に右手にレイピアを握って、魔獣達へ突き付ける。

 

「覚悟しなさい!」

 

さて、威勢良く言い放ったは良いけど、周りを囲む魔獣は多分100体以上…これだけの数を同時に相手にするのは流石に初めてだ。

 

でも、イナズマちゃんに頼まれた事を全うするため…シェルターを背に私は構える。

 

 

「「「Gyuaaaaaa!!!!!」」」

 

来る。

 

ゴブリンやワーウルフ達が一斉に動き出し、私目掛けて襲い掛かってくる。口の端からは涎を垂らし、一瞬嫌悪感で体が震えるけど—————一歩踏み込めばそんなモノは欠片も無くなっていた。

 

「ハァッ!」

 

群れから突出していた1体のゴブリンを、すれ違いざまに首を刎ねる。魔力強化はまだ全力じゃないけど、この程度の相手ならこれで十分!

 

「Guuaaa!!!!!」

 

「見えてるよ!」

 

レイピアを振って背後から迫っていたワーウルフ2体を纏めて斬る。すると当然返り血が私に降りかかった、でも気にする事なく、続けて飛びかかってきたグールへ掌をかざし…

 

「天賦解放、新星光(グリントノヴァ)

 

左手から放った光条が、グールを跡形もなく消し去る。威力調整間違えてビルに大穴開けちゃったけど…後で支部長に怒られるかなぁ…

 

 

その後も、私は押し寄せる魔獣の波をせき止め続け、ようやく終わりが消えてきたと、思った瞬間。

 

 

「Guoaaaaaaa!!!!」

 

 

辺りに響き渡る咆哮。そして地響きと共に現れたのは4本足の赤い巨大な魔獣。

 

「〈ドレイク〉…!?」

 

A級魔獣の中でもトップクラスの強さをもつ地竜が、()()()()()双眸を私に向けた。たったそれだけなのに、体が硬直して動けなくなる。

 

「動け…動けッ!!!」

 

——————パキン

 

炎のブレスが視界を埋め尽くす。けど、私に触れる前に()()()()()()()()()、霧散して行った。

 

背後からコツ…コツ…といったハイヒールの音が聞こえ、振り返ると天装に身を包んだアリサが立っていた。

 

「あら、救援する前に自分で防壁張ったのね」

 

「流石にいつまでも守ってもらうわけにはいかないから…シェルターは?」

 

「支部から来た娘達に任せたわ。反対側はハルカが止めてるし、もう大丈夫なはず」

 

「なら、ここで私達が負けさえしなければ…」

 

言いながら、未だに衝突音が鳴る矢場町方面へ視線を向ける。

 

「…死なないでね」

 

 

 

 

 

-エナジーブレード展開 状態安定-

 

こちらに噛み付こうと開かれた巨大な口。その内に生えている牙をブレードで両断する。だが、それでも尚閉じようとする顎。…思い切り拳で破壊して、俺は一旦ヒュドラから距離を取った。

 

すると、ヒュドラも金色の瞳をこちらに向けつつ俺の攻勢が終わったと判断したか、傷付いた箇所の修復を始め、血濡れた体が急速に元通りになって行く。

 

先程からこれの応酬だ。ヒュドラを倒すには中央の首を破壊し、かつ再生が終わる前に魔核も破壊しなければならない。だが、残りの首から行われる攻撃並びに、異常なまでの再生速度で2回目の試行となる今回も失敗に終わっていた。

 

「どうするか…」

 

中央の首の破壊はまだ良い。問題はその巨大故、容易に攻撃が通らない魔核の破壊だ。ターボパワーを用いた高出力打撃も、胴体に大穴を開けることは出来たが魔核付近の組織を破壊出来なかった。

 

また、これだけやって尚、一撃で破壊出来なければ再生されてしまう。そう言った意味では、Silent Legionよりタチが悪い。

 

「C.I.Sの使用も視野に入れてはいるが…」

 

否、既にかなり上位の選択肢には浮上してきてはいる。上空を飛ぶ回転翼機の存在さえ、無ければの話だが。

 

(報道機関…彼らも責務を果たしているのは分かっているが、何故こうも間の悪い時に…)

 

…今考えても仕方がないか。内蔵武装使用を目撃されたくないのは俺の都合だ。ならこちらが合わせる他ない。

 

-警告 敵口腔部高エネルギー反応-

 

再生が終わったヒュドラから再びあの光条が飛来する。幾度も躱された結果を学習したのか、9本の首それぞれで砲撃のタイミングをズラして来るようになっていて、周囲の被害拡大が一層深刻化していた。

 

「当たりはしない、が…」

 

被害が広がる前に仕留めようとして、結局失敗している。()()()とは、やはり強襲より圧倒的に困難が多い。

 

…方針を変えるべきだろう。

 

今までは、事前に構築したプランに従い、高速で正面から接近、中央の首を破壊し、そのまま胴体にある魔核を破壊しようと試みて来た。

 

だがこれは、接近の途中で予想より早い反応速度を示した他の首からの攻撃に晒され、軌道の変更等を余儀無くされる上、シミュレーションの数倍早い再生速度により困難だ。

 

ならば、先に他の首から破壊する方が良いだろう。

 

「Gulkkkkkkkkkk!!!!!」

 

先ずは左端の首から破壊する。()()()()()()()()は最後だ。

 

-リアクター出力上昇 身体性能変更 殲滅(アナイアレイト)から破壊(デストロイ)へ-

 

全身に展開されていたスラスターの数が減少する。反対に、簡易衝撃波砲(ショックバスター)が両腕や両脚に展開され、より対象物の破砕に適した型となった。

 

「Guulkkkkkkkkk!!!!」

 

…俺のナニカが変わったと感じたのだろうか。ヒュドラは途端に首をもたげ、こちらを威嚇して来る。

 

威嚇などしている暇は、無いと言うのに。

 

 

-インパクト-

 

 

システムが告げると同時、ヒュドラの左端頭部は肉片と化した

 

現性能中は、ショックバスターが展開され手を開く事が出来なくなった代わりに、打撃の大きさは数倍から数十倍にもなる。使用出来る装弾数が限られている事から使用は控えていたが、ここで出し惜しみする方が悪手だ。

 

 

傷口から露出した頸椎を足場に、隣の首へ飛び移る。

 

当然ヒュドラは俺を振り落とそうと首を動かし、果ては隣の頭部による攻撃を敢行してきた。自傷覚悟で俺を仕留めようとするのは流石と言ったところだろうか。

 

しかしながら、この程度で捉えられるなら俺はとっくに死んでいる。むしろショックバスターの装弾数を節約出来たと、僅かな安堵を感じているかもしれない。

 

-右脚部 エネルギー充填完了-

 

回避と同時に上空へ跳んだ俺は、落下しながら更に隣の首目掛けて軌道を調整。高度差がある事から反対側の頭部群から砲撃が飛来するが、ショックバスターで相殺しつつ、落着と同時に足を振り抜いた。

 

炸裂音が響き、肉片と紫の血液が飛び散る。

 

 

そして、同様の事を繰り返す事5回。

 

-エナジーブレード最大展開-

 

中央の首以外を全て破壊し、俺は倒れ伏したヒュドラ前に立っていた。

 

既に左端の首は再生が終わろうとしているが、首同士で再生のための魔力を奪い合っているのか完全に元には戻っていない。他の部位と違って、頭部も再生に必要な魔力も多いのかもしれないな。

 

「Gulkkkkkk…」

 

斬。

 

などと思いながら、エナジーブレードで中央の頭部を切断。間髪入れず胴体に飛び乗り、正確な魔核の位置を探る。

 

「…そこか。これは盲点だったな」

 

魔核は、胴体の中には無かった。俺が魔核と認識していたのは用途不明の高濃度の魔力を放つ球状の器官で、本物の魔核は尻尾の中程に存在していた。

 

だが、位置さえ分かればこちらのモノ。

 

ミノタウルスの時と同様、エナジーブレードを突き立てて破壊し、討伐完了を宣言——————

 

 

 

-警告 味方ユニット付近に高エネルギー反応捕捉 目標識別 ()()()()

 

 

……何?

 

 

 

 

 

 

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