強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

18 / 37
EP.16 護符―タリスマン

 

 

「っ、誰だ貴様は」

 

「Ah…」

 

抱き着かれた腕を振り解き、距離を離して警戒態勢を取る。目の前の相手からこそ害意は感じられないが、何より問題なのはその背中に背負っている代物だ。

 

連邦制式RF-5ビームライフル。

 

元いた世界でアイアンソルジャー用に設計された強力な特殊携行火器で、威力は俺の装甲を貫徹し得るレベルに達している。つまり、目の前の少女は何時でも俺に損害を与える可能性を持っているという事。

 

ただ、明確に害意を向けて来る相手ならこちらから先制攻撃を行い撃破するだけで済むものの、目の前の少女はライフルに触れる様子もなければ敵対的な言動及び行動は見せていない。

 

この世界に降り立って然程時間が経っていなければ攻撃していたかもしれないが…ある程度理解も進んだ今、迂闊に攻撃すればより状況は悪化する可能性がある。

 

故に、ここから発生し得る状況に出来るだけ柔軟に対応出来るよう構えたのだ。

 

「もう1度問う、貴官は何者だ」

 

「キカン…きかん…あ、貴官デスカ!ならワタシは()()()()()()()()()()デース!」

 

「「え!?」」「…はぁ」

 

驚いた様な声がして振り向くと、月宮ハルカと品川アリスが目を見開いており、そのさらに後ろでは砂原ユキがため息を吐いていた。反応からして、砂原ユキはこの少女…ソフィア・タリスマンと関わりがある様だ。

 

「アレ?ワタシの日本語伝わってないデスカ?」

 

「…砂原ユキ、状況を説明しろ」

 

こちらが警戒心を剥き出しにしているにも関わらず、ソフィア・タリスマンは近くに寄って来て掌を顔の前で振ってくる。相変わらず害意は感じられないが…

 

「ごめん、私も止めたんだけど聞かなくてね。自分でも言っていたけど、この娘はソフィア・タリスマン。〈創造の魔法少女〉と言えば分かる?」

 

「…なるほど」

 

「完全無欠のソフィアちゃんデース!」

 

「貴官の身元は分かった、なら次だ…何の目的があって俺に接触して来た」

 

「スルー!?!?」

 

…何と言えば良いのだろうか、動作の一つ一つが騒々しいと表現出来る程にこの少女は興奮状態にある。好意的なモノには感じるが、先日“タイプ”の事を尋ねて来た月宮ハルカの言動とはやや異なる…違和感止まりの感覚にこれ以上思考を割く必要は無い、か。

 

明らかな意思を持つ存在が俺を害せる状況で、無駄な事を考えるべきでは無い。

 

「貴官の答え次第では、こちらは直ちに防衛行動を開始する」

 

「WHY!?待って待って!ワタシは普通にINAZUMAちゃんに会いに来ただけダカラ!!」

 

…やや脅しをかけてみたが、ボロは出さないか。

 

それに武装した状態で、俺の認識を超える速度で接触して来た理由が会いに来ただけ…カバーストーリーなら明らかに杜撰すぎる。ならば…

 

メインシステム 戦闘モード待機(多分本当のことを言ってますね)

 

(即敵対はない、か)

 

実際、砂原ユキや他2名が一切警戒していない以上、これ以上はメリットも無い。最低限の警戒は続けるが、一旦は武器を収めるとしよう。

 

代わりに、この少女が持っている代物については徹底的に調べ尽くす。ただまずは、双方の清算からしなければ。

 

「イナズマだ。鉄灰の魔法少女を名乗っている。警告無く武器を向けた事を謝罪しよう」

 

「…こちらコソ、テンション上がっちゃっテ少し迷惑かけちゃッタ…ごめんナサイ」

 

互いに非礼を詫び、握手を交わす。これで対話のスタートラインに…

 

「アッ…♡ゴツゴツしてて…」

 

 

…逆走だけはしないでくれ。

 

 

 

 

 

あれからやや経って、俺達はイージス日本支部の支部長室に足を運んでいた。俺の病室付近は基本誰も立ち入らないため、判明する事は無いはずだ。

 

そしてソファに腰を下ろした俺は、早速対面へ座ったタリスマンへ質問を行う。

 

「ワタシがこのライフルをどうやって手に入れたか、デスカ」

 

「あぁ、例え普通は信じられない様な理由でも何でも良い。ただ真実を話してくれ」

 

俺が言うと、ソフィア・タリスマンは一瞬口淀み、机にライフルを置いて話し始める。

 

「ワタシがこれを手に入れたのは、2年前の任務で()()()()()()の調査に行った時ネ。結局隕石自体は見つからなかったケド、クレーター付近にこれが落ちてたノ」

 

なるほど、予想はしていたが、このビームライフルは俺と完全に同類の様だな。あくまでも仮説に過ぎないが、あまりに大きいエネルギーは文字通り時空を歪める。通常なら歪みは直ぐに元に戻るが、稀に空間に亀裂が入ると…別の世界に飛ばされるのかもしれない。

 

つまりこのビームライフルと言う2例目の存在は、元の世界に戻る方法発見の糸口になる可能性がある。ただ気のなるのは、落下地点にクレーターが出来ていた…相当な衝撃で地表に激突したはずだというのに、このビームライフルに一切損傷が見られない事だ。

 

無論、俺を始めアイアンソルジャーは大気圏外から直接落下しても然程損害は発生しない。という事はだ、このライフルを本来持っていた同類(アイアンソルジャー)が、何処かに潜んでいる可能性がある。

 

もしそうなら、亜空間ハンガーの復旧と並行して接触を試みなければならないだろう。潜んでいる理由が何にせよ、敵対する事は極力避けなければならないからだ。

 

…そう考えると、魔法少女として露出したのは迂闊だったかもれないが、これに関してはもうどうしようもない。

 

(ん?)

 

そこでふと、タリスマンが何かを期待する様な眼差しでこちらを見ている事に気付く。

 

「どうした」

 

「ッ!?イ、イヤ、ナンデモ…」

 

「何か要求、或いは伝えたい事があるなら言葉にしろ。悪いが俺は他者の心情を察する事は不得意だ」

 

「……じゃア、その装甲服もっと近くで見ても…イイ?」

 

「?構わんが」

 

そもそも許可を求める物か?他者の外見を分析し、データの蓄積や戦闘になった場合の予測立てなどはバレない様にするものだと思うのだが…

 

「Wow…スッゴイ…」

 

タリスマンの心拍数が急激に上昇中?攻撃前の高揚ではあるまいし、一体何が要因で?

 

…まぁ良い、今はライフルの状態解析に務めるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国内某所 

 

中央に緑色の輝くカプセルが鎮座する部屋では、黒い外套を纏った男が様々な機器を操作しつつ部下からの報告を聞いていた。

 

「創造の魔法少女が鉄灰の魔法少女と接触した様です」

 

「…それで?」

 

「創造の魔法少女のいつもの気まぐれとは思われます、が、万が一〈聖遺物〉の情報を共有された場合、我々へ迫る可能性があります。鉄灰の魔法少女は、得体が知れない」

 

「貴方がそこまで言いますか、なら〈聖神体〉の復活を早める必要がありますね」

 

言いながら男が視線を向ける先、緑色のカプセルの中には、()()()()()()()()()()()()()が、様々なチューブに繋がれ沈黙していた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。