強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
-…我領域の再起動を確認 感情抑制機構 停止-
-当機周囲に高エネルギー存在多数感知-
久し振りに感じる感情を認識しながら、俺は上体を起こす。周囲を見渡すと、辺り一面クレーターの様な地形が広がり、所々白煙が上がっている様子が目に入った。
(なるほど、融合弾頭とミサイルの爆発でプラットフォーム諸共吹っ飛んだのか)
自分でなるほどと納得……いや待て、生存したのか?あの爆発から?
有り得ない、航宙艦すら一撃で屠るエネルギーだぞ。それにあのミサイルも対天体想定の代物……
とここまで思考し、俺は周辺環境が交戦していた場所と著しく異なる事に気付く。
上を見上げれば何処までも澄んだ青い空。
下を見れば赤茶色ではなく土色の大地。
そして…クレーターの外に広がる旧時代的な街並み。
(どうなってる。俺が機能停止している間に再テラフォーミングでも行われたのか?)
可能性としては0じゃない。だが、各センサーが伝えてくる情報に
—————しかし直後に響いた爆発音で、思考が静まりかえる。
-方位1-5-0 距離500 戦闘音確認 武装使用権限を連邦法コード10第5号に従いイーグル1へ移行-
-リアクター 戦闘出力 各駆動部全力稼働可能 全C.I.S武装使用可能-
-警告 エネルギー供給異常 機動外装使用不能 亜空間ハンガーとの接続不安定-
混乱していた意識が急速に冷えて行き、戦闘に備えシステムが自動的に身体の最適化を行い始めた。
ただし、人型機動兵器を改造した大型外装は使用不能。並んで各種大型武装も使えないとなると、対多数戦闘が発生した場合不利になるかもしれない。
幸い、戦闘音は一方向からだ。ならば今の状態でも戦えるだろう。
「…交戦状態の対象を確認する」
-了解 各システム戦闘待機-
立ち上がり、クレーターの中央から近場に存在した建築物の陰に移動する。手を壁に添えるとシステムが材質を自動で解析を始めた。
-構成元素よりコンクリートと推定-
(ふむ、コンクリート製…)
何故耐久性の低い旧時代の建造材が用いられているかは不明だが、身を隠しつつ状況を確認するには十分だ。
慎重に、戦闘音の源を窺う。偵察兵等なら遠隔機で観測が出来たんだが、生憎俺は戦闘兵であるため一切姿を晒さず観測する事は出来ない。
「戦っているのは奇妙な装備をした少女と…黒いジェル状の正体不明生物…か」
-戦闘ユニット ホモ・サピエンス種及び、アンノウン-
-両者ともに体内に不明なエネルギー源が存在する模様-
-周囲状況 意識領域の前回稼働時から著しい変化を認める-
なるほど。となると俺の置かれている状況について、考えられる可能性は2つ。
何らかの理由により爆発の後意識喪失した俺は、遥か未来で目覚めた可能性。
…だがこちらは建造材や周囲の街並みからやや考えにくい。
もう1つの可能性は、俺が別の世界…並行宇宙と言っても良いだろう、に飛ばされた可能性だ。現状身体に損傷が生じていない状況を鑑みて、こちらの方が可能性は高いだろう。
そしてこれを確かめる方法は—————
「イーグル1。戦闘に介入する」
————戦闘しているどちらかに聞けば良い。
-了解 メインシステム 戦闘モードに移行 身体性能最適化-
コミュニケーションが取れる可能性が高いのは、十中八九少女の方だろう。ただし、状況によってはアンノウン側の支援に回る可能性もある。
どちらにしろ、情報を集めるための戦闘だ、無駄な損害は出したくは無い。
「状況開———」
…しかし、駆け出そうと腰を屈めた俺の視界に、
「な…」
瞬間、俺は即座に損傷ではなく
「何故、擬似性別が女性になっている?」
思えば、全身を覆っていた装甲も一部が消えその下の人工皮膚が露出。頭部を覆っていたヘルメットも消失している。
(…どうしてこの違和感に気付かなかった)
まぁ最も、アイアンソルジャーにとって、性別は然程拘る点じゃない。戦闘能力に差異が生じるなら話は別ではあるものの、そもそも人であるか怪しい時点でお察しだ。
「今は俺自身の事より、状況確認が先か」
思わぬことで足を止めてしまったが、性別が変わっている程度なら気にする必要はない。帰還した際何か言われるかもしれないのは、少し面倒だが。
「…状況を再開」
それだけ宣言し、俺は脚部に溜めたエネルギーを一気に解放。戦闘を継続している両者に向かって突貫した。
後ろに流れる長髪が余計な空気抵抗を生み出すが、その程度で行動を制限される事はない。
-敵方距離 200 100…-
風切り音と共に急速に大きくなる対象の姿を正面に捉えつつ、右拳を握り締めて攻撃に備える。
「キャッ!」
同時に、戦闘していた少女がアンノウンからの体当たり攻撃を受け転倒。アンノウンはそれに覆い被さるよう体を広げ……広々と晒された隙に、俺は拳を叩き込んだ。
-インパクト-
ドパンと言う音と共にアンノウンは大きく揺れ、飛び散った黒いジェルが装甲表面や人工皮膚に付着する。物質を融解させる様な特性は無さそうだが…念の為後で洗浄しなければ。
「Gyuoooo!!!!」
「チッ、余り効いていないか」
などと俺が思っていると、アンノウンはすぐ様姿勢を立て直して触手のようなものを繰り出してくる。察するに、打撃攻撃にはかなりの耐性を持つのだろう。無論動かなくなるまで殴り続ける事も出来なくは無いが…効率は悪い。
なら、適切な攻撃手段を用いるべきだ。
-エナジーブレード展開 状態安定-
右前腕から伸びる、蒼い光の刃。
対液状S・Legion兵装としても用いられるこれなら、目の前のアンノウンにも通用する可能性がある。また仮に通用しなくても、次の手段を試せば良い。
「あ…」
「下がっていろ」
何かを訴えようとする金髪の少女に一言だけ発し、向かってくる触手へ向けてブレードを振り下ろす。
すると今度は弾かれる様な手応えは無く、高密度のエネルギー刃が容易に触手を切断した。……どうやら有効な様だ。
-目標解析完了 体内に存在する高エネルギー体を捕捉-
(大量のエネルギーを擁する結晶体か?つくづく俺の知っている生物とかけ離れている)
それに瞬く間に再生する触手…斬撃も致命打にならない可能性が高い。エネルギー体を破壊する方が良いか。
一歩前へ踏み込み、ブレードの刀身を延長させつつ本体と思われる塊を斬り付ける。しかし斬撃痕は直ぐに塞がり、このままだと埒が開かない事は明白になった。
「どうするか…」
エネルギー体の存在するのはアンノウンの中心部。だが自在に形を変えられるとエナジーブレードでも攻撃が届かない可能性がある。C.I.S.で無理やり消し飛ばしても良いが、今後もし後ろの少女と敵対する事になった場合を考えると、手札はあまり晒すべきでは—————
「Gyoooooo!!!!」
「危ないっ!……え」
「…ワンパターンな攻撃しか出来ないのか」
言いながら、俺を覆おうと体を広げ、薄くなったアンノウンを斬り刻む。そして再生が始まる前に、俺は右腕をアンノウンの中にねじ入れ、
途端にアンノウンの体は崩壊…脚元で黒いシミと成る。
-不明生物撃破 可能性極めて高-
(まさか、自分から弱点と思われる箇所の保護を放棄するとはな)