強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

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EP.02 安息、或いは昏黒(お風呂回だよ☆)

 

 

『国防省とも協議して、この地点の詳しい調査を進めるわ。場合によっては…』

 

 

先程交わした会話を思い出しつつ、俺は付着した汚れを落とす為にチームルームの浴場に入る。強化外骨格に関しては量子化すれば汚れは残らないが、戦闘中でも露出している頭髪や人工皮膚はそうも行かない。

 

-標準外装解除 左肩部隔壁閉鎖-

 

脱衣所で外装を解除し、左肩に揺らめく防風布を取り外す。途端に下から顕れるのは、未だ馴染まぬ俺の躰。

 

現在でも何故疑似性別が女性に設定されたかは判明していない。そも、疑似性別の切り替えは専用の設備が必要である上に、俺の精神は男性寄りで必要に応じて女性を選択する事はあれど、基本は男性で行動をしていた。

 

幸い、時空間跳躍を行う上で性別が関係する可能性はかなり低い。それに今の俺は魔法少女としてこの世界に存在している、むしろこのままの方が都合は良いだろう。

 

 

「ん?」

 

外で扉の開く音がした。月宮ハルカと品川アリスは任務に出ているため恐らく八雲スズか。ドアのロックはその部屋の魔法少女でしか開けられない上、第三者が拘束されるリスクを犯してまでこの部屋に侵入するメリットが無い。

 

『あれ?イナズマちゃんお風呂に居るの?』

 

「あぁそうだ、戦闘で少し汚れてしまったからな」

 

案の定と言うべきか、脱衣所の外から八雲スズの声が聞こえてきた。なお彼女はここ最近、俺やチームメンバーの前に姿を現す頻度がやや少なくなっている。

 

理由は地下の仮想訓練場で訓練しているからだが、少し前俺が教導を申し出た時は断られた為、何かしら俺達に隠匿したい事情があるのだろう。

 

チーム全体での戦闘力増加の面で言えばほぼ確実に俺の方法が優れているが、あまり踏み込んでも逆効果になるだけだ。

 

 

浴室に入り、シャワーを手に取ってレバーを下ろす。途端に冷水がシャワーヘッドから噴き出す中、再び八雲スズの声が聞こえた。

 

『ふーん、じゃあ私も入ろっかな』

 

「構わないが…」

 

一緒に入る事に一体何の意味が?それに浴槽に湯を張ってない以上、共に入るも無い…と思った瞬間、八雲スズが外部から操作したのか、湯が蛇口から出て浴槽に溜まり始める。

 

(俺は湯に浸かったからと言って疲労回復したりはしないんだがな)

 

まぁ一先ず、洗浄だけ先に済ませるとしよう。

 

水で湿った髪に洗髪剤(シャンプー)を馴染ませ、揉み込むように汚れを落としていく。特段強化もされていない生体部分である頭髪は、扱いに気をつけなければ自分の力で損傷しかねない。

 

無くて戦闘に困る物ではないが、魔法少女としてを考えると、やはり…

 

「入るね…?」

 

とここで、ガチャリと言う音と共にやや赤面した八雲スズが浴室に入ってきた。

 

 

 

 

 

「洗うよー」

 

「頼んだ」

 

目の前で私に背を向けているイナズマちゃんに手を当てながら、私はふぅとため息を吐く。

 

湿った灰色の髪に包まれた、少し小柄なイナズマちゃんの躰。雪みたいな肌にすらりとした肢体は、女の私から見てもとても綺麗で…それ故に黒色や鈍色の線が肌に走っていたり、左肩口が鈍色なのが、どうしようもなく苦しかった。

 

(改めて見ると…やっぱり私たちと違うって思い知らされるなぁ…)

 

イナズマちゃんの髪に指を通しながら、そんなことを思う。私から提案する前に髪を洗って欲しいって頼んでくるのは意外だったけど、これも多分、自分で洗いにくいからなんだろう。

 

それに、渡されたシャワーが冷水だったのにも、余計距離を感じてしまっていた。

 

「皮膚表面に露出しているエネルギー回路は気にするな。そうそう壊れる物ではない」

 

「わ、分かった」

 

エネルギー回路…多分体のあちこちに走っている線だよね。折角これだけ綺麗な体をしてるのに、私から見たらどうしても勿体なく感じてしまう。

 

…これも、価値観が違うからなのかな。

 

実際イナズマちゃんの容姿なら、軍人になんかならなくても生きていく事は出来たはずだ。この世界に来てからだって同じ。でもそうしなかったって事は、相応の理由があるんだと思う。

 

「流すね」

 

「あぁ」

 

シャワーでイナズマちゃんの頭に付いたシャンプーの泡を流していく。その時チラつくうなじにはやはり黒く四角い部分があって、思わず視線を足元に向けてしまった。

 

 

目線を外しながらも取り敢えず泡を流し終え、今度は体。

 

ボディソープを泡立たせて、右肩から撫でるように擦り付けていく。擦れる指の腹に、時々硬い感触が当たってその都度手が止まってしまうけど…でも何より、直接手で触れるからこそ分かる()()()()()()()()()()()()()が、私の心をどんどん侵していく。

 

「八雲スズ、左肩の接続部位も気にしなくて良い。分かりやすく言うなら、防水仕様だ」

 

「…ふふっ、分かりやすく言って防水仕様って出てくるのは、イナズマちゃん位じゃない?」

 

「そうか、なら次からは更に言い回しを考えるが…」

 

 

…本当、そう言うところだよ。気遣う所がぜーんぜん違う。

 

でも彼女なりに改善しようと頑張ってるのは、やっぱり見てて微笑ましいし、愛おしい。

 

だからこそ、貴女が傷付くのは見たくない。左腕以外で傷一つ無いイナズマちゃんの美しい体に、もし治らない様な傷を付けた魔獣…ううん、敵が居たら、私は多分自分を抑えられない。

 

ただ感情のままに力を行使する、愚かな存在に成り下がってしまうだろう。

 

そうならない様に、もっと強くなって、いつか肩を並べて戦える様にならないと。

 

 

自分でも不思議だけど、今みたいに思いつつも余りイナズマちゃんに戦ってほしくないって願望は無い。多分、イナズマちゃんの強さが底知れないからこそ何だろうけど…だからこそ私はそこに行けるか不安になってしまう。

 

「…どうした?」

 

そっと、イナズマちゃんを背後から抱きしめる。

 

肌と肌で触れている箇所から否応なしに伝わってくる、生きていると言う感触の無さ…()()()()()()()()()()()が、堪らなく悲しくて、哀しい。

 

このままずっと抱きしめていれば、私の体温で温められるのかな、なんてバカな考えが頭をよぎるけど、絶対にそんな事はない。

 

でも、逆なら出来るのはずるいよ。

 

だって私はこんなにも、貴女に染まってしまっているのだから。

 

 

 

 

 

「…以上が、本調査で得られた情報です」

 

同時刻、日本国国防省庁舎にて、砂原は国防大臣に先程得られた情報を提示していた。

 

「なるほど。もしこれが本当なら、北日本は近いうちに今以上の魔獣で溢れ返り、我々に多大な脅威をもたらす可能性がある、と言うことか」

 

「えぇ、ですのでより詳細な情報を集める為、国防軍のご助力を願いたい」

 

「お任せを。濡羽の実戦データ収集にも付き合って頂けたお礼に…」

 

 

会談は、未だ終わらない。

 

 

 

 

 

 

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