強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
『〈アラガミ〉各員、降下予定地点周辺には多数の魔獣が跋扈している。我々に先んじてツルギ隊が降下し掃討してくれるが、降下時には十分注意しろ』
『『『了解』』』
高空を飛ぶC-2輸送機の機内で、〈
(彼女達と任務を行うのは初めてでは無いが、我々の様に厳格な手順を踏む必要がないのはやはり羨ましいな)
無論、魔法少女達にも空挺降下の際のガイドラインは提示されている。だがそれは飽くまで落下傘を使用して降下する為のモノであり、魔法と言う埒外の力を持つ彼女達には半ば無用の存在となっていた。
またそれ以外にも、数多くの面で魔法少女は軍人より優れた戦闘性能を発揮するため劣等感や羨望を抱く軍人はそう少なくない。
だが、その様な感情を抱いた上で彼女達に負けぬ様奮起する軍人が多かった為、生じる劣等感へのケアなどは余り行われていなかった。
『…よし各員降下用意、装具点検!』
『ツルギよりアラガミ、先に降りている。幸運を』
無機質な少女の声が、部隊へ指示を出した楠木の耳に響く。だが楠木は振り返る事なく、右手の親指を立てるのみに留めて装具点検を行う部隊に集中。その背後では、4人の魔法少女達がカーゴドア付近に移動した。
…やがて部隊員全員の装具点検が終了した事を確認した楠木は、声を張り上げて部隊に掛け声を出す。
『アラガミ行くぞ!』
『『『おう!』』』
『行くぞ!』
『『『おう!』』』
『立てッ!!』
『コース良し、コース良し、よーい、よーい、よーい、降下、降下、降下』
一連の掛け声からやや遅れて特戦群からの降下誘導通信が入り、降下ベルが機内に鳴り響く…先ずツルギ隊の魔法少女達が輸送機から飛び出し、アラガミの兵士達はそれに追従する様に機外へと飛び出していくのだった。
◇
-周囲半径500m 敵影多数探知-
「よし、アラガミが降下してくるまでに周囲から魔獣を排除するぞ」
「そうだね」
空挺団…アラガミ隊より先んじて降下した俺達は、着地してすぐに戦闘態勢に入る。
アラガミがボディアーマーを纏い、強力な武装を持っているとは言え、パラシュートを用いた降下ではどうしても無防備な時間が発生する。そこを襲われれば、一溜まりも無いだろう。
先に周囲に潜んでいる特戦群と合流しても良いが、合流に手間取った際殲滅が間に合わない可能性がある。ならば広範囲攻撃を使用せず、魔獣を掃討するのが優先だ。
「全員、これまで訓練して来た連携行動での初実戦だ…行くぞ」
俺の言葉に黙って頷く3人。
最近は各自での戦闘訓練の他、チームでの連携戦闘を踏まえた訓練も行って来た。その成果を試すとしよう。
「イナズマ、殲滅を開始する」
-
先ず手近に居たゴブリンへ接近して拳を振り抜き、撃破。同伴していたオークが咆哮と共に剛腕を振り上げてくるが…間に割り込んできた品川アリスがその腕を切断する。
「Guoaaaaaa!!!!」
片腕を失ったオークは痛みに絶叫を上げ、攻撃動作を中断。そこへ月宮ハルカの魔法が突き刺さり、直ちにオークの生命活動は停止した。
「それで良い」
言いながら地を蹴り、先のオークが上げた咆哮で集まって来た魔獣の群れへ突貫する。何時もなら確実に撃破した事を確認しながら攻撃を加えていくが、今の俺の役割は兎に角
姿勢を低くしながら群れの真ん中に飛び込み腕を振るえば、俺の膂力に耐えられなかった魔獣達が骸となって周囲に飛び散っていく。が、精度を下げて攻撃すれば致命打にならない魔獣も数多く出てくる。
これらを刈り取るのは、彼女達の役目だ。
「ハァッ!」
-味方ユニット接近-
こちらの攻撃の間隙を縫い、八雲スズがレイピアで未だ息のある魔獣達を殲滅して行く。また月宮ハルカと品川アリスも俺の攻撃範囲外、或いは通過した後の掃討に当たっていた。
下半身が砕けたコボルドが、最後の力を振り絞って魔法を発動しようとした所を両断され、腹部が抉れながらも噛み付こうとしたレッドベアの頭部が消滅した。
(…予想以上だな)
無論、殲滅速度自体は俺が1人で突撃した際と然程変わらないだろう。だが、これからも行動を共にする可能性が高い3人に、俺の戦闘速度に慣れさせる、と言った目的は十分に果たせている。
「その調子で行くぞ」
「…うんっ」
3人共度重なる訓練で、精度と威力を下げた俺の攻撃程度なら躱す事が出来る程まで成長している。エナジーブレードは触れた時点で重傷以上が確実になる為、もう少し練度が高まってからにはなるだろうが…そう遠い話では無い。
「ッ…」
-コンバットブースト 実行-
スラスターの勢いを乗せたまま、ブラッドオーガを蹴り飛ばす。しかしインパクトの角度が悪く、思い切り上空に打ち上げてしまった。…丁度良い。
「やれ」
「任せてッ!」
全身に光を纏った八雲スズが、ブラッドオーガ目掛けて突撃する。
魔法少女で空を飛べる者は決して多く無い。だが、空中で魔獣と戦闘になる事はこの先あり得ない話では無いだろう。ならば、これも良い経験となる筈だ。
「天賦解放…
聴覚センサーが八雲スズの声を認識すると同時、金光の槍がブラッドオーガの胴体に突き刺さる。槍はそのまま強い光とエネルギー波を発して対象の肉体を消滅させると、
「見事だ」
地面に着地した八雲スズへそう声を掛ける。A級魔獣を一撃で屠る威力の魔法…これなら、セイヴァー戦でも申し分ない活躍が期待出来るはずだ。
「あ、ありがとう…」
「礼には及ばん、ただ見事と言っただけだ。それにまだ戦いは…ッ」
瞬間、魔獣の鳴き声と魔法の音が鳴り響く中でやや特異な破裂音…銃声が轟く。
-方位1-3-1 距離200 交戦音探知-
アラガミの降下には少し早い、となると銃声の主は特戦群か。どうやら付近に潜んでいた所に、魔獣を呼び寄せた為発見されてしまった様だ。
「俺が救援に向かう。継続して魔獣の殲滅を頼んだ」
「分かった」
八雲スズの返答を聞きつつ、俺は銃声の聞こえた方角へ向けて走り出す。接近する間にも銃声が断続して聞こえている為、それなりの数若しくは脅威度の高い魔獣と交線している可能性がある。
特戦群の戦闘力が折り紙付きである事は十分分かっているが、直接観測するまでやはり確信は出来ない。少なくとも弾薬を消費している事は確実である以上、手遅れになる前にこの眼に捉えなければ。
…思いながら妨害してくる魔獣達を轢き潰し、走る事凡そ5秒。
瓦礫を乗り越えた俺の視界に映ったのは、数名の迷彩柄の男達が魔獣の群れを蹂躙している姿だった。
飛び掛かってくる魔獣を屈んで躱しライフルで仕留め、棍棒を振り上げたオークの懐に潜り込んで顎下から脳を的確に撃ち抜く。交戦している全員が同様に鮮やかな動きを見せており、その練度を物語っていた。
無論瞬く間に魔獣の群れは消滅し、交戦状態から脱した男達はこちらに気付いた様子を見せると武器のチェックをしつつ接近してくる。
…同時に上空で多数の落下傘が開き、アラガミの兵士達が降下して来ていた。
いつの間にか総合1000P超えてました、感謝!
カクヨムにてタイトルを変えて連載開始しました、少し修正されてる程度であまり差異はありませんが、良ければ星フォローで応援していただければ嬉しいです。
魔法少女世界にTS転移した強化人間、損傷ありきで戦ってたら皆曇った。 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/822139844582388694