強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
「こっちか」
タイタンを排除した後、俺達は捕縛した構成員にプロフェッサーの所在を
幾度も構成員の襲撃を受け、更に設置された各種トラップを突破しつつではあったが、どうにか現時点まで此方に被害は無い。
ただ、回収した資料の量がかさばり始めたためそろそろ分離する必要もあるかもしれないが。
『こちら蒼、魔獣の群れと接敵した。これより交戦に入る』
『了解。2班3班におかれては南側の制圧を継続されたい。場合によっては4班も合流しろ。我々は間も無く最奥部へ到達、プロフェッサーの制圧を試みる』
通信を聞きながら閉ざされた隔壁を蹴破り、隊員達が着いて来れる速さで、されど速度を落とす事なく走り続ける。情報を元に構築したマップでは、間も無く最奥部の巨大空間に出るはずだ。
先ず間違いなく、そこにプロフェッサーも居る。
編成が不明とは言え米海兵隊一個大隊を退けたと言う事は、対戦車火器か、それに準ずる物が有効でなかったのだろう。だとすると、紅が先程タイタンを殺すのに使用した〈4式5.56mm魔導弾〉以外で通常の隊員が傷を負わせるのは困難な可能性が高い。
そして、今この場にある4式は〈翠〉の持つ1発のみ。濡羽にはもう少し多く支給されているらしいが、あちらと違い特戦群は対魔獣戦専門では無い。
そもそも特戦群の装備するライフルでは高威力弾である4式を然程撃つ事が出来ない以上、1発ずつでも支給されただけマシだろう。無論、俺達がこの作戦に参加しなかった場合はもっと大幅な戦力増強が図られてはいただろうが。
…などと思っていると、廊下の奥に鈍色の巨大な扉が見えてきた。
『あの扉だな』
-警告 正面通路傍 高エネルギー反応2-
「傍に守衛確認、警戒しろ」
だが扉まで50m程の地点で、扉の傍から仮面を装着しローブを着た人物2人が出現。掌を此方に向け、魔法を行使した。
「
赤い光条と鈍色の槍が、狭い廊下を猛進してくる。背後に隊員達が居る以上、回避は有り得ない。それに内包エネルギー量から、俺に損傷を与える事は不可能…ならば迎え撃つまで。
-C.I.S フェニックス 緊急射撃 エネルギー
クイックチャージが成された右腕を突き出し、槍に先んじて飛来する光条の相殺を試みる。加害範囲が狭ければC.I.Sでは無くブレードを用いても良かったが、光条に関しては廊下の幅と同等の太さがあるため防ぎきれないと判断したからだ。
-インパクト ナウ-
放たれた橙色のエネルギー波は、赤い光条と正面から激突。一瞬拮抗した様な挙動が見られたが…直ぐに押し切り槍諸共攻撃を粉砕する。
無論その向こうに居た構成員2人にもエネルギー波は襲い掛かるも、威力の大幅に弱まった所を魔導障壁で防ぎ止められてしまった。
—————だが視界は塞げた様だ。
「なッ…」
「グッ…」
胸部への殴打で、2人共々地に伏せる。
「目標撃破」
この2人、恐らくタイタンと同等か、やや上回る実力を持っていたであろう事は分かる。実際魔力強化はかなりのレベルであったし、放たれた魔法も決して軽い威力では無かった。
それに、俺の攻撃が自分達の攻撃を掻き消して尚向かってくると判断し、更に防ぎ止める事が可能と見切っての防御行動。鍛えられた戦闘力に判断力、先程から闇雲に襲ってきていた構成員たちなど、比べる事すら愚かしい。
だが、着弾時の爆炎の中から飛び出した俺にまでは対応出来なかった。
タイタンの時とはまた違う敗北理由…やはり実戦経験の無さ故の、柔軟さの欠如だろう。特に高度な知能を持つ相手と戦闘を行う際には、彼我の戦闘力以外に搦手や罠等の要素を考慮しなければならない。
この2人には、それが足りていなかった。
「…突入するぞ」
『『『了解』』』
後ろを振り返り声を掛ける。廊下の凹凸を利用して銃と僅かな被弾面積だけ晒していた隊員達は床に降り、自身の胸部に設置されたボタンへ手を伸ばす。
すると、蒼白いフィールドが彼等をアーマーごと覆い完全防御の体制が整った。
(2式魔導装甲服…だったか)
科学で魔法を再現出来た数少ない事例の一つだ。初めて知らされた時は、まさかビーム砲より先にシールドの技術を獲得しているとはと驚いた。
ただこれで、短時間といえど防御力は魔法少女と同等だと思って良い。ならば俺は臆する事なくプロフェッサーと戦闘出来る。
「さて…」
-構造解析完了-
目の前の隔壁はチタン合金製で更に魔法的な防御機構も組み込まれている。しかし、施設の入り口を塞いでいたあの巨大な扉に比べれば造作も…
『………開いたな』
音を立てて、隔壁を封鎖していた金属柱や魔法陣が解除されていく。
隔壁が1人でに開く…筈もない。確実に誘われている。ここに来るまで監視カメラ等で俺達の戦闘を見て勝てると踏んだか、はたまた別の策があるのか。
だが、折角の誘いだ。受けるとしよう。
◇
隔壁を開いて足を踏み入れると、そこは山の中にあるとは思えない程広大な空間が広がっていて、思わずこの世界に来る寸前に突入したミサイルサイロを思い出す。
だが中央に鎮座していたのは、対宙弾道弾などでは無く緑色の液体が詰まったポッドを中心とした、用途不明の設備。
そしてその前には、白衣に身を包んだ男が立っていた。
「やぁやぁ、よく来たねぇ」
-内包エネルギー量 S級魔獣に匹敵-
男は
準S級と推定されていたが…これは間違いなくS級以上。
予想より厳しい戦いになりそうだ。
「さて、自己紹介と行こうじゃないか。私はプロフェッサー。セイヴァーでは狂人奇人の類と呼ばれているよ」
残念なことにねぇ。と言いながら、プロフェッサーは自分の背後に映像を投影させる。映っているのは恐らく、これまで彼が行ってきた実験映像の数々だろう。
「どうだい?魔導科学は非常に奥が深い、聖神体に関連する事象も魔導科学を用いればいずれ解析は可能になるだろう。まぁ芳しくは無いのだがねぇ」
言って、自身の背後を見やるプロフェッサー。
正直話に付き合う必要自体は無いのだが、この男は魔導技術に関してはイージスの研究者以上なのは確実。ならば得られる情報は獲得しておいた方が良い。
銃を構える隊員達を手で制して、俺は口を開く。
「貴官は、いつから魔導科学に携わっている?」
「そうだねぇ…魔獣達がこの世界に出現したのが今から22年前。幸運な事に当時私の住んでいたシベリアはいち早く魔獣に呑まれたから、その半月後には研究に没頭していたと思うよ」
なるほど、となるとイージスの研究機関が設立されるより5年以上早く、それも研究材料には一切困らない形で行えていた訳か。
「懐かしいねぇ、殺されない様に必死に走り回ったのを思い出すよ。セイヴァーに拾って貰えなければもしかしたら死んでいたかもしれない」
「その対価として、自身の魔導技術を提供しているという事か」
「あぁそうなる…ん?マザーが傷を負った?おっとこれはマズイねぇ…」
「ッ」
一瞬。温厚な雰囲気だったプロフェッサーから圧倒的な魔力が放たれる。傷を負った…恐らく八雲スズ達か。
だがそれだけでここまで怒りを顕にするとは、マザーとは一体何だ?
「もっと話していたいんだけど、生憎替えの効かない
刹那、紫の閃光と爆炎が巻き起こり、プロフェッサーの背後の壁が吹き飛んだ。