強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
(何が—————)
-核融合反応を観測-
咄嗟に地に伏せたり腰を落としたりした俺達に対し、プロフェッサーは肩を竦めて口を開く。
「あぁすまない、マザーの救援と
見やると、今俺達が居る空間の西側の壁が吹き飛び、黒煙の合間から星空が覗いていた。
まさか、自分の施設を自分で爆破するとは、それに起爆装置では無く何故魔法を用いたのか…国防軍の装備する高性能爆薬にも魔導科学が用いられているが、それの類似品だろうか?
「本来は聖神体が暴走した際、研究所を破壊されないために配置しておいたんだけどねぇ。やはりラボで戦うのは本意じゃない…着いてきてくれるかい?」
瞬間、白衣からアンプルを取り出したプロフェッサーが急接近してくる。咄嗟に迎撃行動を取るが、プロフェッサーは触れる事なく手に持ったアンプルを床に叩き付け…気が付けば俺は全く様子の違う空間に移動していた。
「クソ…」
「ここは秋田にある私の戦闘実験施設だよ。あの転移魔薬はちゃんと通路が打通していないと使えないから、ラボの壁を爆破した。普段は外で使うんだが、急いでたから少々手荒な手段に出させてもらったよ」
なるほど、戦場の整備とはそう言う意味か。だが、他の隊員達も転移させなかったのは迂闊だったな。これなら、全力を出せる。
「さて、じゃあ私に君の力を見せてくれ」
「イナズマ、殲滅を開始する」
再びアンプルを取り出したプロフェッサーへ、全力で踏み込む。投げつけられるアンプルを躱しつつ急速接近、思い切り拳を振りかぶる…が。
「
-警告 後方に高重力源 超小型ブラックホールの可能性あり-
グンと体が後方へ引っ張られる。振り返ると、漆黒の球体が2つ浮かんでいて周囲の紙や機材を吸い込んでいた。まさか、ブラックホールを生成するとは。
どれだけ踏ん張ろうと、このままでは俺は吸い込まれて破壊されるだろう。ならば。
-慣性制御システム 出力70-
途端に後方へ引く力が消失し、俺は姿勢を直立に戻した。突然の事で少し驚いたが、過程はどうあれ結果が一般的な物理現象ならば容易に対応出来る。
魔法の最も脅威な点は、その未知性と物理法則に当てはまらない現象の具現化だ。だが、恐らくプロフェッサーの魔法は…
「……君、何で重力が働いていないんだい?」
「答える義理はないな」
-エナジーブレード展開 状態安定-
短く答え、再びプロフェッサー目掛けて駆け出しブレードを振るう。すると半ば予想通りにアンプルの内容物を撒いてきて…装甲に付着したそれが莫大な質量を獲得した。
無論、今の俺に重力は働いていないため影響は無く、このまま戦闘を継続しても良いが、先にネタ明かしと行こう。
「…見たところ、貴様の魔法の効果は質量の付与とそれの圧縮か」
「ご明察だね。ついでに言えば、私は君と同じく自身に働く重力を無効化出来る。ま、それでも我々は魔法少女のように先天的に魔法が備わっているわけじゃ無いから、飽くまで人工的に魔法を使用出来るようにしているだけだけどね。故に、魔法それぞれの効果は限定されてしまうんだ」
「加えて制限も多いと…アンプルに閉じた物質を介してしか魔法を発動出来ないのだろう?」
「あぁ、だからこそ私の魔法は威力自体は大した事がない。影響出来る範囲が極めて小さいからね。ただ、これは私の場合だよ。勿論タイタンやマザーは違う」
「そうか」
アンプルの内容物は、転移に使用した物を除いて
代償が何かは今となっては不明だが、何らかの影響下にはあったのだろう。
今言えるのは、コイツはアンプルが無くなれば魔法を発動出来なくなるため…持久戦に持ち込むべきという事だろうか。
思いながら、俺は自身に飛来するアンプルをブレードで斬り、焼失させる。血液を焼き尽くせば魔法の発動は不可能となるはずだ。
「…んー、やっぱり君欲しいなぁ…」
「急にどうした」
「いや、重力が働かない。装甲材質も不明、そしてその圧倒的なパワー…研究材料としてはうってつけだよ。今まで何人かの魔法少女を解剖してきたけど、君のような娘は初めてだ」
「解剖?」
「あぁ勘違いしないでね。勿論拐ったりはしてない。魔獣だったり他の構成員が撃破した娘の遺体だから安心したまえ」
どこに安心出来る要素があるのか…戦場で死んだ魔法少女の遺体は、回収が困難でそのまま放棄されることも少なくないのは確かだ。
かと言って、その遺体を解剖するのは倫理に反するだろうに。犯罪組織に倫理を説いても無駄だろうが。
………それに、アイアンソルジャーである俺が言うのもお門違いだ。
「取り敢えず、私に協力するつもりは?」
「あると思うか?」
「無いだろうね」
言ってプロフェッサーがアンプルを取り出す。超小型とは言え、ブラックホールの質量にまで拡大する魔法だ。投擲の速度自体は精々時速300km前後だが、質量が増幅されたそれを正面から食らえば少し不味い。
ならば————————近付くまで。
◇
『こちら紅。イナズマがプロフェッサーと共にどこかへ消えた。恐らく転移したんだろうが…速やかに合流されたい』
『了解した。リン、シルフィ。我々に構わず、先に1班と合流しろ』
あの衝撃の後、私達は急いでイナズマちゃん達が向かった方向に通路を移動していた。
そんな中入ったイナズマちゃんが消えたと言う通信。私の心臓は、戦闘の時以上に激しく脈打ち始める。後に続いた軍人さんの言葉が耳に入らない程には…
「…ン…リン、大丈夫?」
「ッ…うん」
アリスに心配そうな顔をされてしまった。今は、集中しないと。
「…先に行きます」
『了解。我々もすぐに追い付く』
軍人さん達の返事に頷いてから、私とアリスは加速を始める。進路上には倒れた構成員の亡骸がたくさんあって、それらを極力見ないようにしながらではあるけど。
…やがて、一本の少し幅が広い通路に出た。
先の方には大きな扉があって、その脇に2人の構成員が倒れている。そして聞こえてきたのは…銃声。
「アリスッ」
「えぇ!」
魔法を使用して、一気に扉を蹴破り中に入る。途端に目に入ったのは、マザーと戦う軍人さん達の姿だった。
銃を撃ちながら走り、魔法を撃たれればスライディングで回避。その間も銃口はずっとマザーの方へ火を噴いていて、途切れない。
『手榴弾!』
「鬱陶しいわね…」
爆発が起こり、マザーの姿が一瞬隠れる。その隙に軍人さん達は一斉に後退して私達の隣に並び立った。
『リンとシルフィだな。悪いが協力してくれ、これ以上弾を無駄にしたく無い』
「もちろんです」
銃のマガジンを交換しながら言ってくる軍人さんに答え、私は魔力を練り始める。ここには、マザーを守っていた魔獣達は居ない。ならさっきよりも…!
「合流されちゃったかぁ、まぁ良いわ。纏めて薙ぎ払ってあげる」
『回避!』
紫の巨大な光球が、床を削りながら迫る。軍人さん達は横に跳びずさり、私とアリスは迎撃のために腰を落とした……その瞬間、声が聞こえた。
「天賦解放、
火球が私達の頭上を飛び越し、光球と衝突する。2つの球は互いに喰い合いながら一気に縮み始めて、最後には燐光になって消えた。そして…
「ハルカちゃん、只今参上!」