強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
「ハルカ…!」
『こちら紫、1班及び魔法少女と合流。これより交戦に入る』
『了解、2班3班は合流まで推定10分』
ハルカに続いて、通路から軍人さん達が次々と出てきた。彼等は1班に自分等の弾を分け与えながら、マザーに攻撃を始める。
「次から次へと…」
忌々しげに表情を歪め、マザーは魔導障壁で銃弾を防ぎながら自身の足元に巨大な魔法陣を顕現させる。すると魔法陣が強い光を放ち…無数の魔獣が現れた。
「お行きなさい」
突撃してくる魔獣達を見据え、私達は身構える。数自体はさっきまで戦ってた時ほどじゃない。反対に魔獣の等級が、ハイオークなどB級上位ばかりだけど。
「アリス…」
『次から次へと…か。こちらのセリフだな』
迂闊に攻撃を喰らえば魔法少女でもダメージを負いかねない状況で、魔法を行使しようと構える私達の前に軍人さん達が立ち塞がった。
その全身は淡く輝く透明の膜に覆われていて、表情は見えないけど何故か笑っている気がした。…
『露払いは我々がする。貴官達はあの構成員を撃退しろ』
「ッ…分かりました…!」
やる事はさっきと変わらない。でも向こうは傷を負っているし、魔力もそれなりに消費しているはずだ。それに、こっちはまだ味方が増える。
『こちら蒼、我々が目標へ到達した際、通路側への射撃には注意されたい』
『了解』
強化された耳が捉える、遠くから響く連続した金属音。振り返らなくても後ろから軍人さん達が来ているのが分かった。
文字通り勢揃い…でも、肝心のイナズマちゃんがここには居ない。すぐに終わらせて、探さないと。
「
「来るよ!」
魔法陣が一際強く輝き、紫色の手が無数に向かってくる。標的は私達だけじゃなく、軍人さん達にもその手は向かう。…やらせない!
「天賦解放、
「天賦解放、
私とハルカの声が重なり、炎の筋と光の矢が紫の手を迎え撃つ。威力は落ちる代わりに、充填時間はほぼ0秒な対魔法用魔法がここで役立つとは思わなかった。
だけど、横に広がった軍人さん達を庇うならこれが1番適しているはず。アリス程守りに秀でている訳じゃないけど、やれる事の多さで私に勝てる魔法少女はそう多くは無い。
まぁ…それ故に器用貧乏になって、一生
「天賦解放、
なんて事を思っていた矢先、目の前を白い閃光が舞った。
『凄まじいな』
軍人さんの誰かが呟く。私とハルカの撃ち漏らした数本の腕をアリスが切り落としたのだ。それも器用に軍人さん達の射線に入らないようにして。
(やっぱり負けては、いられない…!)
意気込みのまま手足を動かし、手に持ったレイピアで魔獣の群れを掻き分けつつマザーに向けて突き進む。すぐ横をアリスが走り、ハルカも近接戦が苦手ながら後を着いてきた。
既に魔獣の群れはマザーから離れていて、魔法で軍人さん達を巻き込む心配も無い。
「天賦解放、
…どれだけ戦っていただろう。体感では1時間とかみたいに感じているけど…実際は10分も経っていない。
マザーはやっぱり強い。少なくとも、さっき戦った時よりは格段に。
だけど、傷は確実に負わせられている。
それに、もうすぐ…!
『蒼より各班、目標を視認した。これより交戦を開始する。挨拶代わりだが…』
通信と同時、私達の頭上を飛び越してロケット弾がマザーの魔導障壁にぶつかり、激しい爆発を起こす。
これによってマザーの魔導障壁は大きく揺らぎ、防御魔法の代償…受け止めたエネルギーが大きいほど魔力消費も増えるという特性により、本人の体にも少なく無い影響を与えた。
具体的には、急激な魔力消費による
「今ッ!!」
私の掛け声で、背後のハルカが無数に魔法を放つ。スターレインと違って、1発1発が致命傷になる魔法をだ。
当然、マザーは魔導障壁で受け止めなければならない。だけどロケット弾で揺らいだ障壁に加えて耐えられるほど、ハルカの魔法は弱く無い。その上、めまいで魔力運用が滞っているなら。
「ッッ!!」
「よしッ!」
パリン。と小気味良い音を立てて、魔導障壁が崩れ去る。そこへ思い切りアリスと共に飛び込んで————レイピアを振るった。
2つの剣戟がマザーの脇腹と肩口を穿ち、大量の血が吹き出す。
「ふふっ」
…………だけどマザーは口から血を吐きつつ、嗤った。
「あーあ、負けちゃったかぁ…でも時間稼ぎは出来たかな」
「時間稼ぎ?」
「そう、時間稼ぎ。見て?」
言って、マザーは自身の背後へ視線を向ける。視線の先には緑色に光るカプセルがあって…側にあるディスプレイには〈Complete〉の大きな文字。
マザーに必死になって気付かなかったけど、ナニカが進行中だった、って事…
何かは分からない。だけど、私の中の魔法少女としての感覚が、激しく警鐘を鳴らしていた。
そして、カプセルが開く—————
「〈聖神体〉が目覚めたわ。貴方達はもう終わり……え?」
—————同時に、マザーの下半身が消失した。
困惑の声を上げて床に崩れ落ちるマザー。代わりに立っていたのは、
「イナズマ…ちゃん…?」
◇
「イナズマちゃん、なの?」
マザーの下半身を消し去り、黙って佇む機械を纏った少女を前に、私達は動けなかった。
イナズマちゃんと同じ灰色の髪に、完全に同じ格好。違うのは、瞳が翠である事と、その身に纏う雰囲気。イナズマちゃんも確かに冷たい雰囲気を纏ってはいるけど、ここまでじゃない。
こっちの子は、全てを拒絶しているかのような雰囲気を放ち、加えて金属のように冷たい…そんな感じがした。
「あの…」
恐る恐る声を掛ける。イナズマちゃんは別世界から来たと言っていた…この子も同じように別の世界から来たんじゃないのかな。
なら、言葉も通じるはず。
「イナズマって名前を、知ってますか?」
『……』
返事が来ない。ただ感情を移さない瞳で私達を見つめているだけ。
周囲では未だ軍人さん達が魔獣と戦っているから早く加勢に行きた……
「こちらはレイド連邦航空宇宙軍所属、個体識別名AH-533。コールサイン、ファルコン4。現在当機は感情抑制機構レベル3及び、連邦法コード10第5号に従い戦闘行動状態にある。その上で、問いたい。ここは———どこだ」
「へ?」
「先程の人型実体は
いきなり口開いたらと思ったらなんかとんでもない事言い出したんだけど!?