強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

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今回少し短いです


EP.15 帰還

 

 

 

「砂原支部長…これは…」

 

「…私にも分からん」

 

モニターに投影される映像を見ながら、砂原は眉を顰める。

 

画面には、赤外線カメラで撮られたリアルタイム映像が映し出されており…2体の人型が魔獣の群れを蹴散らしていく様が見て取れた。

 

「片方はイナズマだろうが…もう1人は誰だ?」

 

砂原の中では、ファルコン4がイナズマと同じような存在である事は流石に認識出来ている。

 

故にイナズマと最初に対面した時程彼女は困惑していなかったが…それでも、強大な敵であるハズのS級魔獣が、まるで低級魔獣であるかのように蹂躙されていく様には驚きを隠せない。

 

「なんて言うか…末恐ろしいですね」

 

「……」

 

部下の言葉に黙って頷く砂原。その目には畏怖の感情が見え隠れし、また彼女の周囲に居る司令要員も同様に、複雑な表情をしていた。

 

仮にイナズマがS級魔獣を歯牙にもかけない魔法少女というだけなら、ここまで恐れられることは無い。それこそランキングのトップ層であるなら、寧ろ殲滅速度はイナズマ達を上回る可能性すらある。

 

だが、彼女達は強大な力を持っていようと10代の少女だ。

 

対するイナズマは、どれだけ本人が魔法少女として振舞おうと、その本質が10代の少女などでは無く、地獄の激戦を生き抜いてきた軍人にして、作戦遂行の為なら総てを棄てられる戦闘兵器…根本から異なっている。

 

更に用いられている攻撃手段————殴打や斬撃も理由の一端である。

 

上位の魔法少女が用いる魔法による大規模攻撃は、一瞬で片が付く事や魔獣を殺害する際の様子が殆ど見えないため、良い意味で多くの人間の理解が及ぶことは無い。

 

 

だが、殴打や斬撃は速度や膂力こそ次元が違う中でも想像が付く、付いてしまう。

 

そこへ魔法攻撃の際には見えない、飛散する肉片や血液などの要素が加わる事で、より効果的に2人の異質さを伝えてしまっていた。

 

そしてこれは、イナズマが魔法少女では無く異世界の軍人と知っている砂原ですら、例外では無い。

 

「味方で本当に良かったわ…」

 

しみじみと言った様子で呟く砂原。

 

もし今、画面の向こうで蹂躙されている魔獣達が人間だったとしたら…などと、様々な想像が脳裏に映り、冷や汗が滲み出た。

 

実際、イナズマがこの世界に降りた時の状況によっては、砂原の想像が現実のものとなっていた可能性はある。例えば、セイヴァーの構成員と魔法少女が交戦していた際、魔法と言う埒外の力を行使する両者を比較して、魔法少女側を学徒動員とイナズマが判断した場合……

 

無論たらればの話ではあるが、もしそうなっていたら情勢は大きく変わっていた事だろう。

 

「……終わったか」

 

「魔獣反応、消滅しました…まさかこれだけの数をたった2人で…」

 

「まぁS級最上位の魔獣が居なければこんなモノでしょう…」

 

司令部の要員達が各々の言葉を吐く中、砂原のポケットに備えたスマートフォンが鳴る。

 

『支部長。イージス本部から通信です』

 

「分かった、直ぐいく」

 

 

 

 

「あの…僕めっちゃ見られてるんだけど…」

 

「外観で言えば俺と殆ど同じだからな、無理もないだろう」

 

 

白神山地での戦闘から数時間。

 

プロフェッサーの施設から大量に湧き出した魔獣の全てを撃破した俺達は、帰還した小牧駐屯地で歓声の中を歩いていた。

 

数百体と言う膨大な数の魔獣を相手にして、そこまで時間が経っていないのは、ヒュドラやウロボロスといった脅威度10の魔獣が居なかった事もあるが、何より今隣を歩いているファルコン4の存在が極めて大きい。

 

データリンクで相手の動きを常時把握出来ているのもあるが、何より互いに配慮する必要が無いのが戦闘の効率が上がる要因となっていた。

 

また、多数の敵が蠢く場所へ単身或いは少数で突入して戦闘を行う…H型アイアンソルジャーの本懐とも言える戦闘であった事もあるだろう。

 

「砂原ユキによると、お前は俺の血縁関係のある魔法少女として説明されているらしい。話を合わせてくれ。ただ例外も数人いる」

 

「オッケー、だけど妹がどっちで姉はどっち?」

 

「別にどちらでも構わん、ただ元々俺に姉妹は居なかった事は考慮してくれ」

 

現在ファルコン4には、この世界へ飛ばされた際に女性体に変化していた事は伝えてある。元々女性体だったファルコン4なら、どちらでも問題無く対応は出来るだろう。

 

問題は俺だ。

 

イーグル隊に兄弟姉妹など存在しなかった上、軍人であったときもその様な関係性の人物達と接する事がなかった。

 

下手な事を言えば、容易に看破されるだろう。

 

ただ、ツルギ隊及びイージスの上層部は俺とファルコン4が同型機であると知っている。今後問題になるとしたら、メディア等への露出が行われた際になるはずだ。

 

「まぁでも、この世界で姉妹で魔法少女と言うのはさほど珍しく無い。他国への潜入等と比べれば難易度自体は高く無いだろう」

 

「なら良いんだけど。じゃあ僕がお姉ちゃんでキミが妹ね」

 

「了解した」

 

 

最も、姉妹を演じるからと言って言動を変えたり性格を調整する必要性は無い。精々他者よりやや親しい間柄であると思わせれば良いだけのはず、だ。

 

だから……

 

「何故抱きつく必要がある」

 

「え?姉妹ってそう言うものじゃ無いの?」

 

「知らん、ただ親しさを演出する上で身体的接触が著しい必要は無いだろう」

 

そもそも、軍人しか居ないこの場で姉妹である様に振る舞う意味など殆どない。重要なのは市民が情報を受け取る事であって、国防軍に俺達が姉妹であると広まったとて、どうにもならん。

 

…ただ、コイツは離す気がないと言うのもよく分かる。

 

 

「はぁ…一先ず、今後の方針は分かったな」

 

「もちろん」

 

本当に分かっているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

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