強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました   作:Yura0628

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EP.03 異物、名乗るはイナズマ

 

 

 

 

「にわかには信じがたいけど…信じるしか無いわね」

 

「無論、信用してくれとは言わない。ただ現状敵対するつもりはなく、元いた世界に戻るためなら協力は惜しまない」

 

「なら一応君を魔法少女扱いしておくけどさぁ…まさか落下した隕石が異世界から来た強化人間で、魔力持たないのに魔法少女並に強いとか…」

 

はぁ…とため息を吐いて椅子にもたれる女性を眺めながら、俺はここまで起こった事を振り返る。

 

 

あの後イージスの構成員に拘束された俺は、イージス日本支部に連行され事情聴取を受ける事になった。

 

何処から来た誰なのか。なぜ魔力もないのに魔獣に勝てたのか…などなど数時間にわたる尋問が行われた。

 

そして最終的に、イージスは俺を魔法少女として扱うと決め、俺は元いた世界に戻る手段を探すと共に、帰還手段の捜索と引き換えで魔法少女として力を貸す事となった。

 

 

なお今はイージス日本支部長である〈砂原ユキ〉と、今後の事について話し合っている。

 

「本来魔法少女になった娘には色々訓練を受けてから実戦に出てもらうんだけど、君には多分必要ないでしょ……」

 

「そうだな、魔獣の詳細情報を渡して貰えれば十分だ」

 

「んー、なら魔法少女としての名前とかプロフィールとかその期間に決めるから、今ここで決めちゃう?」

 

「俺は構わない、だが使用する魔法名等は俺が実際戦いながらそちらに決めてもらう方が良いだろう」

 

あからさまに異物扱いされると捜索の支障になる。やはり、この世界の常識や文化に従うほか無いだろう。

 

「じゃあ先ず名前から決めるとして…何か案ある?」

 

「名前の案…か」

 

リンに名乗ろうとした名前…アイアンソルジャーとしての呼称〈AH-628〉、或いはコールサインのイーグル1では、魔法少女としては明らかに不適格だ。

 

そこまで命名規則が厳格で無いとはいえ、民衆に親しみを与えるにはもっと寄り添ったモノを考えなければならない。せめて日本語で…

 

そこでふと、前の世界で上官…ヘルハウンドに言われた言葉が蘇った。

 

 

 

 

『何時如何なる時でも任務を優先し、己の命を炉に焚べ、作戦を遂行する。アイアンソルジャーはそういう存在だ。故に、任務が無い時位は人間に戻れ』

 

『人間に必要なのは、感情、理性、そして名前だ。今のお前達はこの3つを全て失っているが…』

 

『名前位は、俺が与えよう』

 

 

 

 

 

「…〈イナズマ〉」

 

自然に口から零れた、とうに忘れていた俺の名前。任務に続く任務で一度も使う機会が無かったが、こうして役に立つ時が来るとは。

 

(感謝する、ヘルハウンド)

 

目を瞑り、噛み締める様に再びユキに告げる。

 

「イナズマだ。俺はこの名前を名乗る」

 

 

 

 

 

 

「無事でよがっだぁぁぁぁ!」

 

「お、大袈裟だってば」

 

イージス日本支部のエントランスにて、私〈八雲スズ〉は胸に飛び込んできた桃色髪の少女〈月宮ハルカ〉を受け止める。私のルームメイトでもある彼女は、シャドウアメーバと交戦していた時、通信機の向こうにいたためとても心配をかけてしまったはずだ。

 

でももうちょっと力弱めて欲しいかな…?

 

「う〜」

 

「ハルカが赤ちゃんみたいになっちゃった…」

 

尚も頭をぐりぐりと擦り付けてくるハルカに困っていると、奥から同じくルームメイトで銀髪翠眼を持つ〈品川アリス〉が歩いて来た。

 

「無事で良かったわスズ」

 

「アリスも、任務お疲れ様」

 

雪姫って呼ばれるくらい冷たそうな印象を受けるアリスだけど、無事を喜んでくれたりするから本当は優しいって事が世に広まって欲しいんだよね。

 

もちろんハルカも、私の無事を祈ってくれていた。こうして想ってくれる仲間がいるのは、とても幸せな事だと思う。

 

(でも今は、あの娘にもう一回ちゃんとお礼が言いたいな)

 

颯爽とシャドウアメーバから私を救ってくれた、蒼い目を持つ少し不思議な女の子。結局名前も聞けず終いだったし、今度会う事があったらしっかり話したい。

 

(いつかまた会えるよね)

 

胸に生まれた()()()()()()()を感じつつそんな事を思っていると、

 

「丁度良いところに居た。八雲」

 

「す、砂原支部長!?お疲れ様です!」

 

背後からいきなり声を掛けられて私とハルカは慌てて敬礼をする。対してアリスは相変わらず反応が早いというか…っ今はこんな事考えてる場合じゃ無い。

 

どうにか頭を回転させて言葉を紡ぐ。

 

「え、えと、何か私達にご用でしょうか」

 

「あぁ、コイツをお前らのチームルームに配属しようと思ってな」

 

言葉と同時に砂原支部長の後ろから現れたのは、蒼い瞳に灰色髪の女の子…って、えぇぇぇ!?!?

 

連続する驚き、これで叫ばなかったの逆に凄くない?

 

(そ、それよりっ!)

 

女の子はさっきのメカメカしい?格好から打って変わって、イージス指定の訓練ジャージに身を包んでこっちを見てくる。うん、雰囲気のギャップ凄い。

 

それにもう一度会えるかななんて思ってた相手が同じ部屋に…?待って私のところ綺麗だったかな…

 

などなど色々な思考が渦巻き、まだ輪郭すら見えていなかった熱い感情が急速に大きくなっていく。

 

「イナズマだ。よろしく頼む」

 

(イナズマちゃん…って言うんだ)

 

前に出て来て頭を下げるイナズマちゃんを眺めながらそんな事を思う。十中八九本名じゃないけど、少し彼女に近づけたみたいで嬉しかった。

 

「私は品川アリス。よろしく」

 

「月宮ハルカ…です。よろしくお願いします」

 

横の2人が手早く自己紹介を済ませる、するとイナズマちゃんの視線がこちらを捉え、頬に熱が集まるのを感じた。

 

「さっき…は、フルネームで言えなかったけど、改めて…八雲スズです。よろしくね」

 

ドキドキしながら返答を待つ。キョどってるって思われないかな…?

 

「八雲…スズか、良い名前だ」

 

「っ!?」

 

「彼女は訳アリだが、あまり詮索しないでやってくれると助かる。もちろん……」

 

 

後に続いた砂原支部長の言葉は、まるで頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

夜。

 

イナズマちゃんへのささやかな歓迎会をした後、寝静まったチームルーム。

 

「あ〜〜〜」

 

私は昼間の事を思い出しては唸り、どうしても寝る事が出来ずにいた。

 

モヤモヤする…ナニコレ。異物感はあるのに気持ち悪くない、むしろ心地良いと言うか…

 

(あぁもう)

 

「…イナズマちゃん…起きてる?」

 

モヤモヤに耐えかねた私は、思わず声を掛けてしまった。…しかし、しばらく待っても返答はない。

 

(まぁ寝ちゃってるよね)

 

そう思って、自分も今度こそ寝ようと目を瞑る。

 

「すまない、少し考え事をしていた。何か用か」

 

「へぁっ!?起きてたの!?」

 

「声量を抑えろ」

 

「あ、そうだよね。ごめん…」

 

……どうしよう、私から声かけたのに何言えば良いのか分かんない。

 

「用がないのなら俺は自分の事に戻るが」

 

「ち、ちょっと待って……」

 

聞きたい事。やっぱり、イナズマちゃんは何者なのか知りたい、でも…

 

 

 

「………昼間、砂原支部長から詮索するなって言われたけど、イナズマちゃんって…ナニモノなの」

 

聞いてしまった。モヤモヤとは別にずっと引っ掛かっていた事。あった時の質問の内容は、まるでこの世界の住人じゃないみたいな感じがしてたけど…

 

「……そうだな。俺が何者か…質問から察するに、凡そは予想が付いているな?なら、恐らく当たっている」

 

「俺は別の宇宙から来た存在。より詳しく言えば、戦闘中にこの世界へ飛ばされて来た強化人間だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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