強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました 作:Yura0628
イージス日本支部
「んー、何なら良いのかなぁ?」
「スズ、何してるの?」
イナズマちゃんとアリスが任務に行った後、私は部屋の机に向かい、ある事をずっと考えていた。
「イナズマちゃんともっと仲良くなるためにはどうしたら良いのか考えてたんだー」
昨夜、イナズマちゃんが悲しむことも喜ぶことも出来ないと聞いて思わず泣いちゃったけど、それなら私達と一緒に過ごしてく中で感情を芽生えさせちゃえば良いんじゃ無いかと考えたからだ。
負の感情の方が発現はしやすいらしいけど、嫌がらせはしたくないし…
「おー悩んでる悩んでる、スズらしいね。…私も一緒に考えるか!」
「良いの?」
「そりゃもちろん、私だって仲良くなりたいし♪」
やった、人懐こいハルカが居れば100人力、頑張るぞー!
◇
「Bumoooo‼︎‼︎」
「硬いな、いやそれより、刃が通り切っていない…」
エナジーブレードを振り下ろした傷跡をスキャンし、俺は一言呟く。また先日交戦したシャドウアメーバ程では無いが、徐々に傷口が埋まっていくのも確認出来た。
「Bumoooo‼︎」
「ッ!」
丸太の様な腕による薙ぎ払いを正面から受け止める。すると踏ん張っていたアスファルトが割れ、体が少し沈み込んだ。俺は耐えられるが、足場が保たない。
(痛みで力を緩めさせるか…)
-ターボパワー起動-
ミシリ、と、強靭なミノタウロスの皮膚に指を食い込ませる。途端にミノタウロスは悲鳴をあげ、もう片方の腕でこちらを殴打し始めるが、俺を動かすには足りない。
しかし、まさか早々に通常出力のエナジーブレードで切断しきれない魔獣が出現するとは思わなかった。これが魔力強化というモノなのだろうか……シャドウアメーバ同様、今後これの上位互換が現れた場合、場合によっては苦戦を強いられる可能性もあるな。
-警告 後方敵攻撃接近-
「む、もう来たのか」
片手で腕を抑え込んだまま痛みにもがくミノタウロスを観察していると、後方センサーが警報を発する。もう1体のミノタウロスによる、後ろ上方からの攻撃だ。
そこそこ遠くに
「対応する」
即座に抑え込んでいたミノタウロスの腕をへし折り、地面に引き倒す勢いのまま空中へ跳躍。背後から腕を振りかぶっていたもう1体のミノタウロスへ、後ろ回し蹴りを胴体に叩き込んだ。
が。
「…性懲りも無く」
「Bumooo‼︎‼︎」
吹き飛んだミノタウロスはすぐさま立ち上がると、魔力強化で肥大化した脚部を以て地響きを立てつつ再び接近して来る。脅威にはなり得ないが、こうも来られると中々面倒だ。
「お前から排除する。C.I.S起…」
ここで、戦闘が配信されている事を思い出しC.I.Sの起動を思い留まる。脅威度6が相手とは言え、通常武装で対処出来るなら使用はまだ早い。
いくら俺が使用魔法を〈仮称・
ここは手持ちの武装で対処するしか無いだろう。幸い、ミノタウロスの魔核はエナジーブレードの光刃で容易に届く。もし首などに致命傷を与えられなかった場合でも撃破は可能だ。
それに戦闘データも十分取れた、これ以上生かしておく理由は、無い。
「イナズマより品川アリス。これよりミノタウロスを殺害する。問題は無いな」
『今それどころじゃッ…無いんだけどっ!良いわよ!やっちゃって!』
「了解した」
通信を切る。
観測データから、彼女もミノタウロスと交戦中だ。彼女の戦闘力を把握するため敢えて1体引き受けさせたが、事前シミュレーションでは品川アリスが全勝していた。恐らく問題は無い。
ただ万が一に備え、降下時の反省を活かし、彼女の戦闘は常に観測している。必要があれば直ぐにでも。
-エナジーブレード展開 出力60から90へ変更 状態安定-
ブレードによって空気が熱され、周囲の温度が急速に上昇していく。これならば、魔力強化諸共切断出来るはずだ。
「往くぞ」
正面には、魔法で顕現させたと思われる棍棒を掲げて威嚇するミノタウロス。背後には骨折を治癒し終え、憤怒の表情を浮かべたミノタウロス。
「「Bumoooooooooo!!!!!!!!!!!!!」」
数秒の睨み合いの後、2体は音響センサーが瞬間的に
「「Ooooooooooo!!!!!」」
背丈が3mを超える魔獣の突進は、普通の人間からしたら大型輸送車が向かって来るに等しい、或いは上回る恐怖を与える事は想像に難く無い。前後を挟まれていれば尚更だ。
しかし、一度でも
「
振り下ろされる棍棒を——————斬る。
同時に後ろから襲い来る裏拳を屈んで躱し、ガラ空きになった下半身へ足払いを行った俺は、姿勢を崩したミノタウロスの胴体を袈裟斬りにした。しかし、これでは致命傷には至らない。
「…浅いか」
高温のブレードに焼かれ傷口の再生は遅れているが、治癒が完了するのも時間の問題だ。一先ず棍棒を振り下ろしてきたミノタウロスの顔面に膝を叩き込んで黙らせ、傷を負わせたミノタウロスにターゲットを絞る。
「Bumoooo‼︎‼︎」
怒りに任せた拳を受け止め、懐に潜り込むのと同時、ピンと伸ばされた腕をバラバラに切り裂く。ミノタウロスは痛みに絶叫を上げるが、後頭部を掴んで思い切り地面へ叩き付けると静かになった。
頭蓋骨の強度次第ではこのまま潰そうと考えていたが、アスファルトを凹ませてなお形状が変化していない…手段を変更する。
-高エネルギー体捕捉-
倒れ伏した巨大な体へエナジーブレードを突き立てる。意識を喪失したからか魔力強化も切れ、光の刃は容易に魔核へと至った。
「Bumo…o…oo…」
-目標撃破-
「先ずは1体」
振り返り、フラつきながら立ち上がるミノタウロスに視線を向ける。脳震盪で足取りもおぼついていないが、俺に対する闘志だけは衰えていない。
と同時、腕から伸びたブレードがバチバチと閃光を放ち、システムが
-ビーム発振部過熱状態 エナジーブレード解除-
「ふむ…」
高出力ブレードの展開可能時間がやや短くなっているな。現時点で原因は不明だが、恐らく強化外骨格の構造変化によるものだろう。設計時と異なる以上、何らかの不具合が出るのは必然と言える。
ただ、これについて対応するのは後だ。
-リアクター出力上昇 各駆動部 対衝撃措置-
ミノタウロスが咆哮を上げ、瓦礫を蹴散らしながら急速に迫って来る。奴の顔に浮かぶ表情は、怒りと、恐怖と、一抹の悦び。
そして振り上げられた拳には、先程以上の魔力と力が込められている様に見えた。
(ミノタウロス始め、一定以上の強さを持つ魔獣は強者と戦う事に歓喜を覚えるらしいが…)
思いながらこちらも腰を落とし、構える。すると牛頭の口角が僅かに上がったのを、俺は見逃さなかった。
「…迎撃する」
ならば、正面から受けて立とう。
蹂躙されると分かっていながら向かって来る闘志に、敬意を払って。
轟音。
互いにノーガードで突き出した拳が真っ向から衝突し、凄まじい衝撃波が発生する。脚元のアスファルトはとうに耐荷重限界を超え、割れた破片を辺りに撒き散らす。
莫大なエネルギーとエネルギーのせめぎ合い。
先に
「O…o…o…oo……」
砕け散った自身の右腕を眺め、佇むミノタウロス。
そしてその側へゆっくりと歩み寄り、俺は奴の胸に拳を当てた。
「…見事な戦いだった」
-インパクト-
次回掲示板回です。もし面白ければ高評価、お気に入り登録よろしくお願いします。