週1くらいで更新を目指します。
「最強のスタンド*1は何か?」
そう訊かれれば、俺は迷わず「クレイジー・ダイヤモンド」と答えるだろう。
『ジョジョの奇妙な冒険』
世界中で根強い人気のある漫画だが、諸君は読んだことはあるだろうか。読んだことがなくとも、アニメを視聴したことならあるという人も多いだろう。本編は知らないが数々のネットミームを通じてジョジョを知った人もいるかもしれない。
かくいう俺もアニメから入った一人だが、今では一番好きな漫画だ。
そんなジョジョ好きの間でよく為される論争が、主に2つある。
「どのスタンドが最強か」
「どの部が一番面白いか」
前者は作中でも、「スタンドは適材適所であり、「強い」「弱い」の概念はない」という趣旨のセリフが登場する。しかし、バトルものの宿命か、ファンは最強議論をせずにはいられないのだ。この論争においては、やはり主人公やラスボスのスタンドが語られがちである。
後者に関していうと、人によって意見が非常に分かれるところだ。スタンドが登場する前の1部や2部が好きな人もいれば、シンプルかつ王道の3部を好む者、複雑なスタンドの多い7部を好む者などもいる。
……俺はどうなのかって?
「最強のスタンドはクレイジー・ダイヤモンド」というのは既に言ったことだが、後者への回答は「一番面白い部は4部」となる。初めて視聴したのが4部のアニメだったから、その影響をモロに受けているのはお分かりだろう。
4部について語り始めると余白が足りなくなってしまうので割愛するが、クレイジー・ダイヤモンドについては少しばかり説明させてもらう。
クレイジー・ダイヤモンド。4部の主人公である
だが、最も特筆すべき能力は「触れたものを治す」というものだ。
生物・非生物問わず、どんなものでも瞬時に治し(直し)てしまうという驚異の能力を持っている。一人で戦闘もヒーラーもこなせる、まさにぶっ壊れ能力だ。
唯一にして最大の弱点は、「自分自身だけは治せない」こと。だがそれがカッコいいんだ。
作中において仗助は、その治す能力を自由に解釈してさまざまな応用を利かせていたが、これも詳細の説明は省く。もし気になるという人がいれば、ジョジョ4部の漫画なりアニメなりを見てくれ。
俺が前世の記憶を持っていることに気が付いたのは、4歳のときだった。
「あぁぁーーそぉぉーーぼぉぉーー」
住んでいるマンションのロビー。見慣れたオートロックの自動ドアと大理石のタイル。そこに異形の存在がいることを認識した瞬間、堤防が決壊したかのように記憶の濁流が脳を襲った。
前世の俺は漫画・アニメ好きの大学生だったこと。特に『ジョジョの奇妙な冒険』が大好きだったこと。バイトの帰りに交通事故で亡くなったこと。
そして、異形を見てはっきりと認識した。今の俺が生きているこの世界は、漫画『呪術廻戦』の舞台内だということを。
しまった。そう思った時には遅かった。
異形の存在――呪霊は、こちらが見えていることに気づいた瞬間、ニタリと嗤った。
「あぁぁーーそぉぉおーーぼおぉぉおおー!!」
咄嗟に両腕をクロスさせて防御態勢をとったが、その程度では呪霊の突進に耐えられるはずもなく。勢いよく吹き飛ばされたことで、壁に後頭部をしたたかに打ちつけてしまった。
首筋に生温かいものが垂れるのを感じる。頭部から出血しているのだろう。脳が揺れ、立つこともままならない。霞んだ視界の中で、こちらを嘲るような眼をした呪霊が近づいてくるのが見えた。
俺をいたぶって愉しんでいるのか。
朦朧としながら、なぜか冷静に呪霊の行動原理を分析し始めていた。
こいつは恐らく、術式を持たない低級の呪霊だろう。四級か三級か。自分を視認できる程度には呪力のある人間を見つけては、散々嬲った末に殺す。そうやって愉しんでいる呪霊なんだ。
「ふざけやがって……」
恐怖はあった。だがそれよりもより強く湧き上がってきたのは“怒り”だった。
どうして俺がこんな目に遭わなくちゃならない?前世では、まだ19歳だったのに自動車に轢かれて死んだんだ。今世じゃ、4歳で呪霊に嬲り殺されるのか?
そんなこと、受け容れられるはずがないだろう。
ここから生き残る手はある。呪霊が見えているということは、俺にはそれなりの呪力があるということ。これまで見えていなかったのは単に、死から遠い生活をしていたからだろう。呪霊という危機に瀕して、俺の呪力は今、目覚めた。
ならば祓えるはずだ。どのみち、脳震盪状態で走っても逃げ切れるわけがない。今ここでこの呪霊を祓って、生き延びてやる。
「呪力は腹で回す」
作中での言及を思い出し、腹に力を込め、湧き上がる怒りを力に変えていく。
その瞬間、世界がクリアになったように感じられた。呪力を纏ったことで、感覚が強化されたのだろうか。
俺の雰囲気が変わったことを察知した呪霊は、嘲るような表情を一転して驚いたようにこちらを見つめている。
「ビビってんのか?」
「……うぅぅぅううぅぅ」
「来いよ」
「ああああぁぁぁあぁぁっっっ!!!」
雄たけびを上げて再度突進してくる呪霊。その表情には先ほどまでの油断はない。目の前の相手が最早、ただの玩具ではないと理解しているのだろう。確実に一撃で葬り去らんと、握り締めた拳を振りかざしてくる。その動きは最初の突進よりも速く、鋭い。
だが。
「ドラァッ!!」
子どもの体格を活かして相手の懐に潜り込んで、一発。呪力を纏った拳によるアッパーを食らわせた。
もちろん、これだけで祓えるなんて考えちゃいない。すぐさま追撃に入ろうとした瞬間。
「ぁ、ぁああぁあぁ……」
ザフッという音を立てて、呪霊は消滅した。
「……あれ?」
手ごたえのなさに拍子抜けする。消えたフリをして騙し討ちでも狙っているのかと警戒したが、今のは間違いなく呪霊の消失反応だった。
なぜ今の一撃だけで祓えたのかまるで分らなかったが、少なくとも俺は勝った。勝って生き延びたんだ。
「はは……ざまぁみろ……」
緊張の糸が切れたせいか、頭部の負傷のせいか、俺はそのまま意識を手放した。
〈ロビーの呪霊〉
四級呪霊。
場所を転々としながら、見える人間をいたぶる習性がある。
呪霊としてはまだ若く、主人公に祓われなかったとしても近いうちに術師によって祓われていた。
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