悪夢が参る!   作:海鵜白鷺

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お久しぶりです。
年内には間に合った…
今回は前半と後半とで進む物語が違います。
タイトルもそんな感じで二つまとめてみました。
今回は短め…
遅筆をお許しください。
では、どうぞ


警備隊長フスイ/夜襲目ニスル魔ノ腕

アリア邸をナイトレイドが襲撃して一夜が明けた現在。

その凄惨ともいえる現場には帝都警備隊の姿があった。

死体を片付ける隊員と現場検証を行う隊員は、思わず顔をしかめながら自分たちのやるべきことを行っていく。

そんな隊員たちを一人の大男が指揮していた。

 

「お前ら!証拠はできる限り集めろ!…といっても、ナイトレイド(あの連中)で十中八九決まりだろうがな…チッ…余計な仕事増やしやがって…」

 

左目に傷があり、その姿はまるで鬼のような男―オーガは周りに聞こえないほど小さな声で本音を漏らした。

普段多くの部下を率いて帝都の巡回をする彼は、比較的部下からも信頼がある。

だが、その裏では数々の悪行を行う外道であることでも一部の人間の間では有名である。

警備隊隊長としての実力からその行為も黙認されているが、いずれ罰が下ることになることを彼自身が知ることはないだろう。

しかし、鬼のようなしごきとその体格から繰り出される攻撃によって、身内だけではなく犯罪者からも『鬼』と呼ばれるほど恐れられている。

そんな彼は今日は非番であったため、余計に気が立っていた。

せっかくの休みを台無しにされているからであり、決してこの家族に同情をしているわけでもない。

オーガという男はそういう人物なのである。

 

「オーガ隊長、ご苦労様です」

 

「あ?おう、ずいぶん重役出勤じゃねぇか…もうだいぶ片付いたところだ」

 

そんなオーガに声をかける青年が歩いてきた。

他の警備隊員よりも少しだけ装甲が多く、首のあたりにはマフラーのように長いスカーフがまかれていた。

メガネをかけ知的に見える青年は、機嫌の悪いオーガを前に平静を崩すことはない。

右腕には、帝都警備隊には見られない赤い腕章がつけられていた。

 

「ずいぶんと機嫌が悪そうで。非番がなくなってはそれも仕方ないでしょうが、もう少し怒気を抑えてくださいよ。隊員たちが冷や汗掻いてますよ」

 

「ハッ!知ったことか。こちとらせっかくの休みをあの連中につぶされてんだよ…で?お前が来たってことは、後は任せていいんだよな?上司(警備隊本部第二部隊長)さんよ」

 

話しかけてきた青年に対してオーガはぶっきらぼうにそういうと返答も聞かずに背を向けて歩き出す。

青年はそんなオーガを見送りながらその背中に声をかけた。

 

「あんまり羽目を外しすぎないようにしてくださいよー…といっても、無駄でしょうけど」

 

オーガはその言葉に見向きもせずただ手を振って歩き去っていく。

もちろん後半の言葉が彼の耳に届くことはなかったが。

オーガの姿が見えなくなると青年は現場へと足を踏み入れていこうと動き始める。

 

「ま、待ってくださいよー!フスイさ~ん!」

 

そんな彼の後ろ(オーガが去って行った方向とは逆方向)から情けない声を出しながら息を切らして走ってくる少女と犬のぬいぐるみのような小さい生き物を青年―フスイは一瞥すると何事もなかったかのように歩き始めた。

 

「うぇ!?ひ、ひどくないですか!?」

 

「一体誰のせいで現場に遅刻してきたと思ってるんですか…セリュー」

 

ため息をつきその歩みを止めると声をかけてきた少女に向き直る。

帝都警備隊の制服を着たポニーテールがトレードマークともいえる少女―セリュー・ユビキタスは膝に手を当てて息を整える。

その傍らには小さい生き物がぴょんぴょんと動き回っている。

セリューはずっと走ってきたのか、かなり汗をかいていた。

そしてフスイからの呆れた視線にうっと唸るとその目線から目をそらして言い訳をする。

 

「い、いやですね…別にわざと遅刻するつもりではなかったといいますか、不可抗力といいますか…そう!これは何者かが仕組んだ罠というか!」

 

「…昨日、遅くまで隊の飲み会に参加して周りにおだてられてお酒を飲みまくった人がいてですね」

 

「うぐっ!?」

 

「酔った勢いで上司をおもちゃにした挙句、泥酔してまともに歩けなくなってわがままを言って上司の家にまで押しかけてきたくせに朝起きたら悲鳴を上げて殴り飛ばしてくる部下がいるようで…いやあ大変ですよねぇ?」

 

「フ、フスイさん…怖い!目が笑ってないしなんか瞳孔開いてるから余計怖いです!ごめんなさい!反省してますからその顔で近づいてくるのやめてください!!」

 

上司の威圧的な笑顔に涙目になりながら必死に謝る部下(+主の動きを真似るぬいぐるみ)の図に周りからは同情する視線が送られる。

はぁとため息をつくとフスイは額に手を当てながら歩き始める。

そんな上司の後を慌ててセリューはついていく。

その手にはこの現場の情報をまとめた資料が握られている。

 

「では、始めましょうか。セリューさん、それにコロ。よろしくお願いしますね」

 

「はい!私とコロにお任せください!頑張りますよー!」

 

「キュキュー!」

 

右腕を上にあげるセリューと同じ動きをするぬいぐるみのような生き物―コロの様子を見て苦笑するフスイは、セリューたちを連れて凄惨な現場の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

ナイトレイドのアジトの探索。

それが彼らに与えられた使命だった。

異民族である彼らにとって帝国は恐怖の対象ではあるが、傭兵として雇われ相応の仕事をすれば大金が手に入る。

くわえてその標的が革命軍に属するであろう組織なら今までの暮らしが一変するほどの金になるだろう。

アジトの探索。

誰かが帝国に報告できればそれで終わりの簡単な仕事。

そう彼らにとっては簡単な仕事であるはずだった。

 

それが死よりも恐ろしくなる悪夢を見ることになることなど夢にも思わない。

 

 

 

 

 

トウヤが部屋から影に飛び込むように姿を消した後。

ナイトレイドのメンバーはそこから動かなかった。

というのもキサラギが飛び出そうとしたメンバーを止めたが故である。

ナジェンダはタバコに火をつけキサラギに聞く。

 

「…それでキサラギ。全員を呼び止めたわけだが…奴の話か?」

 

「…ああ。その…今出て行ったあいつのことなんだけど…アイツの力は、俺と同じかもしれない」

 

キサラギはトウヤについて考えていた疑問を話す。

その言葉を聞いてマインが言う。

 

「待ちなさいよ、だったらあんたと同じくあいつも”恩恵”ってやつを受けた人間っていいたいわけ?」

 

「そうだ。どういう意図で手にしたかまでは分からない。でも、あいつは俺と違ってその力を存分に扱えるみたいだなんだ」

 

「おいおい、今のお前でも帝具なしで帝具使いと十分に渡り合えるんだぜ?」

 

「ということは、あいつはキサラギよりも強いってことか?」

 

ブラートとラバックはあまり納得ができないような表情を浮かべていた。

それを見てキサラギは首を縦に振る。

 

「ああ。少なくとも今の俺じゃ一人で戦ったらなぶり殺しにされるぐらい力の差があると思う。だけど…」

 

「―――キサラギは一人じゃない。私たちがいる」

 

アカメのその言葉にキサラギは一瞬呆けるがすぐに笑った。

 

「…ああ!だからこそ、もっと強くなってあいつに伝えたいんだ!あいつはまだ俺たちと同じ道を歩めるって!一緒に歩んで行けるって!」

 

名前もまだ聞いてないしな!と言うキサラギは晴れ晴れとした笑顔を浮かべていた。

その顔をみたナイトレイドの面々も先ほどまでの難しい顔ではなくなりどこか笑みを浮かべている。

そんな部下たちをみたナジェンダは再び命令を下す。

 

「よし、そうと決まればあいつに遅れを取るわけにはいかないな。タツミ達は初めてになるだろうが、我々の仕事を体験するいい機会だろう。全員出動だ。生かして返すなよ」

 

全員が返事を返そうとしたその時。

 

 

 

『----ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!??!?!』

 

 

 

そう遠くないところで、絶叫が耳に入ってきた。

その音に全員がアジトの外へと向かう。

だが、外へと出た瞬間に目を疑うような光景に遭遇した。

動くはずの足は動かない。

誰もが目の前の出来事に反応ができなかったのである。

 

「なんだよ…これ…?」

 

かろうじて出た言葉が誰のものであるかはわからない。

ただ、彼らの目に映ったのは。

 

 

 

『…あぁ、遅かったな。もう終わったよ』

 

 

 

無数に蠢く黒い手の塊に引きづりこまれゆく侵入者らしき塊。

そしてそれを見下ろしていた仮面から見える双眸から、なんの感情も抱いていないような印象を抱かせる視線を向ける彼の姿だった。




はい、ようやく更新しました。
大変だった…

そういえば、前話にちらっと出てきた彼の所属、ワイルドハントでした。
今の今まで気が付かなかった…
直しておきます…

今回登場した警備隊本部(オリジナル)所属のフスイ君がイェーガーズに入ります。
ん?セリューのキャラが違うって?
原作よりは正義厨が治まってます。フスイの教育の賜物とでも思っていただければ。
そこらへんも後々明らかにしたい。

では、今回はこれにて。
次はトウヤの視点で何が起こったのかをやった後、ショウイのあの場面に乱入して大臣に喧嘩売りに行くから期待してね。
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