悪夢が参る!   作:海鵜白鷺

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どうも、白鷺です。

更新するする詐欺でごめんなさい。
テイルズやらBFやらGE2やらで現実逃避してました。

ようやっと書けたと思ったら長すぎた…
一話にまとめようとしたらこれ、長すぎじゃね?と思ってしまうほどに…
なので分けました。
分けても多いです。
あと今回の話でカットしてしまって皆さんが分かりづらいと感じた部分も多くあると思います。
それは後々説明というかトウヤの回想的な感じで本編内、もしくはキャラ設定の回を設けてやろうかなと思ってます。
今回はside表示してません。トウヤ視点ではありますがね。
あとサブタイこれからなしでもいいかな…考えるのが中々つらい。

ではプロローグ最後。2話になってしまいましたがどうぞ。


覚める序章と始まる悪夢 2-終

あの後寝室に戻った俺たちは、倒れるように眠ってしまった。

張り詰めていた緊張が切れるたせいだと思う。

布団を被った後の記憶が無い。

 

「……………朝か」

 

目を覚ました俺は顔だけ動かして窓を見た。

雪が屋根から落ちる音がする。

水を含んだ重い雪が軽くふわふわした雪を伴って滑り落ちる音は聞いていて心が安らぐようだった。

外から日を浴び、その眩しさに目を細めつつゆっくりと起き上がる。

上半身だけを起こし、カーテンの閉まった窓を見る。

…どうやら晴天のようだ。

 

「帝都に行くには、まさにうってつけって日だな…よしっ」

 

昼には父さんたちと一緒に帝都へいくだろう。

元軍人でその気質が抜けていない父さんはもう出立の準備もしているはずだ。

それに遅れるわけにはいかない。

そう思った俺はすぐに着替えを始めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

昨日集まった応接室のような部屋に俺はハル、ミーナとともに来ていた。

目の前には父さんや母さん、その横にカイさんとクロードが控えている。

俺たちが部屋に来て使用人たちが出て行くと父さんは伏せていた目を開きこちらを見据えながら口を開いた。

 

「…答えを聞くにはよい頃合だ。ハル、ミーナ、そしてトウヤ。お前たちの考えを聞くとしよう。否定はしない、思っていることを言いなさい」

 

そういった父さんから真剣な眼差しが俺たちに向けられた。

その視線にまずハルが答える。

 

「俺は行く、親父やお袋、村の皆が苦労してるってのに帝国のお偉いさんは見向きもしないのが許せねぇ…どんな高尚な考えを持ってるのか知らねぇけど…俺はそれを知りたい!まぁ帝都に行くのは初めてだし楽しみにしてないって言えば嘘になるけど俺でも力に成れるなら…って思います!」

 

一歩前に出て自分の主張をハルは熱く語る。

途中自分の欲望が出てたがそれがハルの魅力だ。

そのハルの横にミーナが並ぶ。

 

「…私も行きます。みんなの村が、こんなに苦しまないといけない理由が知りたい…帝都には危険も沢山あるけど…それ以上に私は、私は皆を救いたい!黙ってみているだけは嫌です!」

 

普段はあまり口数が多くないミーナがここまで言ったことに驚いた。

彼女も彼女なりに思っていたことを吐き出したんだと思う。

そんな二人を俺は素直にすごいと思えた。

 

「…トウヤ、お前はどうする?」

 

二人の言葉を聞いた父さんが俺に聞く。

ハルとミーナもこちらを振り返り、それでも答えが分かっているのか二人とも笑っていた。

…そんなに顔に出てるかな、俺。

そんなことを思いつつも二人にうなづき返し一歩前に出る。

強気でも弱気でもない。

これからのことに不安がっていても始まらないしかといって安心できるわけでもない。

でも―――

 

「―--俺も行きます。父さんたちと一緒に帝都へ行って大臣や陛下の考えを聞くために。みんなが笑って暮らせる世を目指せるように。俺は、俺自身が一歩でも、ほんの少しでも―――

 

 

今はもう、覚悟したんだ。

 

 

――――前へ進みたいから!」

 

俺は父さんに叩きつけるように言った。

ハルみたいに、ミーナみたいになれないけど。

自分自身の道を進みたいから、そういいきった。

その言葉を聞いた父さんは真剣な表情を崩すと頷く。

 

「三人とも、よく決断してくれた。お前たちを決めるのは、お前たち自身だ。その強き心のあり方を忘れないでくれ。準備はすでに整っている。お前たちが出発できる用意が完了したらすぐに帝都へ向かうぞ!」

 

「「「はい!!」」」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『準備はどうだ?』

 

『いつでもいけるぜ…待ってたところだ』

 

『…標的がもうすぐ動く、そこで仕掛けろ』

 

『あいよ…それと対象は逃がすなよ、すべて殺せって命令だ』

 

『心得ている。こちらが本隊にも伝えておく。お前もやりすぎないことだ』

 

『悪いが確約はできん。止めたかったら早めに済ませてくることだね』

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「皆、準備はできたようだな」

 

家の前にある広場で父さんが共に行く人たちを見ながら言う。

といっても馬車三台で向かうからあまり人数はいない。

俺、ハル、ミーナの三人。

父さんと母さん、クロード、カイさん。

そして村の警備兵を数人護衛という形で連れて行くためだった。

 

「ならば行こう、天気が悪くなってきたから早めに帝都に向かいたい。皆馬車に乗り出発するぞ!」

 

「「「はっ!」」」

 

警備兵やカイさんたちが返事をし、馬車へと乗り込む。

無論、俺たちも馬車へと乗っていった。

この旅(とよべるかは分からないけど)に関する装備に、ハルやミーナは自分の使い慣れた武器を各々身につけていた。

俺も最近は使っていなかった自分の武器である大鎌-ククルカを背負っている。

刃の部分は展開可能で、今は折りたたんで太刀のようにしていた。

 

このククルカだが俺が転生する前にやっていたアンデットナイツで、よく使っていた”シルヴィア”をイメージした戦い方で十分に戦うために特別に作ってもらったものだ。

今は、力も使えない一般人だが戦えないわけでない。

道中何かあるかもしれないが、これで足手まといにはならないはずだ。

 

(今は力が使えない、でもみんなを守ってみせる。前の俺とは…違うから)

 

心の中で自分に言い聞かせるように俺は決意を固めた。

準備ができたのか馬車がゆっくりと動き出し、家の敷地から出る。

 

―――そのときだった。

 

 

”ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!”

 

 

とてつもない爆発音だった。

黒い煙が瞬く間に空を埋め尽くす。

辺りが一気に煙に覆われる。

 

「なんだ!?」

 

「何の音だ?一体何が起きた!!」

 

突然起こった事態に警備兵はうろたえるしかない。

俺はいきなりの事態に固まってしまった。

呼吸も忘れてしまいそうだった。

最初の爆発音から再び同じような音と共に多くの人間による雄たけびも聞こえてくる。

村からは悲鳴も聞こえていた。

カイさんが馬車から降りて簡易ながらも確認し叫んだ。

 

「あの煙は…自然の爆発じゃない!兵器によるものです!しかも村人が何者かに襲われています!」

 

「なんだと!?出発中止だ!皆至急村へと迎え!!私たちも続く!」

 

警備兵たちが武装を確認しなおすとすぐにその言葉に従って走っていった。

固まっている俺たちに母さんが語りかけてくる。

 

「三人とも、村の人たちを避難させてください。危険だと感じたらすぐに逃げるのです。よいですね?」

 

「アルティシアさん!?そんな俺たちだって戦います!襲われてるんだろ!?」

 

「小母様、私も戦えます!みんなで行ったほうが!」

 

二人の言葉を母さんは首を振って否定した。

 

「良いですか?襲い来る敵をただ倒すだけが、村の人たちを守る方法ではありません。皆を安全な場所まで避難させたら今度はその人たちを守らなくてはなりません。貴方たちはまだ若い。私から見れば子供なのです。いいですね、トウヤ、ハル、ミーナ。必ず生きなさい」

 

そういいながら俺たちの頭を優しくなでた母さんは父さんたちと共に走っていってしまった。

置いていかれた俺たちは少しの間そこにいたが、すぐに顔を見合わせ互いに頷くと村へと走る。

目に入る空の色は朝と違って黒い雲に覆われていた。

俺は父さんたちの後を追って走り出す。

必ず守るという決意とそれ以上の不安を抱えながら。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

村の中心部へと続く道を走っていると鼻を突く何かが焼けた臭いと俺の家の敷地内でも聞こえていた悲鳴や喧騒が大きくなっていった。

あちこちから上がっている火の手の状況を見る限りどうやら村全体から襲われているようだった。

自分の予感がどんどん当たってしまうような感覚を振り払うように俺は自分の武器(ククルカ)を手に取り展開させる。

ハルもミーナも同じように自身の武器を手にもって疾走していた。

やがて村の広場が見える道までたどり着き目に入った景色に俺たちは呆然とするしかなかった。

 

一言で表すならば…地獄だとしかいえなかった。

 

あたり一面が火の海となり、ちらほら住人の死体が無造作に転がっている。

血がそこらじゅうをうねり歩いてできたような道は昨日までそこにあった日常を奪い去っていた。

 

「ひどい…だれがこんなこと…」

 

「今はそういってる場合じゃねぇ!早くみんなを連れてにげねぇと!」

 

”キャアアアアア!”

 

「「「!!」」」

 

怒号のような声と鉄と鉄がぶつかる音の中、近くで悲鳴が聞こえた。

急いで駆け出そうとする。

 

「うわぁっ!?あぶね!」

 

しかし、その瞬間を狙ったかのように三人の足元を投擲用のナイフが飛んできた。

すぐにお互いの背中を守るようにしながら武器を構える

先ほどまで気がつかなかったがいつの間にか周りを囲まれていた。

その数は9人。

全員フードを被り黒いレインコートのような服を纏う黒尽くめの集団。

さらに仮面をつけているため顔が分からない。

だが、不気味な雰囲気を漂わせるこの集団は誰もがその体を血で染めていた。

 

「こいつらがこの襲撃の犯人か!」

 

「てめぇらっ…! 一体なんだ!何でこんなこと!」

 

『…答える義務は無い、この国に不必要な害虫を駆除しにきただけだ』

 

「ミーナ達は…何もしてない…! 早く出てって…!」

 

『安心しろ、言われなくとも出て行くさ。お前たちを消してから、な』

 

声からして男であると判断できた。

そう言い放ったリーダー格であるように見える模様の違う仮面をつけた一人が右腕を上げながら言う。

俺たちは不意打ちに備えながら迎え撃つ準備をする。

そう簡単に負けることは無い。

 

俺は心の中で油断していたんだと思う。

 

目の前の奴が腕が振り下ろされると同時に後ろから衝撃を受け、三人ともが別々の方向に吹き飛ばされる。

 

(なんだ!?いきなり背中からくらった!?ともかくまずい!)

 

かなりの衝撃であったために受身を取ることが出来なかった俺は咄嗟にククルカを地面に突き刺して勢いを殺そうとしたが、今度は横から来た鉄球によって弾き飛ばされ地面を転がる。

 

「ぐっ?!がはっ!」ベチャッ

 

体中を今までに感じたことがないほどの痛みが襲う。

なんとか上半身を起こし四つん這いになるが、たまらず吐血した。

どうやら不意を突かれた鉄球の攻撃により、もろに食らった右半身の骨が砕けているようだ。

その余波で全身の骨が折れているか砕けているようで、すでに満足に動くことも出来ない。

 

(くそっ…能力なしでもきついとは予想してたけど、さすがにこれは予想外すぎる!?なんだあいつらは、本編で見たこともないぞ!)

 

見たことのない集団による襲撃。

だが、どうみてもこれは大臣によるものだろう。

自分というイレギュラーが加わったことの余波だろう。

最悪だった。

しかも俺たちが出立する日に合わせて村を襲った。

どう考えてもその目的はわかりきっていた。

 

(楯突くやつを村ごと消し去るつもりか…ちくしょう!)

 

自分は戦えると思いあがっていた。

その油断ともいえる致命的な意識によって、今は動くこともままならない状態だ。

右目もどうやら鉄球の攻撃で運悪くつぶされている。

腕に力が入らなくなり俺はたまらず倒れた。

 

『ふむ、どうやらまだ動けるようだ。害虫にしては存外丈夫だな」

 

わずかに動く首を動かし前方を見る。

俺を吹き飛ばした奴が目の前まで来ていた。

仮面の下の表情を詳しく読み取ることは出来なかったが、それでもこちらを見下す冷徹であり今この状況を心から楽しんでいる狂喜を感じる瞳が印象的だった。

 

「て、め…ぐっ!?」

 

『なんだ、まだしゃべれるとは意外だよ。だが、必要ない。ゴミクズ同然の害虫と交わす言葉は持ち合わせておらんのでね』

 

頭を地面に擦りつける様に踏んだ男はそう言った。

俺はそれでも睨み続ける。

男はその姿を見て嘲笑するようにしゃべり始めた。

 

『愚かな事だ。オネスト様に貴様らのようなゴミが会いにくるなど、不愉快極まりないのだよ。そもそも”徴税に関する疑問を陛下と大臣殿に答えていただきたい”だとぉ?バカか貴様ら!そんなくだらない用件で陛下や大臣様に、しかも退役した軍人(役立たず)が謁見できるわけがねぇだろぉがぁ!!辺境の村に住む家畜風情が調子に乗るな!!この、汚い、家畜、風情がっ!!』

 

隠していた本性が現れてくると同時に俺は何度も思い切り頭を踏まれ続ける。

もはや苦悶の声も出せないほどだった。

だが、男は俺の頭を持って自分の顔へと近づける。

 

『俺としたことが熱くなってしまった…だが、お前たちには感謝しているよ。この幸福のある景色を作り上げるための最高の道具だったのだからな!数が少なかったのが残念だが、せっかくだ…お前にも特別に見せてやろう!残った左目でよぉくよぉーく楽しむがいいさ』

 

そう言った男は無造作に俺を投げ捨てる。

地面に再び叩きつけられた俺を近くにいた下っ端らしき黒服たちによって強引に立たされる。

顔を捕まれ、無理やり見せられた。

 

その瞬間…そこで見た光景(絶望)を、俺は忘れることは出来ないんだと確信した。

 

土ぼこりによって視界がぼやけていた片目の視界に移る世界。

先ほどまで立っていた場所の奥にある広場の演説台。

父さんや母さんがそこに立って村人たちが笑いあったり泣いていた在りし日の光景。

小さな村でも一番大きなみんなの集会所のような場所だった。

子供が生まれた家族をみんなで祝福した。

幸せな二人の結婚式を村全体で祝った。

村の誰かが亡くなったらみんなで弔い泣いた。

第二の人生を歩むために生まれた俺を何も知らないみんなが受け入れてくれた。

暖かさを知らない俺が暖かさをくれたみんなを受け入れた。

多くのきっかけをくれた大切な場所(思い出)に――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――無惨な物言わぬ屍に成り果てた親しい人たち(守りたかったモノ)が絞首刑を迎えた死刑囚のように吊るされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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