ソードアート・オンライン〜白銀の騎士〜   作:まぐろぐ

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悪夢の始まり

「リンクスタート」

そう言った次の瞬間、誠は電子空間に居た

それは無事仮想世界に入れたということの証明だった

 

《ようこそ》

 

そう感情のこもっていない女性の声が響く

 

《外見の設定をしてください》

 

目の前に大きな鏡が現れる

「キャラクリか、どうするかな」

外見の設定はとても自由度が高く性別や顔は勿論のこと、身長などの体格、手の長さや足の長さまていじり放題だった

 

「こんなもんかな」

大体30分程かけてキャラクリを終えた誠の姿は基本的に現実世界に近しく差異は髪色が銀髪である点と背が少し高く大人びた感じになっているところだろう

そして外見の登録を済ませると

 

《最初の武器を選んでください》

 

と様々な種類の武器が並ぶ

「武器かぁどれにしようかな」

まず手に取ったのは片手剣だった

「おおっ!本当に手に持ったみたいだ!」

そうテンションが大きく上がる誠

その後と武器を振るうたびにテンションが上がっていった

 

一通り触れた後

「しっくりきたのはコイツかな」

と両手剣を背負う

 

《ユーザーネームを決めてください》

 

「名前か、まあコレだな」

 

『リント』と打ち込む

 

《これにてチュートリアルを終了いたします》

 

最後まで無機質な声にアナウンスされながら視界が光りに包まれる

すると次の瞬間、人のごった返す街の中に居た

 

「おお!」

 

リントはキョロキョロと辺りを見渡し仮想世界へ感動していた

ひとしきり見渡したら街を出て早速フィールドへ駆り出す

誰かに教えてもらうのも手だったがリントは感覚派のゲーマーでありやって覚えるタイプだった

 

フィールドに出ると早速モンスターが現れる

《フレンジー・ボア》という名の青っぽいイノシシでありこちらを発見するやいなやすぐに突進しかけてくる

 

「うわ!」

 

間一髪で避けるも既にフレンジーボアは再び突進の姿勢を取っており今度は避けきれず直撃してしまう

 

「痛ってぇー…もろに喰らっちまった」

 

「でも身体の動かし方は分かってきたな」

 

三度目の突進

今度は余裕を持って避けすれ違いざまに一太刀浴びせることに成功した

それにより体勢を崩したフレンジーボア

 

「よし!」

 

急いで近づき剣を上段に構えると剣にソードスキルの青い光が灯り

 

「《インパクト》!」

 

の声とともに振り下ろされる

ソードスキルでの一撃にフレンジーボアは耐えきれず無数のポリゴンとなり消滅した

 

「しゃあ!勝ったぜ!まだやり足りねぇしもう少し狩っていくか」

 

そうして初めての戦いの高揚が収まらないまま

しばらく狩り続け気付いた頃には17:30頃であった

 

「げ、もうこんな時間か夢中になって狩りすぎたな」

「そろそろ母さんが夕飯作ってるだろうし手伝いに行くかな」

 

そう思いログアウトするべくメニューを開く

 

「はあ?あれ?確かここにあった筈だよな?どういうことだ?」

 

あるべき場所にログアウトの欄が無かった

それが意味するのは現実に戻ることが出来ないということだ

 

「ま、どうせバグか何かだろ、すぐ直るに決まってる」

 

抱える不安を誤魔化しながらそう呟くと

視界が光りに包まれ気付けば始めりの街の広場へと飛ばされていた

そこには多くのプレイヤーが集まっていた

突然の事に困惑しているとどうやら周りのプレイヤーも同じのようで「どういうことだ」「何がおこってる」などの言葉が行き交っていた

すると空が赤く染まっていき一部がドロリとした塊となる

そしてその塊が形を変えていき紅いローブを纏った巨大な人間の姿を象った

見た目はよく見たSAOのGMの格好と同じだった

しかしその巨大な人間には肉体がなく本来見えているはずの顔や腕が見えていなかった

その不気味な姿に思わず

「なんだ、あれ」

と声に出していた

 

『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』

 

突如、紅ローブが声を発する

 

『私の名前は茅場晶彦。今この世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

茅場晶彦

 

その名前を聞かなかった日は無いだろう

天才ゲームデザイナーであり量子物理学者そしてナーヴギアの基礎設計者なのだから

誠はナーヴギアとSAOの情報が少しでも知りたくて毎日ニュース等で彼を見ていた

 

そんな男が何故こんな所にいる?バグの修正?だとしたら謝罪から入るはずだろう?

 

そうリントの中ではいくつもの思考が巡るも考えたくなかったのか【茅場晶彦が何かの目的でプレイヤーをSAOに閉じ込めた】という答えが出ることはなかった

 

『プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが無いことに気づいてると思う。それは不具合ではなく《ソードアート・オンライン》本来の仕様である。諸君は今後、この城の頂に辿り着くまでゲームからログアウトすることはできない。また外部の人間によってナ―ヴギアの停止、解除を試みられた場合、ナ―ヴギアが諸君の脳を破壊する』

 

「うそ…だろ?」

 

淡々と告げられた答えに脳が追いつかずそう口に出すことしかできなかった

周囲のプレイヤーも理解が追いついていない者が大半だった

 

『10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回路切断、ナ―ヴギア本体のロック解除、または分解、破壊のいずれかによって脳破壊シークエンスが実行される。現時点で警告を無視しナ―ヴギアの強制除装を試み、既に213名のプレイヤーがアインクラッドおよび現実世界から永久退場している』

 

─ドクン─

 

213名が既に死んでいるとそう告げられその恐怖で心臓が鳴り全身の血の気が引くのを感じた

 

『今、ありとあらゆる情報メディアによってこの状況は報道されている。ナ―ヴギアを装着したまま2時間の回路切断猶予時間のうちに病院、施設に搬送される。現実の肉体は厳重な介護体制のもとにおかれる。諸君には、安心してゲーム攻略に励んでほしい。さらに【ソードアート・オンライン】はもうただのゲームではない。もう一つの現実だ。今後ありとあらゆる蘇生手段は機能しない。HPがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、──ナーヴギアによって脳を破壊される。』

 

その瞬間、広場のプレイヤー達は突きつけられたモノにどよめき出す

 

『このゲームから解放される条件はただ一つ。アインクラッドの最上部、第100層に辿り着き最終ボスを倒すことだ。そうすれば、生き残ったプレイヤーは全員、安全にログアウトされることを保証しよう』

 

プレイヤーの声など聞こえていなかのように淡々と続けられる

 

『最後に諸君にこれが現実である証拠を見せよう。アイテムストレージに私からのプレゼントがある。確認してくれたまえ』

 

そう言われリントは震えた指で確認してみると

《手鏡》というアイテムがありそれをオブジェクト化すると

リントの顔が映るだけのごく普通の手鏡が現れ疑問に思っていた次の瞬間、視界が光りに包まれる

数秒後、光は消え何事かと手鏡を見てみるとそこに映るのは銀髪の【リント】ではなく現実で幾度も見てきた【竜胆 誠】の姿だった

 

「どうなってんだ」

 

誰が言ったのかは分からない、リントかもしれないし他の誰かかも、しかし全員同じ事を思っていただろう

 

『諸君は今なぜこのようなことをしたのか、と思っているだろう。大規模なテロでも身代金目的でもない。私の目的はすでに達成してる。この状況こそが私の最終目的なのだ。…以上で《ソードアート・オンライン》正式チュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

その一言と共に茅場は姿を消し空は元の色へと戻っていく

少しの静寂の後に怒号が飛び交う

一部のプレイヤーは「ふざけんな!」「出しやがれ!」「クソ野郎!」等と怒りと恐怖から大声で叫んでおり

もう一部のプレイヤーは現実を受け止めきれずその場で膝をつき絶望したり「夢だ」と現実逃避しうわ言を呟いたりしていた

 

リントも後者のように諦め絶望しておりこのまま死ぬのかと考えていたが

突如、脳内では父や母、友人達そして珪子の顔が浮かび上がり彼らとの思い出が蘇っていく

優しくも時に厳しい両親、くだらない話で笑い合う友人、こちらを慕って笑顔で着いてくる珪子

暖かい日常でありどれもかけがいのない大切な思い出だった

ここで諦めてしまえばもう二度と手に入らないだろう

 

「こんなとこで死ぬわけにはいかねぇな。生き残ってぜってー茅場の鼻っ面へし折ってやる!」

 

こうして少年は絶望を振り払い暖かな日常を取り戻すべく奮起する




ソードスキル紹介
《インパクト》
頭上に剣を掲げて対象めがけて振り下ろすシンプルな一撃
しかしシンプル故に強力でありその破壊力は凄まじい

《ヘルム・ブレイカー》の下位スキルでありこれを溜めれるようにしてより強力になったのが《ヘルム・ブレイカー》です
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