これは俺が呪術廻戦での最強の炎使いになるまでの物語 作:華々
食事を終え、煉城家の本邸へ戻ってきた俺と灯里は、ここまで送ってくれた運転手に礼を言って別れた。
腹いっぱい食べたせいで眠気が押し寄せ、俺はそのまま少し横になることにする。
灯里の膝を借り、髪を撫でられながら心地よく微睡んでいると――
ドタドタと、騒がしい足音がこちらへ近づいてくる。
(……誰だ、うるせぇな)
そう思った次の瞬間、
――ズバァンッ!!
勢いよく扉が開け放たれた。
「燈真殿ー!元気でござるかー?!」
「うるせぇ!!」
せっかく気持ちよく寝ていたのに台無しだ。
苛立ちのまま、視線すら向けずに呪力を固めて腕を振りそれを投げつける。
直後、
「ぎゃあああっ!?」
炎を帯びた呪力が顔面に直撃し、そいつは絶叫を上げながら床を転げ回った。
しばらくして火を消しながら、そいつは笑う。
「フフフ……流石ですな燈真殿。こちらを見ずに呪力を投げるとは、そうそう出来るものではござらんよ」
「こんぐらい、よそ見してても片手間でできるわ。で?今日は何しに来たよ、火丸」
俺の部屋に無断で入ってきたこいつ――火丸。
一応、俺の従兄弟で同い年のブタ野郎だ。
何より目につくのは、丸々と脂肪を蓄えた腹。
ぽっちゃりなんて可愛いもんじゃない。ズドンとした塊だ。
こいつがいるだけで、部屋の地面がが沈んでる気すらする。
一応、当主候補の一人で順位は五位。
呪力特性も受け継いでいて術式も優秀。本来ならかなり強い部類だが――
「聞きましたぞ燈真殿。当主殿から受けた呪霊討伐の試験、一瞬で終わらせたそうですな。流石でござる」
戦うより食うのが好きなせいで、いつも理由をつけて逃げ回っている。
「そういうお前も当主候補だろ?ここにいるってことは、もう祓ってきたんだろ。どうだった?強かったか?」
「いやいや、拙者に任されたのは準一級程度の呪霊でしてな。燈真殿が期待するような代物ではござらん」
「ふーん、つまんねぇな」
「むしろあの程度で良かったでござるよ。あれ以上強いと、せっかく蓄えた脂が落ちてしまいますからな」
……準一級って、当主候補を絞る試験だろ?なんでそんな半端な相手なんだ?意味わかんねぇ…
「拙者はこの試験もクリアしましたし、次は降りるつもりでござる。好き好んで燈真殿達と争うなど、命がいくつあっても足りませぬ」
「ん?火丸、お前……次の試験、知ってんのか?」
「おや?ご存じない?」
俺は軽く眉をひそめる。
次の試験か……。
一回目が呪霊討伐。となると――
(話し合いで決める……とか?いや、そんなわけねぇか)
「灯里、知ってる?」
「はい」
「なんで教えてくれなかったんだよ……」
「燈真様がお腹いっぱいでお休みになるとおっしゃったので、後でお伝えしようと……。帰りの車で申し上げればよかったですね。申し訳ありません」
「うっ……それ言われると俺が悪いな……」
軽く気まずさをごまかし、話を戻す。
「で、次の試験は?」
火丸がニヤリと笑った。
「フフフ……次の試験は――当主候補同士による御前試合でござる」
「……へぇ…面白そうじゃん」
口元が自然と歪む。
抑えきれない高揚が、笑みとなって滲み出る。
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