なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた   作:オリウス

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私と同じグループで嬉しい?

 学校の教室に入ると翼が近づいてくる。

 

「よお。おはよーっす」

「おはよう」

「栞ちゃんもおはよー」

「おはよ」

 

 俺と栞が付き合い出してから、翼はよく栞に話しかけるようになっていた。一番はやはり俺の彼女というのが関係しているのだろう。

 

「栞ちゃん今日も可愛いね」

「お世辞はいい」

「お世辞じゃないよ。めちゃくちゃドキドキしてるんだぜ」

「人の彼女を口説くな」

「すまんすまん。でも、羨ましいわ。俺も彼女欲しい」

 

 がっくりと項垂れる翼の肩を、栞が触れる。

 

「大丈夫。翼くんはいい人だから、そのうちできる」

「女子の言ういい人ってどうでもいい人のことだろ!」

「それは……まあ頑張って」

 

 栞の残酷なフォローが翼を傷つける。

 

「そういえば今日宿泊研修のグループ決めるらしいぜ」

「そっか。もうそんな時期か」

 

 うちの高校は毎年二学期に宿泊研修がある。俺たちはまだ一年生だが、来年も同じ研修があるので、今回の経験は来年以降に役立つはずだ。

 

「グループは男女混合だしな。良かったじゃん。お前ら一緒にいられるぞ」

「まあそれはありがたいが。翼も同じグループ入るか」

「お前らのいちゃいちゃを見たくないから俺は別のグループに行くわ」

「そんなにいちゃいちゃしてないだろ」

「お前マジで言ってる? めちゃくちゃいちゃついてるようにしか見えないけどな」

 

 言われて考えてみる。そんなにいちゃついて見えるのか俺たちは。確かに手を繋いで登校したりはしてるがそれだけだ。あとは一緒に喋ってるだけだし翼に目の敵にされるようなことはしていないと思うが。

 

「お前らはもう少し、周囲の目を気にした方がいいぞ」

「善処する」

 

 これが恋は盲目ということなのだろうか。周囲の事なんてまったく視界に入っていない。

 チャイムが鳴り、席に着く。それから授業が始まり、ホームルームの時間を迎える。

 

「今日は宿泊研修のグループを決めるぞ。好きな奴と組め」

 

 担任の指示で俺たちはグループを組む。男女合わせて五人のグループを作るらしい。とりあえず俺は男子で組めるやつを探す。翼に拒否されてしまったので、俺が声を掛けられるやつは少ない。ちょうど二人組の男子がいたので声を掛けてみる。

 

「いいぞ。入れよ」

 

 許可をもらったのでグループに参戦する。俺は栞を探す。栞もちょうど仲のいい女子とペアを組んでいた。ちょうど女子二人組だ。俺たちは男子三人なのでグループを組める。俺は男子たちに提案し、栞の方へ向かう。

 

「栞、俺たちと組まないか」

「当たり前」

 

 どうやら相方の女子にも話は通してあるようで、すんなりグループが決まった。

 

「じゃあ自己紹介しようか」

 

 男子が一人場を仕切る。胸に手を当て、自分の名前を告げる。

 

「笹原竜馬。よろしく」

 

 笹原はいかにもなスポーツマンで、サッカー部に所属している。

 その笹原と仲がいいのが、同じサッカー部の篠田だ。

 

「篠田正治だ。よろしく」

 

 俺がどうしてこの二人に声を掛けたのかというと、この二人はいいやつだからだ。はぐれ者の俺を受け入れてくれる度量がある。案の定二人は俺を歓迎してくれた。運動ができるやつはいいやつが多い。これ俺の持論だ。

 

「津城琢磨。一応そ栞と付き合ってる」

「草薙栞。琢磨の彼女です」

 

 俺たちの自己紹介を聞いて、サッカー部の二人は苦笑している。

 

「天貝雫です。栞ちゃんの友達です」

 

 天貝が栞と仲がいいのは知っていた。むしろ俺以外だと天貝としか話してない印象だ。天貝は三つ編みの髪に、眼鏡を掛けたいかにもおとなしそうな女子だ。男子馴れしていないのか、少しだけ怯えているような様子を見せている。

 

「みんなよろしく。でも驚かなかったかな。津城と草薙さんが付き合い出すのは」

「そうか?」

「だって君らいつも一緒に喋ってたし。男子を寄せ付けない草薙さんが唯一近づくことを許していた男子だからね」

「まあ中学からの付きあいだからな」

「そのせいで夢破れた男子たちは多かったんじゃないのかな」

「もしかして笹原も栞狙いだったのか」

「僕は違うよ。これでも僕は彼女いるしね」

 

 爽やかスマイルを見せてくる笹原。さすがはイケメンサッカー部。彼女がいるのは当然だったか。

 

「じゃあこのグループで彼女いないの俺だけ?」

 

 篠田ががっくりと肩を落とす。

 

「正治もきっといい人が見つかるさ」

 

 笹原に慰められ、頷く篠田。そんな俺たちのやりとりをおっかなびっくり見ている天貝。

 

「雫はこれを機に男子に慣れるといいね」

「ひぇ⁉」

 

 素っ頓狂な声を出す天貝に俺は苦笑する。

 

「男子なんて別に怖くともなんともないよ? すけべだけど」

 

 栞の物言いに笹原たちが苦笑している。

 

「うん……そうだよね」

 

 天貝は顔を引きつらせながら頷いている。

 

「それより~……琢磨、私と同じグループで嬉しい?」

「普通に嬉しいぞ」

「良かった。私も嬉しい」

「こらこら、いちゃつくな」

 

 篠田に注意され、舌を出す栞。可愛くてたまらない。

 とりあえずこのグループで宿泊研修に行くことが決まった。初めての集団宿泊生活。当然男子と女子で部屋は分かれるが、これはちょっとした旅行のようになるだろう。

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