なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた 作:オリウス
放課後、俺と栞は教室に残っていた。いつも俺たちはこうして放課後に駄弁りながら、気が向けばどこかをぶらついたりする。
他の生徒たちはみんな部活に行ったり、帰宅したりと教室に残っている生徒はいない。
「明日朝早いからしんどい」
栞がげんなりとした表情で机に突っ伏す。今日も相変わらず授業中は寝ていた栞だが、それでもまだ眠そうだ。
「また俺が朝迎えに行くから」
「琢磨が来てくれたら頑張って起きられる」
「お前のその現金なところ好きだわ」
俺としても歓迎されるのは悪い気がしない。
「これ可愛いよね」
そう言って栞がスマホの画面を見せてくる。そこには涎を垂らしながら眠る俺の寝顔写真があった。
「お前それ消してなかったのか」
「消すわけないよ。私の宝物」
「恥ずかしいんだが」
「琢磨ってまつ毛長いよね。女の子からしたら羨ましいと思う」
「子供の頃からよく言われるな」
まあ別にまつ毛が長いからといって得したことはないわけだが。いわゆる俺のチャームポイントというだけで。
「この小鳥とか琢磨に似てない?」
そう言って栞が見せてきたのはどこから拾ってきたのか小鳥の写真だった。薄く目を開いてはいるが、かなり線が細くなっている。
「言われてみれば似てるかもな」
「でしょ? だから可愛いい」
栞は愛おしそうにその写真を保存する。栞の写真フォルダにはいつの間にか大量に俺の写真が保存されていた。
「お前いつの間にこんなに写真撮ったんだよ」
「琢磨の写真はいっぱい撮りたい。いつかアルバムにするの」
それは別に構わないがこんな日常的な写真ばかりでいいのだろうか。それにしても俺は写真を撮られた自覚はなかったのだが、栞は隠し撮りの才能があるのかもしれない。
「琢磨も私の写真撮りたかったら撮ってくれていいから」
「まあそれはおいおいな」
「なんだったら下着姿とか送ってあげてもいい」
「お前はもう少し恥じらいを持て」
「でも彼氏が他の女で抜いてるのは嫌だし」
俺は視線を逸らす。いや、俺だって男だし。そういう処理をしなくてはならない時もあるわけで。その際、これまで友達だった栞をおかずになんてできるわけがないだろ。
「琢磨が巨乳が好きなのは知ってる」
「なんで知ってるんだよ」
「琢磨私の胸ガン見だし」
「そんなに見てる?」
「女の子はそういう視線には敏感だから」
その話はよく聞く話だが、まさか本当にばれているとは思わなかった。いや、だって目の前にこんな熟れた果実があったら見てしまうのは男の性だろう?
「だから私は胸が大きくて良かったって思う。琢磨の好みに近いから」
「そんなの好きなやつの胸ならどんなサイズだって気にしないだろ」
「男の子はそう言うけど、女の子は気にするものなの」
実際、俺は栞の胸のサイズなんて特に気にかけてはいない。たまたま栞の胸のサイズが俺の好みだったというだけで、仮に小さかったとしても、俺は栞を好きになっていただろう。
「でも、わかるよ。そう簡単に体の関係になりたくない気持ち」
栞はぽつりと呟いた。
「お試しで付き合ってた時はあくまでお試しだし、体の関係になっちゃったら友達に戻れないもんね」
「そういうことだ」
「でも、今は正式にお付き合いしたし、私はいつでもウェルカムだから」
「それはまあ俺も期待はしてる」
期待はしているが、正式に付き合ったからといって急いでする必要もない。俺たちにはまだ時間があるんだから。
「私、琢磨と付き合い出してからいろいろ調べた。そしたら、セックスを週に一回するカップルは長続きするって書いてた」
ネットの情報だろうから鵜呑みにするわけにはいかないが、俺も実際そうだろうなとは思う。例えば結婚して、セックスレスになったカップルは口も利かなくなるほど険悪になると聞くし、やはり恋愛においてセックスというのは重要な愛情確認の行為なのだろうと思う。
そういう意味では俺はセックスに積極的のつもりだ。当然、栞と正式に付き合ったのだから、愛情確認を怠るわけにはいかないし、コミュニケーションという意味でも栞の気持ちを引き留めるためにも必要だと思っている。
そもそもセックスに対してこんなに積極的な女子が他にいるだろうか。本来はもっと駆け引きとかそういうのをして、セックスに持ち込むものだと思うのだが。
「やっぱり愛情確認は大事だよ?」
「それは俺もわかってる」
「じゃあキスして」
「ここは学校だ」
「ちぇ」
栞が唇を尖らせる。俺は栞の肩を抱くと、頬にそっとキスをする。
「素直じゃないな」
「うっさい」
「でもありがと」
栞は嬉しそうに頬を緩ませた。正直に言うと、俺もそういう気分だった。栞と同じ気持ちだったと思うと、凄く嬉しい。胸が温かくなる。
「帰ろうか」
栞が立ち上がる。俺も鞄を持って栞の隣に並ぶ。いつものように手指を絡ませて、俺たちは教室を出る。付き合い出してからいつも手を繋いでいるが、未だに慣れない。鼓動が高鳴るこの時間はいつまでたっても慣れる気がしなかった。それでも幸せな気持ちになるのは、俺が栞のことを好きだからだろう。