なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた   作:オリウス

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青春しようね?

 翌朝、俺は栞を起こしに家に行くと、栞を連れ出して一緒に登校する。今日は宿泊研修なので、荷物がいつもより多い。女子は男子と違って化粧品類も持っていかなければならないので荷物が多い。俺は栞の荷物を持ってやり、学校まで一緒に登校した。

 学校に着くと、巨大なバスが止まっているのが見えた。俺たちはその場に整列させられ、順番にバスに乗り込んでいく。俺は栞の隣の席に座ると、荷物を下に置いた。

 

「酔い止め飲んできた?」

「俺は別に乗り物酔いはしないから」

「私はすぐ酔うから」

 

 既にげんなりとした表情の栞は、バスに苦手意識があるようだ。

 全員がバスに乗り込み、出発する。キャンプ地までは結構時間がある。バスに揺られる時間が長くなればなるほど、栞が酔うのも時間の問題だと思われる。

 

「喋って。気を紛らわしたいから」

 

 既にきつそうな栞の背中を撫でながら、俺は適当に会話を繋ぐ。

 

「そういや、夕飯はカレーらしいぞ。キャンプ飯の定番だな」

「カレーね。甘口だといいけど」

 

 栞はこう見えて子供舌だ。カレーは甘口しか食べられないし、コーヒーも飲めない。だからうちの家には栞がいつ来てもいいようにココアが置かれている。

 

「お前さ、未だに子供用のカレーしか食べられないの?」

「無理。カレーは好きだけど、辛いのは泣く」

「そういうとこ子供だよな。体は大人なのに」

「普通にセクハラだよね。まあ琢磨だから許すけど」

 

 こういう他愛のない会話は俺たちの間で日常的に行われる。普通の女子に今みたいな発言をしたらセクハラで訴えられかねないが、これも俺と栞の心の距離が近いからこそだ。

 

「見ろよ。緑が増えてきたぞ」

 

 外は山道を進み、木々の中を走っていた。

 

「緑を見ると気分が悪くなる」

「普通逆じゃね」

「乗り物酔いする人はみんな緑が苦手なの」

「緑というより山道じゃないか」

 

 山道は舗装されていない道路が続く。がたがたと揺れるし、バスも大きく揺れることが多い。乗り物酔いをする人にとってはきついだろう。

 

「大丈夫か」

 

 俺は栞の背中を摩りながら万が一の時に備えてビニール袋を用意する。だが、栞は蕩けた顔になり、にやりと笑った。

 

「琢磨に摩られると楽になってきた」

「それは良かった」

「やっぱり琢磨は私の酔い止め」

「調子のいいこと言うな」

 

 栞の頭を小突くと、栞が眠そうな目で俺を見つめてくる。俺は視線を逸らし、前を見る。バスはキャンプ地に入っていき、停止した。順番に生徒たちがバスを降りていく。俺たちもバスから降りると、栞はぐっと伸びをした。

 

「生き返った」

 

 乗り物酔いから解放されたのか、栞の顔色が明らかに良くなる。山の空気は澄んでいて、とても美味しい。俺も深呼吸をして、気分を整える。

 バスから降りた俺たちは整列させられ、教師の話を聞く。施設に迷惑をかけるなだとか、団体行動を意識しろとかそんな諸注意事項が語られる。話が終わると、グループで固まる。笹原たちと集まって、俺たちは円を作った。

 

「というわけでよろしく」

 

 笹原がそう言って全員を見回した。全員ジャージ姿だ。今日から二日間、このグループで活動を共にすることになる。

 最初にやることはまずテント設営だ。マニュアルを見ながら男子が中心となってテントを張る。初めての作業だが、笹原たちは慣れているのかすんなりとテントは設営できた。

 続いて薪拾い。キャンプ場を少し歩けば森があるので、そこで薪を拾う。俺は栞と二人で薪を拾いに出かける。

 

「お前も薪拾い担当で良かったのか」

「良くないけど、琢磨が行くから」

「少しは俺から離れて行動できるようになろうな」

「無理」

 

 付き合い出してから、以前にもまして俺の傍から離れなくなった。学校にいる間は常に一緒にいる感じで、俺も苦笑するほかない。だが、決して嫌なわけじゃない。むしろ嬉しいのだが、互いに依存しすぎる関係は良くないんじゃないかと思うのだ。

 

「なんか新鮮な気分になるね」

「そうだな」

「こういう大自然で琢磨が活動してるの、なんかいい」

「まあこれが青春なんだろうな」

 

 学校生活でしか味わえないイベントの数々。それを好きな女子と一緒に経験できるこれが青春じゃなかったらなんだというのだろう。

 

「もっと青春しようね?」

「まだ高一だからな。青春はまだまだこれからだ」

 

 薪を拾って籠に入れながら、俺たちはキャンプ場に戻る。笹原たちが食材を調理しているところだった。男子の中に取り残された天貝が居心地悪そうにしている。

 

「もう、どこ行ってたの」

 

 天貝が涙目になりながら栞に寄ってくる。栞は俺の腕に自分の腕を絡ませながら、「デート」と言った。

 

「最近、栞ちゃんは彼氏のことばっかりで私にかまってくれなくなった」

「なんか悪いな」

「いや、その……はい、なんでもないです」

 

 俺が天貝に話しかけると途端に怯えた様子で下を向いた。どうやら男への苦手意識は相当強いらしい。

 

「雫が男に慣れるようにしてあげただけだよ」

「嘘。彼氏といちゃいちゃしたかっただけでしょ」

「それもある」

「それしかないでしょ」

 

 ぽかぽかと天貝に叩かれながら、栞が溜め息を吐く。俺が言うのもなんだが、友達は大事にしろよ。

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