なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた   作:オリウス

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それ、プロポーズ?

 肝試しが終わり、キャンプファイヤーの時間になった。広場に集まった生徒たちが炎を取り囲む。

 

「こういうのなんか青春って感じでいいね」

「さっきも言ってたなそれ」

「だって、今が一番楽しいのかもって思うから」

 

 確かに人生の中で学生時代が一番楽しいのかもしれない。大人になったら社会に出て仕事に追われる日々が始まるのだ。そうなったらこんなに楽しいことはもう二度と訪れないんじゃないかと思う。

 

「それでも、俺は人生は楽しんでいくものだと思うけどな」

「前向きだね」

「苦しい時も楽しい時も、楽しめたら最高じゃね?」

「それは琢磨がポジティブだからいけるんだよ、私みたいなネガティブは未来にそんな楽しいこと想像できない」

「だったら俺がお前の未来を楽しいものにしてやるよ」

「それ、プロポーズ?」

 

 栞が口元を押さえて微笑む。

 もちろん付き合うからにはその先のことも当然考える。俺たちはまだ学生だが、将来のことも考える年齢を迎えている。栞が人生のパートナーになるかどうかはまだわからないが、少なくとも俺の中では既に栞への気持ちは固まっている。

 

「みんな楽しそう。雫もなんだかんだ言って楽しんでる」

 

 天貝は少し離れたところで炎を見つめていた。すぐそばには篠田がいるが、特に気にした様子はない。肝試しで打ち解けたのだろうか。

 

「それでキャンプファイヤーが終わったら抜け出して来いよ」

「わかってる。約束の逢瀬だもんね」

 

 栞と夜に会うのはドキドキと同時にわくわくする。俺たち学生にとって彼女と夜に会うなんてことはそうそうない。だからこそ、この時間を楽しみたいと俺は思っている。

 キャンプファイヤーはレクリエーションを交えながらつつがなく進行した。いろんな生徒たちと交流を深めながら、楽しめたと思う。キャンプファイヤーが終わった後、俺たちはテントに戻る。栞ともいったん別れ、テントの中に入った。

 テントに入ると、篠田が満を持してというよに話を始めた。

 

「お前ら、好きな子とかいねえの?」

「なんだよいきなり」

 

 笹原がうっとうしそうな顔をする。

 

「いや、どうなのかなって思ってさ。ほら、津城も彼女ができたことだしさ」

 

 どうやら恋バナをしたいらしい。こういう話を切り出すということは十中八九、篠田に好きな人ができたのだろう。

 

「そういうお前はどうなのさ」

 

 笹原が篠田に聞く。篠田は僅かに頬を染めると、指と指をくっつける。

 

「天貝さん、いいなって思って」

「よりによって男子が苦手の天貝さんか」

 

 笹原が苦笑する。確かに天貝狙いというのは無謀のような気がする。天貝は男子を怖がっているし、相いれない感じがあった。

 

「いや、肝試しペアだったんだけど、案外いい雰囲気だったんだよ」

 

 確かにキャンプファイヤーで隣に座っていたな。なるほど。やはり肝試しである程度打ち解けていた感じはあるようだ。

 

「でも、天貝さんだぞ。徐々に距離を詰めていかなきゃ厳しいんじゃないかな」

 

 笹原の言うことももっともだ。男子が苦手な天貝にいきなり告白でもしようものなら、それこそ一気に距離を取られかねない。まずは友達から始めて徐々に関係を作っていくのがいいんじゃないだろうか。

 

「津城はさ、草薙さんと友達だったんだよな。友達から恋人になれるもんなの?」

「それはわからんが、少なくとも俺たちは上手くいってるな」

「じゃあ希望はあるのか。まずは友達になってって頼みこむしかねえ」

 

 どうやら篠田の気持ちは本気らしい。

 

「連絡先、どうやったら聞き出せるかな」

「直球でいいんじゃね。天貝と仲良くなりたいから教えてって」

「それ断られね?」

「直球で聞くのが女子は意外に嬉しいものらしいぞ」

「そうなのか」

「それにそこで断られるようじゃ脈無しだ。どのみち詰んでる」

「それもそうか」

 

 俺の助言に篠田はうんうんと唸っている。

 

「でもさー、やっぱりそこで審判が下されるのはきついぜ」

 

 確かに告白して振られた時と同じぐらいのダメージがありそうだ。俺の場合、栞に連絡先を聞いた時は互いに気が合う感じだったから余裕だったけど。

 普通女子に連絡先を聞くのはかなり勇気がいることなんだろうな。俺は栞しか女子の連絡先を入れてないから、悩んだことがないけど。そもそも恋愛にあまり興味がなかった。その俺が今、恋愛にうつつを抜かしているのは人は変わるもんだなと思う。

 

「わかった。勇気出して聞いてみるよ」

「その意気だな」

 

 俺は篠田を励ましながら寝袋にくるまる。時間を見てテントから抜け出す必要があるが、こいつらが寝た後じゃないと難しい。栞とスマホで連絡しながら、俺たちはタイミングをうかがう。テントで寝なれているのか笹原たちはすぐにいびきをかき始めた。

 俺はそっとテントを抜け出すと、待ち合わせ場所に向かった。

 教師に見つからないように注意を払いながら、道を進む。

 

「でけえ」

 

 栞と待ち合わせている大木の前に俺は辿り着いた。百年生きていると言われるだけあってかなり大きな木だ。見上げるとどこまでも伸びていそうな感じを受ける。

 

「お待たせ」

 

 栞が姿を現した。

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