なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた   作:オリウス

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あーんとかやってみる?

 教室に入ると、クラスメイトが話しかけてくる。

 

「おい、お前らもしかして付き合い始めたのか」

 

 早速追及される流れになったか。まあ一緒に手を繋いで登校していたらそう思われるのは自然なことだ。

 

「実はそうなんだよ」

「マジか。羨ましい」

 

 男子の名前は加藤翼。俺の友達で、栞とも顔見知りである。

 

「お前らずっと仲いいのに付き合わないから俺が栞ちゃん狙ってたのに」

「俺と付き合わなかったとしても多分栞はお前と付き合ってないぞ」

「わかっとるわ! いいじゃねえか夢ぐらい見たって」

 

 翼は涙目になりながら訴える。

 

「別に隠すつもりはないし、今までと何かが変わるってわけでもない。ただ関係性が変わっただけだ」

「なんかいいよな、お前らって。恋人としても上手くやれそうで」

「それはわからないが」

「むしろ上手くいってくれ。お前らほど仲のいい二人が上手くいかなかったら恋愛に夢が見れなくなっちまう」

 

 教室に入った栞はさっそく机に突っ伏している。相変わらずよく寝るやつだ。

 それからチャイムが鳴り、授業が始まる。栞を見ると、授業中、ほとんど眠っていた。

 

 昼休み、栞が俺のもとにやってくる。

 

「お昼一緒に食べよ」

「いつも食ってるけどな」

「恋人として食べるご飯の味は違うと思う」

「そうか?」

 

 よくわからないが。栞はお弁当を持参している。俺も母さんがお弁当を作ってくれている。

 

「……琢磨って、私がお弁当作ってきたら嬉しい?」

「そりゃ嬉しいけど、大変だろ」

「嬉しいんだ。じゃあ作ってこようかな。明日はお弁当いらないから」

「おいマジかよ。無理しなくてもいいぞ」

 

 ただでさえ朝弱いのに。だが、作りたいという気持ちは素直に嬉しい。

 

「あーんとかやってみる?」

「そこまでしなくてもいいんじゃないか」

「恋人になったんだから恋人らしいことしないと」

 

 そう言って栞は自分のお弁当箱から卵焼きを箸で掴むと、俺の口元に差し出してくる。

 

「なんかこれ照れるな」

「あーん」

 

 俺は栞が差し出した卵焼きにかぶりつく。出汁巻きだ。ゆっくりと咀嚼すると出汁のいい味が滲み出してくる。

 

「こんな味付けだけどどう?」

「うちは塩味だけど、出汁巻きも上手いな」

「良かった」

 

 栞は胸を撫で下ろすと、自分も弁当を食べ始める。

 

「間接キスだね」

「もう普通のキスした後だと別にドキドキしない」

「そう? 私は結構ドキドキする」

 

 もしかして栞って意外と純情なのか? 高校生にもなって間接キスでいちいちドキドキはしないと思うが。

 栞は恋愛に積極的だ。お試しで付き合い出してから、積極的に恋人らしいことに挑戦している。

 今まで友達だったからやらなかったことばかりで、俺は戸惑っている。

 俺も恋愛経験がないから、初めてのことでドキドキすることも多い。栞との初めてのキスはさすがにドキドキした。

 

「なんか不思議な感じだな。付き合いが長いのに栞と今までそういう感じにならなかったの」

「私が自重してたからだと思う」

「自重?」

「ん。琢磨のこといいなって思ってたけど、変な感じになるのが嫌で避けてた」

「そうだったのか」

 

 確かに友達だった時に素直に栞が俺に告白してきたら俺の対応も変わっていたかもしれない。俺はあくまで栞を友達として見ていた。それは間違いない。だが、同時に女としても見ていたわけで。栞の体をエロい目で見なかったと言えば嘘になる。

 

「しかし、栞が俺のこと好きとか全然そんな素振りなかったけどな」

「脈無しなのわかってたし」

「いや脈はあっただろ」

「琢磨は私のこと友達として見てた」

 

 見抜かれてる。確かに俺は不思議と栞に恋愛感情を抱かなかったんだよな。なんでだろ。お試しで付き合い出してからちゃんと栞相手にドキドキするし、女として見れないというわけではないはずなのに。

 

「でもこれで合法的に琢磨の彼女になれたから、これからはいっぱいアピールする」

「お手柔らかに頼むよ」

 

 俺も栞が本気で誘惑して来たら耐えられる自信がない。クラスの男子だけで話している時、一番エロいのは栞だと満場一致で結論が出ているぐらいだ。むしろお前はよく栞と接して性欲を抑えられるなと言われたことがあるが、俺だって栞をエロい目で見ている。全然抑えられていない。それは栞の女性としての魅力で、俺はそこを認めている。

 

「琢磨も私を抱きたくなったらいつでも言って?」

「反応に困ることを言うな」

 

 俺は栞の頭に手刀を落とすと苦笑した。俺は栞を大事にしたい。今までは大事な友達で、今はお試しとはいえ彼女だ。だからこそ、そう簡単に性欲に走るような真似はしたくない。大事にしたいからこそ慎重になる。もしこの関係が上手くいかなかったときに栞に後悔させるようなことはしたくないのだ。

 

「わかってる。琢磨は優しいから」

「もっと自分を大事にしろよな」

「琢磨は口だけだもんね。セックスしたいとか言うの」

「栞相手に下ネタ言うの今更過ぎるだろ」

 

 確かにやりたい。それは事実だ。だが、それで栞を傷つけるのなら俺はしない。それぐらいの判断ができるぐらいには性欲に支配されいているわけじゃない。

 だから俺は、栞を大事にする。

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