なんでも話せるダウナー系の美少女と、「試しに付き合ってみる?」ってなって付き合ってみたら最高のパートナーすぎた 作:オリウス
翌朝、俺は栞を起こすために早起きして栞の家に向かった。栞の両親は朝早く仕事で家を空けるので、家には栞しかいない。俺は家の中に入ると、栞の部屋に向かう。部屋をノックし、栞の部屋の中に入った。
栞は穏やかな寝息を立てて眠っていた。寝顔も可愛いなと思いながら、俺は栞の肩を揺する。
「おい、栞、朝だぞ。起きろ」
「……まだ寝る」
流石は栞だ。そう簡単に起きてくれない。俺は苦笑すると、もう一度栞の肩を揺する。
「栞、俺が迎えに来たのに起きてくれないのか」
「琢磨も一緒に寝よう」
そう言って栞は俺を抱き寄せてくる。俺の顔が、栞の胸の谷間に収まった。柔らかな感触がダイレクトに伝わり、温もりを感じる。
心地いい……じゃなくて。栞を起こさないと。俺はなんとか栞の胸の谷間から脱出しようともがく。だが、栞は予想以上にがっちりと俺をホールドしていた。
「栞、起きろって。遅刻しちゃうぞ」
「別にいい。琢磨も一緒に遅刻しよう」
ダメだ。朝の栞は本当に寝坊助だ。俺はなんとか栞の拘束を解いて脱出する。そして栞の耳元でそっと囁く。
「起きないと悪戯しちゃうぞ」
「…………」
「いいのか。このまま襲っちゃうぞ」
「それはダメ」
栞は観念したように瞼を開けると、ぐっと伸びをした。
予想外だ。栞の事だから襲えばと言ってくると思ったが。
「朝はやりたくない。口とか汚いから恥ずかしい」
「そういうことね」
俺は納得すると、栞をベッドから下ろす。はだけたパジャマがなんともエッチだ。胸の谷間に思わず視線が吸い寄せられる。
「朝から元気だね」
「男は朝から元気なものさ」
「私は眠いよ」
栞は欠伸を噛み殺すと、カーテンを開ける。日の光が差し込み、栞が目を瞑る。
「それじゃ着替えたら下に来いよ」
「琢磨、見て行かないの?」
「何をだよ」
「私の着替え」
「いいんですか」
俺は思わずそう答えていた。彼女の着替えシーンなんて見たいに決まってるじゃないか。栞は少しだけ頬を朱に染めると、パジャマに手を掛けた。ゆっくりと一枚一枚丁寧にパジャマを脱いでいく。あらわになる下着姿。薄いピンクの下着がなんとも栞に似合っている。こう見ると、本当に栞はスタイル抜群だ。肌艶もよく、触りたいという欲求が沸々と湧いてくる。栞はそのまま制服に袖を通すと、スカートを履いた。着替えを終えた栞が髪を櫛で梳く。
「栞の髪、本当に綺麗だな」
「髪の手入れは昔からママがやってくれてたから」
「大事にされてるんだな」
「髪は女の命だからね」
眠そうな栞は洗面台に向かっていく。俺は栞のベッドを整えながら部屋で待つ。顔を洗い終えた栞が部屋に戻ってくる。どうやらメイクをするらしい。
「栞ってメイクしなくても可愛いと思うけど」
「これは気分の問題。メイクが上手くいったら上がるし」
「お前が上がってるところ見たことないけどな」
「そんなことない。上がってるときは授業も起きてる」
よくわからない。栞はただでさえ表情にでにくい。だから栞の感情を読むのは至難の業だ。それでも微妙な違いはなんとなくわかるようにはなってきた。これでも三年の付き合いだ。他のやつらよりは栞のことを理解していると思う。
メイクを終えた栞が鏡で自分の顔と睨めっこしている。出来に満足したのか、栞は数度頷いた。
「それじゃ学校行こうか」
「朝ごはん食べないのか」
「私はあんまり朝は食べない主義」
俺の家に来た時は一緒になって朝ごはん食べてるのに。
「あんまり食べると太る」
「お前そんなこと気にしてたのか」
「彼氏ができたから。気にする」
まあ俺は栞が太っても変わらず好きでいると思うけど。でも、メイクと同じで本人の気分の問題なのだろう。
「琢磨も彼女がスタイルを維持してるほうがいいでしょ?」
「それはノーコメントで」
「気を遣わなくていいのに」
そうは言うが女子相手に体重の話はデリケートな問題だ。
家の外に出ると、既に太陽が照り付けている。夏は過ぎたとはいえ、まだまだ暑い。二学期の途中で衣替えがあるが、それまでまだ時間はある。
栞はハンディ扇風機を使いながら、俺の隣を歩いている。
「私の寝顔どうだった?」
「可愛かったぞ」
「そう。ならよかった」
「怒らないのか」
「私も琢磨の寝顔見たからね」
そう言って栞はスマホの画面を俺に向けてくる。そこには涎を垂らしながら眠る俺の顔があった。
「写真まで撮ったのかよ」
「可愛かったから」
「さすがにはずいな」
寝顔を栞に撮られたのは少し恥ずかしい。
「こういう何気ない写真がいいんだよ。琢磨とはこれからたくさんこういう写真を撮っていきたいな」
「それアルバムに入れておいてくれ」
「わかった」
栞とは友達だったころから二人のアルバムがある。そこにはこれまで撮った様々な写真が収められている。これからもたくさん写真を撮っていきたいと思った。
栞からアルバムに写真を保存した旨の通知が届く。そこにでかでかと表示された俺の寝顔に俺は赤面しながら、栞とともに学校に向かった。いつものように栞と手を繋ぎながら。