砂漠でほのぼのと買取   作:単眼駄猪介

1 / 12
基本的には前半コメディ、後半他視点パートで別れてます。

ストックは一応あるので、ストック尽きないように書き続けたいなぁ…

ゆるーく書いてるので原作設定ガバやらかしとか、文力終わってたらごめんなさい



買取屋のおじさん

 

アビドスには、何でも鑑定して買い取りしてくれる店があると言う。

立地はあまりにも最悪だが、それは一重にアビドス砂漠に眠るナニカを求めているから……そう噂されるのに時間はかかることはなかった。

 

 

 

その実態は、二人のアビドス生徒が掘り出してくる珍品を求めて移住しただけである。

何故なら、彼女らが持ってくる品々は彼にとってとても懐かしい物やアビドスでは価値がなくても、ミレニアムやD.U地区等のインフラの整った都市部では高値で取引、または誰かが必要としていたものが出てくる時があるのだ。

……まあ、アビドス砂漠に本来そのような採掘要素なんてないのだが、ビナーというクソデカ蛇の巨大兵器が潜んでいるのだ。

なんかちょっと変なものでも埋まってても、不思議ではあるまい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日も真夏の東京のように、太陽と反射する砂に焼かれる日だった。

学園都市キヴォトスにやって来て早六年。

キヴォトス各地を巡りつつ、時に商売やアルバイトで日銭を稼ぎながらなんとか生きてきた。

学園都市、とか言いながら治安はどこかの超能力と魔法の学園都市以上に銃弾が飛びかよう危険地帯だし、実際に銃撃戦に巻き込まれて死にかけた事もチラホラ。

人間の男というだけで貞操の危機にも陥ったし、人体解剖されかけたり……いや、もうよそう。

思い出したくもない記憶ばっかだ。

とりあえず、今では砂漠に飲まれつつあるアビドス自治区に身を寄せて商売をしているのだが、まあ基本的に閑古鳥が鳴いてる。

なんなら、勝手に小さなオフィスビルの一階を使ってるし、店といっても電力がないので自前で発電機を持ってくる始末だ。

 

わざわざ砂だらけの辺境にやって来る物好きなんて早々いないし、カイザー系列の会社の管轄外に居ればパトロールのロボット達に追われたりする事もない。

まあ、今じゃ挨拶を交わして避暑地として店内に居座らせるくらいには仲は悪くないけど。

本当はカイザーの買収した土地らしいが、報告したところで給料は上がらないので見逃してくれてるらしい。

偽善でも、善行は気分が良くなるし実際に恩恵を受けれたので本当に捨てたものではない。

 

「先輩!流石にこれは売れませんよ」

 

「分かんないよ?なんの変哲もない石でもナニカあるかもしれないし!」

 

さて、常連さん達が今日もやって来た。

あまり広くない店内には、砂まみれで使い物にならない銃火器、用途不明のスクラップやジャンクパーツが山積みにされている。

お世辞にも綺麗とは言えない惨状の店内ではあるが、常連となった二人には特に問題にはならない。

 

 

「店主さーん!鑑定お願いしまーす!」

 

アビドスの生徒会長、梔子ユメとその後輩、小鳥遊ホシノ。

アビドスで開店してからの長い付き合いで、無邪気なユメちゃんにはよく元気をもらっている。

だって、その胸があまりにも劇毒過ぎるんや。

そんな下品な話はさておき、俺は彼女たちが持ってきた品々を見ていく。

人によっては鑑定士、なんて言われてるが別に俺は多趣味オタクなだけで、本場の鑑定士には敵わないし、キヴォトスや生徒達では需要の低いものを需要ある所へ流してるだけだ。

 

「ユメちゃん自慢の石は残念ながら、ただの石ですね。逆にホシノちゃんの石は鉄鉱石だね。記念に持っておいたら?原石なんて価格の割に中々手に入りずらいし」

 

「ひぃん…」

 

「はぁ…じゃあ、家に持って帰ります」

 

ガックリと肩を落としてるユメちゃんと、若干困惑しつつも素直にリュックの中にしまいこむホシノちゃん。

二人の様子を脇目に、机に置かれた品々を見ていく。

 

「…鉄バットだね」

 

「うん、鉄バット!」

 

黒光りに光る鉄製のバット。

持ち手には赤いテープが巻かれており、どことなく熱血の気配を感じさせる。

でも俺のメモリーには該当するものはない。

なんであるのかは不思議だが、特にコメントはないな。

マジの珍品ってヤツだ。

 

「ミレニアムの野球部に売れるかなぁ?まあ、買い取るよ」

 

今回はすぐ終わるのも含めてちょっと多めだ。

パパッと鑑定して買い取ろう。

尚、なんでそんなものが砂漠に、とか砂漠にあっちゃダメだろ!って奴とも遭遇したことはあるけど、もう今は考えるだけ無駄って事で考えない……ようにはしてる。

そもそも、キヴォトス人が不思議そのものだしな!

 

「これは絵本か。ゲゲゲの鬼太郎?うわぁ!なっつ!」

 

「ゲゲゲ…?」

 

「鬼太郎…?」

 

茶髪に左目を隠す特徴的な髪型をした少年の頭から、目玉親父がコンニチワしてる表紙を見て、非常に懐かしく感じるがキヴォトスにはゲゲゲの鬼太郎なんてないので、ユメちゃんとホシノちゃんの反応は至って普通だ。

……悲しくなんてないからね!?

 

「おー、これは…」

 

次の品物は大分大きい。

両腕で抱えないと持てないような大きさであるが、しかし店の看板よりも薄い三角形状の金属の板。

思わず、両手で端を持ち上げる。

 

「…………」

 

タスケン・レイダーの声真似をしようと思ったが、目の前で唖然としている女子二人を見てやめる。

お得意様に逃げられたら、この商売はおしまいだぁ。

 

「すまん。ちょっと懐かしさのあまりにやらかした」

 

「奇声を上げてたら撃ってましたよ」

 

「ハイ」

 

辛辣なホシノちゃんに俺は大人しく金属板を壁にかける。

いやさぁ、確かに落ちてたのはジャクーで砂漠ばかりの不毛な大地だよ?

砂漠繋がりで来られても困るっちゃ困るぞ。

まさか、スターツアーズ本社がキヴォトスなわけがないだろ。

なんなら色々不祥事起こして倒産してるしさ。

 

 

 

んんっ、気持ちを切り替えて次に行こう。

次の品物は、青の装飾が入った金色の剣の鞘だった。

 

「これは…剣の鞘か?」

 

「だと思うんだけどね?肝心の剣は見つからなかったの」

 

「ただ、鞘からはなんか凄そうな感じがするので売れるかなと」

 

「こ、これは困ったな……値段がつけにくい…」

 

ちょっと思い出すのに時間がかかったが、コレってエクスカリバーの鞘じゃねぇか!

何やってんだよエミヤ!?

 

「持ち主がいるとは思うが、多分キヴォトスにはいないだろうしなぁ……」

 

仮にいるとしたなら、この世界は異聞帯とかで滅ぼされる運命になるのだが。

でなきゃコレがここにある理由に見当がつかん!

 

「ちょっとコレはしばらく預かり物として保管だね」

 

俺はそう告げて、剣や槍を保管する箱にしまう。

中にはクルクル回りそうな赤い光剣とか、ミニマムではあるが、なんか金ピカの鎧来てる関さんが持ってそうな剣だか槍だかよく分からんヤツとか、グルメスパイザーとかがある。

ちなみにグルメスパイザーだけ、やけにポップ率が高い。

カスみたいな価格しかお出しできないのに、売れるからと懲りずに持ってくるユメちゃんよ……

今日で十個目です()

 

「では次」

 

本日最後の品物。

まだ他にもあるけど、それらは大体ガラクタかジャンクパーツなので精算は楽だ。

で、最後の品なのだがこりゃあたまげた。

 

「プレステ2じゃん……」

 

「なんかいつもの岩がある日陰の所で掘ってたら洞窟に繋がって、更に掘ってみたらありました」

 

「ゲーム機はアビドスじゃ使いどころがないからね……」

 

ちょっと悲しげなユメちゃんに哀れみを感じつつも、俺はPS2の存在に非常に嬉しくなる。

元の世界の物を再び見て触れられるのは、存在すらしないキヴォトスで生きる身としてはとても嬉しいのだ。

懐かしい手触りに思わず涙がこぼれ落ちるが、その前に支払いをしなければ。

 

「ほんじゃ、電子マネーで払うからスマホを」

 

「はーい」

 

カードリーダー付きのスマホで設定した価格はざっと六百万。

PS2が一番お高いヤツだ。

勿論、本来ならこんな価格はつかないし、ガラクタと一緒だ。

だが、俺にとってはこのキヴォトスでの希少性を考えればこれくらい以上のお金になる。

砂まみれだから、起動するかは分からないし、ソフトもないからすぐにプレイ、は無理だろう。

しかし、できるなら幾らでも金を出してやる。

 

「ろ、六百万……!?」

 

「凄いじゃないですか、先輩!!」

 

あまりの高額買取にビビるユメちゃん。

震えるスマホに苦笑いするが、俺はサムズアップで安心させる。

普段はスクラップと変なのばっかで、どんなに集めても1万届くか、届かないかくらいだからね。

そりゃ大当たり来たら夢じゃないかと、頬をつねる。

だから必要以上につねんないで、ユメちゃん。

 

「おじさんにとっちゃお宝なんだ。安心して受け取ってくれ!」

 

嗚呼、アビドス。

俺に魂を吹き込んでくれる砂漠の地よ!

アビドス高校に栄光あれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

After...

 

 

 

ホクホク顔のホシノちゃんと、スマホに表示される六百万円の文字に未だ震えるユメちゃん達を見送って数分後。

俺は店の戸締まりをして、愛車のハマーに今回買い取ったスクラップやジャンクパーツ、先程のバットや前回の売れ残りを積んで乗り込む。

ブラックマーケットで売られていた中古車で、対砂塵処理が施されているが故に少々高かったが、おかげで物品輸送や都市部への買い出しなんかに重宝している。

耐弾性能もカスタムで上げているので、多少撃たれても屁でもない。

こちとら、撃たれたら死ぬからね。

常に身の安全は意識しなければならない。

だがしかし、喧嘩で銃を使うような野蛮な生徒達がいる世界で銃撃戦に巻き込まれない筈もなく……

 

「あなた様、お怪我はありませんか?」

 

もう俺にとっては恒例とも言えよう。

不運な襲撃者であるヘルメット団の子達をぶちのめしたのは、和服に狐のお面を被った少女に助け起こされる。

彼女の名は孤坂ワカモ。

過去に大量破壊やらなんやらと、大犯罪を犯した指名手配犯だ。

 

「また助けられてしまったなぁ。おじさん、情けねぇや」

 

「そんな事はありません。ヘイローを持たないのに、生きるためにブラックマーケットまで来るのですから、むしろ度胸がありすぎで心配です」

 

狐のお面で表情は窺えないが、仕草で苦笑しているのはなんとなく察した。

尚、この間に片手間でまだ意識のあったヘルメット団の頭部を、愛銃の九九式短小銃で撃ち抜いて気絶させてたりする。

 

「もう!事前に連絡して頂ければ、護衛しますと申しましたのに!」

 

と、ちょっと怒ってる様子のワカモちゃん。

 

「そう言われてもね……ワカモちゃんに迷惑かけられないし…」

 

そう返すと、スルリと俺の動体視力では追いきれないスピードで横に回り込み、俺の腕を両腕で掴んでくる。

 

「あの時の恩義、そして私はあなた様をお慕いしてるのです。それくらい迷惑ではありません!」

 

そうハッキリ告げる彼女が、ちょっと眩しかった。

とはいえ、その青春は俺に向けるべきではないだろうに。

 

「ははは……じゃあ、今日もお願いしても良いかな?」

 

「はい!」

 

ギュッと俺の腕を抱き締めて付き添うワカモちゃん。

彼女に食事と寝床を与えた事から繋がった縁だが、こうなるなんて誰が想像できたか。

 

「まあ、これもこのカードのおかげだけどな…」

 

そう独り言ちる。

荷物を乗せた台車を引っ張ってくれる彼女の後ろで、俺はこの世界に来た時に持っていた、灰色のクレジットカードを改めて見眺める。

なにか特別な力があるわけではなく、電子マネーなら無限に支払いできる、不思議なクレジットカード。

これがなければ早々に詰んでいた、今尚も俺の生命線たるカード。

 

「金は力なり、か」

 

どこの世界も金にはシビアで辛いなぁ。

ワカモちゃんを助けた時も、金銭的余裕はなかったし。

そんな辛い世の中から、目を背けるようにワカモちゃんの楽しそうな背中を見るのだった。

 

 

 

 

 





買取屋…ホシノおじさんの素。ポンチョみたいな外套を纏って買取屋してる。異世界転移者。キヴォトスに十年近くいる二十五歳のおじさん。

ホシノ…突如として現れた野生のおじさんに警戒心高め。きっちりお金を払う、彼女たちにとって大人らしくない姿にはある程度信用してる。

ユメ…無力な自分でも役に立てるので、よく買取屋を利用する。結果、前を見ない不注意が増え気味。

ワカモ…買取屋に恩義がある。なんなら男性耐性が低いキヴォトス人なので、【先生】より先に惚れられるのはある意味当然か……?

灰色のカード…【大人のカード】の亜種。金銭の支払いのみ限度額なしで支払い可能。百万単位なら連続して使わなければ代償はないが、億以上になると最低でも一つ、何かの記憶を失う。
買取屋は既に億以上を二回使用している。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。