砂漠でほのぼのと買取   作:単眼駄猪介

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台風やらくそ暑い職場やらで、ガンプラとゲームする以上の事をする気力がなくて、でも何か書きたいと思ってアギトとヒロアカで新作短編書いて投稿してました。
う、浮気じゃないわよ?
でも超能力戦争観て原作本編も観たくなったから、サブスク加入しようかなとは思い始めてる。
というかして観てます、ハイ。

それと今回は掘り出し物はお休み。
買取屋のダイジェスト気味な過去回と、雑にゲヘナ組との関係回。
買取屋の過去を掘り下げようとすると、どうしても他視点だと買取屋を掘り下げられないし、買取屋にとっては屍幽カルだった頃の記憶は別人の記憶とも言えるものなので、買取屋はそれを振り返りたがらないので…

ぶっちゃけオリ主のなくても良い過去回なので、特に見たくもない人のためにと明日ぐらいにささっと本来の趣旨をいつもよりネタ多めで出しますぞ。




地の果て目指して涙も枯れる②

 

なんだか愉快な女の子達との出会いから数日後。

俺は現在のゲヘナを統治する彼女達に呼ばれて、ゲヘナ学園にやって来ていた。

かつて、雷帝と呼ばれる天才発明家であり、鉄拳政治の暴君によって一時期、ゲヘナ学園はキヴォトス一の最強学園と呼ばれていたが、反乱が起きて雷帝は失脚。

という、ここ最近までのゲヘナ学園の歴史的出来事がある。

尚、雷帝は現在は卒業して、キヴォトスから離れた為にコンタクトを取る事も不可能だ。

 

 

正直、彼女なら俺が故郷に帰れる装置なんかを作ってくれたかもしれないが、記憶の中の俺が気付いた時には彼女は暴君としてゲヘナに君臨していたので、その時点で無名の俺には彼女と接触するのは諦めざるをえなかった。

失脚後は人前に出ることもなく、そのまま卒業してしまったし本当に帰れる機会を逃してしまったと、当時はかなり気落ちしたが……まあ、過ぎた事だ。

 

「キキッ、ご苦労」

 

「久しぶりね、カル」

 

ゲヘナの風紀委員のアコちゃんに導かれて、訪れたのはゲヘナの生徒会室。

未だに人手、特に事務関連で人手が足りないのか、中学生からもバイトを募集してるらしい風気委員会の世知辛さに涙を禁じ得ない中、綺麗な部屋のソファに二人からうながされて座る。

 

「相変わらず混沌としてるな、ゲヘナは」

 

「お恥ずかしながらね…」

 

生徒会室にいる二人。

万魔殿(パンデモニウムソサエティ)の会長、羽沼マコトと風紀委員会のリーダー、空崎ヒナから挨拶を受け、俺は挨拶代わりに愚痴をこぼす。

実際、ここに来るまで裏路地、大通り関係なく十回も銃撃戦に遭遇している。

それに対し、本人もそれを実感しているのかシナシナになって溜め息をつくように返事をする。

一方、マコトはキキキッ、と笑うだけだ。

後でヒナちゃんを息抜きに連れ出すことに決めた。

最近、マコトが溺愛している幼女ちゃんにもお土産のお菓子あげなきゃな。

釣竿でマコトの目の前にお菓子を垂らしながら、背中に乗って馬乗りするように教えとかなきゃな。

元々品格は落ちてるが、更に落としておこう。

彼女は噂では未来の生徒会長らしいし、むしろそれくらいの逸話くらい作ってしまっても問題なかろう。

そんな予定を立てつつ、本題へ入る。

 

「さて、こうしてお呼ばれしたって事は、雷帝の遺産関連か?」

 

「ええ。最近、ゲヘナで雷帝の遺産と称して魔改造された軽機関銃や重機関銃などの重火力武器がどこからか輸入されて、風紀委員だけじゃ対処しきれないの」

 

そう説明するヒナちゃんの後を引き継ぐように、マコトも口を開く。

 

「流石に雷帝の遺産、となれば真面目に対処せねばならんのだが、今のところ検挙した物全部が銃の寿命を削るだけの改造品だ。可能性は低いだろうが、火の立たないところに煙が立つ筈もない。そこでだ――」

 

そこから先を読めた俺は手を上げて制し、答えを彼女たちに告げる。

 

「なるほど。俺のツテとコネで製造元を突き止めて欲しいと」

 

「キヒヒッ。そういうことだ」

 

「裏の事情に通じてる知り合いなんて、貴方ぐらいだから。もし、嫌なら断っても」

 

「いや、大丈夫だ。それに、雷帝への反乱の時からの付き合いじゃないか。知り合いにボディガードしてもらって調べるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――というわけで、どうかボディガードをお願いしますぅ!!」

 

「ええ……」

 

俺が頼ったのは、アビドス最強の少女ホシノちゃん。

土下座して頼み込む俺に、なんか引いてるが頭を下げるだけで命の保証があるのなら幾らだって下げてやらぁ!

最終的に依頼料も高めにして渋々受諾してくれた彼女に、俺は特別サービスで買取額を2倍にすると宣言した。

すると、ホシノちゃんは目の色を変えて持ってきた掘り出し物の入った袋を仕舞い込み、外に飛び出していく。

一瞬の出来事に、俺は目をパチクリさせた。

 

 

 

……次の日に沢山持ってくるつもりだ、コレ。

 

俺がそう理解するのに、時間はかからなかった。

意外とセコいね、ホシノちゃん。

まあ、日時を決めてないし、今日持ってきたものと指定してないから、ちょっとマナー違反である事以外は特に問題ないのが悔しい。

そういえば、ユメちゃんがボヤいてたな。

例の件で財政状況を記した書類を直に目にした事で、より金銭管理に厳しくなったって。

 

…俺も他人事じゃないみたいだわ。

お財布…というか電子マネーと物置を確認しなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??? After...

 

 

 

アレから何日経過したのだろうか。

頭部にヒリつくような痛みと痒みが包帯の下でウジ虫のように蠢いていて、非常にむず痒い日々を送っている。

世話になっているネルちゃんとリオちゃんには、歳上としては申し訳なく思いつつもありがたく温情に甘えさせてもらっている。

やはり、この世界で生身の人間が重傷を負うのは必要以上に子供達に心配をかけてしまいそうだ。

 

…銃が普遍的に普及して、喧嘩で使われるような過酷な世界で、強くなりたくて何度も無茶をした。

キヴォトスは学生が統治し、そして強さが物を言う世界でもある。

おそらく正規の手続きで来たわけではない俺に、ヘイローどころか学生としての身分証がある筈もない。

だから、まず強くなければ学園に所属することも、この先生きることもできないと、銃器を自分の名前を代償に億万長者とも言える金額を得て購入した。

しかし、腕を撃たれ、足を撃たれ、腹を撃たれ、全身を殴打され、電撃や炎に焼かれ、時にガラスの破片に皮膚を裂かれた。

だが、俺はどう足掻いても撃たれれば致命傷を負う凡人で、戦闘センスもない凡人。

多少は強くなれたが、実力者には敵わない。

常に不意打ちからの爆撃の戦法でしか、戦えなかった。

そして名前を代償に手に入れた億以上の金も、治療費で今じゃ百万程度しか手元にない。

もう、強くなることも帰ることも諦めて別の道に歩むしかないだろう。

 

 

 

 

だが、ずっと心に引っ掛かる事がある。

それは、ブルーアーカイブという言葉。

最も忘れてはいけないカテゴリーだった事だけは覚えている。

かなり古い文献も保存してあるらしい、トリニティならば元の世界に帰る手段もあるのでは?

そんな考えから、このブルーアーカイブに関する記憶を失って得た大金で古書を漁らせてもらったが、結果は外れ。

厳密には異世界や別次元への入り口といった、関係ありそうなものはあったが……不確定要素ばかりのものだ。

忘れるしかあるまい。

 

「ブルーアーカイブ、か」

 

元の世界にいた時の記憶を思い返すと、空白になって分からないものが多い。

多分、丸ごと消えたのもある。

きっと、それがブルーアーカイブに関する何かだったのだろう。

スマホの画面を見ているのに、空白しか見えない記憶には正直、ホラー味が強くて寒気がする。

だが、この感覚は名前を失った時に味わっている。

味わっているが……慣れるわけがないよな。

 

「俺にとって、どれだけ大事なものだったんだ?」

 

最近になればなるほど、その比率は大きい思い出の空白。

そんな空白の為に、努力していたことに過去の自分を薄気味悪く感じる。

そして、鏡を見ると頭部を中心に包帯が巻かれている俺が写る。

その隙間にある瞳と目が合う。

片方は軽く白く濁っていて、とてもじゃないが凝視できない。

マトモな顔も、目的も、名前も失った。

失って得られた物は、何もない。

なんの成果も、それどころか何のためにここまで頑張ったのか分からなくなった。

全てが虚しく感じ、むしろそこまで頑張っていた自分は幻ではないかと錯覚や錯乱を疑った。

そんな狂人そのものの俺を想像して、恐怖して、俺は自死という選択肢が閃く。

 

「俺は、狂ってるのか?俺の記憶にある俺は、幻なのか?駄目だ、こんな頭のおかしい俺が彼女たちのそばにいちゃ……!」

 

愛銃のル・マット・リボルバーの撃鉄を起こし、引き金に指をかける。

銃口は側頭部に置く。

…後は少し力を入れれば一瞬で死ぬ。

脳をミンチにし、血と骨と脳の破片をばらまいて。

呼吸が浅くなる。

だが、そこに至ってふと気付いた。

 

「あ、そういやここはネルの家だったな…」

 

仮にも恩人が住んでいる家を俺の血で、醜いエゴで汚しちゃならない。

俺は銃の引き金から指を離し、撃鉄を戻す。

だが、よく見ると最初から指なんてかけてなかった。

ずっと、撃鉄に指を置いたままだった。

 

「ふ、ふふ、ふふふふ……俺はやっぱり…」

 

思い切って自殺する覚悟も、できるほどの絶望もしちゃいない。

軟弱だな。

軟弱になる前、ブルーアーカイブの記憶が消える前までの、俺の熱意はどこにいったのだろう?

ヘラヘラ嗤うのも疲れた。

 

「疲れた……」

 

今日の俺に残ったのは、無駄に消耗した精神と肉体的疲労だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶が消える時、という感覚は人によってそれぞれなのか、それとも共通なのか。

俺には分からないが、一般的な記憶喪失は意識がない状態で行われる。

では、意識のある状態だったら?

俺の場合は、よっぽど大事な記憶だったのか、消える記憶を甦らせようと脳が無理をしてゾーンに入っていたようだ。

極度の集中状態、結果として周りが見えず思考の世界にのめり込む。

物思いにふけながら歩いた、そこからの結果はもうお察しだろう。

 

 

俺の、十年以上の年月をかけた努力は目的自体も失って灰塵に帰した、のだろう。

ここ最近一年の記憶では、卑屈になって帰り道を探してこのざまだ。

女の子に良いカッコつけたくてワカモちゃんを助けたりしてたが、この有り様じゃ恥ずかしさと同時に心配させすぎそうで顔を会わせられない。

あの子、すぐに暴れようとするからな。

 

 

…常に、虚しさからの虚脱感と無力感に俺を死へ駆り立てさせようとする。

そんな覚悟もないのに。

ネル達に甘えて、せめての恩返しにと掃除に料理と家事の多くをこなしてきた。

ヘラヘラとそんな情けない自分に嗤いながら。

だが、いつまでも彼女たちの世話になるわけにもいかない。

記憶を対価とする金の交換ぐらいしかない特別なアイテム。

その手の人から商人としての才能もないと言われ、完全に宝の持ち腐れだ。

ないよりはマシ程度なら、最初からなかった方がマシかもしれない。

持ってて死ぬより、持ってないで死ぬ方がまだ諦めが着くからな。

 

ああ、やはり密かに死んだ方が俺にも周りにも良いんじゃないんだろうか。

本当の名前もない怪我人が、人のいないどこかで人知れず死ぬだけなら誰の迷惑にもならないだろう。

 

 

目指していた目標が分からなくて、何のために努力していたのか分からなくて。

それが苦しくて体を動かし続けないと、憂鬱で。

動いて何かをしていないと、本当に死んでしまいそうで。

自分が無能であることを突きつけられているようで……

 

 

 

 

 

 

 

……ははは。

なにを言っているんだ。

俺は無能だろう。

何も成せない、それどころか結果的に目的を代償にして帰り道を探そうとして、間抜けにも顔を焼かれたとんでもない愚か者じゃないか。

そんな奴が無能じゃない?

 

無能だろうが!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深呼吸。

 

 

 

 

 

 

 

 

…ふう、さて。

今日もネルの為に張り切って、昼飯にあんパンとシチューを作ろう。

今日は昼には帰ってくるらしいし。

ん?メール?リオちゃんも来る?

なら、宇治銀時丼を用意しなきゃ。

 

なんでイタズラで作ったものが、リオちゃんにドハマリしたのか。

頭を非常に使うからなのか?

まあ、凡人の俺には非常に理解に苦しむが美味しそうに食べるリオちゃんが求めるんだから仕方ない――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去を考えるな。過去を否定し忘れろ。現在で過去を押し潰せ。でなければ――

 

 

 

 

過去に殺されそうだから(正気を保てないから)

 





屍幽カル…その名を思い付いたのは、ある意味必然だったかもしれない。名は体を表す、その言葉そのものであるから。名前を失った少年が、理想の目標を己に課した業は、次第に焦りと非常な現実によって目標が変わり、卑屈になり、かつての覚悟は死して、不運によって帰還の情念を代わりに憑け足され、燻らせる結果となったのだから。

顔を焼かれた男…決まって周りに人がいない時になると、グチャグチャの思考で同じ結論に至り自殺未遂しかけて、思考放棄でメンタルのリセットを繰り返す男。努力の原点を失い、過去の自分が理解不能となった齟齬でメンタルの上下が激しい。包帯がなかったら無理矢理寝かされているくらいに顔色が悪いが、常に口元の微笑みを絶やさない上に誤魔化してるので、まだ幼い彼女たちには気付かれない。

買取屋…最良の道へ続く道を選んだカルだった男の姿。生き甲斐を得た事で、メンタルはひとまずの安定を得ている。カルとしての記憶は落ち着いた今ではポジティブに受け止めているが、思い出したくない記憶である。また、無意識に帰還への願望から目を背けている。尚、他にもルートはあるが大体、録でもない外道に堕ちるかヒモになるか人知れず自殺するなど、録でもない事になる。

ヒナ…買取屋とは戦友で友人。補給面で非常にお世話になった。一時期、姿を全く見なくなって心配したが、服装は変えど元気そうで安心していた。念の為に雷帝の遺産の捜索を万魔殿と風紀委員の総意として買取屋に依頼してたりしている。出会う度に息抜きと買取屋に甘味巡りや別地区に連れ出されたりする。本人は満更でもない。

マコト…ヒナと同じ理由で戦友。あとは買取屋に対しちょっと面白そうな奴だな、ぐらいしか思っていない。尚、買取屋の悪知恵でイブキに馬にされた。

ホシノ…セコいが、期限を設けなかったのが悪い。反省はしている。だが私は謝らない。後日、買取屋からの依頼は達成している。

ユメ…連邦生徒会との書類仕事によって生徒会室で缶詰にされている。最近はよくホシノに泣きつくようになった。人手不足って、辛いね。

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