ひたすらブルアカSS書きたいのモチベで書いてる
尚、その時の顔は虚無とする
いつもと変わらない日常。
夕方になり、そろそろ彼女たちが来るかなと待っていたところ、砂嵐が吹き始めた。
そんな中を突っ切ってきたユメちゃんとホシノちゃんは、アビドスの気候に慣れているとはいえ、疲れているようで座り込んでいた。
そんな二人に、水と甘味のクッキーを与えて労う。
「危なかったね。砂嵐が止むまでは居てて良いよ」
「た、助かります~」
「ありがとうございます…」
こんな時にも関わらず、ユメちゃんはマイペースでホシノちゃんは大分お疲れのようで元気がない。
メンタル強度じゃ、ユメちゃんが強いんだろうなぁ。
そんな事を思いつつ、俺は二人に許可を取って今回の掘り出し物を袋から取り出して鑑定していく。
一個目はオルゴールだ。
手のひらサイズの箱型で、可愛らしいデザインだ。
若干、砂が入っていたが駆動には問題なく、ネジを巻くと綺麗に音が響く。
オルゴールの音色に反して、内容はかなり
ふと、休んでいる二人を見ると、オルゴールに詰め込まれた中身に微妙そうな顔であった。
おじさんもそう思う。
「まあ、売れるやろ」
思考放棄して、次の物品へ。
「これは……AK-47か。汚れに強くて扱いやすい、そしてデザインも素晴らしい。故にキヴォトスじゃマフィアやヤクザみたいな奴らを中心に使われてる。生徒達にはあまり人気はないが」
銃の解体、組み立ても様になったなぁ。
などと自己評価しつつ、俺はアビドスの校章が刻まれていることに気付く。
「こりゃあ……アビドスで保管した方が良いな」
校章付きの銃は、キヴォトスではあまり高値で売れない。
勿論、コレクター相手ならそれなりに高値で買ってくれる猛者もいるが、基本的に普段使いされるキヴォトスでは需要がないのだ。
弱小から強豪に至るまで、各学校の生徒達は大なり小なり、所属する学校に愛着を持つのが大半だし、それに伴って組織の一員としての矜持というのも生まれる。
なので、他校の銃器を使うなんて事はよっぽどの事がなければない。
下手したら、内通者として退学処分、なんて事もありえる。
そんなリスキーな行為を、生徒達がする筈がなく、またヘルメット団やスケバンみたいな不良達にも不良なりのプライドがあるため購入や使用することはない。
意外とここら辺は子供らしいのだが……ホッコリできる要素がないんだよ。
三つ目はペロロ人形。
何故か赤いバンダナを頭につけて、AK-47を肩に担いでいて、ランボーじゃねぇかよ。
「まあ、一部のペロロファンは喜んで払うだろう」
砂漠の砂にまみれており、砂取りは必要だが金になるならいくらでも洗ってしんぜよう。
次もペロロ人形……ではないな?
「なんか見たことのある生物だな…」
ペロロのようなフォルムであるが、嘴は開いておらず、左右に向いたイッちゃってる目もしていない。
上から下を見て、ふと気付く。
「エリザベ○!」
つるんとした肌の上に不細工に程がある、縮れ毛が生えたオッサンの足!
ペロロシリーズの一つとして売る算段を作りかけてた事に冷や汗が出る。
これは俺のコレクションに入れておこう。
尚、後日にて棚に飾られたエリザベ○を見てホシノちゃんが「きも…」と言っていたのを目撃して思わず爆笑してしまった。
俺は悪くない。
銃床で頭を殴られたが、なんとか痛いですんだ。
んでお次。
「こっ、これは……!!」
見た目は昔のCDケース。
だが、パッケージ絵とタイトルは一部界隈で有名なものであった。
「やられ千葉ァぁぁぁぁぁ!!??」
「さっきからうるさい!!」
休んでいたホシノちゃんのチョップが、俺の頭に炸裂!!
俺は痛みに悶えて死ぬ!!
「さっきからうるさいです!」
「駄目だよホシノちゃ~ん!人の頭を叩いちゃ~!」
「先輩もさっきからひぃんひぃんと、鳴き声なんですか!?うるさいです!」
「ひぃん!?」
痛みに悶えて転げ回る俺を放置して、ユメちゃんにキレるホシノちゃん。
相変わらず辛辣な子だが、それはそれで可愛らしい。
見た目も相まって、小さな小動物――アパッ
「気持ち悪い視線を送らないでください」
「「ひぃん!」」
今日一番の悲鳴が、店内に響いた。
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Hoshino After...
第一印象は、あからさまに怪しい大人でした。
ポンチョのような物を着て、常にバイザー付きのフードを被り、素顔を見せないその姿は、まさに裏社会の人間といった風貌でした。
そんな彼が勝手にアビドス自治区で店を開き、時折カイザーの兵士達に場所を貸してたりと、余計に不信感を煽る行動も取っており、私が慎重になっていた時でした。
「新しいお店ができたみたいだよ!行ってみようよ!」
先輩が私を連れて件の店に来店してしまったのです。
もしかしたら、ヘルメット団の罠かもしれないのに。
「いらっしゃいませ~!何か買い取ってほしい物でもあるのかなぁ?」
幸いなことに、罠ではなく本当に非合法ながら開店していたお店でした。
価値があるなら、なんでも買い取ってくれる買取屋。
そんな夢見たいな店がこんな僻地で何故、開店したのかという疑問で、より不信感が強くなりましたが。
ですが、彼の懐は私の思っている以上に暖かいようで、試しにアビドス砂漠で掘り出した、剣だか槍だか良く分からないものやスクラップとなった銃火器等の残骸、まだ使える機械のパーツや銃の部品を本当に相場の価格で買い取ってくれました。
同時に、私たちにとってあまり価値がないものほど高めに買い取ってくれるらしいのも理解しました。
支払いが電子マネーなのは、少し不安でしたが未払いや詐偽、なんてことはなく誠実に対応するその姿勢に、私は彼を信じることにしました。
別に、お金に目が眩んだとかじゃないですよ?
そんな彼と、ある日。
足りなくなった弾薬とスペアパーツを購入するために、いつものショッピングモールに向かったのですが、そこで彼と遭遇したのです。
「あれ?ホシノちゃん?」
「貴方は…買取の?」
「うんうん。いつも掘り出し物を持ってきてくれてありがとねぇ。そうだ、そのお礼になんか奢ろうか?」
「結構です」
完全に口ぶりがナンパで、ノータイムで拒否の言葉が出てきました。
…まあ、黒服よりはマシですが。
「ありゃ。でも何か欲しいのがあったらいつでも言ってな?」
「どうだか。後で請求されたらたまりませんよ、こっちは」
「うへへ。そうかぁ…」
悲しげな様子にちょっと言いすぎてしまったと、私は察する。
この人、怪しそうな見た目でかなり態度や顔に出るタイプで心根は真面目というか、真っ直ぐなんですよね。
でも大人です。
きっと本性は、これまで先輩や私が会ってきた録でもない大人に違いないです。
「……じゃあ、あのパフェ奢ってくれませんか?」
とはいえ、ちょっとだけ感じる罪悪感から目を背けるのは私には無理だった。
ユメ先輩のお人好しが移ってしまったかな。
パフェのメニューの中で一番高いものを頼み、テーブルの席に着く。
頼んだパフェが届くまで何もすることがない私は、未だにフードを被り顔を隠す買取屋に前から疑問に思っていた事をぶつける。
「そういえば、いつも顔を隠してますけど何か見せれない理由でも?」
普段から被っている灰色のポンチョのような外套。
これまでちゃんと顔を見た事のない私としては、それのせいで未だに怪しさから信じきれない所がある。
何か、やましいことがあるから顔を隠している……そんな予想は彼の言葉によって覆った。
「大分前にスケバンやらヘルメット団やら、アウトローの連中に襲撃された時に、顔と頭を炎で焼かれてね。再生治療でなんとか毛は生えてきたけど、火傷の痕は酷くてね。見せられるもんじゃないよ」
そう言って、バイザーを少しずらして私に素肌を見せる買取屋さん。
彼の左の頬から上が黒ずんだ茶色になっており、少しだけ見えた左目は少し白く濁っていた。
「幸いにも失明は免れたけど、皮膚同士がくっついちまってたりして目の形は良くないし、視力も良くないな」
私の思っていた以上に酷いものだった。
彼は多額の金でなんとか治療できたが、元の顔には戻らないだろうな…と愚痴るようにこぼす。
先程の罪悪感より、もっと重い罪悪感を感じざるをえなかった。
一番辛いのは貴方の筈なのに。
ツッコミに頭を叩いたりした事もあって、私は自分がどうすれば良いのか分からなくなった。
そして、絞り出したように謝罪の言葉を告げる。
「その、ごめんなさい…」
そんな私に、彼は笑って答える。
「謝らなくて良いよ。むしろ、おじさんの方が謝りたいや。こんな他人の怪我の話なんて、つまらないし聞きたくもないだろう?」
「そ、そんな事は!」
「それに、こうしてつい話してしまったってことは俺も誰かに聞いて欲しかったのかもな。正直、少しスッキリしてるんだ。本当は言うべきじゃないだろうけど、ありがとうな。聞いてくれて」
「あ…」
この後、フルーツ盛り合わせのパフェがテーブルの上に置かれましたが、複雑な心境でその味を楽しむ余裕がある筈もなく。
私は後味の悪さを引きずりながら、帰路に着きました。
…そういえば、彼にはヘイローがない。
つまり、彼は…
買取屋…誰かに選ばれたわけでも、彼を求められて呼ばれた訳でもなく、無力な【遭難者】という記号。商売を始めるまでに色々と苦労と生傷が絶えない生活を強いられていた。頭部を焼かれて禿げた結果、治療に際し、億単位の支出で【自己の名前】を喪失している。
ホシノ…ホシノ曇らせはやってナンボと誰かが言ってたんだよ、母ちゃん。ツッコミ入れる時は、頭は外すようになった優しいホシノおじさん。
忙しないオルゴール…例のBGM。アルちゃん可愛いよ。
やられ千葉…とある界隈では伝説のクソゲー。バルカンが糞強い。