魔法少女の幼馴染(♂)、悪の魔法少女に改造されてしまう   作:偽りの名つむぎん

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11話 話の中間地点って意味深なキャラがでがちだよね

 強化アイテムの開発をしよう! それはそれとして学校にも通わなくちゃいけない。

 

 まだ、蒼崎レイラが悪の魔法少女であるという確信を他の人に与えたくないのだ。

 

 うーん。そうすると時間が足りないな。どうしようか。

 

『分身すればいいんじゃないか?』

 

「分身……。なるほど、分身という手があったか。え? できるの? 分身」

 

『できるぞ。結構力を使ってきたからな。妾の力も身体に馴染んで、今まで以上に自由に使える』

 

 ヨルがそう言った後、僕の身体から夜魂が大量に湧き出てきて、僕の前で人間の姿に変化する。

 

 僕の前に蒼崎レイラが立っていた。これが……分身!!

 

「ふむ、こんなもんじゃな。自律行動するにも問題はない。変身する時は流石に戻らなくちゃならんがな」

 

「うおっ、喋ってる。すんげ~~。こんなこともできるんだ」

 

「ふふっそう褒めるでない。では妾が学校とやらに通うから、卑弥呼を漁るのはお主に任せるぞ」

 

「おい待て」

 

 なんだよそれ聞いてない。こういうのは普通、僕が学校に行って、ヨルが調査に乗り出すパターンじゃないのか?

 

「なんじゃ。そんなことを考えておったのか。ふふっ、知るかそんなもの。妾がやりたいからやるのじゃ」

 

「いやいや、マジ話の流れとか考慮してよね。じゃあじゃんけんで決着をつけよう」

 

「おうええぞ。さいしょは」

 

「グー!!」

 

 

***

 

 

「おは……っていないか」

 

 私は教室に入るたび、空席を見て落ち込む。

 

 アオバはもう三日は学校に来ていない。アオバは別邸に住んでいるから、今どうしているのかも分からない。

 

 ヒスイちゃんは通っているらしいけど、気まずくて話せていない。まああんなことあった後じゃね。

 

「どうした? 随分と元気がないようじゃのぅ」

 

「あ、蒼崎さん? なんか話し方変わった?」

 

「ははっ! 気のせいじゃろ! どれ、妾に何か話してみぃ!!」

 

 え!? スカートで椅子の上であぐらかくの!? 蒼崎さん、こんなにも大胆な人なんだ。

 

「たとえばなんだけどね。例えば……仲のいい幼馴染がいて、その子が急にいなくなった時ってどうすればいいのかなって」

 

「ほう。いいぞ続けて」

 

 私はこれまであったことを話した。

 

 アオイのこと、アオバのこと、アオイが死んでしまったこと。

 

 その全てを包み隠さずに。

 

 不思議と蒼崎さんは話しやすかった。まるでアオイに話しているかのような雰囲気でスラスラと言葉が出てきた。

 

 胸の中に溜めてた色んな思いを曝け出すことができて、なんだか胸が軽くなったみたい。

 

「なるほどなるほど。時間が解決してくれると言いたいところじゃが、それだとつまらんな。ではいい気の持ちようを教えてやろう」

 

 やっぱりこんな古風な話し方だっけ? もしかしてこれが素だったりして!

 

 それだとちょっと嬉しい。心を開いてくれたということだから。

 

「想い続けること、願い続けることじゃ。お主は魔奏者。魔奏とは人々の願いの結晶に近い。ゆえ、幼馴染が帰ってきて欲しい。少しでも平和になって欲しい。そう言った想いを抱き続けることで、現実は少しずつ変わっていくやもしれんぞ」

 

「想い続けること……願い続けること。そうすればまたアオイに会えるかな」

 

「会える……なんて無責任なことは言えん。じゃが可能性はあるかもしれんぞ」

 

「……うん! 私そう思ってみるよ! ありがとう!! 相談してみてよかった!」

 

 心がスッと軽くなった気持ちがする。

 

 そうだ。私達には魔奏がある。魔奏の力であればアオイが帰ってくる可能性も……!

 

 そんな風に思った瞬間だ。私の世界が灰色に染まる。みんな、何もかも動きを停止してしまう。

 

 当然、目の前にいた蒼崎さんも。

 

「いいね。流石は魔王に最も近い魔奏者だ。覚悟が違う」

 

「あなたはあの時の。あなたも魔奏者なの?」

 

 私の前に現れた白髪の青い瞳の少女。彼女は私に見せつけるように魔奏具を取り出す。

 

「私はプリズム・アマランス。魔奏者と滅魔奏者の戦いを観察する者だ」

 

「プリズム……ちゃん? 貴女の目的は一体何?」

 

「プリズムちゃん。いいね、その呼び方。気に入ったよ」

 

 ふふっと笑う姿。やっぱり重なる……私の幼馴染、アオイの姿に。

 

 プリズムちゃんとアオイ。何か関係性はあるのだろうか?

 

「私の目的は魔奏者と滅魔奏者が持つ十二の宝石。その全てを集めることだ」

 

「十二の宝石……?」

 

 魔奏者は沢山いる。その全てが宝石の名前と花の名前で構成されているのは周知の事実だ。ちなみに魔奏者としての名前は自分で決めるわけじゃない。

 

 変身した時に何となく頭に思い浮かぶのだ。自分の名前が。

 

 しかし、プリズムちゃんが言う宝石ってどういう意味なんだろう?

 

「君もその一人だよルビー・アマリリス。君の友達、サファイア・アイリス、エメラルド・オーキッドもそうだね」

 

「消えたっ!? っていうか、アオバやヒスイちゃんのことも知っているんだ」

 

「当然だよ。私に知らないものはないからね。そうそう、ラピス・ベラドンナやオパール・リコリス……スピネル・コリアンダーもそうだね」

 

「もしかして誕生石?」

 

 そういやアオイがそんなことを昔言ってくれた気がする。

 

 私達の名前が誕生石を冠していることに、特撮やアニメみたいとはしゃいでいた気が。

 

「ご名答。流石だね。君には彼女たちが持つ魔奏具を集めてほしい。十二の宝石を宿す魔奏具が集まった時、どんな願いすらも叶える全知全能の魔奏具が生み出される」

 

「全知全能の魔奏具。それがあれば」

 

「そう。君の死んだ幼馴染、白銀アオイも蘇る」

 

 全知全能の魔奏具を手に入れたらアオイが生き返る……!!

 

 だったら私は……!

 

「集めるよ。それがアオイのためになるんだとしたら」

 

「いい心意気だ。そうそう、ちなみに白銀アオイを殺し、利用した存在もこの十二人の中に含まれている」

 

 ……なんて?

 

 アオイを殺した魔族。いや、その魔族は私が殺した。なら、どういうこと?

 

「厳密にいうと白銀アオイを殺すように差し向けた存在かな。白銀アオイがもし女の子だったら、これ以上にない魔奏者になっていたかもしれないからね」

 

「待って。じゃあ、なんで? 男の子のアオイを殺す必要なんてないでしょ? アオイは魔奏者にはなれないんだから」

 

「もし、殺した後に死体を弄って、魔奏者になれるよう改造したとしたら?」

 

「いや、でも。アオイは卑弥呼の人が」

 

 アオイが改造されたなんてありえない。何故ならアオイは卑弥呼の人が責任をもって処理してくれたはずだから。

 

「おやおや忘れたのかい? 白銀アオイが死んでから、唐突に現れた魔奏者……いや滅魔奏者がいたよね」

 

「ラピス……ベラドンナ」

 

 あの子の姿が脳裏に浮かぶ。まさか……!? でも、あの子は私を庇ってくれたはずじゃ。

 

 それにあの子は時折、私達の味方をしてくれている。

 

 いや、でも、最初に会った時は。

 

「彼女に騙されちゃ駄目だ。彼女の動きは全て疑った方がいい。あるいはわずかに残った理性がそうさせているかもしれないね」

 

「理性……アオイの想いってこと?」

 

「ふふっ、魔奏は不可能を可能にする。もしかしたらあり得るだろう」

 

 アオイは利用されている? アオイの死体は弄ばれて、滅魔奏者として活動している?

 

 私は何をやっているんだ……!

 

 アオイがそんなことになっている中、どうでもいい敵に振り回されて! 苦戦して!!

 

 アオイのことすらも弔ってあげられないというのか!!

 

 なんて情けない。自分の弱さに吐き気がする。

 

「君の想いは確かに伝わった。本当は贔屓するのは良くないんだけどね。これは私から君への贈り物と想ってくれていい」

 

 後ろから抱き着いてきたプリズムちゃんが、私の前に手を出す。その手の中には透明なクリスタルの蕾があった。

 

「オパール・リコリスが作り出した魔奏の蕾(マギア・バッド)。これを君に渡してあげよう。特別にね」

 

「これが……。この力があれば私も」

 

「そうだとも全てを破壊できる。全てを倒し、全てを取り戻せる。君の想い描く未来、君の想い描く姿、君の想い描く力、その全てをこれは叶えてくれるだろう」

 

 これがあればアオイがこれ以上弄ばれることはない。

 

 それどころか、アオイを取り戻すことができる。

 

 そうだ。私はこの力でアオイを取り戻す。そのためなら何を犠牲にしたっていい。

 

 これは全てアオイのためなんだ。これは魔族側の力。もし使えば、真面目なアオバはもちろん、ヒスイちゃんや他のみんなも止めるだろう。

 

 けれど、この力があればすべてを取り戻すことができるのなら。

 

 私はこの力を使いこなしてみせる。

 

「君の覚悟は十分に伝わったよ。楽しみにしているよ。君の活躍を、君の戦いぶりを、そして君の未来を」

 

 そういって時間が動き出す。プリズムちゃんの姿は消えていて、私の掌の中には蕾が残されていた。それを蒼崎さんは興味津々に覗き込んでくる。

 

「なんじゃなんじゃ。随分と綺麗なものを持っているではないか! 少し見せてみろ!!」

 

「あ、ちょ、こ、これは大切なものだから。だからあまり触らないでくれると助かるな~~あはは」

 

 一般人に魔奏についてのアイテムを触らせるわけにはいかない。それもこれは魔族由来のもの。どんなことが起きるか分からないからだ。

 

 私はあわてて蕾を学生服のポケットの中にしまう。

 

「ふむ、そこまでするほど大切なら仕方ないの」

 

「そそ。あ、ほら! そろそろホームルームが始まるよ!!」

 

 学校のチャイムが鳴り響く。私はポケットにしまった蕾を指の腹でそっと撫でるのであった。

 

 

 

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