魔法少女の幼馴染(♂)、悪の魔法少女に改造されてしまう 作:偽りの名つむぎん
「さて、もう一つのゲートはこの辺だったけど」
『何か来るぞ!!』
光の弓矢が僕に襲いかかってくる。それを夜魂で防御するのだが。
「消えないな。普通なら触れた時点で消えるんだけど」
『なるほど。物理的なものに魔力を乗せておるのか』
ああ、そういう。夜魂は魔奏しか無効化しない。逆に言うと物に魔奏が付与されていると、付与された魔奏だけが無効化され、物だけは残る。
これが攻撃ならば僕の有効打になるだろう。けれど。
「まあ無駄なんだけどね。飲み込め」
夜魂に性質を付与してガードするだけ。いくら物理的な弓矢を使用していても、それごと消滅させれば僕には届かない。
「流石は
僕の前に黒いローブを纏った魔奏者が現れる。おいおいキャラ被りは勘弁してくれよ。ちょっと口調似てるし。
「ねえ、君だよね? 小さなゲートから召喚した魔族を駆除していたのは」
「それが本当だとしたらどうするつもりだい?」
「君には消えてもらおうと思って。
少女の姿が変化する。黒とオレンジを基調としたドレスに、蔦が巻きついた大弓を携えた魔奏者に。いや……。
『あやつ、妾達と同じじゃ』
「なん……だと!?」
「驚いてくれて嬉しいよ。私は
滅魔奏者……だと!?
そんな、僕のアイデンティティが失われた!? というか悪の魔法少女って一作品につき一人じゃないの!?
いや待て……!
「もしかして、同じ日曜日でも30分早いのか!?」
『何を言い出すんだお主。お主がやらぬなら妾がやるぞ』
「え!? あ、ちょ!?」
ちょっと待ってと言い終わる前に、身体の主導権がヨルに渡った。仕方ないか。
「お主の身体にどんな魔族が埋め込まれたか知らんが、格の違いを教えてやろう。
僕の姿が変化していく。変身すると蒼崎レイラとしての姿は解除されて、元の白銀アオイの姿に戻るようだ。
「そういや、魔奏者っていうのは決め台詞があるらしいのう。ではそれに則って」
あ、ずるい! それは僕が言おうと思ってたのに!!
「ふふん。早い者勝ちじゃ。ここから先は妾のメインアクターじゃ!
クソアアアアアア!!!! 僕が言いたかった決め台詞を先に言われたアアアア!!!
「随分と楽しそうだけど、君達の相手はこいつらがやってくれるよ。おいで」
空に巨大なゲートが二つ開く。そこからワイバーン型魔族が二匹現れる。おぉ〜〜でけぇ〜〜。
「君達用に作ったんだ。私は君たちに構ってられないからね。じゃあね〜〜」
転移で姿を消しやがった! あ、あれぇ? 向こうのほうが悪の魔法少女ムーブしてねぇ? 僕らの悪の魔法少女力で負けてない?
いや、それよりもあれってアカネの方に向かったよな。アカネは大丈夫だろうか。流石に滅魔奏者相手だとアカネの方がやばいかも?
「ふむ。結構強そうな魔族じゃのぅ。魔族も進化しているというわけか」
夜魂を無数の棘に変化させて、ワイバーンを貫こうとする。だが、ワイバーンは高速飛行を始めてそれを回避する。
「面白い! さて、そろそろ本気で戦ってやろう」
ヨルが全身の魔力を解放する。さて、ワイバーン型魔族。どれくらいで倒せるだろうか……?
***
「ああもう! 敵が多い!! なんでこんなにもいるの!?」
駅前に現れた魔族の対処をしてるんだけど、絶賛私は苦戦していた。
個々では苦戦する要素はない。ただ物量で押されると少し鬱陶しい。この駅前だと気軽に魔奏も使えないし……ううう〜〜どうしよう〜〜!!
「
次の瞬間、私ではない魔奏者の声が響く。というかめっっっちゃ聞き覚えのある声だ。
おかげで魔族は氷漬けにされて足止めされた。やっぱ魔奏の使い方は上手いなあ。
「全く帰国早々こんな様子とは、現代最強が聞いて呆れますわね。アカネ」
「はいはい。相変わらず口うるさいね、アオバ」
スタリと私の横に立つ青の魔奏者。いつ見てもムカつくくらい綺麗だ。
理想的なモデル体型、ハイヒールも相まって背はより高い。全身のドレスは綺麗な青。そして魔奏者を象徴する武器はレイピア。
魔奏者サファイア・アイリス、本名を竜胆アオバ。少し前から留学していた、私の親戚だ。
「ちょっと〜〜アオバっ! あたしのことも忘れないでよねっ!」
二つの緑に輝くチャクラムが駅前を駆け抜ける。
氷漬けにされた魔族達が綺麗に真っ二つにされた。さらにもう一人の魔奏者が降り立つ。
「やっほ、アカネ! 元気してた?」
「ヒスイちゃん!? ヒスイちゃんも来てたの!?」
「そそっ! 二人揃って帰ってきたってわけ!」
もう一人の緑のドレスを着た茶髪のギャルっぽい子は
ヒスイとアオバは留学という名目で、海外にある魔奏者達と訓練していたらしい。確かに見違えるほど強くなっている。
「まあ二人がいれば頼もしいよ。ここから先は競争だからね!」
「ふん、私は好きなようにやるわ。私の邪魔をしないように」
「まーまー、そんなつんけんしなくてもいいじゃん。気楽に行こっ、アオバっ!」
こうして私達は魔族を倒す。一人なら数で圧倒されたけど、三人いればそうならない。
私達は瞬く間に敵を倒したのだが。
「あーあ。やっぱこの程度の魔族じゃ相手にならんか」
「誰っ!?」
視線の先、駅の上に大きな弓を持った魔奏者がいた。全身が暗い色を基調にしたドレスを着ている。
なんだか……。
『僕と君の道が交わることはない』
いや、なんで今あの子の顔を思い出したんだ。
「私は滅魔奏者スピネル・コリアンダー。目障りな君達はここでお終いっていうわけ!」
「滅魔奏者!? あの子と同じ……!?」
「報告にあった卑弥呼と敵対する魔奏者ね。手加減はしないわ」
「そーいうことっ! 全力で行くよ!!」
私が驚いている中、三人は激突する。
驚異的なのはあの子、二人の攻撃を同時に受け止めたということ。
「うんうん。基本スペックは私の方が上みたい。魔奏者って言ってもこの程度か〜〜。がっかりだ!」
大弓を振り回して二人の攻撃を弾き飛ばし、大弓を構える。大弓から八本のレーザーが射出される!
「
「
私とヒスイちゃんの二人で魔奏を発動してレーザーを弾き飛ばそうとする。けれど、レーザーは魔奏を貫通して、私たちを追ってくる!?
「この魔奏……! 並大抵の力では消えないわ……!!」
アオバがレイピアで魔奏を弾くけど、レーザーは軌道を変化させて、しつこく私たちを追ってくるっ!
「ちょちょちょ!! めっちゃピンチじゃんやっばぁ〜〜!!」
「アハハっ! ほらほらちゃんと逃げなきゃ死んじゃうよ!」
「このままじゃ……! アオイっ!!」
ふと私はアオイの名を呼んでしまう。アオイに祈ったところで何も起きやしないのに!
その声と共に空から黒い矢がたくさん降ってきて、レーザーを全て叩き落としていく。
「なんだっ!? 何が起きた!?」
黒いローブが私達の前に現れる。もう一人の滅魔奏者。私があの日出会った滅魔奏者が、私の前に立っていた。
「あ、あなたはあの時の
「これが報告にあった卑弥呼を襲ったという……」
「じゃ、じゃあなんであたし達を助けたの!?」
私達はただ困惑するしかなかった。そもそも滅魔奏者って魔奏者の敵じゃないの〜〜!?
私には何が何だか本当によくわからない。
目の前の滅魔奏者は首を少しだけ動かして、後ろを見る。やっぱりあの顔……アオイに似ている!!
「この場は僕が預かる。君達は下がっていてくれ」
滅魔奏者が走り出す。あれはアオイなの? アオイが生きていて……魔奏者に?
「一体、私がいない間になにが……?」
「ちょちょちょ、何があった感じぃ!?」
二人も驚いている。二人とも確かアオイと接点があったはずだ。
ただ、今は二人の滅魔奏者の戦いを見守るしかできなかった。