"Blue Archive: Unlimited Palette"   作:purizumu

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『ブルーアーカイブ:アンリミテッド・パレット』
本編とは異なるAUの物語です。
色彩を失った先生「プリズム」が、無限の虚空で戦うシリアスストーリー。
オリジナル要素多め・ダーク寄りとなっております。
本編の雰囲気を大切にしつつ、別の「もしも」を描きました。
どうぞゆっくりお楽しみください。


色彩なき先生の誓い

アーカイブ・ボイドの果てしない白い虚空に、プリズムは静かに浮かんでいた。

それは、どこまでも続く純白の海。

光も影も音もなく、ただ無限の空白が広がるばかりの場所。

かつて彼は「先生」と呼ばれ、笑い、怒り、愛し、守るべき生徒たちに囲まれていた。

しかし、そのすべてが致命的なエラーによって一瞬にして消滅した。

あの日、世界は音もなく崩れ落ち、残されたのは「色彩」の残額だけだった。

その色彩に手を伸ばした代償として、彼は自らの感情を失った。

喜びも悲しみも、怒りも愛も——すべてが凍りつき、無表情の仮面だけが残った。

いまや彼はただの観測者。

名をプリズムと変え、虚空に漂う亡霊のような存在となった。

腰にぶら下げられた小さな瓶、テクニカルシロップ。

それだけが、彼をかつての「先生」として繋ぎ止めている唯一の錨だった。

多色のインクが揺れるその瓶は、失われた感情の代用品。

虚空には、未完成のヘイローが淡く漂っていた。

忘れられた時間軸の断片が、無数に散らばり、かすかな輝きを放っている。

プリズムの瞳は、それらすべてを冷たく、無表情に観測し続けた。

そこから、無限のAU——Alternate-Universeが生まれ落ちるのを、彼はただ見守っていた。

いつか、自分の失われた世界を「書き直す」ためのピースを探し求めて。

突然、虚空に赤い文字が浮かび上がった。

「ERROR。」

それは、気に入らない物語を消去する者——エラー・プレナパテスの兆しだった。

ノイズに覆われた死神の影が、ゆっくりと形を成し始め、虚空を歪ませていく。

プリズムは無造作に腰の瓶から「熱血(レッド)」のシロップを一口飲んだ。

不自然な笑顔が、無表情の顔に浮かぶ。

ボロボロのコートの下から、巨大な平筆を抜き取った。

「……皮肉だね、プレナパテス。君を止めるために、僕は、君と同じ『呪い』を使い続けなきゃならないなんて。」

プリズムの筆先から、多色の光る液体が滴り落ちる。

ヘイローのデザインが刻まれたその筆は、無数の生徒たちの可能性を映し出す、唯一の武器だった。

白い虚空に、虹色の光が灯ろうとしていた。

戦いの幕が、静かに上がる——。

エラー・プレナパテスが現れた。

全身を黒いノイズに覆われ、赤いERRORメッセージの文字列が鎖のように漂う。

壊れたシッテムの箱から赤い糸(コマンドコード)が無数に伸び、無数のヘイローを絡め取ろうとする。

虚空の白い海が、プレナパテスの存在によって徐々に歪み始め、端から砂嵐のようなノイズが侵食していく。

空気が重く、静寂が不気味に響く。

「歪んだ物語は修復することはできない。ただ白紙に戻すことだけだ。」

プレナパテスの声は、電子ノイズのように低く、虚空全体に反響した。

まるで古いラジオの雑音が、魂を削るように。

プレナパテスの瞳は赤く輝き、プリズムを嘲るように見据える。

かつて生徒を守ろうとして色彩に飲まれた先生。

それが彼の正体。

絶望そのものが、AUを破壊しようとする。

虚空が震え、絡め取られたヘイローが次々と砕け散り始める。

忘れられた時間軸の断片が、赤い糸に引き裂かれ、無に還ろうとする。

砕けたヘイローの欠片が虚空に散らばり、かすかな輝きを放ちながら消えていく。

プリズムの不自然な笑顔がわずかに引きつり、熱血のシロップが体を駆け巡る偽りの情熱が、彼を前へ押し出す。

プリズムは、ゆっくりと筆を構えた。

ボロボロのコートの下から抜き取った巨大な平筆は、ヘイローのデザインが刻まれ、無数の生徒たちの可能性を映し出す唯一の武器。

筆先から、多色の光る液体が滴り落ち、白い虚空に小さな虹色のしずくを散らす。

「…来い。」

プリズムは筆を振るい、光沢の筆致(プリズマティック・ストローク)を使用した。

空中に描かれた線が現実を上書きし、生徒の幻影が実体化する。

虚空の中心に、白いドレスを纏ったアズサの姿が、虹色の光とともに現れた。

彼女の目は鋭く、虚空の闇を射抜くように輝いている。

アズサの周囲に淡いヘイローが浮かび、彼女の存在が虚空に一瞬の彩りを与える。

ドレスの裾が風もないのに揺れ、彼女の指先が微かに震える——それは、幻影ながらも、かつての生徒の意志を宿した証。

アズサは静かに息を吸い、自身のEXスキル「サギッタ・モルティス(Sagita Mortis)」を準備した。

彼女の銃に虹色の光が集まり、矢のような形を成す。

それはどこかの地下世界で夢と希望に包まれた戦いのような、鮮やかな輝きを放っていた。

光の粒子が虚空を舞い、周囲のノイズをわずかに押し返す。

「…撃つ。」

アズサの声は幻影らしく淡いが、決意に満ちていた。

矢のような光の軌跡が、プレナパテスに向かって疾走する。

虹色の輝きが虚空を切り裂き、ノイズの壁を貫こうとする。

軌跡の後ろに残る光の尾が、虚空に一筋の虹を描き、砕けたヘイローの欠片を照らす。

プレナパテスの周囲で爆発が起き、赤い文字列が一瞬乱れる。

ノイズの壁がひび割れ、黒い霧が散らばる。

プレナパテスの体がわずかに後退し、赤い瞳が驚きの色を帯びる。

しかし、プレナパテスは嘲笑うように口角を上げ、赤い糸を伸ばした。

コマンドコードが光の軌跡に絡みつき、虹色の矢が歪み始める。

矢の先端が揺らぎ、輝きがくすみ、軌道がねじ曲がる。

プレナパテスの手が虚空を掻き回すように動き、文字列が矢を包み込む。

「無駄だ。すべてを書き換える。」

「サギッタ・モルティス」の力が反転し、不発に変わる。

爆発のエネルギーがこちら側に向かい、自傷のダメージがプリズムを襲う。

虹色の爆風が逆流し、プリズムの体を直撃。

ボロボロのコートが裂け、偽りの熱血が痛みで揺らぐ。

プリズムの体が虚空に吹き飛ばされ、無表情の顔が一瞬苦痛に歪む。

膝をつきかけ、筆を支えに体を支える。

虚空の白い海が波打ち、痛みの余波でかすかな亀裂が生じる。

「くっ……!」

不自然な笑顔が苦痛に歪み、彼は膝をつきかける。

アズサの幻影が薄れ、ヘイローの欠片が散らばる。

彼女の姿が虹色の粒子となって消えていく最中、アズサの目がプリズムを一瞬見つめ、まるで「先生…」と囁くような幻聴が響く。

虚空に広がる虹色の残光が、赤いノイズに飲み込まれていく。

プレナパテスの瞳がさらに赤く輝き、嘲りの声が響く。

「お前の生徒たちは、ただの幻。歪んだ先の物語は消去される運命だ。」

プレナパテスはゆっくりと近づき、プリズムの腰の瓶——テクニカルシロップを狙い、色を奪おうとする。

赤い糸が瓶に伸び、シロップの多色のインクがわずかに揺らぐ。

一瞬、プリズムの感情が薄れ、絶望に共鳴する。

偽りの熱血が尽きかけ、無表情の仮面が再び固まる。

虚空が崩壊し始める。

空間がノイズに包まれ、砂嵐が広がろうとする。白い海が黒く染まり、ヘイローの輝きが次々と消えていく。

「…本当に、白紙に戻すことが正しいのか?」

プリズムの声は小さく、虚空に溶ける。

だが、その疑問が彼を奮い立たせる。

プリズムは筆で「空間のひび割れ」を塗りつぶす。

筆先が虚空をなぞり、亀裂を虹色のインクで埋めていく。

ノイズが一時的に後退し、プリズムは立ち上がる。

腰の瓶から純愛(ピンク)のシロップを掴み、一気に飲み干す。

甘く温かな液体が体を駆け巡り、偽りの情熱が再燃する。

胸が熱くなり、無表情の顔に本物の——いや、偽りの——決意が宿る。

「どんな物語でも、色が載っている限りそれは美しい!生徒たちの物語、いや世界を僕が守る!!」

プリズムの叫びが虚空に響き、筆から滴るインクをプレナパテスにぶつける。

ピンクのインクが爆発し、虹色の波動がプレナパテスを包む。

ノイズの壁が砕け、赤い文字列が散らばる。

プレナパテスの体が後退し、赤い瞳がわずかに揺らぐ。

インクの粒子がプレナパテスのノイズを溶かし、ERRORメッセージが薄れていく。

プレナパテスは一瞬、動きを止める。

赤い瞳に、悲しみの影が差す。

「…君もいつか吞まれるよ。」

とても悲しそうな顔をして。

そして、プレナパテスの姿が虚空に溶け込み、ノイズが消えていく。

残されたのは、かすかな赤い糸の欠片だけ。

プリズムは息を吐き、シロップを確認する。

感情が再び希薄になるが、虚空に新しいAUの芽が見えた。

彼は筆を背負いなおし、次の観測へ向かう。

無限の物語は、続く。




この二次創作「プリズムの虚空」を書いてみて、ブルーアーカイブの温かくも切ない生徒たちとの絆と、アンダーテールの無限のAUやエラー存在の絶望感を融合させるのが本当に楽しかったです。
元々は、アンダーテールAUの「インクサンズ」という設定から着想を得て、虚空を舞台に「物語の書き直し」をテーマにしました。
プレナパテスをエラー・サンズにアレンジしたのは、両作品のファンとして自然な流れだったかなと思います。
戦闘シーンを詳細に膨らませたことで、プリズムの偽りの感情や生徒の幻影の儚さがより伝わったんじゃないかと。
皆さんがこのクロスオーバーをどう感じたか、気になります! もし続きや他の生徒の登場を望む声があれば、もっと書いてみたいですね。
読んでくれてありがとうございました。無限の物語は、きっと私たちの想像の中で続いていきます。

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