超かぐや姫! 〜彩葉の幼馴染のかぐや姫物語〜   作:ソール

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彩葉が倒れる

 

 

ランキング三位

 

怒涛の追い上げを見せる俺たちオーバーナイト。ヤチヨカップもこれで大詰めに迫る。あと三週間で発表となる

 

あの百人組手が何かと響いたのか、ファン数が後もう少しで百万を超えそうになる。この調子であと二つの順位を上げれば、優勝は間違いなしだ

 

そんな中、俺たちは

 

 

「買えたか?」

 

「うん、買えた!」

 

「ごめん、遅くなって」

 

「いいよ。俺が頼んだわけだし、ある程度の服は揃えてくれた?」

 

「うん、これなら服には困らないかも」

 

「ありがとな。俺は男だから、女の服はあまりわからなくて、水着も本当は母さんと一緒に選んだんだ」

 

 

かぐやの服を買っていた

 

かぐやがこの地球にやってきてからあまりにまともな服を揃えていなかった。いきなり赤ん坊から俺と同い歳になった時は急いで母さんが揃えてくれた。その後の水着も母さんと俺で選んだが、俺は一人っ子で、母さんは男の子しか育てたことがないため、若い女の子の服が、今時の服がわからなくて、ここは彩葉に頼んで、お礼に彼女の服も買うってことで、彩葉がかぐやの服を選んでくれた

 

その割には

 

 

「それだけか?」

 

「うん、あまり欲しい服もなかったしね」

 

「そうか・・・・・て言うかお前、どうかしたのか?なんか様子が変だぞ?」

 

「だよね一花。今日の彩葉、なんか変だと思う。なんか・・・・・・疲れている感じ?」

 

「っ!そんなことないわよ!」

 

「彩葉、ちょっといいか?」

 

「ちょ!?やめて!!」

 

 

彩葉の分の服も買っていいと言ったのに、少ししか買っていない。と言うより、今日の彩葉が何か体調が悪い感じに見えた。かぐやも気づいていて、今日の彩葉は何だか元気がない

 

怪しいと思って、おでこを触って確認しようとする。もしかしたら風邪を引いているのかと思って、触ろうとしたら、もちろん拒まれる。腕で振り払われそうになって、彩葉の腕を偶然触ったら

 

とんでもないことに気づいた

 

 

「熱!?お前!?熱中症にかかっているだろ!?」

 

「そんなこと・・・・ないわよ・・・・・」

 

「全然喋れてない!?たく、調子が悪いならそう言えよ!」

 

「何?一花?熱中症って?もしかして病気!?」

 

「そんな所だ。わかりやすく言うなら全身暑くなって、気分が最悪に悪い事だ」

 

 

彩葉の腕を掴んだだけで俺はわかった。これでも医者の息子なんで、触っただけでそれなりに相手の容体を理解することができる

 

 

彩葉は熱中症にかかっていることがわかった

 

 

おそらく、いろいろ節約してエアコンとか使うのを我慢しているんだろう。あと、多分だが大した食事もしていない。水分もあまり取っていないだろう。この暑さの中、栄養不足で温度差対策を持たずに、無理して出かけてきたようだ。変なところばかり無茶ばかりして、こういう所が彩葉のダメな所だ

 

 

「親父の病院が近くにある、そこに行けば・・・」

 

「待って!病院に行きたくない・・・お金かかるし・・・・今日もバイトがあって・・・」

 

「何を言ってんだよ!?こんな状態で病院に行かないわけにはいかないだろ!お前自分の体調がどういう状態かわかっているだろ!お金はなんとかする・・・それともまだ『紅葉さん』のことを気にしているのか!」

 

「それは・・・・お願い一花・・・・お願い・・だから・・・」

 

「彩葉!?」

 

「く!たくもう!」

 

 

彩葉はどうしても病院に行きたくないのか、拒もうとして足掻いていたが、限界を迎えたのか、そのまま倒れそうになって、俺が抱き寄せて受け止める

 

病院に行けば、おそらくだが紅葉さんに家に戻されることを恐れて行きたくないのだろう。人間なんだから病気の一つもするだろうに、俺は一回も無いけど。とにかく病院に行きたくないのは、仕方なく聞いてやろうと思う

 

だけど、このままはあり得ない

 

 

「かぐや、彩葉の荷物を頼む!彩葉を連れて俺たちの家に戻ろう!それで俺のスマホで、親父を家に戻るよう呼んでくれ!」

 

「うん!・・・・・『プルプル・・・・プルプル・・・・ピピ!ガチャ!!』あ、パパ?お願い!今すぐ家に戻ってきて!彩葉が!その熱中・・・・症とかで倒れちゃって!」

 

 

俺は彩葉をおんぶして、親父の病院ではなく、俺の家へと連れて行く。病院がダメで親である紅葉さんに連絡されるのが嫌なら、もはや俺の家で看病するしかなかった。でもそれでも医者は必要だと。医者である親父を家に戻す

 

親父にはいろいろ事情を話して彩葉の容体を伝えて、今すぐ家に戻ってきて彩葉を診て貰うことができるようになった

 

俺とかぐやは急いで、彩葉を担いで家に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!・・・・・・・ここは?」

 

 

「あ!彩葉!大丈夫!?」

 

「目が覚めたかい?」

 

 

「かぐや・・・・おじさん・・・・ここは、一花の部屋・・・・」

 

 

彩葉が目覚めた時は、18時を回っていた。

 

病院に行くことが嫌なら俺の家で安静させるしかないと、俺のベッドで休んでいた。彩葉のアパートは微妙に遠いから、俺たちの家が近いからと、彼女を俺の家に、そしてかぐやと親父が彩葉を看病していた

 

 

「あれ?一花は?」

 

「一花は彩葉の代わりにバイト行ってくれたよ。病欠だって連絡してあるから大丈夫・・・・」

 

「あ、ありがと・・・・・」

 

「あなた、目覚めた?」

 

「ああ、なんとかな」

 

「はい、彩葉ちゃん。この冷たい飲み物を飲んで少し休んで・・・・エアコンも点けてあるから涼しいでしょ?」

 

「少し点滴を打たせて貰った、今日は一花の部屋で安静していなさい」

 

「ありがとう・・・ございます。おじさん、おばさん、かぐやも・・・・」

 

 

ちなみに俺は居ない

 

俺は彩葉の代わりにバイトに出ていた。代わりは必要だろうと思い、俺が代わりに出勤する。もちろんその分も彩葉の給料に入れるよう聡店長に頼んでおく。この日はシフトは入っていないが、ただ働きでも構わないと、俺が彩葉の分まで働く

 

その間の彩葉は、俺のベッドで寝て、親父が持ってきた点滴を彩葉右腕に刺していた。水分と塩分を急速に補給するためである。今日は一日俺の部屋で安静するよう医者である親父に言われる

 

そしてここからが説教だ

 

 

「彩葉ちゃん。まだ紅葉くんと喧嘩をしているのかい?」

 

「っ!?それは・・・・」

 

「一花から聞いているよ。俺の病院だろうと行きたくないって、多分だけど、紅葉くんが関わっているかもしれないって。一花も彩葉ちゃんのことがわかっていたよ・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「ママ?彩葉って一花から聞いたけど、一人暮らししているみたいだけど・・・親は?」

 

「もちろん居るわ。でもなんか喧嘩したらしくて、一人暮らしを始めたいって彩葉ちゃんが言い出したみたいだけど、学費と生活費も自分で賄うなら家を出てもいいって言われたみたい。母親と居たくないからなのか、彩葉ちゃんが無理言って一人暮らしを始めたらしいの」

 

「お母さんと喧嘩しただけで、無理に家を出なくても・・・・ていうかそれを条件に出して受け入れる彩葉のママも少しおかしくない?」

 

「変に不器用なところがあるからな、紅葉くんは」

 

「そうね、あの子。変なところで素直に言わないところとか、ここぞって時に言うべきことをいつも言わないからね」

 

「彩葉のママって、なんか変かも。でもその話を聞くと、彩葉そっくり」

 

「一緒にしないでよ・・・・」

 

「だって、病気があるのに何も言わないとか、変なところで無理したりして、十分おかしいよ」

 

「な!?っ・・・・・・・・・」

 

「かぐやも、君のことがわかってきたみたいだね、一花みたいに・・・・」

 

 

彩葉の一人暮らしは、俺も親父も母さんも知っている

 

中学の時からだな、彩葉と母親である紅葉さんとの仲が酷くなったのは。中学生だからそれなりに反抗期になって親と喧嘩することなんて、俺でもある。俺の場合はいじめをしている連中に喧嘩をふっかけた事で、親父と母さんに怒られたことがあるわけだしな

 

そんな感じで彩葉も親と喧嘩して、一緒に暮らしくないのか、一人暮らしを始めた。でもまだ高校生だ。ツクヨミで収入が良くなっても、勉強やバイトだってある。そんな無茶な生活をしたら体が壊れてもおかしくない。そんな生活を送っている彩葉に対してかぐやはおかしいと、彩葉が変だと言う

 

かぐやも彩葉と一緒に居てそれなりにわかってきたんだ。これもユニット仲間である証拠だ

 

 

「まあ、本来なら紅葉くんに連絡する所だがここは伏せておくよ。その代わり今度からは病院に来るんだ。何かあったらね?」

 

「あ、すいません。ご面倒かけます」

 

「本当にダメよ、熱中症で死ぬ人も世の中には居るんだから、少しでも体に異常を感じたらウチの主人の病院に行くこと。お金なら多少主人が安くしてくれるから。無理して悪化したら、紅葉ちゃんに文句も言えずに家に帰されるわよ?」

 

「仰る通りです」

 

 

こればかりは彩葉も何も言えなかった

 

親父と母さんは医者でなくても、大人として人として当たり前の説教した。

 

むしろ当然だ。熱中症になっても病院も拒んで行かずに済ませようとするなど、どこかで倒れてもおかしくない。そうなったら大騒ぎだ。女子高生らしき人物がどこかの道中で倒れているなど、親に知られたくなくて病院に行かないとか、自身の身を壊す自殺行為だ

 

これでは家に戻されてもおかしくない。それをどうしても避けたいならと、かぐやがとんでもない提案を出す

 

 

「ねえ彩葉?いっその事、このまま一花の家に住まない?」

 

「え!?そんなことできないわよ。おじさんとおばさんにも迷惑だし」

 

「いや、俺たちも是非ともそうして欲しいなと思っている」

 

「ええ、部屋は物置部屋をなんとか片付ければ一人分の部屋は確保できる。彩葉ちゃんを住ませることはできるわ」

 

「な!?どうしてです?」

 

「一花に聞いた話なんだか、変にお金を節約して最近食事をちゃんと取ってないそうだな?」

 

「っ!?それは・・・・・」

 

「大人として医者として。こればかりは厳しく言わせて貰うよ。そんな生活習慣を送るんだったら、俺たちとしては見逃せない。紅葉くんが一人暮らしを反対していたのも納得できる。一人で生きていくなんて、今の段階では君には無理だ」

 

「最近かぐやと一花から、貴方と一緒にツクヨミと言うネットの世界で、ライバーと言うのになってお金をかなり稼いだと聞いたわ。でも、それをしっかり使わないで、この夏の暑さにやられるのなら。一人暮らしなんて、紅葉に反対されて当然よ」

 

「っ・・・・・・・・」

 

 

かぐやは彩葉も俺の家で住むべきだと提案する。もちろん彩葉は俺の両親に迷惑がかかると言うことで断ろうとするが、その親父と母さんからもそれを提案する

 

 

理由は一つであり、残念ながらの事実

 

 

 

今の段階で、彩葉が一人暮らしをするなんて。今の生活を聞いていたら、無理だと確信したからだ

 

 

 

学校へ行きながらなら、学費と生活費を高校生が一人で稼いで生活するなど無理に決まっている。俺とかぐやと組む前は、ツクヨミで一人でライバーで得たお金とかバイトで金を貯めていたにしても、色々節約して切り詰めないとならないのなら、これからもやっていけるはずがない。しかも今は夏。気温はどんどん暑くなり、そこでまともな食生活と部屋の温度を保つための電気機器を使わない限りは無理だ

 

残念ながら彩葉がどれだけ頭が良くても、一人で生きていけるだけの生活力は彩葉になかった

 

 

「紅葉くんにこの事を言えば、家に戻されるのも確実だ」

 

「彩葉ちゃんが眠っている間にスマホが鳴っていたわ。しかも紅葉。紅葉は貴方の事をかなり心配しているようね。電話には出なかったわ。この事を言ったら大騒ぎになると思ってね」

 

「すいません・・・・」

 

「連絡も全然してないわね。どれほどお母さんと離れたっかたのかわかるわ。でもこのまま生活を続けたら、確実に体調を崩すのは目に見えているわ。それでも・・・・一人で暮らすつもり?」

 

「わかっています、そんなことは。それでも私は・・・・・・」

 

「ここに一花が居たら、『お前は一人で抱え過ぎなんだよ』って言われるだろうね」

 

「・・・・・・・・」

 

「そういう頑固なところは、紅葉にそっくりね。彩葉ちゃんは・・・・」

 

 

残念ながら彩葉はそれでも一人で暮らすと頑固に通す

 

一度決めたことをここで降りるつもりはないと、親父と母さんの提案を拒む。紅葉さんに連絡しないだけ有難いかもしれないが。それでも自分一人で生活したいと、俺の家に住むことを断る

 

 

「ねえ?彩葉はなんで一人でそこまで頑張るの?」

 

「それは・・・・・・・」

 

「彩葉は一花に何度でも頼っていたじゃん!今回も一花に頼ってここに住めばいいんだよ!」

 

「そこまであいつに迷惑かけられないよ」

 

「何を言ってんの!?彩葉と組んでわかっていたけど、彩葉っていつも一花を頼っているじゃん!それで一花は何度も彩葉を助けた。迷惑なんて思うわけないじゃん!!」

 

「っ!?一花がいつも私を・・・・・」

 

「一花は本当に優しい人だよ。かぐやや彩葉にだって、助けてって言えば助けてくれる!迷惑なんて思わないよ!!」

 

 

かぐやがまた俺の頼ればいいと。ここに住めばいいと説得を続ける。

 

彩葉は確かに困った時はいつも俺に頼って俺はいつも彩葉を助けた。昔からいつでも、どんな時だって彩葉を助けた。今回はこの家で住まわせて貰おうと、今回も俺に頼めばいいと無理難題に言う

 

それでも彩葉はあまり受け入れていない、だからかぐやは

 

 

「どうしてもかぐや達の家で過ごせないなら、一花が帰ってきてからじゃなきゃわからないけど、かぐやに提案があります!」

 

「え?なに?」

 

「かぐや?」

 

「何をするの?」

 

「それは・・・・・・・

 

 

彩葉がどうしてもここには住めず、迷惑ではないと親父と母さんとかぐやが言っているのに、それでも住むことに抵抗がある。どうしても迷惑だと自分で思ってしまうのだろう

 

なら

 

 

それができないのなら、一つ提案があるとかぐやが出す

 

 

それは俺が帰ってこないとどうなるかわからない話だ。結構無茶苦茶な提案ではあるが、これなら彩葉の生活をなんとかできると、かぐやは考えた

 

しかし、これは俺がバイトから帰ってからの相談が必要だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、今帰ったぞ」

 

「おかえり、一花!」

 

「彩葉は?」

 

「お、おかえり・・・・・」

 

「気分は?」

 

「マシになったよ」

 

「そうか、よかった」

 

「お帰り一花、ご飯できているわよ」

 

「ああ、手を洗ったら食べる」

 

 

俺はバイトから帰ってきた

 

帰ってくるとかぐやが迎えてくれて、彩葉も奥から出てきた。容体は問題ないらしく、あれから大分気分が良くなり、今では食べ物もしっかり食える程、食欲もあるようだ

 

夜遅くだが、母さんが夕飯を用意してくれて、食事をしながら今日の話をする

 

 

「ごめん、今日代わりにバイトに入ってくれて」

 

「別にいいよ。それくらい。今日のシフトもお前の給料に入れるよう、聡店長に言ってあるから」

 

「え!?いいよ、別に・・・・そしたら一花がただ働きじゃない!?」

 

「今日くらい問題ねえよ。と言うか人の心配している場合かよ。オーバーナイトの収入が良くなったんだから、ちゃんと金を使って、それなりの飯食って、エアコンをつけろってんだよ!節約しなくても問題ないくらいの金額になったろ?これじゃあ紅葉さんの言う事が的中しちまったじゃねえか!」

 

「ご、ごめん・・・・・」

 

「まったく・・・・・」

 

 

帰って早々、彩葉は自分の代わりに俺がバイトに出たことを謝ってきた。一日ただで働くなんて構わねえよ。

 

それよりも自分の心配をするべきだと説教する。オーバーナイトの収入が良くなったんだから、節約せずにちゃんと使って自分の健康を保つのを優先すべきだと怒る

 

変なところで我慢する所は相変わらず。こいつはなんでもできるようなハイスペックな奴だと思う奴が多いと思うけど、こいつはそれ以外は本当に不器用で頑固者。その結果がこれだ

 

怒って当然のことだ

 

 

「だが、一花。やはり彩葉ちゃんを一人暮らしをさせることは、俺は反対だ」

 

「ああ、俺もこんな失態をしたこいつが一人で暮らすことに関しては、もう信用できない。俺は彩葉の親じゃないけど。お前はもうここに住んだらどうだ?」

 

「あんたもそう言うのね?」

 

「当たり前だろう。お前のアパートでの暮らしを知っている俺からすれば、いつ倒れてもおかしくないと、予感はしていたんだ」

 

「あんたは、そこまで私はしっかりしてないと?」

 

「ああ、学校では優等生でも、自分の事に関してはお前は二の次になっているんだよ。それがこの結果だ。文句を言える立場だと思うか?」

 

「っ、そうだね。ごめん・・・・・」

 

「でも一花、彩葉はそれでもここに住む事に抵抗があるみたいだよ」

 

「だろうな。一人で暮らすって決めたのに、友達の家で暮らすなんて本末転倒だ。渋るのもわかる。でも、だとしてもお前に生活力を保つだけの時間とその気がない。諦めるんだな彩葉。お前がどれだけ勉学ができたとしても、これがお前の限界だ。残念だけど紅葉さんの言う通りだ。甘ちゃんじゃないけど、『お前一人では無理だ』」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

 

今回はマジで俺も怒っている

 

一人で暮らす上で健康は絶対に落としてはならない。落とすことはあると思うけど、しっかり病院に行くとかそれなりの対策をすること

 

にも関わらず、母親に知られたくないからと家に帰されるのが嫌だから病院に行かないなんてそんな馬鹿なことをする奴があるか、勉学できる奴だろうと論外にも程がある

 

本気で俺は心配だった。彩葉が本当に死んでしまうのではないのかと、俺は落ち着いてられなかった。熱中症は本当に若くても死ぬケースがある。俺も医者である父を持つ息子として、病に関して細かくではないが多少教えられているため、熱中症がどれだけ危ないのか学習している。それは彩葉もだが。それが理解できているのに、こうして負担になるなど。もう彩葉のワガママは、今回ばかりは聞く気はなかった

 

本当に変わらない、こいつのこのダメな所だけは。よくこれで俺に無茶はさせないなんて言えたものだ。一番無茶をしているのはこいつじゃないか。母親と離れたいからとは言え、正直情けない

 

 

ここは親父の言う通り、俺の家で住むべきだ

 

 

ところが

 

 

「一花!彩葉がどうしてもかぐや達の家に住みたくないなら、かぐやに提案があるの!」

 

「提案ね?もしかして彩葉を一人にさせないために俺とお前で、彩葉のアパートに住むとか?お前のことだからそんなことを言いそうだけど、流石にそれはあんな狭さで・・・・」

 

「あ、ちょっと近い!彩葉のアパートって狭いでしょ?だからもっと大きな家に引っ越すの!」

 

「引っ越す?まさか・・・・・」

 

 

かぐやがどうしてもなるべく彩葉の要望通りにしたいのか、かぐやなりに提案を出してくる

 

まさかとは思うが、俺とかぐやで彩葉のアパートに一緒にこれから住むのかと思ったが、流石に狭いことは知っているのか、それはなかった

 

だから別の場所へと引っ越せばいいと言い出す

 

それを言われたら答えは一つだ

 

 

 

 

「新しい家で!かぐやと一花と彩葉の三人で住めばいいんだよ!!」

 

 

「そうだろうと思った」

 

「びっくりよね?本当・・・・・あんたは予想付いていたんだ?」

 

「お前の考えを考慮すればな」

 

 

 

かぐやが提案したのは

 

 

 

新しい家で、俺とかぐやと彩葉の三人で暮らすこと

 

 

 

まだ俺と彩葉は高校生で、その上に男女。一つ屋根の下で

三人で暮らす。俺はやっとかぐやとの生活に慣れたのに、今度は彩葉との生活も共同しないとならない。俺も男だから女と暮らすことに躊躇いがあった。それこそかぐやと暮らす時にはかなり苦労した。妹とか姉とか居ない、姉妹の居ない俺が幼馴染と妹みたいなかぐやと暮らす。

 

男として結構キツイ

 

 

「親父と母さんはこれに関してどうなの?」

 

「保証人は俺がなるつもりだし、彩葉ちゃんを一人にするのも医者として見逃せない」

 

「と言うわけで反対意見は無いわ」

 

「マジか・・・・・男女で一つ屋根の下に暮らすことに親としての反対はなしか?」

 

「知らないわけじゃあないだろ?」

 

「確かに、それは・・・・・」

 

 

親としての反対はなかった

 

まだ高校生の二人と妹が三人で別の家で暮らすことに、俺の両親に反対はない。でもそうでもしないと彩葉を家に返すことになるだろう

 

ぶっちゃけそうすればいいと思うが、こいつと紅葉さんの仲は、親子でありながら犬猿の仲である。今でも連絡なんて全然しない程だ

 

 

「お前?紅葉さんとは相変わらずか?」

 

「ま、まあね?」

 

「お前のそういう頑固な所は、俺も嫌いだがな」

 

「な!?私が悪いわけ!?」

 

「お前が微妙にワガママなんだよ!」

 

「そんなことないでしょ!?」

 

 

「二人とも痴話喧嘩する程、仲がいいのかい?」

 

 

「「っ!?ごめんなさい・・・」」

 

 

つい喧嘩してしまった

 

彩葉にも原因はあると思い、ついつい喧嘩を引き起こしてしまった。こいつが紅葉さんに苦手意識を出したことから、一人暮らしをし始めたことは俺も知っていることだが、だとしても、今回熱中症で倒れている。そんな失態を引き起こした彩葉をもう一人暮らしなんてさせられないだろう。親父も医者として見逃せないのが現状。だからこそ俺とかぐやと彩葉で住むべきだと。友達の家で居候するくらいなら、自分達の家で住むことを選ぶ

 

幸い、オーバーナイトの収入でしばらく生活費を賄えるくらいの金はある、と言うか本当にツクヨミでライバーをやってそれなりの人気を出すと、高校生が持てるとは思えない金額を持てる。下手すると親父の収入に勝てる程に。ぶっちゃけタワマンに住めるくらい金はマジである

 

 

「かぐやも彩葉ちゃんも、別の家で住むことは決めている。あとは・・・一花が決めればいいだけだ」

 

「俺?二人だけで住めばいいだろ?」

 

「それは無理よ。ねえかぐや?」

 

「うん!もちろん一花もだよ!かぐやは一花と常に一緒がいいもん!彩葉も一花と家でも一緒だといいよね?」

 

「え?まあ・・・・・男の手も欲しいし」

 

「本気かよ!?」

 

「お願い一花!」

 

「一花!ごめんだけど、あんたも来て!私、このままだと実家に戻る事になる!お願い!」

 

「・・・・・・・・」

 

 

俺は男だ。まだ高校生で二人の女と屋根の下で暮らすなんて気まずいにも程がある

 

二人にお願いされても俺はかぐやとの生活にやっと慣れてきたのに、今度は彩葉とも暮らすなんて。いくら幼馴染とはいえ、無茶にも程がある。彩葉が我慢して実家に戻ればいいだけだろ。自分の都合で俺まで巻き込まないで欲しい

 

でも

 

 

 

『彩葉の事を、頼むで』

 

 

 

朝久さんの言葉が今でも頭の中で響く。あの人の約束を今でも忘れらない。彩葉に何か合った時は助ける約束をした。

 

ここであの人との約束を違えるわけにはいかない

 

しかもかぐやもまた泣きそうな感じ。まさかこんな事になるなんて。かぐやがウチに来て、ヤチヨカップの上位に上がったりなど、普通の生活がどんどん崩れていく。俺の人生はどうなってんだ

 

ここまで来ると、もう選択肢はない

 

 

「わかった。俺も住めばいいんだな?」

 

 

「やった!!」

 

「お、お願い!」

 

 

「決まりだな?」

 

「ええ」

 

 

「やれやれ・・・・・」

 

 

こうして俺も彩葉とかぐやと一緒に別居が決まった

 

こんな事になるなんて誰が予想しても無理な話だ。かぐやは泣こうとするし、彩葉は朝久さんの関係で助けないとならない。俺に選択肢などなかった

 

だが

 

 

「でも引っ越すのはヤチヨカップが終わってからにしよう。今はまだ配信に集中するべき」

 

「そうね。と言うかまだ家すら決めてないし」

 

「じゃあ明日でも家を探しに行く?」

 

「彩葉が元気だったらな。彩葉、今日は俺の家に居ろ。親父、母さん。その時は頼む」

 

「ああ、保証人は俺がなる」

 

「息子がこんなに早く家を出るとはね」

 

「まだだよ、ところでこの事も紅葉さんに・・・」

 

「うん、言わないわ。結局一人で暮らせないって言われるから」

 

「そうだろうな」

 

 

引っ越すのはヤチヨカップが終わってから、今は優勝を取るために配信を優先した方がいい。引っ越すのも時間は要るし、まだ家すら決まっていない。時間がかかるこの話は、ヤチヨカップが終わった後だった

 

彩葉は今日は俺の家で過ごす。明日彩葉が元気だったら家を探しに行く。ちなみに俺とかぐやと一緒に別の場所で暮らすことは紅葉さんには伝えない。伝えたらまたボロクソに言われるだろうと、彩葉は母親である紅葉さんには今回も何も言わない。と言うことで、配信以外の時間は家探しが決まった

 

 

「あああああああああ!!」

 

「っ!なに!?大きな声を出して!?」

 

「見て!配信予定を確認したら、いつの間にかランキングが二位になっている!!」

 

「え!?嘘!?」

 

「おお、すごいな。この前でランキング三位から二位になるなんて・・・・」

 

「じゃああとちょっとで一位になれるのね?」

 

「でも、おかしいよ。最近大した配信はしていないのに・・・・あれ?いつの間にかふじゅ〜がたくさん入っている?なんで?」

 

「本当だ。かぐや、あんた何かした?」

 

「ううん、最近かぐやはゲームと雑談配信しかしてないよ。なんで?」

 

 

かぐやがこれからの配信予定を確認しようとしたら

 

 

 

いつの間にか『ランキング二位』に上がっていた

 

 

 

これで一位のブラックオニキスに追いついた。しかし、なんで三位から二位へと上がったのか。あの俺の百人組手以降から大した配信はしていない。それだけファン数を集められる程の配信はしていないのに、ふじゅ〜まで集まっていた。かぐやは知らない上に、彩葉もどうして二位にまでなれたのか、わからない

 

一体、どうしてなのか

 

それはもちろん

 

 

「ああ、昨日の夜に俺がASMRの販売をしたんだ。その収入で、ランキングも二位に上がったんだな」

 

「これあんたの仕業!?」

 

「ああ、ASMRを作っておいた、俺の」

 

「いつの間に!?」

 

「いろんなことには挑戦すべきだからな。知り合いのライバーに相談して、ふじゅ〜を払って台本を作って貰って、完成させて昨日販売した」

 

 

できることはなんでもしようと、ランキング上位を目指すために、少しでもファン数を集めるために、ASMRにも挑戦する

 

しかし、その経験は全然ない。だからそれを得意とするライバーに頼んだ

 

 

その名は『湯雲ぬくみ』

 

悩み相談や睡眠指導、ASMR配信をする癒し系アイドル

 

 

その彼に頼み、ASMRに必要な機材も貸して貰い、台本も彼に書いて貰って、その報酬としてふじゅ〜をそれなりに払った。そしてその完成させたASMRボイスを販売して、その結果として、ボイスが良かったのか、またふじゅ〜の収入も良くなり、ランキングの上位にまたも上がる

 

これでブラック・オニキスに近づいた。あとはこのユニットに勝つだけ

 

 

「ねえ?それ聞いてもいい?」

 

「いいけど、イヤホンをしてくれるか?本人の目の前で聞かれるのは恥ずかしいんだ」

 

「彩葉、聞いてみよ?」

 

「え、ええ、そうね」

 

 

目の前で聞かれるのが恥ずかしいため、かぐやと彩葉にしか聞こえないよう、イヤホンをしてもらう。

 

ぬくみの台本、かなり健全なASMRな配信をする癖に、俺が台本を頼んだ瞬間、なんかかなり18禁に近いASMRボイスの台本にされたため、俺は恥ずかしくて聞きたくない。俺に聞こえないように聞いてくれと頼む

 

 

 

そして二人は俺のASMRを聞くと

 

 

「一花・・・・その・・・エロいね?」

 

「ぬくみに言ってくれ、あいつがこの台本じゃなきゃ協力しないとか言って、この台本でボイスを完成させるしかなかった。あと男でエロいはないだろ?」

 

「でも・・・・これ・・・かなり色気があるわよ・・・・あんたこんな声も出せるんだ・・・」

 

「頑張った。顔赤いけど、そんなヤバかったか?」

 

「まあ、健全とは言えないわね・・・・」

 

「もう18禁だな」

 

「なんで父さんや母さんまで聞いているんだよ!?しかも買っているし!?父親と母親にボイス聞かれるの恥ずかしいんだけど!?」

 

「しかし、これは大丈夫なのか?ツクヨミと言うネットの世界では18禁物も可能なのか?」

 

「そこは管理者である月見ヤチヨの判断によるが・・・・・流石に禁止になるか?」

 

「大丈夫だと思うよ、ヤチヨは一花のファンだし」

 

「確かに。このボイス気に入ったから健全ですとか言って、ボイス販売を禁止なんてしないわよ。本当にあのヤチヨに気に入られて羨ましいわ」

 

「別にそんなことないだろ。でも・・・・これ禁止になるのかな?」

 

 

かなり過激なボイスだと、皆に思われる。まあ、やってみて俺もこれ大丈夫な奴かと思った

 

ツクヨミでエロに関することは多少あるにはあるが、誰でもできる健全を目標にして運営しているから、流石に俺の出したボイスは禁止されて消されると思った

 

ところが

 

 

『管理者として、このボイスは健全と認めますので、問題ありません』

 

 

と言っての管理者の運営報告がツクヨミ全体に広まり、俺のボイスは禁止になることはなかった。それでも『これいくらなんでも、やりすぎじゃないか』と、批判の声もあったが、それでもヤチヨが『問題ありません、それ以上の批判はBANします』と言って、理由も言わずに初めて管理者の圧を出した報告が流れた

 

その報告を読んで

 

 

 

「あいつ、俺のボイス、絶対買ったな?」

 

 

 

と、かぐやと彩葉の言うとおり、あいつが俺のファンだからなのか、俺のボイスは禁止になることはなかった

 

 

とにかくこれで二位

 

 

あとはブラックオニキスを落とすのみ、ここからが本題だ

 

 

 

 

 

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