またもランキングで追い上げを見せて、ブラックオニキスに並んだ。あとはそのブラックオニキスを落とすだけだ。それはあともう少しでやってくるKASSENのSENGOKUでやり合うことは決まっているため、そこで対策を考えて戦うしかない
そんなブラックオニキスとこれから対決するのに
「いらっしゃいませ!ああ、朝日さん!」
「よお、久しぶりだな。あとで雷と乃依も来るから。お前と話をしたいからカウンター席で」
「ええ、案内します」
バイト中の俺に彩葉の兄、朝日さんが尋ねてきた。話したいこともあり、バイト中でも良ければと朝日さんは尋ねてきた。あとで雷さんと乃依もやってくる
実はこの前、俺は彩葉が熱中症で倒れたことを連絡した。朝日さんが上京してから直接会ったりはあまりないが、連絡は結構している、その理由は彩葉がどうしているかだ
小学、中学、高校まで俺と彩葉一緒だった。彩葉がどんな感じで生活を送っているのか、兄として妹が心配だった。朝日さんは上京してから妹と連絡をしていない。そもそも彩葉が高校生になってから一人暮らしをしたことも知らなかった。知ったのは毎日連絡している母からだ。母に妹が一人暮らしをしていると聞いて、朝日さんが連絡をしたが、彩葉は自分の生活にとやかく言われたくないのか、兄とも連絡を拒んでいる。だから高校も一緒な俺に、彩葉が普通に暮らせているのか聞いてくる。彩葉が聞いたら何を言われるかはわからないが
それでも兄として妹が心配で、どう生活をしているか聞くためにもバイト中の俺に尋ねてきた
「悪いな、バイト中に尋ねてきて」
「いいですよ、今は中途半端な時間で、まだお客さんとか来てませんし、カウンターで作業しながら話せます。いいですよね?店長?」
「ああ、今はまだ何も無いから構いませんよ」
「許可は取れたんで、これでお構いなく話せます」
竹井聡
俺と彩葉のバイト先の店長の名前。今はお客もあまり居ないため、多少の喋りなら働きながらしても構わないと許可が貰える
「先輩!居ますか?」
「来たぞ、一花」
「あ、いらっしゃいませ!こっちです!」
「おお?来たか?」
そのタイミングで雷さんと弟の乃依が来た。この二人は兄弟である
兄の駒沢・雷、弟の駒沢・乃依
兄弟でユニットを組んでおり、朝日さんが二人をプロゲーマーとしての道へ誘った。そして今の地位を得ている。この三人はツクヨミにおいて月見ヤチヨの次に人気の三人
その三人と俺は知り合いだ。たまにここか、別の場所で集まったりする
「で?先輩は朝日の妹さんと暮らすの?」
「ああ、彩葉を一人にするわけにはいかないからな」
「あいつ、やっぱりドジったか?」
「はい、あいつがなんでも金を惜しむもので。ちゃんと食事を取らないのが悪いですけどね」
「それで今は?」
「もちろんこっちで面倒を見ています。親父が念の為にって、俺の部屋でな」
「え!?先輩の部屋に居るんですか!?彩葉先輩!?」
「まあな、俺は物置部屋を少し片付けて寝ている」
「お前、まさか彩葉と一緒に風呂入ったりしてないよな?まさかあのかぐやちゃんと!?」
「違います。昨日もかぐやと彩葉で入ったので、俺は何もしてません!」
「少なくとも女の子二人とこれから暮らすんですよね?先輩は女たらしです」
「な!?たまたま偶然なだけだ!乃依、変なことを言うな」
「だが、状況を見ればそう思われても否定はできないと思うぞ?」
「雷さん、分析するのやめてください」
色々これまでの話を働きながら話す。
この三人にも、一応かぐやの話と彩葉が熱中症で倒れてウチで面倒を見ていることも全部話しておく。友人でもあるため、頼りになることもあり、よく馴れ合うこの三人にもこれからどうするのか話しておく
でも、俺が女二人と暮らしていることには、かなり文句を言ってくる。特に朝日さんと乃依が。朝日さんは実はかぐやのファンで、そのかぐやにとある事があるとも思いもせずに、俺が羨ましいのか、同じ家で変なことを二人でしてはいないかと、かなり文句を言ってくる。
乃依も俺に変な先輩になってほしくないのか、家でこれからもかぐやと彩葉と暮らすとはいえ、いかがわしい事はしないよう言われる
実は彩葉にはバレたが、彩葉が今ウチに来るまでは、・・・・・かぐやとあれしたことは内緒である
それよりも
「それで・・・・・そろそろだよな?どうなんだよ?もう順調か?」
「ええ、こっちは準備はできています。かぐやと彩葉にKASSENの知識は全部入れ込んだ。そしてヤチヨカップの最終日まで明後日、それであんた達と決戦だ!!!」
「へえ・・・・面白くなってきたな?」
「今までどれくらいやったんだ?一花?」
「かなりですよ、敗北も多少ありましたけど、やっと馴染んできましたよ。対策も何通りか考えています。朝日さんの動画で行動パターンも把握しました。俺と彩葉で紙に書いて、全部計算して、罠も把握しました」
「朝日、どうやら一花達は本当に俺たちを攻略するために準備を整えているみたいだぞ?」
「俺も先輩達のゲーム配信見たよ、敗北は確かにあった、でもそれはまだ馴染んでないから、それでもここ最近は勝ち続けている。腕はもう少し要るけど、そこは先輩が補っている。だから一番に止めるべきは先輩だ!」
「まったく、SETSUNAモード一回も負けたことがない奴は、恐ろしいにも程があるだろ。要注意人物が相手か」
「乃依が言うには、俺たちが仕掛ける罠も把握している。今度の決戦、武者震いがするぞ?リーダー」
「ふん、上等や!俺もここまで強い奴と戦えて嬉しいちゅうんや!」
「本性出ましたね?久しぶりに京都弁を聞きましたよ」
「そうに決まっとるやろ!こんな強い奴と戦うんや。そして彩葉やかぐやちゃんも居る!これを面白いと呼ばんでどうするんや!最高速度でぶち抜いたる!!やろ?雷?乃依?」
「ああ、これだけの強敵、今までに無い相手だ。全力で相手するのみだ。だろ?乃依?」
「わかっている、兄ちゃん。先輩、俺一人じゃあ勝てないことくらいわかっています。だから兄ちゃんと朝日で、先輩達を倒す!」
「そう言うことや、ブラック・オニキスが全力で挑んだる!覚悟せえ!!」
「こっちも全力だ。こっちも俺に願っているヤチヨと、そのヤチヨと一緒にライブしたいと願っている彩葉、俺と一緒に天辺に行きたいかぐや。その三人のためにあんたらを撃つ!!」
俺も相手が友人であろうと、後輩であろうと、この三人を相手に睨みつけるような鋭い視線を送る
その視線に三人も返すように俺を睨みつける。さっきまで楽しい空気は無くなった。お互い敵同士として熱い闘志を燃やす
久しぶりだよ。また朝日さん達を相手にここまでゲームで熱くなれるのは、やっぱりゲームをやるなら、これくらいがちょうどいい
けど
「盛り上がるのはいいけど、ここはお店だよ?」
「な!?すいません!!」
「やべ!?一花!デザートと飲み物を注文する!俺はコーラとパフェで!」
「すまん!俺はコーヒーと大学芋で!」
「えっと!俺はメロンソーダとプリンで!」
「あ、はい!畏まりました!店長!注文入りました!」
「なんの話かはわからないけど、楽しそうでなにより、でもお店の中であることは忘れないように」
バイト中であることを忘れて、盛り上がってしまった
まだ俺たち以外にもお客が居るのに、その周りを気にせずにお互い宣戦布告して大声を出すなど迷惑でしかない。確かにこれでは店長に注意されるのも当然だ
急いで三人の注文を取る
「コーラとコーヒーとメロンソーダは持って行きました!」
「はい、できたよ。持ってて」
「はい!」
そうして飲み物はなんとか持って行った。店長がデザート作り終えて、俺が持って行こうと、手を出す
その時に、店長の手に触れる
その瞬間
ビュン!!!!!
「っ!?」
突然、眼の模様が変わり、とんでもない光景を眼にする。それが頭の中に読み込まれる
それにより俺は体を少し蹌踉ける
ガタン!!
「く!」
「天人くん?どうしたんだい?」
「くう!?なんだ!?」
突然、見たことのない光景が見える。なぜそんなものが見えるのか俺にもわからないが、ある光景が見えている
それは
俺とかぐやと彩葉がKASSENしている光景、そして敵はブラックオニキスだ。
普通に戦っている。彩葉とかぐやがアキラさんを抑えている。
そして俺は乃依と雷さんと戦っている、俺は二人を相手に戦っていた
しかし、最後の場面でかぐやとアキラさんがお互い天守閣を落とそうとしたところで、かぐやは罠にハマり天守閣を落とせず、アキラさんが俺たちの天守閣を落とす
それでファン数を手にして優勝にはなれるも、KASSENは負ける
そんな『これからの光景』が見えた
「っ!?なんだ?今の?」
「大丈夫かい?天人くん?」
「あ、大丈夫です、少し立ち眩みしただけですので」
「そうか・・・・酒寄君に続いて、君もかい?」
「いいえ、俺のは何かの・・・疲れかなんかでしょ。持って行きます」
結局なんだったんだろうか
今の光景は『これから起こる事』。眼に映る光景がなぜかそんな情報を送ってきた。なぜそんな光景を見るのかわからない。突然そんなものが見えるなんて、俺も疲れているのかと思い、今のことは忘れることにした
「やはり『地球に降りて正解だった』、『相変わらず恐ろしい一族』だよ。彼もこんなに早く『覚醒』するとはね、『かぐや姫を拾うことになる運命を見たが』、まさかこんなことになるとは、『三日月眼』。今も私の力を受け継ぐか・・・・・・・・・これは大分運命が変わるぞ・・・・・・・・もしもし、私だ。『桜花君』、君の息子も果たしてしまったよ」
と、俺の知らぬ店長の言葉が漏れる。そしてなぜか俺の父に連絡した。なぜ店長がこんなことを言うのか
この時の俺はまだ謎だった
そして決戦の日
今日でヤチヨカップ最終日、今日まで多くの配信を何度もしてきた。クイズ、実験、ゲーム、歌枠、できることはなんでもしてきた。そしてライバーランキング第二位
ここまで上り詰めることができた
あとは現在一位のブラックオニキスを落とすだけ、それが一番の問題だ。本当にブラックオニキスは大会で何度も優勝を果たしている。俺がSETSUNAで一回も負けたことはないとはいえ、SENGOKUでは話は別だ。俺は何度も負けている。彩葉と一緒でも勝ったことは少ししかない
それだけSENGOKUは連携が必須。一人だけ強ければ言い訳じゃない
「いよいよ、今日だ」
「うん!絶対に勝つ!!」
「ええ、そして月見ヤチヨとコラボライブをする!!」
ミーティングを始める
相手は最強のプロゲーマーユニットだ、油断できるはずもない。俺もかなり緊張をしている。相手は最強ユニットだ。どう勝てばいいのかか、ここでしっかりと準備をする
だけど
この前のあの光景は正解なのだろうか?もしあの眼に見えた光景が本物なら、俺たちは負ける。でも一位にはなれる
どうせなら勝ちたい
ここは俺が前に見た光景を信じて、対策をここでたてる
「彩葉、アキラさんはお前とかぐやを狙う。そして俺は乃依と雷さんを相手にする。彩葉とかぐやはアキラさんに勝つことはできるけど、その後、アキラさんは天守閣を真っ先に狙うはずだ」
「なんでわかるの?」
「アキラさんは兄として、お節介かもしれないがお前の実力を測るためと、あの人、かぐやのファンだからな」
「そうなの!?」
「グッズも持っている。かぐやのファンだ。間違いなく」
「かぐやが天守閣を落とすってのは?」
「っ!でも罠が仕掛けているはずだ。しかもその間に・・・・・アキラさんも俺たちの天守閣を狙う。俺のギターの弦の罠を貼ってもそこまで時間は稼げない」
「どうしたらいいの!?」
「なんか勝てる方法は・・・・・」
念の為にこの前見た光景を予想として二人に伝える。しかもかぐやが最終的に天守閣を狙うと言った。やはりあの光景通りなことを喋った
でもそれじゃあ勝てない。どうにかあの光景を超えるような、SENGOKUに勝てる『未来』にしないと
それには
「彩葉、アキラさんを誘き寄せることできないか?天守閣を落とされる前に」
「え!?誘き出すって、何を!?」
「なんでもいい。とりあえず何かを言って引きつけることを頼みたい。何かお前の言葉で・・」
「なんでもって・・・・・・」
アキラさんをどうにかしないとならない。そうすれば勝てる。優勝できることができるにしても、KASSENと勝つ未来が欲しいなら
天守閣を狙うアキラさんをなんとかしなければ、そのためには彩葉がなんとかせねばと頼む
悩んだ結果
「一つだけある。お兄ちゃんが私を気にしていればだけど」
「何?」
「それは?」
「あの恥ずかしいけど・・・・・・・????????????????????????????」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ええええええええええええええええ!?」
「こ、これしかないと思う。そうすれば、一直線に『一千花』を狙うはず、その間に私たちが天守閣を崩せる」
「ほ、本気なのか?」
「後で嘘にすればいいのよ。お兄ちゃんに嘘をついて不意を突く」
「マジか・・・・・・・」
「ねえ!それ本当じゃないよね!?」
「当たり前でしょ!?私が・・・・そんな・・・・ねえ?・・・・」
「俺に言うなよ!?」
彩葉にこんな話を持ち込まれるとは思いもしなかった。でも、これは正直良い案じゃない。むしろ最悪。こんなのアキラさん次第になる。アキラさんが『彩葉を気にかけている』ことに賭けるしかないが
これは・・・・・・・・俺にとっては『苦しい』んだが?
彩葉のこの提案はとんでもない。しかし、これをやれば確かに勝てるかもしれない。こればかりは賭けに出るしかなかった
「その話は本当じゃないよね?」
「うわ!?ヤチヨ!?」
「どこでも現れるな、お前は・・・」
「カグヤッホー!ヤチヨ!」
「ヤオヨロー!かぐや!それでその話は本当?」
「嘘に決まっているだろ。一緒に住むのは本当だけど・・・・」
「そうなんだ・・・・・変なことでおいたはダメだよ?」
「わかっている!本当だったら俺も彩葉もまずいわ!」
またもヤチヨは突然に現れる
本当にこのAIは突然出てくるから、恐ろしい。でも・・・・こいつがなんでどこでも俺たちの所に現れるのか、決戦前とはいえ、少し気になる
月見ヤチヨが何者なのか
だって、彼女の顔があまりにも
「っ・・・・・・・・」
「一千花?」
「ちょ!?何をして!?」
「・・・・・一千花?」
「・・・・・・・やっぱりな」
「え?」
「やっぱり似ている
かぐやに」
「っ!?」
「「え?」」
俺はヤチヨの顔に手を触れる。もちろんここはツクヨミだ。感触は存在しない。しかし、それでもこの彼女の顔はそっくりだった。しかも性格も含めて
かぐやにとても
だから初めて会った気がしなかった。このヤチヨカップを始めてから、そしてその時に会ってから、どうしても初めて会った気がしなかった。だって顔の形すら同じだもん
だから気になる余計何者なのか
と、考えていると
ビュン!!!
「っ!?」
「?」
またも俺の眼が変わる。模様が三日月になる。そしてまたも光景が見える。それが頭の中で響く
その光景は
そこは電子の海だった。そして俺とヤチヨと彩葉が居る。そこでヤチヨは髪も結ばずにかぐやと同じくロングだ。そしてヤチヨは八千年生きたことを言う、そういうAIのキャラクターではなく、本当に八千年を生きていると言う。今ら八千年前の地球の歴史を見た。これまで輪廻を彷徨ったと
全ては俺に会うためと告げる光景が見える
なぜそんなことを言うのか
だって彼女は
「そうか、やっぱりお前は。だとするとFUSHIは・・・・・・」
「・・・・・・何を言っているの?」
「一千花?どうかしたの?」
「あんた。昨日から変だよ?しかも・・・・何その眼は?」
「そうか・・・・・これはそういうことなんだよな?俺は・・・・人間じゃないのかも!」
「っ!?」
「一千花?大丈夫?」
「ああ、少し希望が見えただけだ。そしてわかったことがある。ヤチヨがどうして俺のファンなのか」
「え?」
「FUSHIを使って、俺をそこまで監視していたとはね。後で聞き取りが必要だな」
「っ!・・・・・・・」
俺にはどうやら見えるらしい、『そういう光景』が。もう二回目となると、これがなんなのか理解できた。信じられないがもう信じるしかない
これが『未来』だって
とにかく、俺には悪い運命を見通せる眼があるようだ。人間じゃなくてもいい。それでも俺には勝利を導き出すために必要な試練があるようだ。ヤチヨがなぜ俺と歌いたいのか、コラボライブしたいのか、優勝して貰いたいのか、今のでわかった
だからそのためには
「勝つぞ。二人とも。ヤチヨと歌うために、だろ?そうしたいんだろ?」
「えっと・・・・・うん!」
「いきなりあんたがヤチヨに変なことをしたことには驚いたけど、ええ!そのつもりよ!」
ヤチヨのために勝たないとならない
なんで今になってやる気が起きたのか、今だけはヤチヨのために戦わなければならないのか、俺の眼が教えてくれた。ヤチヨが何者なのか、そして彼女がどうしてそこまで辛い思いをしたのかわかった
だから、俺が、いや、俺たちが勝たないと
「ヤチヨ。必ず勝つ。だから優勝したら歌おう!お前がこの八千年間、辛かった分も含めて!!」
「っ!一千花!?」
「行こうぜ!かぐや!彩葉!」
「うん!」
「お兄ちゃんが相手でも勝って見せる」
まさかこんなタイミングで、ヤチヨが何者なのかわかるなんて、これも運命か?
正直信じないのが普通だ。でもな、あんな光景を見せられたら無理してでも優勝するしかなくなる、やってやろうじゃねえか
彼女が俺を求めるなら、それだけのためにここまでやってきたなら、俺が応えないとな。やっとヤチヨカップの優勝に全力を注ぐ
ヤチヨが・・・・・まさかな
信じられないけど、そのためには
ブラックオニキスに勝つ