そのつもりで読んでください
俺は家に帰る前に、実家に戻る
あの声の主を知っているし、しかも両親と共に待っていると言っていた。まさか親父と母さんは何か知っているのだろうか
もう居ても立っても居られないため、急いで実家に戻る
そして、実家に着き、急いで中に入る
「ただいま!!」
「あら、おかえりなさい」
「おかえり一花、その様子だと。居ても経っても居られなかったようだな」
「なんで親父と母さんが・・・・・・・」
中に入って、リビングに入ると、当然ながら俺の親父と母さんが居た。そこまではいい、俺の実家なんだから、親父と母さんが居ることは当然で驚くことはない。ただ俺の事情を知っているのは何故か、親父と母さんにまだかぐやがこのままだと月に帰ってしまうことを話し居ないのに、俺の有り様を見て、相当何か焦っていると見抜いていた
そこはまだいい
問題は・・・・・・その『二人の目の前に居る人物』だ
俺の実家で、ここに居るはずのない人が居た
それは
「なんで・・・・・・『聡店長』と一緒に居るんだよ!?」
「やあ、天人くん、ちょっとお邪魔しているよ。いや・・・・・天人一花」
親父と母さんの前で、リビングの四人席で、目の前に俺のバイト先、BAMBOOcafeの店長
竹井聡店長が居た
なんで俺の実家に俺のバイト先の店長が居るんだ。しかも、なんかいつもと喋り方が違う。なんでこの人がここに・・・・
でも確かに、さっきの公園で、『店長の声が聞こえた』。もう何もかもわからない。なんで店長がここに居て、しかも月人のことを知っているんだ
「聡店長。貴方が呼んだんですか?」
「ああ、その様子だとだいぶ未来視である『三日月眼』を使いこなしているとはな。桜花だけではなく、息子も受け継いだか、しかも月光まで、月人を倒す力は手にしても、まだ発揮出せていないみたいだな?」
「っ!?何を言っているんですか、本当に。しかも月人を倒す手段って!?なんでそこまで知っているんですか!?」
「ああ、すまない。こんな『姿』じゃあわからないか、まあ『この人間の体を借りている』から、こんなことを言っても信じられないのも仕方がないか」
「・・・・・この喋り方、違う!聡店長じゃない!?誰だ!?あんたは!?」
「コラ、一花。このお方にあんた呼ばわりとは失礼だぞ」
「桜花。そう言っても仕方がない。一花はまだ私を知らないんだ。お前呼ばわりをされても仕方がないさ」
これだけはわかった。
聡店長が俺のことについても、月人を知っていることに関しても、知り尽くしているこの人は
聡店長じゃない
誰だ?しかもこの人間の体を借りているって言っていた。ってことは俺を呼んだこの人は店長ではなく、その中身に『何か居る』。幽霊でも取り憑かれているのかと思う程、店長の中に『別の存在』が居る
親父が『このお方』って言ってきた。てことはやっぱり、聡店長じゃないってことだ
一体誰だ
「ちょっと失礼するよ」
「え?何を?」
突然、聡店長は俺に近づき、おでこに手を当ててきた。何故そんなことをするのか、とりあえず抵抗せずに、されるがままになる
すると
ビイイイイン!!!
「っ!?なんだ!?」
「どうだい?見えたかい?『私の姿』は?」
「え?・・・・・・は!?」
突然、俺は聡店長の手から何やら変な力みたいなのが俺の中に入る。すると、突然眼が熱くなる。一瞬体緩んだ
そうして聡店長の方を向くと
聡店長の姿が別人の姿に変わっていた
顔の横に長い髪に美豆良、上半身は襟紐と衣、下半身は袴と脚結。まるで大昔の日本神話の服装をした。銀髪とロングの男に姿に変わった
「だ、誰だ!?あんた!?」
「驚くのは無理ない。初めまして天人一花。私はこの人間、竹井聡の体を借りている者・・・
月の神、月読命と申す」
「・・・・・・は?月の神って、日本神話に伝わる。月読命!?ま・・・・マジなのか!?」
「そういう反応になって当然だな」
その銀髪ロングの男は、月読命と名乗る
月読命と言えば、日本神話に登場する月の神だ。そいつが聡店長の体を借りていると言ってくる。これを信じるべきなのか、驚くばかりで反応しづらい
だが
「一花。信じられないかもしれないが。これは幻じゃない。俺たち一族が大昔から仕えてきたお方、『月の神、月読命様』だ。本物だ」
「マジか・・・・そりゃあかぐやが居るくらいだしな・・・・・って親父と母さんは知っているの!?」
「ええ、私は天人家に婚姻をする時に、何度も、月から降りてきて、地球に住む人の体を借りて、挨拶や会話を何度もしているわ」
「マジかよ。日本神話の月の神がマジで実現したってのかよ」
「其方の所にかぐやの小娘が居るのだから、月の神が実在してもおかしくはないと思わないか?」
「た、確かに・・・・・しかも聡店・・・・じゃなくて・・・月読・・・様?もかぐやのことを知っているのかよ・・・・」
親父と母さんまで詳しく、この神様の実在を説明した。親父と母さんは昔から知っているようで、この神様はマジで月読様らしい
まあ、俺の家にかぐやも居るわけだしな。マジでかぐや姫が存在するわけだ。月の神様も存在してもおかしくない、しかもかぐやの存在を知っているくらいだから
もう信じるしかない。月の神様が、聡店長の体を借りて、俺に対面した
「てか・・・・・大昔からこの神様に仕えてきた?やっぱりあの月人の言う通り、俺たちってそんな特別な一家なのか?」
「やはり話していないのか?」
「はい・・・・私たち一家が貴方様の権能を受け継ぐとは限りませんので」
「一緒に住んでいた時は、まだ力は発揮していなかったもので・・・・・」
「なるほど、かぐやの小娘と住み始めてからか・・・・・」
「権能?」
「其方には知るべきだ。三日月眼を発動しているからには、私の力を受け継ぐからには、自身の『一族』を知るべきだ」
「一族、俺の未来視って、やっぱりなんかの力なのか・・・・・」
月読様から、一族を知るべきだと言われる
確か月人も言っていた。『あの天人一族』だとか、『あのお方の従者の一族』だとか、天人家ってそんな昔から続く代々な伝承があるなんて、俺は思いも知らなかった
そこから月読様が説明する
「天人家とは、我、月読命に支えてくれた従者にして、眷属であり、『神使いの一族』、天に仕える人と言う意味の『天人家』だ」
「月読様に仕えた一族、あの月人の言っていたことがこれだったのか。じゃあ親父も母さんも」
「ああ、月読様に仕えている」
「私は嫁養子だけど、それでもこの一家の一員としてね」
「マジかよ。それを・・・・大昔から?」
「左様、大昔から其方の一族は我に仕えてくれた。時には我を守るために剣士となり、我と共に仕事をする働き者になるなど、我は弟のように子孫は居ないが、仕えてくれる従者が居たのだ」
「それが俺の先祖なのか」
「初代の先祖は『月兎』だがな」
「は!?月兎!?俺たち元々は兎なの?」
「半分は人である『兎人』だ。女であり。私の眷属だったが。その月兎が地球に住む人間の男に恋をし、子供を産んで、月ではなく地球に移住し、地球で我の神社を創設して、そして其方まで血族を残し続けている」
「マジか・・・・何かの御伽話かと思うぞ?」
「まあ、この時代の人間ではそう思われても仕方がない」
俺たち一家は、日本神話と言う大昔から続く血筋らしく、神が存在した時代で、つねに月読様のために働いていきた一族だと説明を受ける
眷属が居たらしく、その眷属が月兎という『兎人』で、その女と、地球の男と子供を作って、信仰を広めるために、地球で神社を創設して、地球に住み着き。それでからも子孫を今の時代を少ないが残した
俺たち一家が、そんな神話から血筋が続いているなんて、すごく信じられない話だった
「だが、そんな其方達も所詮は人間であり、できることは限られる。そのため我は其方たちが我により仕えるように、我の権能である力を渡した」
「力・・・・・・っ!?まさかこの未来視!?」
「うむ、咲夜、彼に鏡を」
「はい。一花、鏡で自分の眼を見て?」
「あ、ああ・・・・・ん?は!?『月』!?眼に月の模様ができている!?」
「『三日月眼』。我は月先を読むと言う意味でもある神、未来を見通す力だ。其方の場合は悪い未来を見通すようだ。桜花と同じだな」
「は!?親父も持っているの!?」
「ああ、俺も三日月眼を持っている。だから手術を一回も失敗したことがない。今の天人家の大黒柱として、現の当主として、当然だろ?」
「親父がマジで、今までに医者になってから手術を一回も失敗したことがないって、母さんに何度も言われたけど、そういうことだったのか」
「ちなみに我の姿も見ることができる」
「そうだったのか。じゃあ母さんは・・・・」
「私はその血を引くわけじゃないから、私は無いわ。でもスマコンのAR機能で月読様の姿は見えているわ」
俺の眼に、カラコンでも付けられているのかと思うくらい、三日月の模様が眼球に出ていた
三日月眼と言って、未来を見通す力らしい
機能としては悪い未来を見通す力、そして今月読さまの姿を見ることができること。この二つが三日月眼の能力だ
親父まで持っている。血筋だから当然なのだが、親父は医者としてそれなりの地位を得ていると思って、手術を一回も失敗したことがないから、それなりに出世していると聞いたが、まさか失敗しそうな未来を三日月眼で見通して、失敗を避けて成功させていたなんて
母さんは流石に嫁いだから、流石に力はない。月読様の姿はスマコンのAR機能で見えているようだ
「そんな神様がなんで俺たちに接触するために、月からここまで来たんですか?」
「無論、我の力を受け継いだ其方達が監視をするためでもなる。未来を見通す力は本来なら使ってはならない、それを使いこなせるとなると、かなり未来が左右される。我から貰った権能を悪く使ってないか、監視するのは当然だろ?」
「確かに」
「天人家は子孫にまで力が受け継いでいる、監視するのは尚更だ。とは言っても、子孫だからと言って、私の力を受け継ぐとは限らない。先ほど其方の頭にテレパシーを送ったのは、私の力を受け継いだ者のみに送ることができる。其方は間違いなく我が力を発揮した」
「受け継がれるとは限らないのか、じゃあ・・・・この前月人たちが襲いかかってきた時に、俺の体に流れてきた光はなんですか?」
「っ!?まさか・・・・・」
「『月光』か・・・・・・」
「驚くな、今まで我の権能を受け継いだのは『三日月眼』しかいないのに、それに加えて『月光』まで受け継ぐとは・・・・」
「俺だけ二つの力を受け継いでいるってことですか?」
「ああ、そうなる」
天人家の生まれとは言え、月読様の力を受け継ぐとは限らない。受け継ぐことになっても、これを悪いことに使うのではないかと、主として監視をするために月から降りて、地球の人間に憑依して見定めるらしい
その中で、天人家の中で、俺だけが月読様の力を二つも受け継いでいるらしい
体から流れる光、月光とは
「月光、穢れを払う力だ。満ち欠けを繰り返す月は死と再生の象徴である。そのため月光は死を取り除く力もあり、体のないデータの魂でしかない、幽霊と言わんばかりの『月人』には有効だ」
「っ!てことはこの力を使えば、あいつらを倒せるってことですか!?」
「いかにも、しかし、まだそれは使いこなせていないようだな」
「確かにそうですけど、あの時は・・・・かぐやを守ることに必死で、勝手に流したと言いますか」
「なるほど、其方の場合は静謐ではなく、『情熱』で月光を発動するのか・・・・」
「何がです?」
「其方はかぐやを想って、発動する」
「っ!?人のためなら使える・・・・」
「そうだ。其方はあの月姫を愛しているが故に・・・・月光が発動した。月姫を愛する想いとの情熱が発動した。月光は静謐な感情でなければ発動できないが、君はかぐや姫を想うことで発動する」
「俺が・・・・・・かぐやのためなら・・・・」
ブウン!!!
「ほお、やはりか・・・・・」
「あらあら・・・あなた」
「ああ、息子はかぐやを愛したんだな。まるで先祖みたいだ」
月光は穢れを祓う光。その力は再生と死を象徴する月そのもの。データと言う、ほぼ幽霊のような月人を倒すことができると言う
しかし、それを使いこなせていない。せっかく月読様の力を受け継いだのに、使いこなせていないじゃあ意味がない
だが、月読様は俺がかぐやを想うことで、月光を使えると言った
その証拠に
俺はかぐやを想うことで、少しではあるが、若干体から光り出す。俺はかぐやを愛している。そのためにこの力を使う
そうすれば、月人にも勝てると勝算が見えた
「月読様、せっかくなら聞いても宜しいですか?」
「何か?」
「月の神である貴方様であるなら、かぐやのことも、ヤチヨのことも、月からあの二人は存知ていると、更に今の状況も把握していると判断します。親父と母さんも含めて・・・」
「ああ、俺たちは知っていた。かぐや姫をお前が拾うことも、先に三日月眼で見たことも。月読様から連絡も来たて、知っていた」
「な!?そんな前から知っていたのか!?」
「ええ、話さなかったのは、信じられないと。言っても無駄だと思って・・・・」
「確かに・・・・信じなかったかも。だからあんなに驚きもしないで、かぐやを家に簡単に入れたのか・・・・」
「それで・・・・何を?」
「月の世界とは・・・・・・どんなものですか?」
「月の世界か・・・・・気になるか?月人とはどんなものか、かぐや姫の世界とはどんな世界か?」
「はい、月の神である貴方様なら、月がどんな世界か、当然自身の庭のようにご存知のはず。俺はそんな月の世界など、行ったこともなければ、月に人の住めるような場所があるなど、信じてもいませんでした。これから奴らと退治するに連れて、教えてもらえませんか?」
月の神さまに出会えたんだ
せっかくだから、月の世界とはどんなものなのか聞いてみたい。月人とはどんなものなのか。せめて知りたい
これから戦う敵とは、どんな存在なのか。そして月の世界とはどんな世界なのか
「月の世界とは、大昔は其方たちのような都市や街が存在した」
「では、この前ツクヨミに現れた。月人は・・・・」
「ああ、元はそこの住民だ」
「しかし、かぐやに聞いた話なのですが。彼らはデータでしか存在しないようです。もちろん今の月では、そんな街は存在しません、荒れ果てた荒野みたいな、地面は石でしかない月面です。これは一体・・・・」
「ああ、彼らは自身の体に限界を迎え、体が滅びる前に、魂を『AI化』させて、電子空間を作り、月に仮想世界を作って移住した」
「体に限界・・・・彼らも元は人と同じ寿命だった。長く生きるためにネットワークの世界を作って、そこで長く生きることにしたってわけですか」
「その通りだ。だから街はもう彼らが滅びる前に壊した。それが・・・・今の月だ」
「月面がクレーターとか、隕石の衝突跡でできているけど、本当はそこに俺たちと同じ住む街はあったけど、長く生きるためと、存在を知られないために、何もかも壊して、自分達が住んでいた痕跡を残さないために、あのような大気がなく、砂や大岩で覆われた、クレーターだらけの荒涼とした真空の世界」
「その通りだ・・・・・」
月読様から月の世界と、その住民を教えて貰った
彼らは俺たちと同じ寿命だった。それでも滅ぶことを恐れ長く生きたかった彼らは、自身の魂をデータ化して、月の世界でも俺たちの言うツクヨミみたいな仮想世界を作って長く生きようとした
それがかぐやの世界だと、初めて知った
「では・・・・かぐやは・・・」
「当然ながら、彼女もデータとして生きている。しかし、彼女は月姫であるため、我同様特別な力を持っている」
「俺たちのように、実体を持つことですよね?」
「そうだ。彼女はな」
「ヤチヨは実体にはなれないのですか?」
「力がない。そのための力を捨てたんだ。其方に会うために・・・・」
「え?」
「おや、そこまで輪廻を通って八千年経った月姫のことを知っているのに、詳しくまでは知らないようだな?」
「どういうことです?」
「彼女の全てを其方は三日月眼で見た前提の話をする。彼女は月に帰った。しかしそれでも其方が忘れらないあの娘は、舟に乗り、またも地球へ向かった。しかし、隕石にぶつかり輪廻の空間を彷徨った。その時点で地球に辿り着けなくなった」
「まさか・・・・・」
「そうだ。体を作る力を捨てて、地球に無理にでも辿り着こうと、自身の力をほとんど使って輪廻の空間を抜け出し、八千年前の地球に到着した」
「ああ・・・・・・俺は・・・・なんてこと」
「ん?何か八千年経った月姫に何かしたのか?」
「ええ、俺は・・・あいつの気持ちも、そこまで考えてなかったんだな」
「ほう、何かと苦渋の決断をしたようだな」
「はい・・・・・」
俺は月読様の話を聞いて絶望する
ヤチヨがそこまで俺に会いたくて地球にまで来れたのは、自身の力を全部捨てたからだったなんて、俺、本当にあいつの気持ちも考えずに、自分のことしか考えないで、そこまで言ったことに、後悔した
そりゃあヤチヨが泣いて当然だ
実体になれる力を捨ててまで、俺に会いに来たのに、それでも俺は気持ちも考えずに今のかぐやを好きになって、ヤチヨの気持ちも踏みつけて振った
俺は後悔した。無理して会いに来てくれた女の子になんてことを・・・・・
「一花、私とお父さんは月読様からヤチヨが八千年前にやってきたかぐやだってことは、貴方が家を出てから聞いたわ」
「お前も直接会って、全てを話したようだな、三日月眼で彼女の全てを見て、それで何かあったのか?」
「それは・・・・・・」
親父と母さんは月読様からヤチヨの正体と全てを聞いているらしく、俺がヤチヨに会いに行ったことも、知っているようだ
それでも浮かない顔をするのはなぜなのかと、理由を問われる
俺はヤチヨを振ったことを正直に両親に話す
「そう・・・・かぐやを選ぶために、ヤチヨを選ばなかったのね」
「ああ、でもあいつは今のかぐやを月に返すつもりだ。これからの歴史のために」
「確かにそうだな。あの月見ヤチヨの言う通りではある。下手をしなくてもタイムパラドックスが起きる。今のかぐや姫を月に返すのは。歴史に妥当な判断だ」
「それでも俺はかぐやが好きだから返したくなかった、でも・・・あいつも俺を愛していたから無理して地球まで来たのに・・・・その気持ちも、今のかぐやを考えるばかりで何も考えていなかった。俺は馬鹿野郎だ」
ヤチヨの気持ちを何も考えていなかった
彼女がここまで無理して、現実世界で実体も作れないのを我慢してまで俺に会いに来てくれたのに、それでも今のかぐやを取った
かぐやを月に帰すのは嫌だけど、それと同時にヤチヨも傷付けた。ヤチヨが無理してここまで来たのに。俺はどうすればよかったんだ
「なら、どうする?」
「それは・・・・・・」
「一花。お前を愛している女は二人居る。もっと言えば、まだたくさん居るかもしれない。そんなお前を愛している女たちが、お前と離れたくないと言ったらどうする?」
「・・・・・・難しくてわかんない」
「わかんない?いや、お前はわかっている。お前は向き合っていないだけだ!」
「親父・・・・・」
「いいか?もう朴念仁のふりをするのはやめろ!!お前を愛している女は、しっかりとお前を愛していると伝えている!にも関わらず、しっかりと返事をしないお前は卑怯者だ!」
「・・・・・・」
「一花。お前は今まで、俺や母さんに、どれだけ無茶なことをして、傲慢な文句を何度も言ってきた!お前はいつもいつも、皆の言葉を気にせずに、自分が正しいと思ったことを貫きやってきた。いろんな人が救われた。喧嘩なり、ゲームなりでな」
「俺は・・・・我慢できないから・・・不満出ると」
「だったら今回もかぐやとヤチヨを幸せにするために傲慢でもなんでも、他の周りの言葉を気にせずに自分が正しいと思うことを貫け!!それで間違ったら何度でも正せばいい!お前はかぐやだけでなく、ヤチヨまで見捨てるな!!彩葉ちゃんだって居るんだぞ!!」
「親父・・・・・・」
「それで・・・・どうする?」
「・・・・・・・・」
親父に喝を打たれる
久しぶりだな、親父に説教されるなんて、でもその通りだ
俺は逃げていたんだ。かぐやの気持ちも、ヤチヨの気持ちも、全然向き合ってなかったんだ。俺、傲慢だったんだ。そこまで悪ガキだったなんてな
でも、まあ、好きになってくれる女があともう一人居るなら
俺の答えは
「かぐやだけでなく、ヤチヨも俺の側に居て貰う、俺の妹としてな・・・・・」
「一花・・・・・・」
「それでいい、それがお前だ」
「ほう、タイムパラドックスが起きるかもしれないのに、かぐや姫を月に返さないで、あの八千年経ったかぐや姫まで家族に迎え入れるつもりか?神である我でも驚くぞ・・・・」
「ええ、それでも俺は二つ選ぶと言う、ロク出なしの幸せを選びます」
決戦が終わったら、ヤチヨも俺たちの所に来てもらう。実態がないから結婚はできないけど、家族としては過ごせるはず
傲慢でもなんでも言いやがれ。俺は二人を幸せにするために横暴な手段を取る。ヤチヨもかぐやであり、俺の家族だ
もう誰も見捨てない
「月人を倒すには、ツクヨミ内で月の世界を攻撃するしかないですよね?」
「ああ、そうするしかない。天人一花。かぐや姫を月に返さず、ヤチヨも家族に迎え入れて、タイムパラドックスを起こしてでも二人を取る気か?」
「文句なら引き受けますよ。それでも幸せになるなら、俺は選びます。これは竹取物語じゃない!!俺たちの物語だ!!結末は俺が決める!!」
「ふふふふ、今度の天人家は面白いな」
俺は月読様に宣言した
かぐやを月に返さないで、かぐやを取り、ヤチヨも家族として迎え入れる。
女二人を迎え入れるクソタレの男であることも認める。それでも愛してくれるなら答えるまで、幸せは人それぞれだ。ヤチヨの信頼を取り戻して家族に入れる。そしてかぐやを地球に居させる
タイムパラドックスなど知ったことか
これは俺たちの物語だ。どんな結末を迎えるか、俺たちが決めることだ。他がとやかく言わせない
「スマコンはあるか?」
「ええ、ここに」
「少し触れるぞ?」
ブウン!!!
「何を?」
「これから月人と戦うための武器を、其方のアイテムボックスに入れた。仲間にも授けて戦いなさい」
「ありがとうございます。しかし、宜しいのですか?貴方は月の神で、月人は貴方の仲間だと思いますが・・・・・」
「そうだな、しかし、死を恐れて電子世界に逃げる臆病者など、我はそんな貧弱な者たちの事など仲間とは思えん」
「貴方様がいいなら、ありがたく使わせていただきます」
「天人一花。其方が見せる物語の結末、月の神である我に見せて見よ」
「ええ、必ず」
月読様に、俺のスマコンに手を当てて、少し手が光る。俺のスマコン内にあるアイテムボックスに、『月人対抗の武器』を入れてくれた
もう月人など、月読様は仲間と思ってないらしく、この武器で倒しても構わないと、神の公認を貰った
これで少しは奴らに倒せる勝算は大きくなった
「もういいだろ。行くがいい。其方の愛する娘たちが待っているぞ」
「はい、ありがとうございました!!親父、母さん。俺は絶対にかぐやを月に返さないし、ヤチヨも家族に入れるから!!」
バタン!!!
「月読様、何からなにまでありがとうございます」
「いいや、私も気になってね。あの一花がどんな結末を迎えるか・・・・」
「しかし、その・・・・月人には勝てるのでしょうか?」
「さあ、それでこそ、彼ら次第だ」
これで決戦に備える武器は揃った
それで勝てるかは俺たち次第だと、月読様は予言する。当然ながら相手はCPU、無限に近い。月の世界を壊さない限りは
それでも勝ってみせる。これは俺たちの物語だ。竹取物語じゃない
どんな結末を迎えるか、俺たちが決める
月読命
月の神であり、BAMBOOcafeの店長、竹井聡の体に憑依して、一花たちの行く末を見定める