そして文化祭当日
「それでは!文化祭を開始致します!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
数瞬間後、ついに文化祭の日が訪れた
ここまでかなりの準備をした、飾り付けや看板など、お客を引き寄せて楽しませるためのイベントを用意した
あとは俺たち生徒がどれだけ客や親達を楽しませるのか、俺たち生徒の頑張りで決まる。今日と言う学園祭をあっと驚くように盛り上げる
俺と彩葉はデザート系でクレープ屋、他の鉄板焼き系、揚げ物系、ドリンク系に負けないくらいの、客が並んでいた
「一花!二つ追加!」
「あいよ!彩葉!」
「はい!」
ポイ!ガシ!!
「サンキュー。はい。二つ上がり」
ヒュイ!ガシ!
「うん!お待たせしました!」
「あ、ああ、どうも」
「どうかしましたか?」
「い、いいえ!なんでもありません!」
「なんだったんだ?」
「さあ?」
「そりゃあお客さんも驚くでしょ、あんた達。食材を投げてパスして見ないで受け取るって、あんた達、バイトでもそんな感じな訳?」
「え?ああ、まあいつもこうだけどな」
「見なくても、一花が何をするかわかるしね。一々見たりはしないわ」
「俺も、彩葉が次に何をするか、見なくてもわかるから、次にどう動くか自動的に体が動くんだよな」
「意思疎通でもしているの?あんた達は?」
俺と彩葉のクレープ調理光景が客を圧巻させていた
クレープの生地を広げるのも見なくてもできる。あと彩葉と俺も見なくてもお互い投げてキャッチできる。そんな何言わなくて見なくても動ける俺と彩葉に意思疎通でも付いているのかと、芦花にツッコミをされる
と言うか
「芦花?午前は俺たちだけど、学園祭回らないのか?」
「そういえば真実が居ないわね、どうしたの?」
「あいつ、彼氏に誘われて二人で行っちゃったのよ。私はおかげで一人になっちゃって」
「一人で回るのも気まずいからと、ここに居るわけか」
「学園祭とか興味ないの?」
「まあ、少しくらいかな。回らなくてもいいかなと思って・・・・」
「他に一緒に行く奴は居ないのか?」
「みんな、売店の方で仕事していて、誰も私と一緒に回ってくれる人も居なくてね」
芦花がなぜか売店に居た
交代で芦花はまだなんだが、真実と回る予定が、真実は彼氏に誘われて、芦花を置いて彼氏と学園祭を回っているらしい、真実に彼氏が居ることは知っているが、これは仕方がないだろう。恋人であるなら尚更だ
だから芦花はどこにも行かないで、俺たちの後ろで、俺たちの調理を飲み物を飲みながら見ていた
確かに一人で学園祭を回るのは気まずい。ボッチだと思われる。それも嫌だろう。だから下手に回らないで、ここで交代の時間になるまで、俺たちの屋台の後ろで椅子に座りながら見ているようだ。
だが、そこで俺は暇ならと少し彼女に頼み事をする
「それじゃあ今から来る奴と、回るのはどうだ?」
「え?誰?」
「二人居る、その二人はお前が知っている奴だよ」
「ああ、あの二人ならね」
今から知っている奴が来るから、そいつと回るのはどうだと提案する
その二人は彩葉でも知っている人物だ。その二人と回る方が楽しいはずだと、俺は言う。賑やかを通り越して、五月蝿い感じになるかもしれないけど、少なくとも楽しめると思う
その二人とは
「一花!来たよ!」
「クレープ!二つちょうだい!」
「来たか。八千代、輝夜。ちゃんと現金下ろしてきた?」
「うん!」
「ふじゅ〜ペイが使えなくて、現金しか使えないんだよね?」
「そう、二人ともチョコクリームバナナでいいか?」
「うん!」
「甘いのじゃなきゃ!」
輝夜と八千代がやってきた
学園祭に誘ったからには当然二人はやってくる。学園祭ではふじゅ〜ペイは使えない、現金のみでしか、下ろさないと使えない
二人は甘いクレープが食べたいことを知っており、早めにチョコクリームバナナを用意する
それとは別で
「それと、それ以外で頼みあるけどいいか?」
「何?」
「頼み事?」
「芦花と一緒に学園祭回ってくれないか?理由あって、一人になっちゃって」
「え!?いいよ、別に」
「せっかくの学園祭なんだから。行ってこいよ」
「そうだよ。年に一回だよ。楽しまなきゃ」
「ほら、お前の分、俺の奢りだ。行って来い!」
「一花・・・彩葉・・・・・」
「真実が居ないなんて珍しいけど、OK!いいよ!」
「芦花。一緒に行こう!」
「輝夜・・・八千代・・・うん、分かった。行く!」
「せっかくの学園祭。楽しんでおいで」
「交代の時間までには戻れよ」
「一花!後でね!」
「ああ、後で合流する」
芦花は輝夜と八千代と一緒に学園祭を周りに行く
輝夜と八千代の分だけでなく。芦花の分のクレープも渡して行かせる。俺の奢り。せっかくの学園祭を回らないなんて、勿体無い。一緒に行く相手がいないなら、一緒に回れる奴と行けばいい。生徒である必要はない
知り合いである輝夜と八千代と行けばいいと、芦花は二人と一緒に行った
こんなに早く、家族が来るとは思っていなかった。ここで輝夜と八千代が来るってことは、そろそろ身内がぞろぞろ俺たちの屋台にやってくるだろう
そう、考えていると
「お、一花、彩葉。来たで」
「あ、朝日さん。雷さんも」
「お兄ちゃん。雷さん」
「ああ、お招き感謝する。良い祭りだ」
「昔を思い出すぜ」
そう言っていると、朝日さんと雷さんが来た
彩葉の兄と乃依の兄もやってきた。朝日さんは社会人で雷さんは大学一年生、高校生の学園祭を懐かしくも、俺たちの屋台に来てくれた
「何にします?」
「甘いものは前に結構を貰っているから。シーフードで」
「ああ、この前甘いものはたくさん貰ったからな」
「シーフードですね、すぐ用意しますね」
「珍しいね。お兄ちゃんがシーフードのクレープ食べるなんて」
「そりゃあ、前にあの芦花ちゃんと真実ちゃんの残飯で甘いものは十分摂取したからな」
「ああ、俺もしばらくは甘いものは要らない」
「あはははは、なんだかすいません」
「美味しかったんやけどな」
「甘い物の取り過ぎは注意だな」
「仰る通りです」
朝日さんはそれなりにデザートが好きなくらい、プリンとか甘いものは好きな方だ。しかし、前の芦花と真実の練習でできたクレープの残飯を頼んだせいで、その時にかなり甘いものを摂取し過ぎたため、もうあまり食いたくないと、今日は食べるにしてもシーフードらしい。
雷さんも、かなりその時に甘いクレープを食べたため、今日は学園祭に誘われたにしても、甘くないクレープを注文した
「はい、どうぞ」
「サンキュー。あ、一花。お前に乃依からの伝言があるんだけど」
「乃依から?あいつからなんと?」
「『後で、自分の出し物も来てくださいね♡』だって」
「あいつのか、あいつの出し物ってなんだっけ?雷さん何か知りません?」
「執事喫茶とメイド喫茶だ」
「へえ、学園祭でそんなのやるんだ。この後行きますよね?行くよって言っといでください」
「ああ。分かった」
「ねえお兄ちゃん。まさかとは思うけど、乃依くん、メイド服じゃないよね?」
「いや、そんなずは・・・・・・あり得そう。特に一花が来ると、マジで、あいつリアルでも女装すんのかな?」
「何、コソコソ話してんの?」
「え!?いや、なんでもない!ねえ?お兄ちゃん?」
「そうだぜ!とにかく来てほしいみたいから、後で行ってあげろよ!」
「ええ、行きますけど」
できたクレープを渡すと、朝日さんから乃依の伝言を渡される。
是非とも乃依の出し物に来て欲しいとのこと。出し物は執事喫茶とメイド喫茶。男子が執事服で、女子がメイド服の接待する出し物を、乃依のクラスはするようだ
後で行くと、雷さんに伝言を頼む
そしてなんか彩葉と朝日さんがコソコソ話していたが、何を話しているのか聞こえず、結局何を話しているのか教えて貰えずに、朝日さんと雷さんは乃依の出し物の方へと行っていた
この調子でどんどん売り込んでいる。この三人がやってきた
「一花。来たぞ」
「一花、彩葉ちゃん。繁盛している?」
「うむ、楽しそうだな。二人とも」
「あ!親父、母さん、月読様も」
「いらっしゃいませ!おじさん、おばさん。月読様も」
今度は俺の両親と月読様がやってきた
親父来れるか心配したけど、医者の仕事を休みにしてでも、来てくれたようだ。月読様は聡店長の体だから、おそらくカフェも休みにしているか、他に任せているのだろう
とにかく、母さん以外は仕事を休みにしてでも、俺たちの学園祭に来てくれた
更に
「彼女も来ているぞ」
「ああ、呼んでくれたのか?親父?」
「ああ。来て貰った」
「私が頼んだけどね」
「え?誰?」
「酒寄君にとって、重要な人物だ」
「はい?それは・・・・・・っ!?」
「こんな所で、屋台の出し物をしとるんとはね」
「お母さん・・・・・一花」
「いいだろ?別に。お前いつまで母親を避けるつもりだよ。いつまでもそんなことをしても無駄なんだよ」
「まさか、お兄ちゃんも・・・・・」
「そういうことだ」
来たのは、親父と母さんと月読様だけでなく
彩葉の母、酒寄紅葉である
無論、俺が呼ぶよう手配した。朝日さんにチケットを渡して貰い、親父と母さんに手配して貰った。月読様は自身の正体を明かしているとは思えないが、とりあえず彩葉のバイト先の店長としか教えてないと思う
とにかく彩葉の学園祭に来てもらった。紅葉さんには彩葉と向き合って貰わなきゃならない
彩葉は未だに母親を避けているから、俺が向き合わせる。お節介と言われようと
「言っておきますけど、こんな所、口喧嘩なんてしないでくださいね」
「わかっとる。一花くん、私はシーフードで」
「俺と母さんは甘いもので」
「それでは我も甘いもので」
「はい、今すぐに」
「彩葉、一花と知らない二人の子と暮らしとるそうね」
「そ、そうやけど、もしかして連れ戻しに来たんか?」
「そんなことはせえへんよ。一緒に住んでいる以上は、ただ迷惑はかけへんようにと、母親として言わせてもらうで」
「してないし、私はお互い助け合って、ちゃんと生活しとる」
「そう、ならいいわ。生活できているんなら、お爺さんも心配していたしね。あまり無理するものじゃああらへんよ」
「わかっとるん、そんなことは。じゃあ私がアパートで暮らすことに限界を来たことは、おじさん達か、一花から聞いたわけ?」
「まあね。やっぱりまだ早かった気がするわ。それでもあんたが東京の高校に入ってでも、一人暮らしをしたかったのは
一花くんと居たかったため?」
「っ!?」
「え?」
「私が気付かなかったとでも、思ったんか?」
「っ!俺と居たかった?彩葉、お前まさか?」
「そ、それは!・・・・・」
学園祭で口喧嘩なんて困る。当然、この二人の不器用さを考えれば、周りのことなんてお構いなしなことをする可能性も高い、それだけ母と娘の間に明らかな亀裂がある
紅葉さんがなん度も連絡をしたのに対して、彩葉が返事の電話をしない限りは明らかに関係は酷いと言ってもいいだろ
それでも紅葉さんは母として娘を心配する上での厳しさを見せる
例えば東京のアパートで一人暮らし。これに関してはやっぱりと思うように看過しなかった。親父と母さんに聞いていると思うが、やっぱり女子高生が一人暮らしをすることに関して、生活に無理があったのは間違いない。だから紅葉さんは高校退学してでも実家に戻そうとしただろ。しかし、もう俺たちと暮らしているからどうにでもできない
とは別に
彩葉が無理して一人暮らししてでも、東京の高校に来たのは、なぜか俺と居たいため
まさかそれだけのために、わざわざ俺と同じ高校を選んだのか
彩葉の実家は京都だ。母親から離れるために、わざわざ東京の高校に入ってアパートで一人暮らしを始めた、確かに高校はわざわざ東京なのを選んだ。京都の高校を選ぶと言う選択肢もあった
なのに、俺が通う東京の高校に合わせた
実は俺も中二までは彩葉と同じ、京都の出身だった。母親が京都出身で、親父が東京の出身。俺は京都弁言えないけど、とある事情で中二までは京都で、そこから東京に引っ越して。東京の中学に転校した。それから高校も東京の高校を選んだ
彩葉は俺の高校に、一緒に通いたいがために、京都から東京のアパートで一人暮らししてでも、俺と一緒に入学した
その理由はもちろん・・・・・・・
まさか、その時から、俺にそんな想いを抱いていたなんて、けど俺は輝夜を選んだ。その分は今一緒に生活しているけど、彩葉の気持ちを踏み躙ったんだよな
それでも俺は・・・・・・
「とにかく!俺たちも彩葉も十分、今はまともに生活できています。これ以上何か言うのは、野暮じゃあないですか?クレープできましたよ!」
「あら、ありがとうな。まあ確かにそうやな。これ以上は流石に野暮や。一花君や、あの子達に迷惑をかけへんようにな」
「かけへんから・・・・」
「はい、親父、母さんも、月・・・・聡店長も」
「ああ」
「ありがとう」
「うむ、ああ、それと。酒寄紅葉殿には、我のことは話してあるため、問題なく我の神名で呼んでも問題ないぞ」
「え!?紅葉さんに話したんですか!?」
「月読様は、ここまで人間関係がお強い方だ」
「多少私から話してあるわ」
「紅葉くんにはこれからにおいて、必要だと思ってね」
「え!?信じられるの!?お母さん!?」
「もちろん初めは信じなかへんや。しかし、あそこまで言われて、お前と暮らすあの子達の話を聞かされて、もう信じることにしたんや」
「月読様、随分と見知らぬ人間にまで仲良くしようとしますよね?」
「弟が羨ましかったもので、我も人間との交流をして楽しみたかったものでな」
「ああ、スサノオの命の事ですか・・・・」
「うむ、しかし、紅葉も面白い女よ。娘と同じここまで不器用とはな。娘とまともに会話できない様子」
「ああ、それは月読様もわかるんですね」
「うむ」
「月読様、それはどういう意味です?」
そのままの意味だ、紅葉よ」
紅葉さんも、月の神である月読様、そして月姫である輝夜と八千代の存在を、親父と母さんが教えた
月の神と姫二人を一般人同然である紅葉さんが信じると思えないが、親父と母さんが結構無理に言い聞かせて、紅葉さんが信じるしかなくなったようだ
弁護士が神様の存在を信じるのには根拠がなければ難しいと思うが、そんなものは神を信じる上で存在しないし、存在しても信じられないのが人間なため、紅葉さんはもう受け入れるしかできなかったようだ
にしても、月読様もここまで、人間に関わろうとするとは
月読様の弟、英雄神スサノオは、地球でかなり人間との間に神話と歴史と血族を残した。人間世界にかなりの関わりはある。それに対して兄である月読はあまりない、眷属の子孫が今でも存在するくらい、月読様も人間と交流して過ごすと言う娯楽が欲しかったのだろうと想像する
「確か、午後からステージで何かするんだよね?」
「ああ、俺と彩葉もな」
「本当にやるの?」
「なんで?気まずい?」
「ま、まあね」
「それでもやるって決めたんだから、我慢しろよ」
「わ、わかった」
「ほう、それは楽しみだ」
「楽しみにさせて貰うよ」
「それじゃあ、私たちは別のところへ行くわ。彩葉。学園祭とはいえ、ステージ部門も本気でやるんやで」
「言われなくてもわかっているわよ」
「じゃあ後で、親父、母さん、月読様、紅葉さんも」
そうしてクレープを持って、別の出し物を見に行く。これ以上喋っても邪魔になると思い、用を済ませて去る
午後からステージ部門を、俺と彩葉がする
ステージで何をするかはお楽しみと、何も言わずにお楽しみと言っておく、彩葉が今でもそのステージイベントで少し不安だが、それでもやると決めた以上は、やると覚悟を決めるしかないと、彩葉は諦める
「お前、相変わらずまともに喋れないんだな?」
「お母さんをよくも呼んでくれたわね。一花」
「いい加減向き合わないと、この先が辛くなるだけだ。逃げても意味はない」
「じゃあ一花は・・・・もう受け入れているの?その・・・・・・『昔の事』とか?」
「・・・・・・・・当然だろ逃げたって無理だからな」
「ごめん、『こんな事』、また聞いたりして」
「いいよ。だってもう受け入れているから、いや・・・・そうするしかない」
「・・・・・・・・・・」
「ほら、客が来たぞ!他の奴らの出し物に負けないくらい、売り上げを出すぞ!」
「わ、わかっているわよ!」
そんな話をしていると、お客がどんどん並んでやってくる。俺と彩葉は臨機両辺に対応する
彩葉は結局、あまり紅葉さんに上手く会話ができなかった。でも実家に連れ戻されることはなかった。もうここまで馴染んでいるとなると、実家に連れ戻すことなんてできないと、今の生活は見逃してくれた
面と向かって話せば、これくらい話は進んで聞いてくれるものだ。それが通らないと勝手に彩葉が決めつけているだけ、話せば案外話は聞いて貰える
母親から避けようとしても無駄なことだ。
それに対して、『俺は逃げずに受け入れている』のかと聞かれる。『過去の事で』
俺は受け入れるしかない。逃げたって過去は変えられない。俺は受け入れて『償って』前へ進む。これしか道がない。避けようとしても追いかけてくる。
こうするしかないんだ
午前は俺と彩葉でなんとか客にクレープを提供できた。午後になり、輝夜と八千代を連れた芦花と、彼氏と一緒に行動した真実が戻ってきて、交代していく
午後からは俺と彩葉は、輝夜と八千代と一緒に学園祭を回る。もちろん乃依の所へも行く
楽しい学園祭を大いに楽しむのであった