突然現れた、俺と同じ顔をした男、一体誰なのか。
少なくとも、俺には双子なんていない。一体こいつは何者なのか。しかも首元にあの人から貰ったピアノのペンダントもしている。あれはあの人から貰った大切な物だ。俺も今身につけている。あのピアノのペンダントは世界にそんないくつも無い。それを身につけているなら、本当に今目の前に居る俺と同じ顔をしているこいつは何者だ!?
「誰だ!?お前は!?」
「誰って・・・・・お前だよ」
「俺!?」
「一花が・・・・二人!?」
「とは言っても、俺は『別の世界』から来たんだけどな」
「別の世界!?」
「別の世界からやってきた一花!?」
突然現れた、俺と同じ顔をしているこいつは
別世界からやってきた『天人・一花』だった
外見はほぼ俺と変わらないが、目付きが俺よりもかなり鋭い。殺意や怒りを顔に出すと、目付きだけで人を殺せるような、怖い顔をしていた。自分と同じ顔をしているのに、俺もこいつなのに、性格もなんか違う。こっちはもっと荒々しい。
「俺も突然迷い込んだがな、この世界に。だが、そんなことはどうでもいい。お前を消せば、俺は・・・・いや・・・・俺だって・・・・」
「っ!」
「なんでそんなこと!?」
「彩葉。この世界にやってきて、この世界での俺を見た。見たことのない金髪と銀髪の女二人と楽しくやっているのをな」
「見たことのない金髪と銀髪の女?」
「っ!まさか輝夜と八千代のこと!?」
「そっちの世界の俺は、輝夜と八千代を知らないのか?」
「誰だよ?そいつら?」
「そっちの世界では、輝夜と八千代と会ってないのか?」
「誰の話をしているか知らねえけど、その女二人と、なんで彩葉と一緒に暮らして楽しそうにしてんだよ?お前は『あの人を殺したんだぞ』!!殺したお前がなんで幸せに生きてんだ!!」
「っ!?お前・・・・この前の学園祭で、咄嗟に後ろからあんな不吉なことを言ったのも、俺の教室の机にあの置き手紙を置いたのも、お前なのか!?」
「ああ、偶然お前を見かけた時、ここは別世界だって分かったよ。でも気にくわねんだよ、こっちの世界の俺が幸せそうにしている姿が、お前も俺もあの人を殺した罪人だ!そんなお前も、俺も!幸せになってはならないと!なぜわからないんだ!」
「ぐう!」
「一花!?」
「お前はここで死ね!あの人の詫びるために!!」
「お前も!?そっちの世界で、あの人を死なせたのか!?」
別世界の俺は、ナイフを持ち構えて、再び襲い掛かる
こっちの世界に来た別世界の俺は、どこかで楽しく輝夜たちと過ごしている俺の光景に気に食わないのか、俺を殺そうとナイフで斬りかかる。『あの人を殺した』罪が、俺もこいつも心に強く。特に別世界の俺は、嫉妬に近い程に俺の幸福に不満であり、人を死に追いやった俺が幸福になるなど
こいつも俺だからこそ、あの人への贖罪が強くなってしまい、自身の幸福は得てはならないと。あの人を死に追いやった俺たちと言う咎人が、生きることさえ許されないと、己に責めるように、別世界の俺は決して俺の存在を許さない
ナイフをなんとか避けるが、全て避け切れるわけはなく
ザシュ!!
「ぐわあ!?」
「一花!?」
「俺と同い年だから、遠慮なんてしなくてもいいだろ。あの人のために詫びろ!!お前が!俺が!生きていい訳ないんだ!!」
「く!」
俺は肩を斬られてしまい、まともに身動きが取れずに倒れてしまう
そのまま俺の心臓にナイフを刺そうとするが
「やめて一花!!」
「彩葉!?」
「く!どけ!!彩葉!そいつはお前の父親の仇だぞ!!」
「私はそんなことを望んでない!!自分を恨んでどうするのよ!!いくら別世界の一花でも、こっちの世界の一花にまで、そんな贖罪を与えないでよ!!」
「そんなことはない!そいつだってその罪を心に抱いているはず!!現に、今ここでどこへ行こうとしていた!あの人への罪の後悔が今心に来たんじゃないのか!限界に!」
「っ!それは・・・・・・」
「見ろ!!やはり罪の意識を抱いているんだ!!だから理解しろ!お前は生きるべきではないと!!」
「っ・・・・・俺は・・・・」
「そっちの世界の一花!もうやめて!そんなことしたってお父さんは喜ばない!」
「ああ、分かっているとも!!だが・・・・人を殺した罪悪感は消えないんだよ!!お前もそうだろ!この世界の俺!!」
別世界の俺はこっちの世界の俺に恨みを齎す
幸福に生きる俺を絶対に認めないと俺を殺そうとする。そっちの世界での俺はどんな生き方をしているのか知らないが、輝夜を拾わず、八千代の存在がない世界。だからあの人の死の罪悪感に今の年齢になっても囚われている。
これは己の問題であるのに、それを俺に押し付けてくる
でも、俺としては『他人ではない』
こいつの罪悪感は、別の世界であろうと俺であることに変わりはない。さっきまでの俺もそうだっった。俺はあの人の死が、自身のせいであることに罪悪感をかなり抱いていた。誰かが俺を許しても、己を許せない、己への憎しみが俺の心から晴れることはなかった
どうしても考えてしまう。あの人にどう詫びればいいのかとか
あの人が望んでなくてもそうしなきゃと、己に罪を成す。別世界の俺も、あの人を死に追いやったんだ。だからこれだけの憎しみを、自分に責めるように、俺に自分のした過ちを懺悔させて罰として俺を殺そうとする
しかし、彩葉が盾になって前に立ち。別世界の俺は俺に手を出せずに躊躇う
流石の別世界の俺も、流石に手は出せないようで、彩葉が盾になっては何もできずに、俺たちから距離を離れる
「くそ!なんでお前は・・・そいつの味方をして・・・なんで京都に居るはずのお前が東京に居る!」
「え!?まさか!?そっちの世界の私はまだ京都に居るの!?」
「ち!今日は見逃してやる!!次は必ず殺す!覚えておけ!この世界の俺!!」
「あ、待って!!」
彩葉が邪魔で、今は手を出せないと判断して、別世界の俺はナイフを懐にしまって、床に転がっていた般若のお面をつけて、その場から逃げ出した。
別の世界の俺は、彩葉が東京に居ることに驚いていた。ってことは別世界では彩葉は東京に来れず、京都の高校に進学したのだろうか
とにかく今は助かっても、次も必ず殺すと、別世界の俺は宣戦布告をして去る
そして俺は肩から血が流れる
「くう!!」
「一花!すごい出血!?おじさんの病院に!」
「あ、ああ」
肩からかなりの出血をしており、少し奥まで斬られている。急いで手当てしないとまずいと思い。親父の病院へと向かう
病院
親父の病院に着き、急いで診て貰うのだが、親父の眼には三日月眼が開眼している。俺が肩を斬られてやってくることに、未来予知を見て。準備は整っていて、すぐにでも診てくれた
その間に彩葉がみんなを呼ぶ。本当はみんなに話して貰いたくないが、こんな状況においてと、別世界からやってくると言う信じられない事が起きている以上、そうも言ってられないと。止むを得ずみんなを呼ぶ
「一花!!」
「大丈夫!?」
「輝夜、八千代。家から来たのか」
「一花!!」
「大丈夫!?」
「芦花と真実も見たか、本当に呼んだんだな?」
「それだけじゃないわ」
「一花!大丈夫か?」
「朝日の妹から連絡が来てな」
「先輩!肩を斬られたと聞いたんですけど!大丈夫ですか!?」
「朝日さんたちも呼んだのか?」
「知るべきでしょ。特にお兄ちゃんには・・・・」
「・・・・・・・」
「ああ、君たち?ここは病院だから、静かに頼むね?輝夜、八千代も」
「「「「「あ、すいません」」」」」
「「ごめん・・・パパ」」
病室に、輝夜、八千代。だけでなく芦花と真実、そして朝日さん、雷さん、乃依まで来た
彩葉は本当に、俺の隠していることまで、一番仲の良い友人や家族に話すべきだと、親父の病院に呼んだみたいだ。親父も含めて、輝夜たちまでも話したのだろう。
別世界の俺がやってきて、突然俺にナイフで斬りかかってきたことを
当然そんな話をすれば『俺の過去も知られる』が。今俺は殺されかけ、命が狙われている以上は、もう過去のことを知られても仕方がない状態だった
「それで本当なんですか?先輩と同じ顔をした・・・いや・・・・別世界からやってきた先輩が襲い掛かってきたと言うのは?」
「信じられないが。本当だ。彩葉も見ている」
「ええ、外見もかなり一花と変わらなかった。でも少し・・・目付きはこっちの一花よりも鋭いわね」
「なんで別世界の一花なんて者が現れるんだ?」
「そんなことは俺も知りたい」
「しかも、別世界の一花は、輝夜や八千代の存在を知らなくて。しかも私が東京に居ることも知らないみたいなことを言ってた」
「え!?輝夜と八千代を知らない!?」
「どういうこと!?」
「しかも、彩葉が東京に居るってことに驚くことも。別世界からやってきた一花にとっては俺たちの世界とは少し異なるってことか?」
「多分、そうだと思います」
「八千代。何か知らない?」
「八千代もわからない、八千代も初めて知った。別世界からこの世界にやってくるなんて、そんな多元宇宙論や並行世界や異世界だなんて、八千年生きた八千代でも。これは・・・・予想外にして信じられない出来事だよ」
「あいつは・・・・どんな世界からやってきたんだ?しかもどうやって世界の壁を越えてここに来たんだ?」
そして今回の問題である
別世界の俺がやってくると言う、信じられないと同時に前代未聞の事件
別世界なんてあるのだろうかと思うが、そう考える他ない。本人の口からそう言ったんだからな。でなければこの世界に俺が二人居る。そんなことがあり得るなら、並行世界の俺がやってきた。そう考えるしか、そう信じるしかない
しかも、俺たちの世界とは異なる別世界。輝夜と八千代を知らない、そして彩葉が東京の高校に通っていることを知らない。
まさかとは思うが・・・・・
「どうやら、其方の試練がやってきたようだな、一花よ」
「その別世界については、月読様が調べてくれたわ」
「ああ、調べてくれましたか」
「「月読様!?」」
「「「おばさん!?」」」
「調べてくれたんですか!?」
「うむ、神である我なら別世界でも調べることは可能だ」
「流石は月の神様」
「それで、別世界からやってきた先輩は、どんな世界ですか?」
「それは・・・・・その世界は『一花が作った』世界でもある世界だ」
「俺が!?」
その仮説を閃いたときに、またも病室に現れたのは
月読様と母さんだ
もう一人の俺の別世界がどんな世界か、神である月読様なら調べることも可能であり、もう一人の俺の世界を調べることができた。しかし、その世界は俺が原因で出来上がったと言われる
まさかとは思うが、その世界がどんな世界が想像をついたけど、とりあえず月読様にどんな世界かを聞く
「一花が月姫であるかぐや姫を月に返さなかったことで、生まれたその世界は『ツクヨミが無い世界』、八千年前に『八千年月姫』が送り出されることなく。仮想世界であるツクヨミが存在しない世界だ」
「「「「「ツクヨミが無い世界!?」」」」」
「仮想空間であるツクヨミが無い世界!?」
「まさか!?一花が輝夜を月に返さなかったことで、別世界では輝夜が八千代にもならずに、ツクヨミが造られなかった!?」
「八千代は月に帰ったけど、月に帰っても一花を忘れずに地球に戻ったけど、隕石にぶつかって八千年前の地球に着いて、そこから一花に会うまで生まれるまで八千年待った。その間にツクヨミと言う仮想空間を作って、一花と遊べるメタバースを作った。だけどその別世界では・・・・」
「八千代が現れずに、ツクヨミと言う仮想空間が無い世界線」
「うん、それで彩葉ちゃんは仮想空間で得た収益で、今まで東京のアパートで一人暮らしをできたと思うけど」
「そっちの世界ではツクヨミが無いから、アパート暮らしするだけの収益も出せなくて、あっちの世界の私は。そのまま実家で京都の高校に進学したってこと!?」
「うむ、つまりは、一花が月姫を月に返さず、八千年前の地球に送り出されるキッカケそのものを阻止したため、その世界ではツクヨミは存在しない」
「それだけじゃなくて、輝夜ちゃんは月から地球に来たのだけど、それすら無いの」
「え!?輝夜は地球に降りてもいない!?・・・・・」
「ええ、輝夜ちゃんは赤ん坊になって地球に降りたけど、それすらない世界なの」
「俺が輝夜を月に返さなかったから、別世界ではツクヨミも無く、輝夜が八千年前の別の地球に飛ばされることがなかった、そして輝夜が地球にも降りてこなかった世界線」
ツクヨミが無く、八千年前に輝夜が飛ばされることなく、彩葉高校に進学できるだけの一人暮らしできる資金もなく、京都の高校に進学。そして輝夜が地球に降りてこなかった世界線からやってきたもう一人の俺
八千代は月に帰ったけど、再び俺に会いたくて地球に戻ろうとしたけど、その途中で隕石にぶつかって別世界の八千年前の地球に降りた。そして俺が生まれる今の2030年まで八千代になってツクヨミを作って、俺たちの世界を作った。
だけど、俺は輝夜を月に返さなかったから、別世界では八千年前の地球に輝夜を送ることはできなかったから、八千代も居ない、ツクヨミと言う仮想世界もない世界線が生まれた
俺が輝夜を月に返さなかったから生まれた『タイムパラドックスの世界』
しかも月から輝夜が地球にも降りてこないと言うことは、あの電柱で輝夜と出会うこともないまま、別世界の俺はそのまま今の東京の高校で寂しく過ごしているのかもしれない。それが別世界の俺の世界。まったく俺たちの世界とは異なる世界だ
だが
「そんなタイムパラドックスから来た先輩なのは分かりますけど・・・・」
「なぜ別世界の一花が、こっちの一花を殺そうとするんです?」
「ああ、それか。それは『一花本人に聞いた』方がいいだろ」
「一花に?」
そう。疑問が生まれる
なぜそんな別世界の俺が、こっちの世界の俺を殺すのか
それはみんなにはわからないだろう。この事だけは。普通に考えて、別世界の俺がこっちの世界である俺を殺そうするのか、普通に意味不明だ。何もかもが異なる世界である俺と別世界の俺ではあまりにも関係のない話だ
だけど
一つだけ、その別世界と俺たちの世界と同じな部分がある
それが原因で俺を殺そうとする
「一花よ、『11年前の事件』は別世界も同様に起きている」
「・・・・・・・・」
「一花。私もお父さんも、月読様も気づいているけど、あっちの世界の一花も気にしているのね?」
「・・・・・・・・ああ」
「やっぱり、一花、お前はまだそこまで・・・・」
「悪いかよ、親父」
月読様から告げた、『11年前の事件』は別世界にも存在すると、だから俺を殺そうとする
そんな気がした。そうでなければ俺を憎んで殺そうとするはずがない。別世界でも『あの事件』は起きたんだ。しかも『俺が原因」で
「なんですか?その11年前って?」
「11年前!?」
「朝日?知っているのか?」
「知っているも何も!!一花!お前!?まだあのことを気にしてんのか!?あれは『お前のせい』じゃないって、母さんや俺や彩葉が何度も言うとるやろ!!!」
「・・・・・・・」
「え?彩葉のお兄さん、知っているんですか?」
「知っとるも何も!俺も彩葉も母さんも知っていることだよ。あの11年前の事件は・・・」
「一花、学園祭終わってから最近変だよね?何かを怖がっているような態度ばかり取るんです」
「一花?何を知っているの?その11年前・・・とかに何かあったの?」
「・・・・・・八千代は知っているのか?」
「11年前、6歳の時の一花・・・・っ!?・・・はい・・・・ずっと見てましたから」
「そうだな、話すよ。でないと彩葉と朝日さんが喋るだろうからな」
彩葉と朝日さんはその事件の『関係者』
八千代は俺が生まれた年まで小さい時の俺を仮想空間で見ていたんだろう。だから知っている、あの事件を。俺がどれだけ罪滅ぼしをしたいと思ったか、それでも叶わなかったけどな
もう隠してもしょうがないと、俺はこの場に居るみんなに話す。黙っていると彩葉と朝日さん。もしくは母さんと父さんと月読様が話してしまうからな
「彩葉と朝日さんのお父さんのことなんだけど」
「彩葉と帝のお父さん?」
「それがどうかしたんですか?」
俺が消えない罪の話。いや、消したくない永遠の罪
どれだけ己に憎しみを抱いたか、どれほど自分の体に傷をつけたか、どれくらい自分の心に怒りを燃やして壊したか。忘れることができない。どう償えばいいと嘆いた自分を。
別世界の俺も、今生きていることが苦しい程、自分が大嫌いだろう。
ああ、俺もだ
俺が幸せになっていいはずがない。別世界の俺もそう思っている。生きる価値なんて自分には無いって、それが母さんや親父や、紅葉さんや朝日さんが彩葉が、俺のせいじゃないと言われても、死にたいと願う程に
それ程俺は贖罪がしたい。俺は咎人だ
これは俺の最大の謎
それは
「俺が殺したんだ」
「「「「「え?」」」」」
「「っ・・・・・・・・」」
「「「・・・・・・・・」」」
これは俺が憧れ、愛する人を殺した過去にして
俺の消えない己への呪いの話
*別世界の一花の世界は、我々の世界である現実世界だと思ってください
*彩葉と朝久の父、酒寄朝久はオリ主のせいで死んだと言う設定