超かぐや姫! 〜彩葉の幼馴染のかぐや姫物語〜   作:ソール

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死んだ人に報いる選択肢

 

 

月読様の言葉に従い、俺は朝久さんの墓がある、元故郷の京都に再び戻る

 

ここに戻るのも四年半ぶり、何度か墓参りしようとしたことあるけど、親父と母さんに何度も止められた。おそらくまたトラウマが蘇るからと。東京に引っ越してから京都には戻らせてくれなかった。だが今回は違う。今回は自分との罪に向き合うために墓参りをする。これは俺の試練であり、親父と母さんの許可も貰って新幹線で京都に来た

 

だけど

 

 

「彩葉と朝日さんはわかるとして、なんで輝夜達まで?」

 

「もちろん!一花が心配だから!」

 

「一花の命が、別世界の一花に狙われているわけですから、八千代達も着いてきて当然!」

 

「私は・・・・・京都で美味しいご飯無いかな?」

 

「コラ!真実!一花が心配で着いて来たんじゃないの!観光で来たわけじゃないのよ!」

 

「ここが、朝日の故郷か・・・・」

 

「京都なんて、中学の修学旅行以来だよ」

 

「と言った感じで、俺たちだけで行かせるわけもなく」

 

「みんな、着いて来ちゃったわけ」

 

 

「やれやれ、飯は後だ。先に朝久さんの墓に行くぞ!」

 

 

輝夜、八千代、芦花、真実、雷さん、乃依まで着いてきた

 

別に観光しに来たわけじゃないんだけどな、俺と彩葉と朝日は故郷に帰って来ただけなんだけどな、真実はおそらく、京都は初めてなのだろう、京都でしか食えない料理を食べたい様子、まあ、今日で帰るにしても、ここで食事は必要だから、後で案内するとして

 

まずは朝久さんの墓へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがそうなの?」

 

「ああ、この先にな」

 

 

京都駅からバスを利用して、三十分くらいで着く。朝久さんの墓地。周りには桜の木がある。春になると桜が咲き、綺麗な桜道ができる。そんな綺麗な場所に墓地があった

 

朝久さんの墓は奥にある。奥へ進むと

 

 

先客が居た

 

 

 

「来たわね」

 

 

 

「紅葉さん!?」

 

「お母さん!?」

 

「母さん、来てたのか!?」

 

「あ、彩葉のお母さん!」

 

「どうして貴方様がここに!?」

 

「「「「こんばんわ」」」」

 

 

「こんばんわ。みんなも。月読様と、桜花君と咲夜から連絡を貰ってね、今、大変な苦労を、また私の旦那関係でしているみたいやな?」

 

 

「まあ、そうです」

 

「まったく、あれから11年、そして京都を出て5年。どうしても拭えなかったみたいやな?」

 

「はい、情けないと言われても否定はしません」

 

「まあ、ええわ。ほな、うちの旦那に墓参りするんやろ」

 

「はい、そのためにここまで来ました」

 

 

先にお墓参りをしていたのは酒寄朝久さんの妻

 

 

酒寄紅葉だった

 

 

彩葉と朝日さんの母親。月読様と親父と母さんが、俺たちがここに来ることを知らせたのか、俺たちが来るのを待つために、ここ先に朝久さんのお参りを済ませていたようだ。

 

でもそれだけじゃないはず、ここに来たのは

 

きっと俺に何か言うことがあって、朝久さんの墓参りするのはついでで、俺に何か言うことをここに来たに決まっている。まあ、今は言われるべきだと思う、今の俺はあの人の奥さんに説教されないと、俺の心は変わることはない

 

今はここで紅葉さんのこれから言われる言葉を聞かなければ

 

とにかく、まずは御線香をして手を合わせて亡くなった朝久さんにお辞儀する

 

 

「ここに来たのは、思い返すため?それとも区切りを付けるため?」

 

「どちらでもありません、いい加減、あの人の死を受け入れて、前へ向こうと自らの足で、負い目と向き合うためです」

 

「それをすれば、今度こそ満足するんか?」

 

「ええ、今度こそ。俺は自分のしたことを認めて前へ進みたいんです」

 

「ウチの子たちと一緒に?」

 

「そうです。俺は・・・・・勝手に負い目を負っただけです」

 

 

紅葉さんに聞かれる。ここに来たのはなんのためか

 

朝久さんの墓に来たのは、ただの報告。もう俺はあんたの死を受け入れてもう迷わないで前を進むから、どうか天国で俺の今するべきことをすると

 

ただそれだけ

 

今の俺の心は壊れている、でも、そればかりしていれば、輝夜たちに心配される。そんな先ではもう生きていけない。あの人の死は過去のもの。過去は受け入れる以外何もできない。もう自分の罪は認めている。問題はそれに無理して償おうとする無茶なこと

 

死んだ者に報いることなんてできるわけがない。月読様の言う通りであり、今俺はこの心を治すためにも、向き合うことから逃げないようしているだけ

 

 

「月読様と君のご両親から聞いたわ。どこからの世界から、別の一花君がやってきて、こっちの世界の君を殺そうとしているって・・・・・ウチの旦那を殺したことを気にして、勝手に罪を被って・・・」

 

「そうです、信じます?そんな漫画みたいな話を?」

 

「そうやね、月の神様といい、そこに居る金髪と銀髪の女の子がかぐや姫、驚くことは色々あるんやけど、別世界が存在して、そこから君が来て、ウチの旦那を殺したことで生きる価値ないとかで、殺しにかかったとしても、もう不思議ではないと、信じることにしたわ」

 

「でしょうね、俺も最初驚きましたけど」

 

「お母さんは・・・・どう思う?今の一花を?」

 

「そうね・・・・・無論、酷い顔をしとるわ」

 

「・・・・・・・」

 

「君が気にすることでもないのに、随分と勝手なことをするんやな?」

 

「悪いですか?」

 

「悪いや」

 

「っ!?」

 

「人様の死を気にする暇があるんやら、自分の心配をするべきや」

 

 

紅葉さんには、俺たちの今の状況、そして別世界の俺がこっちの世界にやってきて、殺しにかかっていると、状況は全部月読様と親父と母さんから連絡は聞いている

 

過去のことに未だに拘る俺が哀れで仕方がないと言う言い方をされた、そういう厳しいところは相変わらず、弁護士として現実を向き合い続けた人だからこそ、俺に適切な言葉を出した

 

否定はできない。負い目を勝手にして、自分に価値がないだなんての自責。哀れでしかないと、厳しく言われることに否定はできない

 

 

「あとは烏滸がましい」

 

「烏滸がましい?」

 

「ウチの一家でもない子が、勝手にウチの旦那のことで気に病むなんて烏滸がましい。あの人の妻として、あんたにはウチの旦那のことは忘れろと言わせて貰うわ」

 

「忘れる!?本気で言っているんですか!?」

 

「お母さん!?それ本気で言ってんの?」

 

「その方がええやろ。朝日はどうや?」

 

「一花には悪いけど・・・・・俺もそうした方がいいと思った」

 

「お兄ちゃんまでそんなことを言うの!?」

 

「こんな辛い思い出を心に置いておく方が辛いやろ。忘れる方が一番や。輝夜ちゃんと八千代ちゃんはどうや?」

 

「う〜〜〜〜ん、一花は納得しないだろうけど、輝夜もそうした方がいいと思ったよ」

 

「ヤッチョも、辛い思い出だからこそ、忘れるべきだと、そう思います。思い出すだけで、辛いことを思うのなら・・・・・」

 

「・・・・・・そこまで酷いのか、俺は」

 

「自覚ないなら、尚更ダメや。他の子達はどう思うんや?」

 

「私も・・・・そうした方がいいと、思っているよ」

 

「私もかな、美味しいものを食べて忘れる方がいいと思うよ」

 

「先輩には悪いですけど、過去の思い出がこの先生きるのに邪魔をしていると思います」

 

「お前は納得しないだろう。忘れることなんて、だが、朝日の母の言う通りだ。殺人した気持ちはわからなくもないが、この先に影響を及ぼすなら、忘れるべきだろうと俺も思う。その一家の一員が言っているわけだ。許可は出ているわけだしな」

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

朝久さんを殺した思い出を、楽しい思い出も含めて忘れるべきだと、朝久さんの妻である紅葉さんにそう言われる

 

過去のことは忘れて前へ進めるべきだと、過去を置き去りにしろ言われる

 

それに対して、みんなもそう思っている様子、あの輝夜や八千代でさえも、それだけ俺の思想は酷いのだろう。過去に囚われて前を向けない情けない奴。今の俺は亡くなった人のこだわり過ぎている。そんなんじゃあこの先生きていけないと、もう朝久さんのことは忘れろと言う

 

なら、と。俺は反論を出す

 

 

「それじゃあ紅葉さんは忘れることができるんですか?旦那が亡くなったあの日のことを忘れることなんてできるんですか?」

 

「私はあの人の妻だから覚えておかなきゃいけないんや、君とは違うんや」

 

「俺にとって、あの人は家族みたいな人だったんですよ。忘れろだなんて、そんな無責任な・・・」

 

「それで先に進めるなら、ええことやろ?」

 

「俺にとっては大事なことなんです。前に進むためだからこそ、俺は・・・・・・」

 

 

 

「そんで、周りの子たちを心配かけさせるんか?頭がおかしいやろ!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

紅葉さんから説教を受ける

 

周りに居るみんなに迷惑をかけて心配させている。ここまで京都に来てまで心配されているのに、自分の過去に犯した罪だけを気にしてばかりで、周りの気を遣ってないと、ダメ出しを喰らう

 

今の俺には過去と向き合うことで前へ進もうとしているけど、その殺人を犯した過去を気にするばかりで、前を向く前に、周りに居る輝夜達のことを安心させないなんて。

 

どんなに殺人をしたとしても、周りにはもうちゃんとした家族が居ることを忘れるなと言われる

 

確かに、俺は自分の過去に償うことばかりで、周りのことは見えていなかった。みんながどれだけ俺を慰めているのか、それをまともに聞いていなかった、紅葉さんの言う言葉は全部当たっていた

 

過去のことを忘れろ、そんなことを言われるなら

 

 

「だったら・・・・・」

 

「だったら?」

 

「なんで少しでも俺を責めないんだ!!少しでもいいから俺は責めて欲しかった!!」

 

「そんなことをできるわけないやろ!!」

 

「なんで!?」

 

 

 

「あの人が・・・・あんたを本気で息子のように想っとたからや!!」

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

「旦那はいつも言うとった。あんたのことを!『僕みたいにピアノが弾ける子がいる』って、あんたの凄さをいつも褒めおった。『あの子なら、僕の全ての半分を渡してもいい』って、あんたのことを認めておった!」

 

「朝久さんが・・・・・・」

 

「そんな息子同然のように想った子を、例え殺されたにしても責めるわけないやろ!今だって旦那のことを想って償おうとする。変な律儀な償いをしようとするあんたを。良い子だと本当に認めおったんや!」

 

「っ・・・・・・・・」

 

 

 

「だからもう忘れるんや!あの過去は偶然起きたことなんや!」

 

 

 

少しでも良いから、俺に責めて欲しかった。

 

俺のせいであの人を亡くなった。過去を忘れろと言っても、少しでも責めてもらってスッキリしたかった。そうすれば少しは気晴らしになったんだ。でも、それでもできないと、紅葉さんに言われる

 

 

理由は、朝久さんが、俺のことを義理の息子のように想っていたからだ

 

 

俺の両親は居ると言うのに、義理の息子として想っていたからか、こんな話を親父と母さんにこんな話を聞いたらどんなことを言うか、それでも、俺にとっては

 

 

 

「はあ・・・・・・本当に優し過ぎる、あの人の優しさは本当に毒だよ」

 

 

 

「それは私の旦那を愛しているあんたが一番わかっていることやろ?」

 

「ええ、そうですね。はあ・・・・・まさかそんなことを言っていたなんて・・・・本当に変な人で・・・優しい人だな・・・・・・」

 

「親父はお前のことを恨んでねえよ。間違いなく・・・・・」

 

「うん、お兄ちゃんの言う通り、お父さんはそんなことを望んでないし、責めたりなんてしないよ。お母さんも・・・・・・」

 

 

 

「結局・・・・・許しも償いも意味ないか・・・・・・」

 

 

 

「一花、大丈夫?」

 

「なんとかスッキリしましたか?」

 

 

「ああ、した。今でも罪悪感は消えないけど・・・・・少しは軽くなったかな」

 

 

「先輩が元気になってよかったです」

 

「ああ、そうだな」

 

「あ!いつもの一花に戻った!」

 

「よかった、本当に・・・・・」

 

 

 

少しくらい責めて貰いたかった

 

そうすれば少しはスッキリすると思ったんだ。悪いことをして怒られるように、少しは怒鳴り散らすくらい、怒って欲しかった

 

でも朝久さんの思い出話されて、そんな気にもなれなくなった

 

俺のことをそんなふうに思ってくれていたなんて、本当に優し過ぎるよあの人は、だからなのかスッキリした。もう不快な気持ちにもなれない。そんなことを言われたら。もうあの人を殺した罪もどうでもよくなってくるよ

 

 

 

「だからこそや、私は一花くんのことが『嫌い』や」

 

 

「え?」

 

「ちょ、お母さん!?」

 

 

「当然やろ。私はあの人の嫁や。なんで嫁である私と同じくらい、あの人のことを愛しているのよ。ハッキリ言ってムカつくわ」

 

 

「母さん・・・・・・」

 

「悪いとは思っていますよ。それでも俺はあの人の事を『もう一人の父』だと思っています。愛するのは良い事だと思いませんか?だから愛して憧れて、ピアニストになる夢を一度は手にしようとしたんです」

 

「そんなもん諦めさせて貰うわ。本当にあの人に近づきそうで、超えそうで、あの人の実力を嫁ながら超えてほしくないんやもん。あんたの作った曲、ネットで聞いとったから」

 

「え!?お母さん一花の曲を聞いていたの!?」

 

「ええ、本当にあの人と同じ良い曲を作る。だから余計嫌いや。私が欲しかったもんを。娘の幼馴染に全部持ってかれるのは・・・・・」

 

 

「じゃあそれだけは恨んでくれて構いませんよ。やっぱり決めた。シンガーソングライターになりたい。あの人と一緒に作るはずだった曲を、作り続ける。これがあの人の償いだ」

 

 

「本当、その決意もあの人に似て、ムカつく子や」

 

 

 

もう俺はあの人を殺した罪で、己を恨むのはやめた

 

 

むしろ目標ができた。生きる理由ができた。あの人の償いはやっても意味ないことはわかっていた。どんなにやっても自己満足でしかない。亡くなった人に送れるものなんてない。だから自己満足に償うしかないと思ってた

 

もう紅葉さんの話を聞いて、叶うことはなくなった

 

それよりも俺は夢ができて生きる希望ができた、もう自分の過去に囚われている場合じゃない。あの人が作る歌をもっと作りたいという夢ができた。これがあの人の償えることだと信じよう

 

もう俺はあの人の罪悪感に囚われない

 

過去は忘れはしないけど、前へ進むために、俺はもうあの人を殺した罪悪感に心を蝕まれることはない

 

 

だけど

 

 

 

 

「俺はもう決めた。別世界の俺はどうする?」

 

 

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

「あれが!?」

 

「まさか・・・ここまで!?」

 

「本当に・・・・あれが・・・・」

 

「っ!へえ・・・・あれが月読様と咲夜と桜花くんに聞いたけど・・・・」

 

「一花・・・・・・・・」

 

 

 

「まさか・・・俺でありながら・・・そんなくだらない考えをするとは・・・」

 

 

 

俺はもう決めたと、もう過去に囚われないと、あの人を殺したことを認めても自殺しようとは思わない

 

 

 

その言葉を、俺たちの後ろにある墓の裏から、別世界の俺が現れる

 

 

 

別世界であろうと、俺だからこそわかる。こいつも別世界とはいえ、朝久さんの墓に来て思い詰めたいことがあるからここに来たが、まさか先客である俺たちが居るとは思いもしなかっただろう。

 

随分と顔色が悪い、別世界からやってきたとはいえ、俺とは思えない感じだ。眼の下にクマがある。最近寝てないみたいだな、黒いパーカーと青いズボンを着ている。少し汚れているから、この世界で隠れて俺を殺すタイミングを伺いながら彷徨っているみたいだな

 

 

「本当に一花が・・・・・・二人!?」

 

「あれが別世界の一花?」

 

「ああ、あれがな」

 

「でも、顔は暗いし・・・・・眼がかなりこっちの一花よりもっと鋭いかも」

 

「しかも・・・・・・なんか怖い顔をしている」

 

 

「俺を殺したいからだろ。別世界の俺、こんな所に来てまでお前も朝久さんに話したいことでもあったのか?別世界ではあるのに」

 

 

「黙れ、お前には関係ない。俺と同じ存在なのに、なんでそんな前向きな考えができる!?」

 

 

「逆に、下向きばかりであの人に償えるものはない。俺は死ぬだけが、償いとは限らない」

 

 

「そんなわけがない!!俺たちは死ぬべきなんだ!!」

 

 

「それは彩葉と朝日さん、紅葉さんの前でも言えるのか?」

 

 

「っ!?それは・・・・・」

 

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「別世界とはいえ、やっぱりお前は俺だ。この三人を前にしたら、死ぬことが償いだなんて、しっかり言えない。死での償い方はうやっぱり勝手な思想で、俺らしいやり方だ」

 

 

みんなも驚くだろう、本当に別世界の俺がどこからかやってくるだなんて、この話はかなり信じられない話だ

 

 

しかし、それでも考えは俺とは違う

 

 

最近俺と同じく、夜も眠れないまま、あの人の死を見るばかりで魘されて、しっかり寝てないせいで顔は悪く、目の下もクマができている。別世界だけのことがあるくらい、俺とは別な考慮も意思もしている。もはや俺とは別だと思うべきだろうな

 

 

「お前は朝久さんを殺した過去を忘れる気か!?あれだけの大罪を犯しといて、前へ進めるものか!!」

 

 

「忘れるわけねえだろ!今でも思うさ、俺があの人を殺したとな。でも、あの人に償うために死ぬことであの人が喜ぶはずがない!!あの人が優しいんだ。そんな優しい人が。殺した本人の死で償える程、喜ぶ対価なものか!!」

 

 

「何を知った口で言ってやがる!!人を殺したお前が!!」

 

 

「ならわかるだろ!!本当はそんなことをしても無駄だってことを!!」

 

 

お互い、あの人を愛しているのは同じ

 

しかし、償い方は別だった。別世界での俺は予想以上に心に負を追い過ぎている。あっちの世界では恵まれない不幸をたくさん味わったに違いない。別世界では輝夜が存在しない。てことは輝夜を拾うこともなく、ツクヨミもないから、収入も無いから、稼ぎようがないから一人暮らしはできないから彩葉は高校は東京に来れず、京都の高校に入学したはず

 

 

てことはあっちの世界では、俺はあの人を死は拭えずに一人のまま、友達も作らずか

 

 

「そっちの世界ではお前は孤独なのか?流石に真実と芦花は居ると思うが・・・・」

 

 

「誰だそれは!?そんな奴など知るか!!」

 

 

「え!?」

 

「別世界では私たちは居ないの!?」

 

「いや、居るははずだとは思う、別のクラスになったかもしれない、もしくはそれ以上に友達を作ってないから、他を知ろうとしないのかもしれない」

 

 

「どうでもいい、どうせ俺は死ぬんだ」

 

 

「じゃあお前はなんで今でも生きているんだ!死にたいならさっさと自殺すればいいだろ!」

 

 

「言わなくてもわかるだろ?俺も・・・・・・『あの人の言葉』が頭に響く、自殺しようとすると」

 

 

「お前もか、そっちの世界での彩葉はどうしているんだよ?」

 

 

「さあな、東京に来てからもう連絡は取ってない」

 

 

「放っておいているのか・・・・・あの人の言葉を守ってねえじゃねえか!!」

 

 

「それは・・・・・・」

 

 

「俺ならわかるだろ!俺はあの人に『彩葉を頼んだで』って言われたのを、忘れたわけじゃあないだろ!!」

 

「一花?・・・・・・」

 

 

「黙れ・・・・・黙れ・・・・・黙れえええええええ!!!」

 

ジャキ!!

 

 

「一花!!」

「危ない!?」

 

 

「死ねええええええ!!」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

俺が別世界の俺に見つめ直すよう言ったが、俺の言葉が気に食わないのか、ナイフを取り出して斬りかかる

 

もう完全に人の言葉を聞くようなまともな精神はしていない。完全に心は負に覆い尽くされていた。それでも俺は逃げたくないのと、これでも己を向き合うための試練だからと

 

 

 

別世界の俺のナイフの刃を

 

 

 

 

掴んだ

 

 

 

 

 

ポタポタ・・・・・ポタポタ

 

 

 

「っ!?お前!?」

 

 

「俺なら・・・・こうするだろ?」

 

「一花!?」

 

「ナイフを素手で!?」

 

「全員手を出すなよ!これは俺の戦いだ!!」

 

 

ナイフの刃を掴んだ手から血がポタポタと垂れる

 

それでも俺は別世界の俺の心を叩き直すためにも、避けずにナイフを受け止めた。こうでもしないとこいつは俺の話を聞く耳もない上に、こいつは彩葉のことを気にしてもいない。別世界の俺に、本来何をすべきなのか、ここで思い知らせる

 

 

「彩葉のことを忘れんじゃねえ!!俺は彩葉を頼むってあの人に言われたから今日まであの人の約束を守っているんだ!それをお前は約束を違えるのか!!」

 

 

「っ!?俺は・・・・・・・・」

 

 

「一花・・・・・・・」

 

 

ナイフを掴んで逃さずに、俺は別世界の俺に彩葉のことを忘れるなと喝を入れる

 

俺は今までも彩葉の助けになってきた。今回は流石に彩葉に救われたけど、俺はあの人に彩葉を頼むと言われた。これに俺は応じて今まで答えてきた。あの人の最後の言葉にして、約束だと思って、それだけのために何度も頑張ってきた

 

あの人に報いたいたなら、朝久さんの約束は違えるなと、俺はナイフを外さずに別世界の俺に言う

 

 

しかし

 

 

 

「もうええやろ!!」

 

「こんな危ねえことをしおって!!」

 

 

カラン!カラン!!

 

 

「ぐう!?紅葉さん・・・・朝日さん・・・」

 

 

「流石に離されたか・・・」

 

「一花!!」

 

「大丈夫!?」

 

「少し手のひらが切れただけだ、問題ねえよ・・・・」

 

 

「なんであんた達まで・・・・・そいつの味方を・・・・」

 

 

「別世界の一花君でも、言わせて貰うわ」

 

「俺たち一家は、お前を恨んでおらへん、いつまでも親父のことで争いことをやめや!!」

 

 

「なぜ・・・・・そこまで・・・・・・」

 

 

流石に見てられないのか、紅葉さんと朝日さんが俺と別世界の俺を引き剥がす

 

その勢いで別世界の俺はナイフを手から離し、俺は掴んだナイフを床に落とした。手のひらからかなり血が流れているが、そこまで奥まで斬られている訳ではないため、少しまた包帯を回せばいいと思う。親父がここに居たらなんと言われるか

 

別世界の俺は紅葉さんと朝日さんを目の前にして、どんどん動揺し始める

 

更に

 

 

 

「朝日さん・・・朝久さん・・・うう!?・・・・・ぶはあ!!・・・はあ・・・・はあ」

 

 

「吐いた!?」

 

「予想以上に、別世界の俺は罪悪感に囚われてやがる」

 

「もしかして、朝日がお父さんに似ているからじゃない?」

 

「あまりにも朝日が父親に似ていて、それを見て朝日の父親に見られているような気分になって、別世界の一花は冷静を保てずに、今まで思い詰めていたことが限界に達して吐き出したか・・・・・」

 

「別世界の一花も・・・・・」

 

「彩葉のお父さんを殺した事で、心が苦しんでいる」

 

 

別世界の俺は、朝日さんを見て吐き出した

 

あの人の息子だから、父親に似てきて、朝日さんが朝久さんに見えて、耐え切れず別世界の俺はその場で地面に吐き出した。それだけ今まで心に溜めていたものが限界に達して、今まで腹に入れていたものが全部口から吐き出された

 

もうここまでになると、大分罪悪感で囚われていて、普通に生きることが困難だと判断した。それだけ別世界の俺は心はかなりトラウマになっていて、まともな思考をしていない。もう生きる気力もない程、苦しい心をしているのがわかる

 

これが以前の俺だ

 

 

「別世界の一花、もういいでしょ!もう死んだ人のためにそんなことをしても意味ないんだよ!」

 

「そんなことしないで、楽しいことをして、苦しいことはもう忘れよ?」

 

「輝夜・・・・・八千代・・・・・」

 

 

「黙れ・・・・・もう誰であろうと、聞く耳を持つ気はない!!」

 

 

「そこまで否定するのか!!彩葉だけでなく、朝日さんと紅葉さんがこれだけ言っているのに!!」

 

 

「この家族を壊したなのは俺なんだぞ!罪を償う。死をもって!!それが俺の意思だ!!」

 

 

「どこまでも歪んだ心だな!だけど・・・・・それも俺だ」

 

 

もう別世界の俺は、誰であろうと聞く耳を持たぬと、もう心は完全に閉ざしていた

 

それだけもう償うことしか感じられない。なぜそこまで死を求めるのか。

 

 

 

それはもう彼が死を望むしかないくらい、もう人生を捨てているのかもしれない

 

 

 

多分だが、あっちの世界でも俺は東京に引っ越した。だけど、それでも別世界の俺は朝久さんの死が拭えずに、友達を作ろうともせずに、一人で居たんだろう。そっちの世界では乃依と真実と芦花と知り合えずに一人で生きているんだろう。そしてそんな寂しい生活を送るようになると、どんどん自分に思い詰めるようになり、もう周りなんて信じない程、

 

完全に壊れたんだとわかった

 

 

だから

 

 

 

「今度!俺がお前に殴り込みする!!そん時はお前の心を叩き直す!!」

 

「え!?一花!?」

 

「あんた!?何を言っているの!?」

 

「もう別世界の俺は誰の耳も聞く気がねえ感じだ。俺もこいつだ。だから今周りを信じないこいつの気持ちがわかる」

 

 

「何をわかったことを!!」

 

 

 

「わかるさ!!だってお前は俺なんだからな!!別世界であろうとな!!」

 

 

 

「っ!?」

 

 

俺もこいつだ

 

俺も一時期あった。殺人をした罪が重くてどうしても忘れることができなくて。どう償えばいいのか、何度も考えた。それも周りの声を無視してでも、あの人を殺したことに心は思い詰めて、自暴自棄なことも俺は一度あった

 

今こいつもきたんだ。負の心が、感情を抑えずにいる

 

そんな心の病気になった俺は。一度ぶっ飛ばす以外の道はない

 

 

「そろそろ決着をつけよう。今度は俺が俺を、その腐った感情を叩き直してやる!!」

 

 

「っ・・・・・・何度でも言ってやる!俺たちが死ぬこそが!あの人の償いだと!!」

 

 

「何度でもほざいてやるよ。俺たちが生きてあの人の曲を作るのが!!あの人の償いだってな!!」

 

 

「・・・・・・・次に会う時が・・・死合いだ!!」

 

 

「ああ、存分にやり合うぞ!!」

 

 

「く!」

 

 

ザザ!!ザザ!!

 

 

「あ!逃げた!」

 

「行っちまいやがった・・・・」

 

「一花?本気なの?」

 

「ああ、こうするしか。俺はわからないんだよ。それくらい別世界の俺でもみっともないのさ。俺と言う存在はな」

 

 

別世界の俺はその場から逃げ出した

 

 

 

次に会う時が殺し合いだ。その時は全力で挑む

 

 

 

もうどんなに言っても、誰が止めても止まらない。俺と別世界の俺は殺し合うことが運命、いや、そうでもしないとお互いもう分かり合えない。残念だけど、命の取り合いしないとわからないくらい、俺と言う存在はどうしようもない存在だ。本当にこの出来事を天国に居るあの人が見たら、なんて説教するか、想像つくくらいだ

 

 

「狩猟ナイフか、てことは・・・・刀も持っているな。あいつ」

 

「え!?そんなものまで!?」

 

「銃刀法違反にならないの!?」

 

「なるさ。だけど・・・・通報したらしたで、捕まるのは俺だ」

 

「なんで!?」

 

「警察はこの犯行が『別世界から来た俺』だって、信じるか?」

 

「あ・・・・・・・」

 

「確かに信じるわけがないな」

 

「通報したら、先輩が捕まるね。絶対に」

 

「でも、本気なのか一花!?別世界のお前と殺し合うなんて・・・・」

 

 

「それだけ、もう俺もあいつも自分の命を大事にする気がないんですよ。朝日さん。朝久さんに償うためなら、命をも捨てる覚悟です」

 

 

「でも、それならなんで別世界の一花は自殺しないの?」

 

「そうだよ、こっちの一花は関係ないのに」

 

「二つ理由がある。一つはこっちの世界で幸せに生きている俺が気に食わない嫉妬で殺そうとしたいのか、二つ目はあの人の言葉が響くんだ。死のうとしたり、思い詰めると」

 

「何?」

 

「『彩葉のことを頼んだで』。これが朝久さんが死ぬ前に俺に言った言葉。これが忘れずで、いつも彩葉のために動いていたよ」

 

「・・・・・・・・」

 

「そして、こっちの世界の俺を殺せば、別世界の俺は自殺する勇気が手に入る。そんな考えで動いているのが、あいつだ。まさしく俺らしいよ。別世界の俺であろうとな」

 

「イカれているわ、一花君は、本当に・・・・」

 

「否定はしません。それだけ生きることが辛いくらい、もう俺はあの人のために死にたい。そんなくだらない心しかないんですよ。紅葉さん」

 

「一花。やめよう?こんな事をしても意味ないよ?」

 

「ヤッチョもです。こんなことになんの意味があるんですか!?」

 

 

「そうだね、二人の言う通りだ。特に殺し合いの時代を見てきた八千代からすれば最も見たくない話だろう。それでも決着をつけないとならない。これは俺の心にけじめを付ける戦いだ」

 

 

 

「一花・・・・・・本当にあんたは・・・・・」

 

 

「好きに言っていいぜ、彩葉。むしろお前に怒られてもいいくらい、俺はどうしても、別世界の俺と決着をつけたいんだ。そうすれば俺は・・・・・・」

 

 

俺は、別世界の俺と殺し合うことを選択する

 

 

こうでもしないと、あの人の罪が償えないと言う、頭のおかしい道を取る。そうでもないと、俺と別世界の俺は分かり合えない。彩葉や朝日さん、紅葉さんの言葉さえ聞く耳を持たなかった。そうなったらもう命の取り合いで決着をつけるしかない

 

 

別世界のあいつに『言いたい事』もあるしな

 

 

それを命の取り合いで決めるなんて。誰がなんと言ってもどうかしていると思うのが常識。でも、俺と別世界の俺はそんな常識はない。愛し憧れた人を殺した時点で、認めた時点で、俺と別世界の俺は殺し合う権利を勝手に持とうとする

 

 

もはや、この戦いは避けられない。あの人にために、俺は別世界の俺を斬って過去を乗り越える

 

 

あいつは狩猟ナイフを置いていったが、どこかの店で買ったんだろう。てことはどこかで『刀』もネットか、どこかの店で盗んでいるはず、別世界であるからこそ良い事にな、それも『真剣』をな。次に会う時はナイフファイトでは済まない。本物の刀で殺し合いだ

 

八千年生きた八千代からすれば、戦国時代をも見てきた彼女にとってはそんなのをまたも見たくないだろう。それも想い人が実行するなど、だが、もう決めたことだ。辞めることなどできない。殺しにかかる俺に警察に通報しても、俺が捕まるだけだしな。

 

 

俺が戦って決着をつけるしかない

 

そのために

 

 

 

「もしもし、親父?母さんと月読様と一緒に京都に来てくれないか?できれば今日までに、そして俺の家から・・・・・・・『刀』を持ってきてくれ。別世界の俺と殺し合うから・・・・」

 

 

 

ここからは死合い

 

俺はスマホに親父に連絡をした、この殺し合いに母さんと月読様にも見てもらいたいと、一緒に京都に来てくれと頼む。それも一家に伝わる刀を持ってくるよう頼む。俺たちは月読様に使える眷属の一族。その代々から受け継ぐ刀もあると、親父に前に聞いた。それを持ってきてくれと頼む。もちろん『真剣の刀』だ。ギターケースに入れて持って来てもらうよう頼む。銃刀法違反だと。通報されても面倒だしな

 

そんな両親に無茶をしてでも

 

 

 

ここからは常識外れの償いの戦いをする

 

 

 

俺と別世界の俺で

 

 

 

これはあの人に想いと、償いを改める戦いだ。

 

 

 

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