超かぐや姫! 〜彩葉の幼馴染のかぐや姫物語〜   作:ソール

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イカれた決闘

 

「悪いな親父、母さん、月読様も、ここまで来て貰って」

 

「それはいいけど、本気なのか?」

 

「別世界の自分と殺し合うなんて、どうかしているわよ」

 

「うむ、かなりの修羅場を通るつもりだな、一花よ?」

 

 

「ええ、俺は別世界の俺と殺し合ってでも、俺はこの心に決着をつけたいから」

 

 

わざわざ東京から京都にまで来てもらった

 

今は彩葉の実家に泊まらせて貰い、親父も母さんも月読様さえも足を運んでくれた。墓参りしたら食事をしてから帰るつもりが、別世界の俺と今夜にて死合うと言う悍ましいことに、流石の親父も母さんも驚いていた

 

それはそうだろう、息子が別世界での自分と殺し合うなど、狂っている以外ない

 

しかし、そうでもしないと別世界の俺は分かりはしない。そんなに殺しでしか朝久さんに償えないなら、本当に殺しでわかり合うしかない、これが俺の汚点でもある

 

 

「刀は?」

 

「ああ、持ってきた」

 

「ありがと、これで別世界の俺とやれる」

 

「本気なの?本物の刀で殺し合う気?」

 

「そうでもしないと、別世界の俺はわからないんだよ。それだけ報いることに囚われているからこその、俺と言う情けなさだ」

 

「咲夜よ、桜花よ、これは一花の戦いだ。人間同士は大昔から争う者、今更争いの時代のような、刀同士で勝負するとはいえ、本人が決めたことだ。この者の決意、神として我は見届ける」

 

「月読様・・・・・・」

 

 

刀が入ったギターケースも持ってきてもらった

 

天人家に代々から残される刀。この刀で別世界の俺とやる。ギターケースの中から取り出した、月の紋章がある刀。良い刀だ。これなら壊れずにまともに戦えそうだ。喧嘩は何回もあるけど、刀を使って殺し合うのは人生初だ。そもそもそんなこと自体が人生で経験すること自体がおかしいけどな

 

命の取り合いなんて、人生で経験するはずがないからな

 

だからこそなのか

 

 

「一花。本当にやるの?」

 

「危ないよ。そんなの」

 

「一花。そんな大昔の侍のようなことをしないでください」

 

 

「彩葉、輝夜、八千代。心配してくれるのは有り難い、だが、別世界の俺はもう俺を殺して、自殺できる自信を付けるために殺しにかかってくるのがもう確実だ。それならもう迎え撃って、あいつにも朝久さんの償い方を改めさせる」

 

 

「そこまでしてまで、償いたいの?」

 

「こんなのおかしいよ」

 

 

「そうだな、芦花と真実の言う通りだ。俺はおかしいんだ。それは間違ってない。けどおかしくなるのは今夜だけだ。これから前へ向くために過去を乗り越えるための試練だ」

 

 

「それは朝日のお父さんのため?」

 

「朝日の父のために、命まで賭けるなど・・・・」

 

「本当にお前は・・・・・・・イカれているや」

 

 

「ああ、乃依、雷さん、朝日さんにそう言われるのが正解だ。でも、それでもあの人のため、俺が未来で生きていくためにも、別世界の俺と一緒に、過去を受け入れるためにも、もう逃げるわけにはいかないんだ」

 

 

「本当にそれがウチの旦那のためになるとは思えへんわ」

 

 

「当然ですね、紅葉さんがそう思うのは常識です。ですが、別世界の俺と俺はそんな常識は今は持っていません」

 

 

避けられない戦いを前に、みんなから止めるように言われる

 

それは当然、過去を乗り越えるため、もう亡くなっている者に償うために死のうとするなど、なんのためにならないと、乃依、雷さん、朝日さんも言う

 

しかし、別世界の俺を殺しに襲い掛かる、俺を殺すことを諦めていない以上、今度はこっちが出るしかない。迎え撃ってわからせる。本当にあの人に償う方法は何も死ぬだけじゃ無いって事もな

 

 

「一応言っておくけどさ、別世界だからと言って、一度は自分を殴りたかったから、喧嘩を買ったとかじゃないよね?」

 

「・・・・・正解、流石だよ、彩葉」

 

「あんた本当にどうかしているわ。もう過去に囚われないって約束したのに、まだ自分に自責するようなことを思っているのよ」

 

「だからこれで最後だ。それからはもう己を恨んだりはしない、それを晴らすために今回で最後にするんだ」

 

「でも、本当にするんですか?ヤッチョは見たくありません。そんな大昔の戦国時代のような、侍のようなことをするなんて・・・・・」

 

「そうだよな、八千年生きた八千代からすれば見たくもないことだ。それでも、もう避けられない。戦わないともうわからないんだ。俺と言うのは」

 

「どうしてもやるのか?一花?」

 

「ああ、医者であり、俺の親父からすれば反対して当然だが、それでもやる。母さん。母さんに止められても、俺はやるぞ」

 

「まったく・・・・・死なないでよ」

 

「ああ、当然だろ。まだやるべきことがあるんだ。ここで死んでたまるか」

 

 

もう朝久さんを殺したことに負い目はない、けど、その鬱憤を自分に晴らしたいと言うのがまだ心にある、だからちょうどその相手が出てきた、それが別世界の俺だ

 

俺であることは変わりない、刀で切り刻む程、恨みを晴らせる。イカれている発想だが、過去の自分の過ちを晴らすにはちょうどよかった、別世界の俺も今頃そんな考えであるはずだ、だからこそ都合が良かった

 

でも、八千代は最後まで反対する

 

それはそうだ。彼女は今日に至るまで八千年生きた。てことは大昔の戦国時代にも、刀で殺し合う。それは侍たちが行ってきた所業だ。それを今の現代でも行う。彼女が反対して当然だ。人間の愚かな歴史に起きた残酷な争い。過去の憎しみを乗り越えるために、今の時代でそれをすることすら禁止であるのに

 

それでも俺と別世界の俺は、そうでもしないと過去を乗り越えれないと

 

 

哀れな話、死合いをせねば過去の恨みは消えない

 

 

彩葉にどうかしていると言われても仕方がない話だった

 

 

「でも一花。別世界の一花が今どこに居るのかわかるの?」

 

「ああ。俺の三日月眼で未来は見えている」

 

「どこ?」

 

「京都には廃墟のホテルがある」

 

「あ!?あそこかよ!?」

 

「ああ、そこで刀を持って待っているのが見えた。あそこなら誰も来ないだろうしな、あっちも俺が来るのを待っているはず」

 

「ねえ?一花?その先の結末までは見えてないの?」

 

「いや、そこまでは見えない。三日月眼でも俺と別世界の俺との殺し合いは三日月眼でも見せてくれないようだ」

 

「パパは?見えないの?」

 

「見えない。なぜだがか・・・・俺にもなんだか・・・」

 

「月読様・・・これは・・・・」

 

「二人が望む結果が求めるせいで、どんな未来になるか、それぞれ交差していて、三日月眼でも見えないのだろうな」

 

「てことは、別世界の先輩も『三日月眼』を!?」

 

 

「うむ、しかも、我の月光まで受け継いでいる。別世界であろうと、天人一花であることは変わりない。天人家の中で一番有能な能力を持った者だ。それが彩葉君の父を殺したことで、覚醒したのだろうな」

 

 

「恨みで、力を発揮するとはな・・・・」

 

「まさしく、一花らしい」

 

「ええ、流石は俺だよ」

 

 

場所はもうわかっている

 

三日月眼でどこで殺し合うのか、俺と別世界が殺し合う光景の未来が見えた。場所はこの京都にある、廃墟のホテル。昔彩葉たち家族と一緒に宿泊したホテルだ。今はもう潰れて廃墟になっている。そこも朝久さんと思い出の場所

 

そこで別世界の俺は待っている。そこで決着だ

 

三日月眼はそこまで決着は見せてくれるわけもなく、ただその場所で殺し合う光景しか見れない。親父も三日月眼を持っているが、結末は見えなかった。月読様曰く、別世界の俺も三日月眼を持っているため、お互い望んだ未来を予知し過ぎて、どうなるかは見えないらしい

 

別世界の俺も三日月眼だけでなく、月光も受け継いでる。別の世界とはいえちゃんと俺だった。しかし、覚醒方法は違う。俺は輝夜を想うことで、別世界の俺は朝久さんを殺した罪悪感から。みんなに俺の能力を話してあるからある程度理解してくれるけど、もうその未来視を見ても

 

もはや結末はその場で決まるものとなった

 

 

「そういえば、そもそも別世界の俺はどうやってこっちの世界に?」

 

「あ、そういえば!」

 

「月読様、何か知りませんか?」

 

 

この事件の始まりは別世界の俺がやってきてからが始まり

 

では、別世界の俺はどうやって、この世界にやってきたのか

 

世界の壁を超えられる力はないはず、どうやってそんな別の空間を開けるようなことをしたのだろうかと、八千代が何か知らないかと、月読様に聞く。神であるなら何か知っているかもしれないと尋ねた

 

 

「うむ、一花よ。それに関しては其方が原因だ」

 

「俺!?」

 

「一ヶ月前、其方が月人を倒すために、最大出力の月光を出したのを覚えているか?」

 

「ええ、それは・・・・・」

 

 

「その力は現実にも広がっており、その時に『今其方が住んでいるエレベーター』に力が入り、異次元の世界へと繋がり、偶然エレベーターに乗った別世界の其方が着いた階に、こちらの世界へと出された」

 

 

「ネットで言う、エレベーターの階を特定の階で移動を繰り返せば異世界に行ける説が、俺の力でこの世界に繋がるなんて・・・・」

 

「月読様の月光には別世界に繋がる力が?」

 

「うむ、しかもそれを一花が、別世界に繋げたではなく、別世界の其方を『呼んだ』のでは?」

 

「呼んだ?どういうことです?」

 

 

「其方と同じ・・・・・『酒寄朝久を殺して、己を憎む自分』を壁を乗り越えて呼んだ。我はそう思う」

 

 

「っ!?・・・・・そうかもですね」

 

 

言うなら同類を呼んだ

 

自分と同じ己の憎しみを持つ別世界を呼んだ。並行世界なんていくつもあるだろうけど、その中で最も己への憎しみが強い自分を、そして朝久さんを殺してしまった憎しみを常に持つ同じ自分を、月光が次元を超えて呼び出した。

 

神である月読様でも予想できない出来事だった。少し八千代が八千年前の別世界の地球に飛ばされるようなもの、それを俺と別世界の俺の月光が繋がったのかもしれない

 

いつから、俺たちは別世界の次元を開ける力を、月光で発動させるなんて

 

 

「だから、月読様は今でも『俺の行く末』を見ているんですか?」

 

「ほう?なぜそう思う?」

 

「ずっと気になっているんですよ。輝夜と八千代で俺の監視をするために、地球に残る権利を貰えた。なら、あなたはなぜ『まだ地球に居るんです』?月の神であり、あの太陽の神アマテラスの弟であるなら、『月』か『高天原』に戻るはず、なぜ今でも総店長の体を借りてまで地球に残るのか、まさかとは思いますが、『俺はこれからもっと危険なことをするから』とこれからどうなるのか直接見たいからですか?」

 

「っ!?月読様!?」

 

「本当なんですか!?」

 

 

「ふむ・・・・・・我が未来視は、神でも見えず、三日月眼は元々は我の力、そんな神である未来の行く末を常に見ている。しかし、天人一花よ。其方のこれからの未来は我でも見えず、直接見るためでもある」

 

 

なぜ月読様が今でも地球に残るのか、それは俺の行く末を見たいがため

 

あのかぐやの卒業配信の時に、八千代と輝夜を地球に残るよう命令してから、地球に少し脅かした月人を説教するために一度は月に帰った。しかしその翌日に地球に戻ってきた。役目は二人に命令した後で、もう地球には残らないと思った

 

それなのにまだ地球に居る

 

それは俺がこれから何をするのか、未来視を持つ神である月読様でも見えず、直接見るしか方法がない。しかも別世界の俺と刀で殺し合う。そんな危険なことをして、尚且つ二人は月読様の力を二つも受け継いでいる。そんな神の力を受け継ぐ二人の戦いは。もしかしたら世に危険に繋がるかもしれないからと

 

神である月読様でも、この先がどうなるか、行く末を自らの眼で確認する

 

 

「一花よ。我はこの先の未来は見えない、だがこの先其方は我が思うほど以上の試練と、かつてない苦難を苛まれるだろう。それでも、そのし合うことを望むか?」

 

 

「ええ、俺はもう朝久さんをなくすと言う苦難をしています。過去を乗り越えて未来に生きるために命を取り合うなんてイカれているかもしれませんけど、こうでもしないと、俺と言うのは理解しませんので」

 

 

「難儀であり、無謀であると神として判断する」

 

「当然ですね。反論はありません」

 

「しかし、其方の覚悟は決まった。桜花、咲夜、紅葉、天人一花が決めた戦だ。親である其方たちでも、子が決めた決意。邪魔するものではないぞ」

 

「見届けろとおっしゃるのですか?」

 

「私の子供が刀で殺し合うのは・・・・」

 

「月読様は、それはいくらなんでも・・・・・あんまりです」

 

 

「親として子の心配を理解はしておる。しかし、一花はもう決めておる、止めることなどできまい、それに桜花よ。其方が一花に刀を持ってきている時点で、もう其方もわかっておろう」

 

「それは・・・・そうですが」

 

 

「悪いな、親父、母さん、紅葉さんも。これは俺の心にある過去の悲しみを断ち切るための戦いだ。邪魔はさせない。例え親でもな」

 

 

月読様は俺の決意を受け止めて、覚悟がおありと判断をし

 

この俺と別世界の俺の争い、誰も止めてはならぬ神として命令する。そこまでの覚悟があると見込んだ結果だ。俺もそのつもり、別世界の俺と決着をつけたい。もう誰がなんと言おうと、命の取り合いをすると言うリスクを賭けながら、今度こそ過去のあの過ちから乗り越える

 

 

 

「一花・・・・・・大丈夫だよね?」

 

「お願いですから・・・死なないでください」

 

 

「輝夜、八千代、大丈夫、俺は死んだりはしない。ただ別世界の俺に理解して貰いたいだけだから」

 

 

「これでもう終わりにしてくれるんだよな?一花。親父は本気で死んでもらう事なんて、望んでねえぞ?」

 

 

「わかっています、これで最後にしますよ。朝日さん」

 

 

「お願いですから死なないでくださいね。先輩」

 

「死ぬために、刀で命のやり取りをするわけじゃあないんだろ?」

 

 

「当然、大丈夫、俺は死ぬためにこんなことをするわけじゃあないから、心配し過ぎですよ、雷さん。乃依」

 

 

 

「一花。これが終わったら、明日京都でいろんな所で遊ぼ?せっかくここまで来たんだから」

 

「美味しい物をみんなで食べて、悲しいことは忘れよ」

 

 

「ああ、わかっている。芦花、真実。これは俺の試練であり、命を懸けてでもやること。だけど死ぬ為に償うわけじゃない。今夜で俺の全ての過去を終わらせる」

 

 

 

「一花・・・・・どうしてもやるのね?」

 

「ごめんな、彩葉。俺はあの人に約束されたんだ。お前を頼むって、別世界の俺にも叩き込んでやる。あいつももう、朝久さんのためじゃなくて、あっちの彩葉のために生きればいいんだってな。あいつの生きる道を作ってやる」

 

「それなら・・・私に・・・・・」

 

「ああ・・・ごめん・・・それでも輝夜が居るから・・・・」

 

「この薄情者・・・・・」

 

「ごめん・・・・・・・」

 

 

まるで最後の戦いに出るかのようなやり取り

 

これから命のやり取りする剣の交じり合いをするのだから、もしかしたら命に関わる危機にもなるかもしれない。だからそれをする前に言いたいことを言ってから、俺は戦へと送り出したい。

 

彩葉は俺が気持ちや想いを理解してくれるなら、ちゃんと答えて欲しいと言おうとしたが、俺はかぐやが居るから答えられないと、返事はできなかった

 

その事に彩葉は不満で俺に文句を言った。あの人に頼まれたとはいえ、そこは答えられなくてごめんな

 

 

とにかく、これでもう最後にするんだ。あの別世界の俺との決着だ。あの人を殺した憎しみは今日でこの刀で斬って終わらせる

 

これは過去を断ち切るための決闘だ

 

 

 

「よし・・・・行くぞ!!」

 

 

 

そうして、別世界の俺が居る、廃墟のホテルに向かう

 

これで最後だ。朝久さんを殺した憎しみを終わらせる。未来で生きるために、彩葉のために、みんなのために

 

 

朝久さんのためだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にここなの?」

 

「ああ、気配ながら、奥に居る」

 

「こんな怖い場所に、本当に居るの?」

 

「お化けでも出てきそうだな?」

 

「お化けは居ないが、奥に人らしき気配は感知した」

 

「それが別世界の一花ですね?」

 

「うむ」

 

 

別世界の俺が居る、廃墟のホテルに着いた

 

当然ながらみんなも心配で付いてくる。しかし、かなり暗い時間に来たため、肝試しでもするくらいホテルの中は暗くて、お化けでも出てくるような薄暗いホテルだ。廃墟だから当然だが

 

月読様が廃墟のホテルの中で、お化けではなく人らしい気配がすると感知する。間違いなく別世界の俺が居る。三日月眼の未来視通り、別世界の俺はは待っていた

 

あっちも俺が来る事をわかっているからだろう

 

 

「中に入るぞ?」

 

 

薄暗いが、中に入る

 

中に入ると、中はかなり古びていて今にも『屋根が崩れそうな』くらい、老朽化が進み。本来なら人が立ち寄ってはいけない、建物の古さだ。一応立ち入り禁止とかは書いてないが、ここは明らかに人が入るには危ない場所だった。下手をしたら床が抜けるような場所

 

その廃墟のホテルの奥に、明かりが付いていた。大広間と思われる所だ

 

 

そこに

 

 

別世界の俺が、刀を持って待っていた

 

 

 

「よお、待たせたな」

 

 

「親父に・・・・母さん・・・・・総店長まで・・・・こっちの世界とはいえ、彩葉や朝日さん、紅葉さんまで連れてきやがって・・・・・」

 

 

「一人で来たかったさ、でも、放っておけないのが、あいつらって言う、俺の大事な家族なんだ」

 

 

「人殺しが何を言う!」

 

 

「それはお前も同じであり、あの人を殺したからこそ、俺とお前はまだ生きてないとならないんだ!」

 

「本当に一花が居る」

 

「信じられないわ。別世界の一花なんて、しかもこっちの一花より顔色が悪い・・・・」

 

 

「こっち世界の親父と母さんには関係ねえよ」

 

 

「別世界とはいえ、親父と母さんにまでそんな口をするのか・・・・・」

 

 

 

大広間の中心で、別世界の俺が刀を持って待っており

 

親父と母さんでさえ、邪魔扱いして否定気味。別世界とはいえ両親すら敵意を向ける。そこまでして周りを敵扱いするのか、予想以上に別世界の俺は心が壊れている

 

もはや自分に生きる希望すら感じていない

 

総店長の存在は知っているようで、バイトはあっちの世界でもしていたのだろう。どの道、別世界の俺はもう死ぬこと以外何も望んでいない

 

 

「別世界の一花。本当にこんなことをしてまで死にたいの?」

 

 

「当然だろ。もう生きる理由もねえよ。なんの意味があるんだよ。あの人を殺した俺はもう価値はないんだよ」

 

 

「そんなことあらへんやろ!そっちの世界でも俺の親父を殺したんなら、生きるために楽しいことをすればええやろ!」

 

 

「俺のせいで、朝日さんの家族がどれだけ大変になったか。あんたが好きだったサッカーも続けることができなくなった。紅葉さんも無理してシングルマザーになって、夜遅くまで無理して働いている。酒寄家の家計が最悪になった。その責任を果たすためには死ぬことが一番だ」

 

 

「本気で言ってるのですか・・・・別世界の先輩」

 

「そうまでして、死んで償いたいのか」

 

 

「それ以外に何がある!あれだけの大罪を犯しておいて、なんで堂々と生きろと言うんだ!だからこそムカつく!あれだけの事をしておいて、なんで彩葉とその知らない女二人と幸せそうに生きているんだ!!」

 

 

「別にこっちの世界で一花が幸せになってもいいじゃない!」

 

「そうだよ。死ななくてもいいじゃない!」

 

 

「誰だか知らねえが、わかった口で言うんじゃねえ!それだけあの人を殺すことは、何がなんでも許さねえことだ!それなのにこっちの世界の俺は・・・・」

 

 

「十分やっているわよ。一花はお父さんのために」

 

 

「何を根拠に!」

 

 

「今でも一花は私と暮らしている。私今まで無理して東京で一人暮らしいるけど、今は一緒に暮らして楽しく過ごしているわ。生活に困っている時に助けてくれた。お父さんは私を助けるよう一花に言ったみたいだけど、その言葉通りに一花はお父さんのためにその言葉を守って。私を助けてくれるのよ!十分、一花は今でもお父さんの遺言通りに私を助けてくれる。お父さんのために償いはしっかりしているわ!」

 

 

「何を・・・・そんな事を・・・・」

 

 

「別世界の一花。こんな事はもうやめるべきだよ。死んだ人のために死んでも、そんなのを人のためにならない、もっと生きて償うべきだよ!!」

 

「別世界の一花、彩葉のお父さんを亡くした悲しみはわかります。だからと言って、こっちの世界の位置下にまで、死を要求しないでください、私たちは、それでも一花を愛しているんです。彩葉のお父さんを殺したとしても!!」

 

 

「馬鹿な・・・・俺は・・・・人殺しで・・・・そんな事を・・・・」

 

 

「どうしても、そんなに死を求めるのか・・・・」

 

「一花。どうして・・・・・・」

 

「そこまで、ウチの旦那のために、こんなくだらん事を・・・本気で君はするんか!?」

 

 

「なぜ・・・・こんな奴を・・・・・」

 

 

皆にいろいろ言われて、かなりの迷いを別世界の俺は顔に出る

 

唯一月読様だけは何も言わずに、神として人間の試練を見届ける。これからどうするのか、神としては気になるから。人の死を追いやった者がどんな結末を得るのか、それだけでなく、俺と別世界の俺は唯一天人家の中で月読様の力を二つも受け継いでる。そんな危険な存在が、これからの決闘でどう決着をつけるのか、月読様は俺と別世界の俺を試練として試す

 

他のみんなは当然ながらもうやめるよう、説得する。人間であるみんななら当然のことだな

 

だけど、それを言われた所でスッキリはしない

 

だから

 

 

「もういいよ、みんな。そんなことを言っても、こいつの考えは変わらねえよ。何せ俺だからな」

 

 

「行くか?一花よ?」

 

「ええ、これは俺の決闘。さっきも言った通り、邪魔は抜きで頼む」

 

「本当にやるの?」

 

「ここまでやらないって言う選択肢はない。行ってくる」

 

「一花。お願いだから死なないで」

 

「そんなことはヤッチョも望みません」

 

「大丈夫だ。死ぬために殺すためにこんな事をするんじゃない。これは言うなら・・・・・恨み晴らしだ」

 

 

そう言って、一人で大広間に入り、前へ出る

 

そして持ってきたギターケースから刀を出して鞘を抜く。これは殺し合いであっても、俺は殺さない。俺は別世界の俺を殺したいわけじゃない。多少の過去の恨み晴らしがしたいだけ、別世界の俺も望んでここに居るんだ。八つ当たりくらいにはなる

 

過去の痛みは忘れることはない。なら少しくらいその時の恨みをお互いで解消しても問題はない

 

 

「言っておくけど、その刀、盗んだわけじゃあないよな?」

 

 

「俺の世界に戻って、家から取ってきただけだ」

 

 

「そっちの世界の親父にはどうせ言ってねえんだろうな。ちなみにどうやってそっちの世界に戻った?」

 

 

「俺には、俺の体の中から『光』が流れる。その光をエレベーターやドアに流せば、俺の世界へと繋げることができる」

 

 

「俺の月光とは違って、次元を開く力を持ってやがるのか・・・・しかもそれが月光である事を知らない」

 

「別世界の一花は、私の力を受け継いでそこまで進化したのか」

 

「可能なんですか?月読様?」

 

「可能であり、私が月から地球へ、高天原から地球へと移動する。その力を別世界の一花は其方の力とは別に発動したようだ」

 

 

別世界の俺は月読様の力を、天人家としての力を発揮していた。

 

月読様は月光で月から地球、もしくは高天原へと移動できる次元テレポートみたいなことができるようだ。その力を別世界の俺が開花した。それで偶然俺の世界にまでやってきたんだろう。力の名前を知らない時点で、偶然開花させたとしか思えない

 

そこで俺が幸せそうに見て、攻撃してきたってとこだろう。しかも使いこなしているようで、自分の世界に戻って家から俺と同じ刀を持ってきているなら、名前は知らなくても使いこなせている

 

 

「なるほどね。それで俺を殺したら、お前も死ねるの?」

 

 

「証明のために必要だからな、別に迷惑はかけてねえ。お前を殺すにしても、俺を殺すだけだ。誰にも迷惑をかけてねえ」

 

 

「かけているだろ。迷惑は」

 

 

「誰にだよ!!」

 

 

「俺の今後ろに居る家族だよ!そんなことがわからないくらい周りが見えてねえのかよ!なんで一人で来てないと思う?あいつらが俺を心配しているからだよ!そんなことまでわからねえのか!」

 

 

「っ!?なんで・・・お前なんかのために・・・・・」

 

 

「ああ、俺もそう思うよ。あの人を殺した時点で自分に価値がないことくらい、でもそれはお前だけが決めることじゃない。本気で一緒に居たい奴はな。そんな価値など考えたりなんてしないんだよ」

 

 

「そんなのお前だけだ・・・・・・俺には何も・・・・・」

 

 

「やっぱり、そっちの世界での俺は『犯罪者』か?」

 

 

「っ!?なぜそれを!?」

 

 

「なんとなくだよ。お前があまりにも周りが見えてないのと、あまりにも自分を犯罪者ぶるような態度を取るばかりを見て、そう思っただけだよ。だとしたら・・・・そっちの生活は最悪なんだな」

 

 

 

全部を問いたとしなくても、別世界の俺の態度を見て、想像以上に別世界がどれほど酷いのかわかった

 

 

多分だが、俺の通う高校で『酒寄朝久さんを殺した犯人が、別世界の俺である』と言うことが、どこかで噂で流れたのかもしれない

 

 

一時期ニュースにもなっている、あの人は有名なピアニストだから、その交通事故のニュースが別世界の俺の高校に噂で流れて、誰もが別世界の俺を犯罪者扱いされて、友達も作れないまま孤独の高校生活を味わっているのかもしれない。イジメをされているのかまではわからないが

 

 

おそらく、ここまで周りが見えてないと言うことは、相当別世界で酷い目にあったんだろうな

 

 

だから死にたいと、この世に未練のないことを言ったんだろう。こっちではツクヨミがあって、収入が手に入る方法があるから彩葉は一人暮らしをできるから、東京の高校に来てくれた。芦花や真実と言う友達も偶然同じクラスメイトにもなっている

 

 

別世界の俺には、それすらない孤独な高校生活を送って、もう生きる希望もないから諦め尽くしているのだろう

 

 

確かに今の俺の高校にも朝久さんを殺したニュースを流されれば、少しは嫌な気持ちにもなる

 

 

だけど

 

 

「だとしても、俺たちは生きていかないとならない。それを徹底的に体に叩き込んでやる」

 

 

「殺人を犯しておいて、まだ善人ぶるか!!」

 

 

「善人じゃねえ。これは俺のためにやることだ!!」

 

 

「前へ進むことが。俺のためになると思うな!!」

 

 

 

そう言って、お互い刀を抜いて殺し合う

 

 

ここから最悪な殺し合いが始まる。哀れで惨めな決闘。あの人の死がきっかけで始まったこと。でも案外その時の恨みを少しは晴らすことができる。相手は何せ、別世界とは言え俺だからな。一度やってみたかったんだ。罪を犯した自分をぶん殴ると同じく斬ることが

 

そんなイカれた考えでやるわけではないが、別世界の俺にはわからせる

 

 

 

 

これからは『彩葉のために生きる』んだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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