超かぐや姫! 〜彩葉の幼馴染のかぐや姫物語〜   作:ソール

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過去の罪を乗り越える決闘

 

 

 

ガキン!ガキン!!ガキン!!!

 

 

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

 

俺と別世界の俺が刀を使って殺し合う。大広間で刀の刃が交わる金属が激突する音が響く

 

もちろん本物の刀を扱うのは初めてだ。剣道の経験もない。あるとしたら喧嘩くらいだけ。にも関わらず侍のように上手く刀を振って体を斬りつける。お互い自身に恨みを晴らす。

 

こんな光景をあの人が見たらどんなことを思うだろう、どんなことを言うだろう。あの人は優しいからな、絶対にこんなことは乱入してでも止めるはず

 

今だって、俺と別世界の俺が刀で斬り合っていると

 

 

ザシュ!!ザシュ!!

 

 

「ぐう!?」

 

 

「くう!?」

 

 

「ぬう!おおおおおお!!」

 

 

「く!おおおおおおお!!」

 

 

 

「なんでこんな・・・・・・」

 

「己の恨みを晴らすために・・・こんな・・・」

 

「こんなことをしてまで・・・・」

 

「うう!こんなの見たくない!!」

 

「狂れてやがる!!」

 

 

俺と別世界の俺との殺し合いに、刀で切り裂かれる肉の斬撃音と、体に流れる血が垂れ込むの

 

もうみんなは見たくもないと殆どが眼を逸らす

 

 

それが当然だろうな。邪魔しないだけ有難い限りだが、それでもこれを見たい奴なんて今の時代には絶対に居ないだろう。大昔のような侍が刀を持って人を斬る光景など、この時代なら絶対にあり得ないことだ

 

それでも俺と別世界は自分の過ちに決着をつけるため。それだけのためにこんな狂ったやり方でしか終わらせることができないなんて、やはり俺と言う存在は

 

それでも過去の過ちを消すことができる。これだけみんなが言ってやめたりしないんだ。だったら命のやり取りをしてでも、実力を示して理解するしかない

 

 

「ぬう!そんなに死にたいのかよ!そっちにも親父と母さんが居るだろ!置いて死にたいのか!そこまであの人のために償いたいのか!!」

 

 

「それだけ重いとなぜわからないんだ!親父と母さんだって俺のことなんてどうでもいいはず!俺もお前も死ぬべきなんだ。あの人のために!!」

 

 

「結局思い込みか!でもまさしく俺だな!俺もそうだった!死ぬべきだなと何度も思った!でも、輝夜が、八千代が、彩葉が、親父や母さんがみんなが!本気で心配してんだぞ!それ以外の方法で償うしかないだろ!お前は勝手にメンタルを逝って、勝手に絶望しただけだ!!」

 

 

「じゃあ忘れるのか!あの人を殺したことを忘れるのか!」

 

 

「忘れるわけねえだろ!!今でも思っているさ!酒寄朝久さんを殺したのは俺だと!だから殺してしまったあの人の分まで生きる!あの人が絶対に死んで償って貰うような、そんな悲惨なことを望む人じゃないって、俺はあの人を知っているから!!」

 

 

「何をわかったことを!」

 

 

「ならお前はわかるのか!!殺した事を償うために自殺して貰いたいと、あの人が望むって思うのか!?」

 

 

「っ!?それは・・・・・・」

 

 

「ならわかるだろ!!そっちの朝久さんも、こっちの世界の朝久さんもそんなことは望まない!そこまで死にたいのは別にあるだろ!!」

 

 

別世界の俺がそこまで死にたいのは別にあるはず

 

多分だが、そっちの世界では、多分かなり辛い高校生活を送っているのではないかと思った。例えば、『今別世界の俺は孤独になっている』かもしれないと言うこと

 

彩葉と朝日さんは知っていて、輝夜と八千代が居ないのは俺が輝夜を月に返さずに八千代にさせなかったせいだから当たり前であって、真実や芦花や雷さん、乃依ですら知らない。雷さんは大学生だからわかるけど、芦花と真実は同い歳で、乃依は後輩なはずだ。そっちの世界で知り合うはずだ。居ないとは思えないが、それでもこの四人を知らないなら、別世界の俺の高校での環境はまさか・・・・・・

 

 

「お前?そっちの世界で友達とか居ないのか?」

 

 

「っ!なんだ?そんなくだらない話をするつもりはない!」

 

 

「やっぱり、それを言うってことは居ないんだな?」

 

 

「何が言いたい?」

 

 

「お前、あの人の死を重んじるばかりで、友達も作らずに孤独に生きているのか?」

 

 

「だったらなんだ!!」

 

 

「そんなことをしているから周りが見えないんだ!!少しは友達作って楽しいことをすればいい!!俺や輝夜たちのように!」

 

 

「そんなことをして、なんの意味がある。あの人を殺した罪人である俺に!」

 

 

「過去の過ちは変わらない!その罪は決して消えないことだけど、でもだからと言って、今でもその罪を背負って楽しむことすら許されないと勝手に思い込んで捨てて、命を捧げようとする人生を歩むお前の考えが!それこど無意味だ!!!」

 

 

「何を知ったこと!!」

 

 

やっぱりそうだった。こいつの今の高校生活は最悪なものだった

 

俺が東京に引っ越したのは少しでも朝久さんを殺した過去を忘れるため、そのために京都から東京に引っ越した。だけど、俺はそれからも全然あの人の死を拭えなかった。転校先の中学も全然あの人を殺した罪悪感が消えなくて、全然中学に慣れなかった

 

 

でも、それから朝日さんに出会った

 

あの人が東京で一人暮らしを始めてプロゲーマーになって、東京の街で偶然出会って、朝久さんの死から拭えていない俺の元気の無さを見て、元気を出させようと、朝日さんの紹介で雷さんとも知り合って、二人に誘われて、スマコンの予備を貸して貰い、ツクヨミで一緒に遊んだ

 

 

俺が人生初のツクヨミで遊んだのは、朝日さんと雷さんの誘いが始まり

 

 

少しでもあの人の死の罪悪感を軽くしようと、ツクヨミで一緒に遊んだ。それでから朝日さんと雷さんと一緒にいろんなゲームをして、そしてKASEENでいろんな勝負を勝ち抜いて、その実力で朝日さんと雷さんでチームを何度も組んでは勝負に勝ち抜いた。それでから朝日さんと雷さんが俺をチーム入れようと欲しがるようになった。そこから雷さんで弟である乃依に紹介して貰って、実は中学の後輩であったりと、ゲーム部に誘われた

 

高校では女友達にも恵まれて、真実や芦花にも出会い、ツクヨミの収入やバイトしたりして、彩葉が無理して東京の安アパートを借りてまで、俺と同じ高校に彩葉が一緒のクラスメイになって。再び幼馴染と共に高校に通えた

 

そして輝夜だ

 

輝夜が俺の家族になって、そして八千代も月読様のおかげで体を作り、彼女も家族になったりと

 

 

俺はより多くの家族を得たことで、俺でも生きていいと、あの人の死を乗り越えることができた。家族と呼べるような人たちが側に居てくれたから、俺はあの人の死を受け入れて前へ進めた

 

 

 

 

 

 

 

でも、別世界の俺は、それすら無い

 

 

朝日さんや雷さんにも会わず、乃依と言う後輩も居なくて、真実と芦花とクラスメイトにもなれず、彩葉も東京で一人暮らしすることができない程収入がないから、別世界の俺の東京には来れないと

 

 

俺とは違って、友達にも恵まれず、輝夜も八千代も出会うこともないまま、孤独を生きて、あの人の死を後悔して、もう生きる気力が無いからと、幸せそうに生きる俺を恨み殺してから、あの人を殺してしまった罪を自分も死のうとしている。

 

 

 

俺には輝夜たちと言う家族が居て

 

 

別世界の俺は仲間と言える家族が居なかった

 

 

 

俺と別世界の差があったのはこれ、家族と呼べるような仲間が居るか、居ないか、それだけで俺と別世界の俺とは全く異なること

 

俺は輝夜と八千代と彩葉のために生きている

 

別世界の俺は何かのために生きる事などない

 

 

家族を持つ俺と、家族を持たない別世界の俺

 

 

そんな相反する俺と別世界の俺は、守るものがあるかないかで、あの人の死を償うように殺し合う

 

 

そんな馬鹿げた決闘だ

 

 

「俺がしでかして事で、どれだけ彩葉たちの生活を苦しめたと思う!紅葉さんが無理して遅く働いて、朝日さんが好きだったサッカーもできなくなって、彩葉は父を亡くした悲しみで、いつも部屋に引き篭もっていた!!」

 

 

「ぐう!?」

 

 

「全部俺のせいだろ!!彩葉たちの生活が酷くなったのも!その罪悪感から逃げて、幸せに生きようとするのは都合が良すぎるだろ!!自分の罪から逃げているのと同じだ!!」

 

 

「それで死ぬことが全てなのか!!俺のすることは所詮自己満足だぞ!!周りのことは何も考えていないのか!!こんなことをしているのも!そっちの世界の母さんや親父にも言ってねえだろ!刀もこっそり持ち込んだな!!」

 

 

「それくらい俺はもうどうでもいい!!死ねば全て楽になれる!!あの人を殺したこの苦しみも、この生きる希望もないこの人生を終わらせる!それだけだ、それだけ終われば、俺は償うことを選ぶ!!」

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

「なに!?」

 

 

「これは!?」

 

「なに!?別世界の一花の体から流れるあの黒いオーラは!?」

 

「月読様!」

 

「うむ、『月光』であろうな、しかし、随分とドス黒いな。こっちの一花は月姫を想う事で発動した。あちらの一花は、酒寄君の父を殺めた憎しみで発動した。こっちの一花とは真逆な発動仕方だからなのか、力もこっちの一花よりも大きいな」

 

 

あまりの憎しみで別世界の俺は月光を発動した

 

しかも『黒い』、黒いオーラだ。俺の白いオーラとは違う、あの人を殺した憎しみで発動させるなんて、そんなことも月光では可能なのか、ただでさえ別世界の次元を開ける力を持っている。俺とは違う苦しみを味わい、孤独を味わうことで、こうも月光の力が変わってくるのか

 

月読様が俺を管理する理由がわかる

 

こんな神様の力を使う俺たちを放っておけば、どれだけ環境を破壊できる力を持っているのか

 

 

その結果

 

 

ブウン!!

 

 

「っ!!お前の月光も身を守れるのか!?」

 

 

「お前も使えるならわかるだろ!今の俺には何をしても無駄だ!!」

 

 

ザシュ!!

 

 

「ぐわああ!!」

 

 

「一花!?」

 

「胸が斬られた!?」

 

「あの別世界の先輩のオーラが、先輩の攻撃を防いでいる!?」

 

 

俺の刀の刃は別世界の俺のオーラにより、守られて体に刃が通ることはなく、俺は反撃されて胸を斬られた。

 

俺も一ヶ月前の月人戦で俺もこのオーラに守られたけど、まさか自分もその守りに妨害されることになるとは、別世界の俺も朝久さんを殺した憎しみで、月光を発動させた。だから身を守るためのオーラが盾となって、俺の攻撃を防ぐ

 

更に

 

 

「これで終わりじゃない!!」

 

 

ブン!!!

 

 

「っ!?消えた!?」

 

 

「え!?どこに!?」

 

「次元を移動しているのか」

 

「次元!?どう言うことです!?」

 

「別世界の一花は我が月に移動できる次元移動を手にしてこっちにやってきた。それを使いこなして、次元の中に入って、こっちの世界の一花の四方を切り裂く気だな」

 

 

ブン!ザシュ!ブン!ザシュ!ブン!ザシュ!!!

 

 

「ぐあ!があ!ぐわあああ!!」

 

 

「一花!?」

 

「一花の四方に、別世界の一花が瞬時に現れた!?」

 

「まるで高速移動のように!?」

 

「一花の体がボロボロに!?」

 

「全身傷だらけに!?」

 

 

別世界の俺は次元に入り込んで、俺を斬ろうと瞬時に四方に現れる

 

その予想外の次元移動攻撃に、俺はなす術もなく斬られる。背中、肩、横腹など。体全体を斬られてしまい、全身から切り傷を負わされ、俺の体全体から血が垂れ込む

 

腕や足を斬られないだけマシだが、全身の痛みや、胸が奥までかなり斬られて、かなり消耗して体動きづらくなる

 

 

 

「ぬん!!」

 

 

ボコ!!!バリン!!!

 

 

「ぐはああ!!」

 

 

「立て!!お前の罪は俺が償ってやる!!自害しないのなら俺が裁く!!自分の罪を改めろ!!天人一花!!!」

 

 

 

「一花!!」

 

「もう見てられねえ!」

 

「これ以上はやりすぎだ!!」

 

「もうやめなさい!!」

 

 

 

「ならん!!」

 

 

 

「っ!?月読様!?」

 

「止めないでください!!このままだと先輩が!」

 

「月読様!このままでは私の子が!」

 

「このまま息子を見殺しにしろとおっしゃるのですか!?」

 

 

「心配なのは当然、だが、これは天人一花が決めた決闘だ。咲夜、桜花も、息子の負傷姿で、親である其方二人が乱心するのもわかる。だが、それでも介入乱入することは許さぬ!!これは神の命令だ!誰であろうと、天人一花の決闘を邪魔してはならぬ!」

 

 

「そんな月読様!?」

 

 

「これは彼の過去を乗り越えるための試練、紅葉よ。其方でも彼の戦に介入は許さぬ、月姫と八千年月姫。其方たちもだ」

 

 

「しかし!このままでは!」

 

「本当にこれでは一花が死んでしまいます!!」

 

 

俺は別世界の俺の攻撃に何度も追い込まれ、体を切り刻まれ全身に血は流れ出す、最後に足蹴りを喰らって、メガネを壊され、そのまま床に張り付くように倒れる

 

このままだと本当に殺されてしまうと思い、彩葉たちは別世界の俺を止めようと、決闘中であるのに、乱入しようとする。

 

 

しかし、それを月読様が止める

 

 

この決闘は俺が決めたこと。俺が過去を乗り越えるために、別世界の俺をわからせるための戦。誰であろうと邪魔をしてはならないと、俺の意志に免じて、月読様は誰であろうと、この決闘の邪魔をしてはならないと静止を神としての命令を下される

 

輝夜と八千代は絶対に助けたいと、自身の出身の神に抗議する。二人は俺を愛しているからこそだ

 

 

だが

 

 

「其方たちは一花を見くびり過ぎだ。見よ」

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「一花・・・・・・」

 

「なんで・・・・・」

 

「どうして・・・・」

 

 

 

「手を出すなよ。これは・・・・俺の戦いだ!」

 

 

「まだ・・・・立ち上がるか!!」

 

 

 

俺は無理して立ち上がり、絶対に手を出すなと手を上げる

 

俺が決めて始めた事だ。当然他の乱入は俺でも許さない。親父と母さんでもな。紅葉さんでも。俺もここまで追い込まれるのは『想定内』だ。三日月眼で、未来は見えている。だからこうなる事はわかっていた

 

それでも別世界の攻撃を受けたのは、多少痛み分けをしたかっただけだ

 

やるだけじゃなくて、やられたいと言うのもある。あの人がトラックに轢かれた時は、こんなんじゃないだろうな。もっと痛かったはず、その痛みも俺は味わいたいから、こんな馬鹿なことをした

 

でも、もう終わりだ

 

 

「ふう・・・・自害しろか。何度も考えたよ」

 

「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」

 

 

「っ!?」

 

 

「親父も母さんにも、紅葉さんや朝日さんや彩葉にも。みんなにも。輝夜にも八千代にも。流石に言った事はない。でも言う必要もないし、そんなことをするつもりもない」

 

 

「何を!?」

 

 

自害なんて何度も考えた

 

親やみんなにも言ってないけど、何度も考えたさ。あの人の死なせた罪は俺が自殺することで償えると、何度も考えた。だから別世界の俺に言わなくてもそうした。それでも。俺はそれをするつもりはない

 

なぜなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は輝夜を愛している。そして朝久さんの言葉に従い、彩葉を守る。だから死ぬつもりはない」

 

 

 

 

 

 

「輝夜・・・・・・あの金髪の女・・・・そして彩葉を守るだと!?」

 

 

「ああ、別世界の俺、この世界での俺はな。彼女ができたんだ。俺を愛してくれる女。あいつが毎日俺に楽しい日々をくれた。そんなあいつに恋をした。俺はあいつのために生きると決め、俺は彼女と一緒に居たいと望んだ。そして彩葉を守ること。これはあの人が死ぬ前に俺に約束した誓いだ。俺は大事な幼馴染を守り続ける。それが生きる理由だ!!!」

 

 

「「「一花・・・・・・・・」」」

 

 

輝夜を愛している。彩葉を守る

 

あいつを月に降りて拾ってから楽しい日々を送れた。あいつが居る毎日が凄く楽しい。あの人を殺した罪も軽くなる程、俺に生きる理由をくれた。そして俺はあいつを幸せにすると決めた

 

 

ハッピーエンドを作るだっけ?ああ、俺もそれが欲しい

 

 

ハッピーエンドを作る。良い結末を手に入れる。そのためにこの過去を決着をつけるために今戦っている。輝夜と八千代も含めて幸せになるために、それがハッピーエンドだ。過去を乗り越えて今の幸せを作る。そのために別世界の俺に立ち向かう

 

 

そして彩葉を守ること

 

 

あの人が亡くなる前に建てた誓いだ。この約束を守るためにも俺は死ぬわけにはいかない。もう過去に迷うのはやめた。俺はこの三人のために生きる。もう死ぬことが償いじゃない。そんなことをしても喜ばない。過去の痛みは今ここで乗り越える

 

死ぬことだけが償いじゃない

 

 

 

「覚えておけ、別世界の俺。こっちの世界での俺はハッピーエンドを作るために、過去を乗り越える!!あの人の償いは、彩葉をこれからも守って証明する!!!」

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

「な!?俺と同じ光!?」

 

 

 

「出た!!一花の光!!!」

 

「ヤッチョ達の想いが!一花の力になる!!」

 

「終わらせて一花!!お父さんの罪はもうこれで終わりにして!!」

 

 

 

「ああ!!!」

 

 

かぐや、ヤチヨ、彩葉の。三人を想うことで、俺の月光は発動した

 

俺の体から白いオーラが流れる。ツクヨミの空間内だけかと思ったが、現実でも発動できるようで、別世界の俺を倒せるだけの力を発揮させる

 

別世界の俺も月光を発動させているが、どっちの月光が上なのか、勝負するにはちょうどいい

 

 

「さあ、これで決着だ」

 

 

キイ!カキン!!!

 

 

「居合い!?抜刀術か!?」

 

 

「見様見真似だがな。それでも・・・・・俺を・・・己を斬る!!!」

 

 

俺はツクヨミのアバター必殺技である、刀を一度鞘に戻して放つ技

 

抜刀術、居合い斬りをする

 

無論そんな技を現実でできるわけがない。所詮は見様見真似。本物の侍や武士だったら、もっと上手くできるだろう、でもこれでいい。今の俺ならできる

 

なぜなら、三人の想いに答えるって言う、生きる理由があるからな。死んで償おうとする。死んで救えるものがあると思っている自分だけに無意味であり、己に負けない!!!

 

 

「行くぞ!!別世界の俺!!!」

 

 

「ふざけるな・・・・人殺しのお前が・・・・・愛しているなどと。ほざくな!!!」

 

 

「ふう!!」

 

 

俺の決意な言葉に、別世界の俺は気に食わないと、斬り掛かって飛んでくる

 

それに応えて、抜刀術の構えの状態で特攻し、とんで迎え撃つ

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキン!!!!!!

 

 

「な!?」

 

 

「これで・・・・・苦しみは終わりだ!!」

 

 

バコン!!!

 

 

「がは!!?」

 

 

俺は別世界の俺が持っていた刀を迎え撃って壊した

 

俺の刃に月光が流れている。あいつは次元を通る月光だが、俺の月光は全て打ち砕く破壊の力。死にたいと言う負の感情から生まれる力なんかより、誰かを想う力の方が強いに決まっている

 

だから俺は別世界の俺に勝てた。

 

俺も月光を使っているから、別世界の俺の月光で守れる事は不可能。その力は同じ力で跳ね返す。だから刀を壊しただけでなく、そのまま鞘を持っている左手で、別世界の俺の頬を殴り飛ばす

 

 

 

「勝った・・・・・こっちの一花の勝ちだ!!」

 

「やった!本当に・・・・・よかった!!」

 

「一花・・・・・・生きててよかった!」

 

 

「心配かけて、悪かったな?」

 

 

「本当だよ!」

 

「でもよかった。本当に・・・・」

 

「終わったのよね?これで」

 

 

「ああ、決着はついた」

 

 

「終わったのよね?」

 

「一花が別世界の一花に勝った!!」

 

「流石は先輩!」

 

「よく頑張った」

 

「たく・・・・ヒヤヒヤさせんなや」

 

「よかった・・・・一花」

 

「ああ、本当に・・・・」

 

「朝日・・・・一花くんは乗り越えたで」

 

 

「うむ、見事だ・・・・・・」

 

 

この勝負は俺の勝ち

 

もう別世界の俺の刀は砕かれ、もう戦う事はできない。戦闘続行不可だ

 

決着がついたと判断すると、輝夜と八千代と彩葉が俺に近づき、俺の命の安否をした。少し無茶をし過ぎたが、なんとかこの決闘を無事に終わらせた

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

「はあ・・・・・はあ・・・・はあ・・・・・」

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

 

「っ!輝夜、八千代、彩葉。下がれ!!」

 

「嘘!?」

 

「まだやるつもりですか!?」

 

「もう決着は付いたでしょ!?」

 

 

別世界の俺がまだ立ち上がった

 

もう刀は刃はもう砕けているのに、それでもまだ立ち上がり、俺を睨みつける

 

どうやらまだつもりなのか、壊れた刀でも、俺を殺そうとしているようだ。彩葉がもうやめるよう説得するが、別世界の俺は

 

 

「死ぬことが・・・・・償いのはずだ・・・・生きたって意味がない・・・・それが・・・・・・・・なんで分からないんだ!!!」

 

 

「お前だって・・・・生きる理由があるだろうに・・・・」

 

 

「あるはずがない!!こんな俺なんかに・・・・生きる理由があるかあああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

もう完全に別世界の俺は心が壊れていた

 

敗北を受け入れられないからなのか、それともそれでも死ぬことが救いだと勘違いしているのか、もしくは俺が幸せそうに生きていることに嫉妬しているのか、理由は様々だが、まだ俺に殺意は消えてないらしく、そのまま壊れた刀で俺を刺そうと俺の方まで走ってくる

 

もうこれ以上戦っても、こいつは理解しないのだとわかった。まるで今日の朝までの俺だ。そうだ。これが俺だ

 

なら、どうやって自分の過ちに気づけるか

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ!!!!!

 

 

ポタポタポタ!!!

 

 

「・・・・・・・・・っ!?」

 

 

 

「ぐふ!?」

 

 

 

「「「「「「「「え!?」」」」」」」」

 

「一花!?」

 

「どうして!?」

 

「あんた!?なんで避けずに!?」

 

 

 

俺は避けずに、その壊れた刀に腹を刺される

 

そこからかなりの大量出血を引き起こし、口からも血が流れる。

 

こうするしか理解できないと思った。こいつは周りが見えてない。周りが心配していることを気づかせるには、まずは俺が傷つくことで気づかせる

 

 

俺が死にそうになって、それでも幸せなのかと?

 

 

気づかせるために

 

 

 

「ふう・・・・・・流石に・・・・響くな・・・これが・・・・刀で刺される・・・・感覚か・・」

 

 

「お前・・・・・なんで!?」

 

 

「なあ?俺は死にそうに・・・・なっているけど・・・・紅葉さん・・・・朝日さん・・・親父に母さん・・・・・・彩葉が喜んでいるか?」

 

 

「え?」

 

 

「死ぬことが償い・・・・・なんだろ?それで・・・・・俺が死にそうになっているのを・・・・みんなが見ている・・・わけだけど・・・・喜んでいるか?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

「答えろよ・・・・・お前が望んだ結果だぞ?・・・・・嬉しいか?・・・・俺が死んで・・・・お前が死んで・・・・嬉しいか?・・・・・なんだろ喜んでるか?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

「あいつらの顔を見ろ・・・・・喜んでいるか?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「ならわかるだろ!!!俺とお前が死んでも意味がないんだよ!!!!!」

 

 

償いは死で償えない

 

俺はわざと刺されて、死にそうになって、それでもみんなが喜ぶかと、今生きている者たちが喜ぶかと聞く。その問いに別世界の俺は答えない。それは当然だ

 

 

 

 

だって、殺してしまった人のために自分が死んでも意味がないんだよ。だってそれは殺してしまった者に償えたとしても、生きている者たちにはなんのためにもならないんだから

 

 

 

 

それを気づかせるために、実際に眼で確認させて現場を思い知らせる。散々こいつが望んだ結果を作ったわけだけど、それを眼で見せられて思い知る。こんなことをして喜ぶ者はいない。むしろ悲しい顔でしかない。

 

 

「いい加減理解しろよ!!俺とお前のあの人にやったことの罪は消えないけど、それで死んでいい命なんてあるはずがないんだ!!今でもあの人がこんな現状を見たら、どう思う、どんなことを言うのか、俺とお前が一番わかるだろ!!!」

 

 

「・・・・・俺は・・・」

 

 

「俺とお前はあの人の言葉通り、彩葉を守るために生きればいんだ!!それがあの人への贖罪だ!!どうせそっちの世界での彩葉を、お前はほったらかしにしているんだろ!!」

 

 

「それは・・・・・・」

 

 

「忘れるなよ!!俺とお前はあの人に『彩葉のことを頼んだで』って言われたんだろ!死ぬ前に!!だから生きろよ!!彩葉のために生きろ!!!あの人に償うためにそっちの世界の彩葉と一緒に生きろ!!!」

 

 

「一花・・・・・・」

 

 

別世界の俺が生きる希望がないなら、どうしてもあの人に償いなら、生きる理由を俺がくれてやる

 

 

それは彩葉を守り続ける事だ

 

 

あの人は死ぬ前に娘を頼むと頼まれた。それは何があっても彩葉を助けるようにと、約束をされたんだ。だから彩葉のために生きればいい。そっちの世界では、別世界の俺がこんな感じなら京都で彩葉をほったらかしにして、連絡も取ってないに決まっている

 

こっちの彩葉なんか、無茶をしてまであんな安アパートに住んでまで、俺の居る東京に追いかけてきたのに、彩葉の気持ちが何もわかってない。

 

彩葉は俺に生きてほしい。その望みを叶えればいい。それがあの人への贖罪だと

 

 

俺は信じている

 

 

 

だから殺さない。別世界の俺でも

 

 

これは過去を乗り越える決闘だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタ!!ガタ!ガタガタガタ!!

 

 

「「っ!」」

 

 

「え?」

 

「一花!?」

 

「危ない!!?」

 

 

そんな生きる希望を教えている最中、突然、俺と別世界の天井が崩れ

 

 

 

上から瓦礫が落ちてくる

 

 

 

ここは廃墟のホテル。老朽化が進み過ぎて、更に俺の居合い斬りの衝撃もあって、ホテル全体の天井と壁にヒビを入れたせいで、天井が限界を迎え、砕けて破片が落ちくる

 

このままだとその破片に埋もれて下敷きになってしまう

 

だが、俺は動けない。流石に無茶をし過ぎたのか、別世界の俺に腹を壊れた刀で刺されて足が痺れて動けない。でも腕は動く

 

 

だから

 

 

 

 

 

 

 

ドン!!!

 

 

「え?」

 

 

「生きろ・・・・・」

 

 

 

ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!

 

 

 

「・・・・・・・え?」

 

「・・・・・・一花?」

 

「・・・・・・嘘・・」

 

 

俺は瓦礫が落ちてくる前に、別世界の俺を突き飛ばした

 

こいつには生きて貰わないと困ると、そっちの世界の彩葉のためにも、こいつまで下敷きにさせるわけにはいかないと、俺は別世界の俺を突き飛ばして、落下してくる瓦礫から後ろに飛ばして回避させる

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

残った俺が落下してくる瓦礫に激突し、下敷きになり、俺の姿が見えないくらい、瓦礫に埋まった

 

 

 

 

「「「一花あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」」」

 

 

 

「・・・・・・・・こっちの世界の俺・・」

 

 

 

輝夜と八千代と彩葉の悲鳴が鳴り響く

 

俺は瓦礫に埋もれて身動きも取れず、瓦礫の隙間から大量の血が流れる。俺は天井の瓦礫に下敷きになって息ができなくなる

 

 

 

もうここで、終わりか

 

 

 

と、自分の終わりを悟る

 

 

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