今際の国で飯を食う。   作:有栖結華

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だいやのきゅう(2)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

アナウンスが流れる。

『各ペアは数字を入力してください――』

 

「次も1でいいんじゃないかな」

「いえ、今度は少し大きい数字でもよいと思います。電車との距離は最短で9マスあります。ここは1以外の数字を入力してもいいでしょう。法則を知るためにも、前回と同じような数字の出し方を狙うのも手です」

幽鬼は目を開いた。

前のゲームでも感じていたが、この子は強い。

こんなわけのわからないゲームに対しても、真剣に論理を組み立てようとしている。

「いいと思う。で、実際にどの数字にする?」

「3を出してみようと思います。ほかのペアも、まだ法則について何もわかっていないはずなので、電車の移動が少なくなりそうな1を選ぶ可能性が高いでしょう。逆に1を出さなかった場合は、電車から離れた位置――盤面の左側にいる可能性が高いと思います」

「なるほど。それに、もし私たちが3を出して、ほかのペアが1を出したら、前回と同じ数字の出され方になるね」

「はい。それで、もしまた右側――つまりF9側に進んだ場合、少なくとも1、1、3のときは右側に進むことがわかります」

幽鬼たちは3を選択した。

 

選択してすぐに、アナウンスが鳴った。

全員の解答が出そろいました。

今回は

1。

1。

3。

です。

電車が動く。

F8 → F9 → F10と2マス進んだ。

 

(12/30)

 

金子が一緒に来てくれてよかった。

幽鬼は本当にそう思った。

まだ序盤も序盤だから、これでどうなるというわけでもない。

だが今のところ、金子のおかげで、このゲームの攻略についていけている。

幽鬼一人だったら、よくわからないままゲームを進めていただろう。

現在、数字が1、1、3のときに右側に進む――と、かなりの確率で推測できている。

幽鬼は順調だと……感じている。

 

だが、何か変な違和感がある。

ゲーム会場に入ってからずっと。

そして今も、頭を使いすぎているのか、なんだか頭がふわふわしてきた。

 

 

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次のターンを開始します。

 

 

現在の電車の位置はF10。

「今度はどうしようか。金子の考えだと、ほかのペアは右側にいるってことだよね」

「はい。そして私たちはより安全になりました」

「そうだね。これでもっと大きい数字を入力しやすくなったね」

「ええ、今度は4を入力してみようと思います」

現状、電車は2マスずつしか進んでいない。

もし近くに他のペアがいるなら、移動数を増やして電車でひく可能性を高める必要がある。

また、数字を大きく選べば、電車の移動数も増え、法則の理解にもつながるはずだ。

「……やっぱりもっと大きい数字にしませんか? 幽鬼さん」

「どうして?」

「私たちが考えることは、当然ほかのペアもある程度推測できます。先ほどのターン、私たち以外が1を選んで、前回と同じ数字のパターンになったのは、向こうも法則をある程度理解した上で、乗ってくれたのだと思います。それに、今は千載一遇のチャンスかもしれません。もし電車がたくさん動いたとしても、ひかれる可能性は私たちよりずっと他ペアの方が高くなるはずです」

そうして、私たちは数字を選んだ。

選んだのは――8。

すぐに、アナウンスが鳴る。

全員の解答が出そろいました。

今回は

1。

1。

8。

です。

電車が動く。

F10 → G10 → H10 → I10と3マス進んだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

(13/30)

 

幽鬼もこの結果には驚いた。

やはり数字が大きくなると移動マスが増えるのだ。だが、思ったよりも増えていない。

1ターン目と2ターン目では1,1,3で右に2マスだけ進んだ。

この3ターン目では1,1,8で下に3マス進んだ。

合計値は5と10。

前に比べて合計値は倍になったのにもかかわらず、1マスしかマスが増えていない。

金子を見る

金子も全く法則がわからないようだ。

 

(14/30)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえー言葉。法則わかった?」

「うん、.....だから次はこの数字を提出するね」

 

(15/30)

 

 

「なんでっ...」

金子は叫んだ。

 

4ターン目。

数字は今度は20を提出した。

 

一分ほど待って.....

全員の解答が出そろいました。

今回は

1。

13。

20。

です。

電車が動く。

I10 → I9 → I8 → I7 → I6 → I5 → I4 → I3 → I2 → I1と9マス進んだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

(16/30)

 

かなりまずいかもしれない。

幽鬼のぼんやりした頭でもそのことはしっかりとわかった。

1の数字はわかる。さっきまでと同じ数字だ。金子は1,1,20になると思って入力した。しかし結果は1,13、20。

予測が外れるのなんて、ある意味当然なのかもしれない。むしろこれまである程度、読みあいが成立していたのもおかしかったのだ。

だが、数字がよくない。1でも20でもなく13。明らかに意図したものだ。

しかも今は壁際。これまであまり考えてこなかった、ルールが適応されるかもしれない。

 

 

 

数字選択後の際に、現在位置で電車が接している壁にぶつかる(マスの外に移動する)と確定した場合、移動する代わりに選択した値のうち最も小さい値(同点の場合は適応されない)を選択したペアがゲームオーバー

 

 

ここからは慎重にしなければならない。

幽鬼たちは20以外の数字を選ぶことができない。

なぜなら、幽鬼たちは法則をまだ解明できていない。

移動マス数も方向もわからない。

アナウンスが流れる。

『各ペアは数字を入力してください――』

 

 

これまでの電車の動きは

1,1,3のとき右側方向に2マス進んだ。

そして、1,1,8の時に下に3マス進んだ。

もし13を選んだペアが法則を解いたのだとしたら、これだけの情報でわかったということだ。

幽鬼は持ち歩いている手帳とペンで考えを整理する。

 

「私にも使わせてください。」

金子にペンと手帳の切れ端を渡した。

 

幽鬼たちは考えた。

先ほどのターンは1,13,20で合計値は34で移動マスは9。

いや、壁にぶつかったことを考えると、それ以上の動きだった可能性すらある。

 

幽鬼は考えた。

 

 

だが、どれだけ考えても全くわからなかった。

 

 

 

(17/30)

 

金子が泣き出した。

「すみません.............幽鬼さん..」

 

幽鬼は金子を後ろから抱きしめた。

もうしわけないと思った。

金子はずっと頑張ってくれたのだ。

それなのに私はずっと、金子に頼りっきりだった。

自分が考えても全然わからないからと開き直って。

 

幽鬼はデンモクを手に取った。

「ごめんよ。金子」

 

(18/30)

 

幽鬼は20を選んだ。

すぐに、アナウンスが鳴った。

全員の解答が出そろいました。

今回は

1。

1。

20。

です。

電車が動きます。

電車はH1→G1→F1→E1→D1→C1と6マス進んだ。

 

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御城は1を入力した。

 

 

「いやーさすがです御城さん。もう勝利は確定ですねー」

毛糸は腰をくねくねさせて媚びを売っている。

 

「ええ、といっても今回はほぼ言葉のおかげですけど」

「何言ってるんですかー。御城さんのおかげでほぼノーリスクで初めからゲームを進めることができたんですよ」

 

「まあでも、少しつまらないですね。ここまで一方的だと」

 

 

リスクを取らないと勝負には勝てないというのに。

 

 

 

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